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2024-02-26 11:18

ウクライナの苦境・軍産複合体の衰弱

 先週の土曜(2月24日)でロシアのウクライナ侵攻開始から丸二年になりました。
 この二年ウクライナ軍は善戦を続けましたが、ここに至って苦戦が目立ち、完全に守勢に回っています。
 原因は砲弾・ミサイルその他兵器の不足です。
 これについて何とも深刻な話が出ていました。


https://www.youtube.com/watch?v=3pJZgzE2Wek

 ウクライナ軍の弾薬や兵器が不足しているのは、NATO諸国からの弾薬や兵器の支援が進まないからです。
 一方ロシア側もこの夏頃までに備蓄を使い果たしたのですが、しかし北朝鮮から大量の砲弾を買い取り、更に国内での生産体制を強化したので、今はウクライナ軍を遥かに凌ぐ量の砲弾を使えるのです。
 だからNATO側からのウクライナ支援は必至なのですが、しかしそれでもなお支援が進まないのは、NATO側も備蓄が底を尽き、これ以上支援するとなると自国防衛用の分を削って出さなければなりません。
 それで皆渋っているのです。

2024y02m22d_184652944.jpg

 しかしこれは実は最大支援国アメリカも同様だと言うのです。
 例えば昨年末、日本はアメリカと自衛隊保有の地対空ミサイルシステム「パトリオット」をアメリカに輸出する為の協議に入りました。
 パトリオットは元来アメリカ製のミサイルシステムで、現在日本はこれをライセンス生産しています
 日本は武器輸出を厳格に禁じてきたのですが、今回は日本政府は「ライセンス生産しているモノは例外的に輸出してよい」としてアメリカに輸出しようと言うのです。

 これってアメリカで生産している日本車を、日本に輸入するみたいなヘンな話です。
 アメリカはパトリオット作れないのか? 
 作れないわけじゃないのですが、アメリカのパトリオット生産ラインは完全に休止して久しく、これをもう一度立ち上げて生産を開始するには時間がかかり過ぎるのです。 
 アメリカはウクライナにパトリオットシステムを支援したいのですが、しかしアメリカでの生産ができない状況でウクライナに送ると、アメリカ自身の国防に必要な分が不足します。

 そこで生産ラインが活動中の日本が作ったパトリオットをアメリカに送り、アメリカはそれを自国防衛用に使い、アメリカで使っていたお古をウクライナに送る事にしたのです。
 本来なら日本が直接ウクライナに支援する方が、日本の国益ですが、日本の武器輸出三原則はまだ完全に撤廃できないので、アメリカ経由の玉突き支援になるのです。

2024y02m22d_185010210.jpg

 しかしアメリカが生産を休止や停止した兵器は他にも多数あるようです。
 それどころか上の動画で、元自衛隊海将がチョコチョコと「もう軍艦も作れないから」と言うのが非常に気になります。
 そしてこの動画の参加者全員が、アメリカではオバマ政権時の軍縮で軍事産業が非常に衰退していると言うのです。

 日本のマスコミは戦後ずうううっと「アメリカには産軍複合体と言うのがあって、それが金儲けの為に戦争を煽り続けている」と言ってきました。
 ワタシも「産軍複合体が戦争を煽る」とは思っていませんでしたが、しかしアメリカには殆ど無尽蔵の兵器生産能力があり、必要があれば必要なだけ供給できる物と思っていました。
 だから例えば日本が中国に侵略されたりした場合は、代金を払うなら兵器はいくらでもアメリカから買う事ができるモノと信じてきました。
 
 ところがどうも違うのです。
 伊藤元海将の言う「軍艦も作れないから」がホントなら、例えば海上自衛隊の艦艇が撃沈されて、日本での増産が間に合わないとなっても、アメリカから買う事はできないのです。 
 それどころかアメリカ自身、台湾有事でアメリカ海軍の軍艦を大量に撃沈されたら、その後アメリカ海軍の戦力を元通りにするのだって容易ではないと言う事になります。 
 これだと中国が勢いづくのも当然だし、またアメリカは台湾防衛に消極的にならざるを得ません。

2024y02m22d_185510061.jpg

 それにしてもオバマ政権のたった8年でそこまで軍産複合体が衰微するのでしょうか? 
 ワタシにはアメリカの軍産複合体の内実はわかりません。
 しかしアメリカではレーガン政権の8年で、土木産業が完全に消滅したと言う実例があります。
 レーガン政権は財政赤字の削減を徹底したので、その間土木建設に関わる公共事業をトコトン縮小したのです。
 大規模な土木建設業は政府以外に需要がありませんから、その政府が需要を絞れば、その分産業規模が縮小するしかないのです。

 8年間も需要がなければ、民間企業が生き延びる事はできません。
 民間企業が衰退すれば、その業界に必要な技術の継承もできません。
 そうした技術者を育てる事もできません。
 この8年間に土木関係の企業は消滅し、大学からも土木課が消えて、アメリカから土木産業が消滅したのです。
 で、現在アメリカの土木工事は、海外企業が請け負っています。
 こうした前例を見れば、オバマ政権下でアメリカの軍産複合体が衰微したのもうなずけます。

IMG_6339.jpg

 しかしこれはアメリカだけではありません。 欧州のNATO諸国も皆揃って軍縮に励みました。
 ロシアのウクライナ侵攻が始まる前、ドイツ陸軍の保有する戦車は250両、そのうち稼働できるのは68両と言う有様でした。
 こ、これでホントにロシアがウクライナを占領したら、どうするんでしょう?
 ロシアが東欧諸国を突破してドイツに攻め込んだら、どうするんでしょう?

 アメリカも欧州も揃ってこんな為体になったのは、冷戦勝利後「大国間の戦争はもうあり得ない」と言う幻想にとらわれていたからです。
 しかしロシアや中国はそんな幻想など持っていなかったのです。
 それどころか冷戦終了後も、歯を食いしばって軍事力強化に励みました。
 そしてアメリカや欧州諸国が油断している間に捲土重来を企てていたのです。

2024y02m22d_192240276.jpg

 ロシアのウクライナ侵攻で、アメリカも欧州諸国も漸くその現実に気づきました。 それで今一斉に軍備増強を開始しました。 不足している砲弾の大量生産計画も始動し始めました。
 しかし実際の大量生産開始までには、相当の時間がかかります。 その間、ウクライナが持ちこたえてくれたら良いのですが、しかしウクライナが崩壊したら、今度は自国の番です。

 こうなると欧州諸国としては、今持っている砲弾をウクライナに提供して、ウクライナの頑張りを期待するべきか? それともウクライナの崩壊は必至として、砲弾や兵器は自国防衛用に確保しておくべきか?非常に悩ましい状況です。
 この状況ではいくらウクライナの防衛が重要とわかっていても、気楽に兵器支援には応じられないでしょう。
 
IMG_6323.jpg
 
 そしてこれはウクライナ支援云々だけの問題では済まない恐ろしい話です。
 だってアメリカも欧州も、十分な武器を生産できないと言うのでは、日本がイザとなった場合に、必要な兵器を買えるかどうかわからないと言う事ですから。 
 いくらお金があってもどうにもならないのですから。

 で、あれば日本の取るべき唯一つの道は、防衛力強化とその防衛力を支える軍事産業の増強ではありませんか?
 そしてその為には武器輸出三原則の撤廃など、日本の防衛産業が正常に発展できるための政策が必要です。

 ワタシ達戦後世代は武器輸出と言うと「死の商人」と言われて、そこで思考が停止していました。
 でも思考を再起動したら、自国を守る為の武器は自国で作れないと、自国を防衛できません。 武器の支援を他国に頼りながらの防衛がどれほど大変かは、現在のウクライナを見ればわかります。
 逆に自国で優秀な武器を生産できたら、ウクライナのように侵略に苦しむ国を助ける事ができるのです。

 日本人は思考を再起動して、軍事について考えてみるべきではありませんか?

  1. ロシアのウクライナ侵略
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コメント

土木系をいじめたりして悲惨な事になるって我が国でもありましたよね。
今回の地震でも土木業界が弱体化してレンタルで重機使うようになてそれで今重機足りないっつってんですから。
コンクリートから人(笑)へのせいでねえ。
  1. 2024-02-27 19:24
  2. URL
  3. 太朗 #cRy4jAvc
  4. 編集

雑感

よもぎねこさん、こんばんわ。


アメリカが物を作れない?

まぁ~アメリカが本気の危機感を感じてないから作る体制を整えてないだけと思いますね。所詮露宇の争いはヨーロッパの戦と感じてるのでしょう、自国が戦場になると危機感を感じれば有無を言わさず増産体制に移行しますよ。腐っても資源国ですし、その法も有りますから。
米国もまさか本気で挑んで来る奴が居ない事を解かってるから油断して作らないのではないでしょうか?

一応型退役兵器のストックもしてますよ、自国の危機用に、舟艇・航空機・車両etc

問題は、官僚や企業等の中にMBA(経営学修士)的思考を用いようとする輩が巾を利かせている事でしょうか、先々の戦術なき目先の利益追求型といいましょうか、自分が居るその時さえ良ければで、次々に転職して行く奴らです。

全部が的外れって訳でないですが、輩がそこに長年居ると孰れはどうにも行かなくなり頓挫するのでその前に転職して行く質の悪い輩です。

企業は長い目で見ると技術をコツコツと磨き上げ利益に結び付ける地道に続ける方法が見直されて来たようです。
当たり前なんですけどね。

しかし優秀な技術者と技術の継承がないと新たに作り上げる事は簡単ではないとその時気が付いてももう後の祭りなんですよね。コストカッターによりその大切な技術者を葬ってますからね。


まぁ~良くも悪くもアメリカですね。日本も悪い所をマネせんでも良いのにな。

どっちも民主党ww

そらトランプが返り咲いたら真っ先に葬る予定の官僚さん達、自分のキャリアの為に目先の損得勘定で安全保障を蔑ろにしてりゃ世話ない。

アメリカは内需も有りますが交易で稼いでますよね、なのに港湾の大型クレーンの約8割が中国製なんですよ、アホ過ぎますよ!!物資輸送に関わる情報が筒抜けの恐れが一部で騒がれてます。
  1. 2024-02-28 01:33
  2. URL
  3. 中道ウハウハw #zTZgd8x.
  4. 編集

Re: タイトルなし

> 土木系をいじめたりして悲惨な事になるって我が国でもありましたよね。
> 今回の地震でも土木業界が弱体化してレンタルで重機使うようになてそれで今重機足りないっつってんですから。
> コンクリートから人(笑)へのせいでねえ。

 土木系虐めは第二次安倍政権で終わったようですね。 ホントに危うい所でした。
 
 確かに過剰な公共投資は問題ですが、しかし過剰であったからと言って過剰に削減してはいけないんですね。
 アメリカは良くも悪くも、政策の変換を迅速に果敢にやるので、土木業者の消滅のような事態が起きてしまうのですね。
  1. 2024-02-28 11:23
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

Re: 雑感

> よもぎねこさん、こんばんわ。
>
>
> アメリカが物を作れない?
>
> まぁ~アメリカが本気の危機感を感じてないから作る体制を整えてないだけと思いますね。所詮露宇の争いはヨーロッパの戦と感じてるのでしょう、自国が戦場になると危機感を感じれば有無を言わさず増産体制に移行しますよ。腐っても資源国ですし、その法も有りますから。
> 米国もまさか本気で挑んで来る奴が居ない事を解かってるから油断して作らないのではないでしょうか?
>
> 一応型退役兵器のストックもしてますよ、自国の危機用に、舟艇・航空機・車両etc
>
> 問題は、官僚や企業等の中にMBA(経営学修士)的思考を用いようとする輩が巾を利かせている事でしょうか、先々の戦術なき目先の利益追求型といいましょうか、自分が居るその時さえ良ければで、次々に転職して行く奴らです。
>
> 全部が的外れって訳でないですが、輩がそこに長年居ると孰れはどうにも行かなくなり頓挫するのでその前に転職して行く質の悪い輩です。
>
> 企業は長い目で見ると技術をコツコツと磨き上げ利益に結び付ける地道に続ける方法が見直されて来たようです。
> 当たり前なんですけどね。
>
> しかし優秀な技術者と技術の継承がないと新たに作り上げる事は簡単ではないとその時気が付いてももう後の祭りなんですよね。コストカッターによりその大切な技術者を葬ってますからね。
>
>
> まぁ~良くも悪くもアメリカですね。日本も悪い所をマネせんでも良いのにな。
>
> どっちも民主党ww
>
> そらトランプが返り咲いたら真っ先に葬る予定の官僚さん達、自分のキャリアの為に目先の損得勘定で安全保障を蔑ろにしてりゃ世話ない。
>
> アメリカは内需も有りますが交易で稼いでますよね、なのに港湾の大型クレーンの約8割が中国製なんですよ、アホ過ぎますよ!!物資輸送に関わる情報が筒抜けの恐れが一部で騒がれてます。

 ワタシもアメリカの生産力がホントにダメになったとは思っていません。
 だからホントにまたロシアや中国と大戦争をすると覚悟を決めたら、膨大な兵器を作ると思います。
 しかしその為には、国家騒動動員体制を作る覚悟がいるのです。

 第二次大戦時はドイツ陸軍大学で総力戦を学んだウェデマイヤー将軍が、アメリカで徹底的な総力戦体制を作り、アメリカの工業生産力をフルに兵器生産につぎ込んだのです。

 しかしそういう覚悟がなく、純然たる経済原理優先に任せると、軍需産業だって維持は難しいと思います。

 例えばアメリカは現在、軍艦以外に造船業ってないでしょう?
 これだと毎年一定の軍艦製造を受注できないと、造船自体が不能になります。 そして造船は不能になったら、イザ軍艦を作ろうとしても軍艦を作れません。

 だから今のアメリカの工業生産力の衰退は、非常に怖いです。
 逆に中国の工業生産力は非常に怖いです。
 
  1. 2024-02-28 11:38
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

以前、自衛隊が使用した米製ヘリコプターをアメリカに返還する記事を読みました。同型のものは、現在でもアメリカ国内で現在運用していますが、生産ラインを閉じており、部品の供給もままならないので、各国で使用している機体を返還してもらい、その部品を当てているというのです。アメリカと言えど、生産ラインを閉じるとそうなってしまうのかと驚きました。
細々とでもいいから、生産ラインを維持しないと、有事の際には対応できない。
イスラエルが軍需産業に力を入れているのは、小国で国力が小さいために長期戦になると息切れする事がわかっているからなのですよね。それに軍需技術は、派生すると裾の野が広く、応用の幅がおおきいです。
軍事研究が科学や学問を発展させたのは事実ですし、それらの恩恵にあずかっているのに、軍事研究や軍事産業を敵視するのは欺瞞でしょう。
軍事産業が科学記述発展の基盤であり、有力な外交支援策につながるという発想転換が必要ですが、軍事=悪という固定観念に固まった人達は、思考がそこまで動きません。困ったものです。

  1. 2024-02-28 16:12
  2. URL
  3. 名無しの権兵衛 #/MfC3cM.
  4. 編集

Re: タイトルなし

> 以前、自衛隊が使用した米製ヘリコプターをアメリカに返還する記事を読みました。同型のものは、現在でもアメリカ国内で現在運用していますが、生産ラインを閉じており、部品の供給もままならないので、各国で使用している機体を返還してもらい、その部品を当てているというのです。アメリカと言えど、生産ラインを閉じるとそうなってしまうのかと驚きました。
> 細々とでもいいから、生産ラインを維持しないと、有事の際には対応できない。

 共食い整備の仕方ないのですが、しかし共食いの為に日本に売った物を返せって無茶苦茶じゃないですか?

 しかしこんな事までするなんて、ホントに生産が止まっていると言う事でしょうね。
 だったら有事はどうするんでしょう?

 迅速な増産なんて絶対できませんよ。

> イスラエルが軍需産業に力を入れているのは、小国で国力が小さいために長期戦になると息切れする事がわかっているからなのですよね。それに軍需技術は、派生すると裾の野が広く、応用の幅がおおきいです。
> 軍事研究が科学や学問を発展させたのは事実ですし、それらの恩恵にあずかっているのに、軍事研究や軍事産業を敵視するのは欺瞞でしょう。
> 軍事産業が科学記述発展の基盤であり、有力な外交支援策につながるという発想転換が必要ですが、軍事=悪という固定観念に固まった人達は、思考がそこまで動きません。困ったものです。

 今公明党が次期戦闘機の輸出協定に絶対反対して、大変困った事になっています。
 日本だけでなく、イギリス、イタリアとの共同開発ですから、日本だけがヘンな事を言うと国際問題になるんのに。
 でも元々カルト教団の作った政党ですから、発想の転換なんかできないんでしょうね。
  1. 2024-02-29 10:09
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

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