この件は苺畑カカシさんが詳しく解説してくださっています。
この判決で問題となったのはハーバード大学のアファーマティブアクションなのですが、これは人種の平等の為に、黒人やヒスパニックなど元来大学進学率の低かった学生に入学審査で下駄をはかせて、他人種だったら合格しない点数でも入学させてしまう、一方進学率の高い白人や東洋系の方は入学審査で足切りをして、本来の合格点を超えた学生を不合格にしてしまうと言う物です。
こうやって黒人の下駄やヒスパニックに下駄を履かせ、白人や東洋人には足切りをして、大学内の学生人種構成を、無理矢理アメリカ社会全体の人種構成に近づけようと言うのです。
しかしこれをやってきたのはハーバード大学だけではありません。 アメリカの一流大学の殆んどがこれをやってきました。
こうした一流大学がこんなことをしてきたのは「人種差別をなくす」ためです。
こうしたアファメーションを推進してきた人達によれば、黒人やヒスパニックの大学進学率が低いのは「差別されきたら」「貧困だから」で、そういう立場の人達と「差別されていない」「貧困でもない」人達とが、入学審査で同じ基準なのは不公平と言うのです。
そして黒人など差別されている人達を積極的に一流大学に進学させることで、差別されている人達を差別や貧困から救う事ができるのだと言うのです。
ええ、これは一応理屈としはわかります。
しかしヤッパリこれヘンなのですよね。
だってこアファーマティブアクションが問題になって最高裁にまで持ち込まれたのは、このお陰で東洋人の一流大学入学が非常に厳しくなっているからです。
因みに現在のアメリカの人種構成を見るとこんな感じです。
アジア系=東洋人って6%しかいません。
それに歴史的には黒人やヒスパニック同様差別されきましたから、完全にマイノリティです。
特に日系人など、有色人種であることの差別だけではなく、更に敵国民と差別を受けて、財産を没収された上、強制収容所にぶち込まれ事まであります。
だから常識的に考えれば、アファーマティブアクションが差別をなく為の物であるなら、大学入学では東洋人も黒人やヒスパニックと同様、下駄を履かせ貰えるはずでしょう?
ところがこのアファーマティブアクションのお陰で、この東洋人が一番酷い足切りをされているのです。
と言うのも実は東洋系の学生は大学進学意欲も学力も異様に高く、単純に学力だけで審査すると、学生の4割以上が東洋人になってしまうと言うのです。
因みに東洋系のアメリカ人が頑張って大学に進学すると言うのは、実は戦前からの事で、日系二世辺りからそうなのです。
戦前アメリカに移民した日系人の多くは、沖縄や和歌山など貧しい地域の出身で、学歴も当時の義務教育だった尋常小学校程度です。
それで移民して得られた仕事も、農業労働者など英語を必要としない低賃金・単純労働でした。
しかも当時は黄禍論が公然と喧伝されており、人種差別は当然と言う時代でした。
でもそういう時代だからこそ、日系人は子供がアメリカで成功するには、学歴が必要、学歴をつけて専門職になって、人種に関係なく生きられるようにしようと努力したのです。
それで当時から日系人の大学進学率は非常に高かったし、日系人の多い地区の高校など学力も異常ともいえる高さでした。
そしてこれで一気に日系人は所得を増やし、現在アメリカで一番高所得なエスニックグループになっています。
しかし子供に学力をつけて学歴で人種差別に対抗しようと言う発想は、日系人だけではありません。
韓国や中国など他のアジア系も同じです。
中国系なんかも最初は極貧層の人達が、大陸横断鉄道工事用に人身売買で奴隷同然にアメリカに連れてこられて、工事中に大量死するなど悲惨な境遇だったのですが、それでも学問で我が子に身を立てさせようと言う発想は同じで、子供の教育では頑張るのです。
こうやって東洋人がみんな頑張った結果、学力審査だけで入学を認めると、一流大学の学生の大半が東洋人と言う事になってしまうのです。
だったら、東洋人は足切りして落としてやる!!
??
イヤ、それ人種差別でしょう?
人種差別があるから、頑張って勉強してそれに対抗しようと努力したのに、東洋人だからと言って合格点を超えているにに不合格って?
そんなの完全に人種差別でしょう?
と言う事で、アメリカの最高裁が漸くこの事実を認めてくれたのです。
因みにこの判決でこのアファーマティブアクションを人種差別として厳しい評価を下した判決文を書いた判事は黒人だったそうです。
因みに実はこういう人種による大学入学制限は昔もありました。
黒人も制限されていたのですが、実はユダヤ人も制限されていました。
ユダヤ人の差別と迫害はヨーロッパや中東など一神教世界に共通でしたが、しかしヨーロッパではユダヤ人は商業や金融、そして医師などの専門職で生き延びる事にしました。
尤も近代以前はユダヤ人は司法関係の仕事には就けなかったので、専門職と言えば医師ぐらいでした。 そこで多くのユダヤ人が医師を目指しました。
それで聖ヨハネ騎士団の病院の医師がみんなユダヤ人、ローマ法王の主治医もユダヤ人だったりしたのです。
で、アメリカに移民したユダヤ人も医師を目指す人が多かったのですが、それに対して多くの大学がユダヤ人学生の入学を制限しました。
それでユダヤ人学生の中にはヨーロッパの大学へ行って医師免許を取る人達もいました。
勿論ユダヤ人達は医学部に限らず大学進学率が非常に高かったし、そして優秀な学者も多数輩出してきました。
それにしてもこうした歴史を見ると、差別があるから学力が低いとか、差別があるから犯罪を犯すって嘘じゃないの?と思っちゃうのです。
ワタシは戦後世代なので、差別は絶対悪、在日コリアンや黒人など差別されている人達が犯罪を犯したり、学業を放棄したりするのは「差別があるから」と教えられてきたのですけどね。
だってアメリカ日系人とかユダヤ人って、差別をされるから頑張って差別を跳ね返す為に勉強して進学しているんですよ。
そしてそもそも「差別があるから犯罪を犯す」なんて言うと、「差別されいる人間は犯罪に走ると」と認める事になりますから、結局差別を助長する事になります。
実際、ワタシが在日コリアンに強い不信を持つようになったのは、金嬉老事件の中継でマスコミや韓国人がこの犯罪を「差別の為だ!!」と言い続けるのを見てからです。
金嬉老の犯罪は許せないのです。
だからしかし「民族差別」を持ち出さなければ、この男個人の問題でした。
でも「在日コリアンが差別されているからこんな犯罪が起きた」と言うなら、「それじゃ在日コリアンは差別が亡くならない限り、この種犯罪を犯し続け、反省もしない」と理解するしかありません。
だからこんなことを喧伝し続ける限り差別なんかなくなるわけもないのです。
イヤイヤ、犯罪も低学力も差別には関係ないでしょう?
「差別が嫌なら頑張って努力して、人から尊敬される人間になれよ!!」と言うべきじゃないのですか?