ワタシはそうは思えません。
パレスチナ全域で、イスラム原理主義テロ組織同士の勢力争いが始まり、ガザ地区やヨルダン川西岸t地区に住んでいるパレスチナ人も全部「難民」として避難する嵌めになるでしょうね。
そしてその中の最強のテロ組織が、パレスチナを征服支配するようになれば、今度は近隣諸国への侵略戦争を始めるでしょう。
だってハマスなどパレスチナで暴れているテロ組織が理想とするのは、ISと同じでカリフによる独裁制です。
これはムハンマドが生前彼の信者と彼が征服した地域を支配していた政治制度です。
ムハンマドの生前は勿論、ムハンマドがカリフでした。
カリフはイスラム教の教理に基づいて信者を指導し支配します。
信者たちはカリフのもとで世俗と信仰を区別せずに、精神生活も経済活動など現実の日常生活も、完全に一人の指導者が完全に支配されると言う体制です。
イスラム教ではイスラム教の教理が唯一絶対の真理で、人間はひたすらそれに服従しなければならないと言う事になっていますから、そのカリフがイスラム教によって国を支配し、国民はこれに絶対服従しなければならないと言う理屈です。
そしてムハンマドの生前はそれでやっていたのです。
でも現実にこんなことできるんでしょうか?
そもそも誰がどうやってカリフを選ぶんですか?
それだけで大問題が起きます。
実はムハンマドの死後、即これで大戦争になっています。
それを現代社会で実現しようなんて無茶苦茶じゃないですか?
現実の生活や政治と信仰は分けて考えるべきじゃないですか?
でもイスラエルとアラブの問題を見ていると、結局アラブ側は未だに政治と信仰を区別できないです。
実際、サウジアラビアやイランのように、宗教政治をやっている国もありますし、エジプトやトルコなど完全な世俗国家でも、国内には信仰と政治を一致させるべきと言う狂信者が多く、どの国の政府もコイツラの扱いには苦労しているのです。
この感覚はまるで十字軍時代のヨーロッパです。
十字軍を繰り返したいた時代も、キリスト教の狂信や狂信に便乗して権力を拡張しようと言う法王庁には辟易している人は多数いました。
しかし何しろ当時のヨーロッパではキリスト教が、国民倫理の基盤だし、国王の権威もキリスト教によっていたのですから、王様と雖もローマ法王を批判するとか、十字軍の愚かさを公言するような事は絶対にできませんでした。
その為、軍事的にも政治的に全く合理性のない十字軍遠征を繰り返したのです。
そもそも何でパレスチナの地にイスラエルが建国されて、アラブ人の国は建国できなかったのでしょうか?
この話になると必ずイギリスの三枚舌外交と言う話になります。
勿論、イギリスの外交はイギリスの国益だけを考えた極めて狡猾な物でした。
しかしそれではアラブ諸国は一体、パレスチナにどんな国を作る気だったのでしょうか?
ワタシは19世紀末から第一次世界大戦後ぐらいのこの地域の探検記と言うのを色々読んだ事があります。
この地域は元来、アラブ人とユダヤ人だけでなく、実に様々な民族が混在する地域でした。
パレスチナは交通の要衝で、古代から多くの民族が往来したのです。 だからこの地に国を作ったユダヤ人も苦労に苦労を重ねてきたのです。
しかし遂にローマ帝国に支配されてしまいました。
尤もローマの支配下でもユダヤ人の国は存続したのです。
ローマ帝国としては、ここに親ローマ安定政権ができればそれで良かったのです。 ところがユダヤ人達はこの「安定政権」が作れないのです。
その上、再々ローマへの反抗を繰り返しました。
それでハドリアヌス帝がブチ切れてしまいました。 このハドリアヌス帝ってローマ史上最高の名君で、彼の治世がローマの黄金時代です。
しかしユダヤ人はこの名君相手に反乱を起こし、名君はこの反乱を鎮圧した後、エルサレムからユダヤ人を追放しました。
そしてユダヤ国家も消滅しました。
これがいわゆるディアスポラです。
でも追い出されたのはエルサレムだけだし、ローマ帝国の覇権はハドリアヌス帝の時代を頂点に凋落していきました。
ハドリアヌス帝の死後、1世紀も立たない頃から、ゲルマン人の侵攻が深刻化して、ローマ帝国としては、パレスチナどころじゃなくなったのです。
そんなわけでユダヤ人はこれ以降、ユダヤ人の国は建国できなかったけれど、この地域に暮らし続けたのです。
だからムハンマドがジハードでこの地域を征服した時は、ムハンマドともめました。
イスラム教の神様アッラーは実はユダヤ教の神様と同じです。 更にキリストもイスラム教の「預言者」です。
キリスト教やユダヤ教と違うのは、ムハンマドもキリストや旧約聖書の預言者同様の預言者で、しかも最後の預言者だと言う事です。
これって文鮮明みたいな立場じゃないですか?
だからムハンマドとしては、ユダヤ人にも自分を「最後の預言者」と認めさせようとしたんですが、ユダヤ人は拒否したのです。
そしてユダヤ人ともめたまま、エルサレムで死にました。
だからムハンマドが昇天した地なので、エルサレムはイスラム教の聖地なのです。
そしてムハンマド死後もこの地の征服者・支配者は入れ替わり、その間に様々な民族が入り込みました。
ワタシが読んだ探検記には十字軍の末裔と言う連中も出てきました。 十字軍の末裔と言われる部族は、イスラム教徒でベトウィンと殆ど同じ生活をしているのですが、しかし瞳や肌の色が明らかに薄いのです。
こういう地域で「アラブ人の国を作る」とは、どういう国を目指していたのでしょうか?
「アラブ人の国」を作った場合は、この地にいたユダヤ人をどうする心算だったのでしょうか?
現代式に考えると、国内の民族や宗教の多様性を認めて、それぞれの民族が独自の宗教を守って生きていく権利を認める国であるべきです。
因みに現在のイスラエルは「ユダヤ人の国家」と言いながら、国内に住む非ユダヤ人、非ユダヤ教徒にも参政権等の市民権は平等に与えています。
イスラエル人口の25%ぐらいはこうした非ユダヤ人・非ユダヤ教徒なのです。
しかしイスラエル建国に関する歴史を見る限り、アラブ諸国は「アラブ人の国を作る」と言うだけでビジョンが見えません。
けれどもこの件については一切の妥協を認めませんでした。
国連がここにアラブ人と国とイスラエルの両方を作る話を出した事もありますが、しかしアラブ側はこれを蹴飛ばしました。
そしてイスラエルを潰すべく3回も中東戦争を仕掛けたのですが、三回とも惨敗します。
人口でも領土でも、アラブ側がイスラエルを圧倒しているのに、何でこんなに弱いんだろうか?
でも考えてみたら、アラブ側も実はそれまでアラブ人の国と言える物は作った事がないのです。
だから最初はアラブ連合とか言って、エジプト・シリア・イラクが一緒になって国を作ろうとして、直ぐに分解したり、混乱ばっかりしているんですよね。
そしてパレスチナ問題で見えてきた一番の問題は、宗教と民族と国家を分離できないと言う事です。
だから本来ならイスラエルとは国家対国家で合理的に話し合い、領土分割なども止めたら良いのにそれができないのです。
エジプトのサダト大統領は第4次中東戦争で、イスラエルに大損害を与えて、それまでの中東戦争で奪われたシナイ半島を奪還しました。
だから彼は申し分なくエジプトの英雄のはずなのですが、しかしこの問題でイスラエルと交渉したり、和平条約を締結したことで「裏切り者」と言われ、イスラム原理主義者に暗殺されました。
イスラエルの建国が幾ら不満でも、ホントにパレスチナ国家を建国する気があるなら、イスラエルとは国家対国家として交渉するしかないのです。
ところがイスラム原理主義者達はこれを拒否して、シナイ半島を奪還した英雄を暗殺しました。
これではイスラエルとマトモに対抗できるわけもないし、ましてパレスチナ国家なんか建設できるわけもないのです。
パレスチナ国家建設の目途も立たないのに、ひたすらイスラエルを憎み、テロを繰り返し、テロリストを称賛しているのです。
こうなるとイスラム原理主義者の反イスラエル活動は、現実的な政治活動ではなく、十字軍のような宗教活動としか思えません。
神の為に戦う。
戦死すれば殉教者。
イスラム教徒は大感激。
宗教活動ですから、領土奪還のような現実的な目的は達成しなくても良いのです。
だから「神の為に戦う」テロリスト達が、真面目に国造りなんてするはずもないのです。
今回のハマスのテロに対して、イスラエル政府はガザ地区の電気を止めました。
ワタシはこのニュースを聴いて驚きました。
イスラエル政府が電気を止められると言う事は、そもそもガザ地区を支配していたハマスも、それ以前支配していたパレスチナ解放戦線も、自前の発電所も作らなかったと言う事です。
ライフラインをイスラエルに依存して、イスラエルと戦うなんてナンセンスでしょう?
因みにガザ地区は水道設備が不十分で、住民は水の問題で苦労していたそうです。
しかし実はガザの水道設置には海外から莫大な支援金が出ているのです。 日本も出しています。
ところがこうやって海外の支援で設置された水道管をハマスが掘り出して、ロケット弾に使っているのです。
ハマスはこうやって水道管を掘り出して、ロケット弾にする所を自分達で宣伝動画にして拡散しているのです。
そ、そんな事をしたら住民が困るだろう!!
そもそも、水道管なんか掘り出さなくても、ハマスにはイランやトルコ始め、多くの国から多額の支援金が出ているのです。
鉄パイプがいるなら、支援金で買えばよいでしょう?
因みにハマスのボスの個人資産は6000億円です。
これってニトリの創業者の資産と同じです。
ニトリは親中企業として評判が悪いけど、でも昔から札幌近辺で大規模な家具店を経営していて、家具工場もベトナムなど広く海外に展開しています。
ワタシのベッドとカーテンも近所のニトリで買いました。
で、そのニトリの創業者とハマスのボスの個人資産が同じなのです。
ついでに言うとガザ地区って人口は200万人で札幌と同じですが、面積は札幌の3分の1です。
これで世界中から支援金を貰いながら、何で水道も満足に作れないんですか?
水道管を掘り出してロケット砲にするんですか?
なんかもう胸糞の悪い話としか言えません。
これは要するにハマスにもそれを支援する人々も、パレスチナ国家なんか作る気はない。
そもそも国家の意味が理解できていないと言う事でしょう?
コイツラ、全部国家・民族・宗教の区分ができないのです。
だからイスラム諸国はどこも安定した国家が作れないのです。 何とか独裁で国家を纏めているのです。
因みに十字軍の時代でも、ベネツィア共和国は安定した共和制を続けました。
そのベネツィア人のモットーは「ベネツィア人、そしてキリスト教徒」でした。 ベネツィア人も一応皆キリスト教徒だったし、市内には素晴らしい教会も多数あるのですが、しかし常にベネツィア人であることをキリスト教徒であることに優先していました。
イスラム世界にそのような国ができるのはいつの事でしょうか?