昨日は自転車で百合が原公園に行きました。 快晴の空の下百合が満開でした。
この天気と百合に誘われて、ウィークデーにも関わらず結構大勢の人が来ていました。
ワタシは普段百合が原公園に行った時は、殆ど自転車で周るのですが、昨日はゆっくりと百合を見る為、自転車はレストハウスの脇に止め、歩いて園内を回りました。
こうして百合を見ながら歩いていると、小さな女の子が一人で泣きながら歩いてい来るのに出会いました。
多分小学校の1~2年ぐらいでしょう。 大声でワンワン泣いています。
周りに彼女の付添らしい大人の姿は見えません。
明らかに迷子でした。
ワタシが声を掛けると「駐車場がわからないの。」と言います。
親御さんとはぐれた時は、駐車場に行くように言われているのかもしれません。
でもこの公園には確か駐車場は2~3カ所あったので、そのどれかはわかりません。
だからワタシはこの子を公園の管理棟に連れて行って、園内放送をしてもらおうと思いました。
それで二人で手を繋いで歩き出したら、間もなくこの子のお母さんに出会いました。
ああ、良かった!!
ワタシは至って利己的で冷淡な人間ですが、それでもこの程度の親切心はあります。
それだけに以前からずうっと引っ掛かっている記事があります。
「親切心」で迷子女児連れ回し それで逮捕は可哀そうなのか
迷子の女児を「親切心で」連れ回した男の逮捕を巡って、ネット上で論議になっている。親切心で案内なら未成年者誘拐とは酷い、といった声も出ているのだ。ただ、全然知らない子を連れ回すこと自体疑われて当然、との見方もある。迷子を見つけたら、どうするのがよいのか。
ネットでは、警察批判の声が相次ぐ
「逮捕&実名公表はあまりに気の毒」
「誰も人助けなどしなくなり、自分のことだけしか考えなくなる」
「嫌な世の中になったもんだ」
埼玉県内で2008年10月26日、無職の男(20)が小学1年の女児(6つ)を連れ回し、未成年者誘拐の現行犯で逮捕された。マスコミでは、迷子の女児を祖母宅まで車で送り届けようとしたと報じられ、直後からブログや2ちゃんねるなどでは、こんな警察批判の声が相次ぐようになった。
報道によると、この男は26日午後2時過ぎ、自宅近くの歩道で泣いていた女児に声をかけ、女児は、母親に叱られ祖母の家に行きたいと話した。そこで、自分の車に乗せて1時間半運転し、祖母宅を聞くため交番に寄ったところ逮捕された。男は、「親切心からやったのに納得がいかない」と供述している。
その後、愛知県内でも、交番まで女児を連れて行くというケースがあった。小学2年の女児3人が、母親とはぐれた女児(3つ)と一緒に自宅を探して無事保護につながったというものだ。中日新聞が11月12日、3人が愛知県警から表彰されたと報じると、ネット上では、これに比べて埼玉県警のケースは酷いという声が上がるようになっている。
そこで、J-CASTニュースでは13日午後、埼玉県警広報課に逮捕の理由と送検の有無などを取材しようとした。しかし、質問を吟味して答えないといけないとの理由から、同日中の回答は得られなかった。
http://www.j-cast.com/2008/11/13030314.html
ワタシはこの記事の無職の青年と全く同じ事をしたわけです。 昨日の女の子のお母さんはワタシに丁重なお礼を言って下さいました。
ところがこの青年はワタシより遥かに親切に親身に子供を助けようとしたのに、何と誘拐犯扱いされて、さらにTBSなど一部は実名報道しました。
一体どこの世界に自分が誘拐した子供連れて、交番に行く犯人が居るのか?
この子の親や祖父母は何を考えているのか?
この青年を誘拐犯扱いして報道した新聞は彼の人権をどう思っているか?
ところがこの記事の続きを読めば更にショッキングです。
大澤孝征弁護士「全然知らない子の連れまわしは疑われて当然」
もしわいせつなどの目的でなく、親切心から女児を連れ回したとしたら、容疑者の男は本当に逮捕に値するのか。
テレビのコメンテーターとして知られる元検事の大澤孝征弁護士は、こう語る。
「全然知らない子を車で1時間半も連れ回すなんて、疑われて当然で警察も疑いを持たないといけません。判断力が十分でない6歳の女の子なら、いたずらされることもよくある状況です。親切心からでも、家出した子を自分の家に連れて行って捕まったケースもあります。警察が身柄を確保したことは、必ずしも非難できませんね」
さらに、親の立場に立って考えることが必要と話す。
「親なら、1時間半も連れ回されたらその間に何かあったのでは、と考えると思います。未成年者誘拐の本質は、親権者の監護権を侵害してはならないということです。親の保護の範囲から逸脱するような行為は、誘拐になります」
では、迷子の幼児を見つけた場合、どうすべきなのか。
大澤弁護士は、「幼児をそのまま警察に連れて行くならいいと思います。直接行くなら、車に乗せてもいいでしょう。親切心は大事ですが、親のところに帰すのが本来するべきことです」と話す。
容疑者の男が交番に寄ったことについては、大澤弁護士は、「確かに、交番に寄るなら犯罪の意図はないとの見方はあるかもしれません。しかし、客観的に見れば、誘拐状態の認識となるのは仕方がありません」と言う。
容疑者の実名発表も、事件である以上仕方がないという。マスコミ各社では、TBSが実名報道したのに対し、朝日新聞、産経新聞などは匿名報道と対応が分かれた。事件報道は実名が原則とされるが、朝日では、「取材したところ、犯罪性などに疑問点もあったため、容疑者名は匿名とするのが妥当と判断しました」(広報部)としている。
http://www.j-cast.com/2008/11/13030314.html?p=2
>全然知らない子の連れまわしは疑われて当然
なるほどワタシが昨日あの女の子の母親に直ぐに出会うことができず、女の子と一緒に園内の駐車場を次々と捜し歩くような事をしていたら、ワタシも逮捕されたかも知れないのです。 百合ヶ丘公園は結構広いので、子供の足に合わせて園内を歩いているとすぐ1時間ぐらい過ぎてしまいますから。
それに「親の立場に立って考えることが必要」と言われても、ワタシは子供がいないので、親の気持ちなんかわかりません。
でも子供の気持ちは良くわかります。
ワタシも子供の頃、迷子になってワンワン泣いた事があります。
だからワタシが昨日女の子を助けのは、親の気持ちを考えての事ではなく、自分が迷子になったらどんなに心細く悲しいかを考えたからです。
まして20歳の青年が「親の立場に立って考えることが必要」と言われたらどうしようもないでしょう?
この青年が無職だったからではなく、例え超エリートでも20歳の若者に親の気持ちなんか期待されても困るのです。
でもこの青年は子供の気持ちをわかる優しい青年でした。
ワタシも実は子供の時親に叱られて家出をした事があります。 勿論子供の我儘からの他愛のない家出ですが、その時のワタシにとっては必死でした。
青年はこの子を気持ちを汲んで、何とかこの子を慰めてくれる「お祖母ちゃん」の所に連れて行ってあげようとしたのです。
この子にとってそういう人に出会えた事がどんなに嬉しかったか!!
自分の幼い頃を思い出せばわかると思います。
でも幼い子はに車をちゃんとナビゲーションして目的地に誘導する事などできません。 幼い子の距離感やその他の話を大人同様に考えてはいけないのです・
でもそんな事がわかるのは、日頃幼い子供を相手にしている人達だけです。 そんな事で責められても困るのです。
だからワタシはこの記事を見たとき「子供が怖い」と思いました。
うかつに子供に関わったら、何を言われるかわからない、どんな疑いをもたれるか分からない。
ワタシは女だからまだ良いけど、これが男性ならもっと深刻でしょう。
そしてこの記事の象徴する物は実はもっと深刻です。
この数年来「子供の権利」と言うモノが声高に叫ばれます。 札幌市でも「子供の権利条例」なんてモノが出来ました。
そして児童ポルノ単純所持の処罰とか言う話も出てきました。
けれどこれを喚く連中には、子供の権利を守る意思なんかないのです。
この大沢弁護士の弁を読めば明らかではありませんか?
彼は全て親の立場でだけ話ているのです。
その親の立場は絶対神聖で、何人もこれを侵すものは許さないのです。 例えそれば即心からの善意であろうと、親の気持ちを傷つける人間は処罰されて当然と言うのです。
子供の気持ちなんか一切考慮する必要はない!!
世の人々はタダ親の気持ちだけを考えろ!!
親の親権が全てだ!!
子供の人権なんか糞だ!!
子供は未熟だし、不完全です。 でも子供にだって子供なりに、自分のしたい事、考えている事があります。
時には親に腹が立って家出したくなる事だってあります。
勿論そんな時、親が叱るのは当然です。 叱らなくてはいけません。
でもまた時に自分の気持ちをわかったり、同意したり慰めてくれる大人と合う事で、子供はまた親とは別の大人、別の人々が居る社会と言うモノへの信頼や希望を広げるのではないでしょうか?
本当に子供を愛している親なら、そのように自分の子供に接してくれる人々に感謝するべきではありませんか?
子供が数時間行方不明になれば、親は心配で堪らないでしょう。 でもそれは自分の責任です。
にも拘らずその事で、子供に親切を尽くしてくれた人を誘拐魔扱いする人々と言うのは、実は子供の権利なんか完全に踏みにじる人々なのです。
そしてそのような人々が子供の人権を喚いています。
恐ろしい話です。