散りゆくものへ
この艶めかしいまでの赤い色合いはどうだ。
七たび竈にくべても燃え尽きぬ、厄介物の木の実ではないか。
透き通る青い空を背景に、錦秋の前奏曲が響き渡る。
芝生の上に白い綿菓子が浮かんでいる。
そのふんわりとした白い色を際立たせるかのように、青い空が広がる。
宇宙の果てまで透けるような空が。
微やかに前奏曲が流れる森に一抹の不安がよぎる。
鮮やかなオオカメの木の紅い実は森に入る者の目を楽しませてくれるが、森の王たる者への貢物が僅かしか無い。
野生の者たちには試練の秋になるのだろうか。
色ずき始めた秋の色は、やがて来る艶やかな色彩の協奏曲を感じさせる。
だが、浮き立つ気持ちと裏腹に、一抹の寂しさも感じさせる。
それは、散りゆく秋から白い季節への終章までを、知り抜いているからに他ならない。
無才さんが「秋晴れ」のコメントに下さった詩です。
素晴らしい詩なので、写真と合わせてみました。