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2023-06-07 20:52

捨てる神と拾う神

 今日、思いがけないお宝をゲットしました。
 大きな美しいノリタケの花瓶です。 高さ30㎝、直径25㎝程で一般家庭で使う花瓶としては最大クラスです。
 両面に素晴らしく美しい薔薇の花が描かれています。 
 これ買ったらいくらするんだろうか?

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 ネットで調べましたが、このサイズの花瓶は見つからないのでチョッとわかりません。
 今日の午後、ワタシはリサイクルブラザ宮の沢に行きました。 ここに食器など不用品をここに持っていくと、そのまま展示して、それを見て欲しい人が貰っていくと言うスペースがあるのです。
 ワタシは元々モノを捨てるのが凄く苦手なので、不用品があるとできる限りここに持っていくのです。
 で、展示品で気に入った物があると、貰って来ました。

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 それで今日は妹に言付かった食器類を持っていきました。 実は妹は今マンションのリフォームの為にマンションの片づけをしているのです。 それでこの際、不用品を処分しようとしているのです。
 妹は元来随分な物持ちです。 綺麗な物や可愛い物を買うのが大好きなのです。 しかもワタシと同様に物を捨てられない病気なので、凄い荷物を抱えているのです。 それでも使わない食器類等は、この際何とか処分する気になったのです。

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 でも我が家の遺伝病で物を捨てられない病気だから、ゴミに出す事はできず他人が貰ってくれるような物は、ワタシがリサイクルブラザへ持ち込む事にしたのです。 で、今日はとりあえずダンボール箱に一杯持ち込みました。
 妹の食器類を係の人に引き渡してから、また例によって展示品を見ていると、そこに巨大な花瓶があったのです。 
 目を見張るほど美しい薔薇の花模様から「まさかノリタケ?」と思って、花瓶の底を見るとシッカリとノリタケのロゴが入っていました。

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 欲しい!!
 でも何しろ巨大な花瓶ですし、我が家に持ち込んでもどうしようもありません。
 これを持ち込んだ人も余りに大きいので持て余したのでしょう。
 これを持ち帰ってヤフオクとかメルカリに出せば結構な小遣いになるかも?とも思ったのですが、しかしそれはやっちゃイケナイ気がしました。
 だから一度は諦めて帰宅する事にしました。

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 でも帰り道に昔、この花瓶を見た事を思い出しました。
 それは今から30年以上の前の事です。 その頃ワタシは難病の診断を受けました。 それで北海道難病連の厄介になる事になりました。
 だったらこちらも何かしようと思い、その年から毎年難病連のバザーのお手伝いのボランティアをすることにしました。

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 このバザーは盛大なモノで、毎年一回開かれるこのバザーには膨大な寄贈品と客が集まり、この売上は難病連にとっても大事な収入源でした。 ボランティアの仕事はこれらの寄贈品を荷ほどきして、品物別に分類したり、値段をつけて販売会場に展示したり、さらにバザー当日に売り子をすることでした。 因みに当時はバザー会場は難病連の本部を使っていました。
 しかしこれには結構な労力がいるので、会員その他からボランティアを募っていたのです。

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 これは大変な仕事ではありましたが、お祭り気分で楽しかったのです。 寄贈品の荷ほどきや展示で、これらの品々を見ていると、自分の物ではないけれど何が出てくるかが楽しみで何だか宝探しのような気分でした。
 ある年のバザー開催の前日、ワタシは他の二人の女性と、ガラス器や陶磁器類の展示をしていました。 こうした品々も贈答品として贈られた物をそのまま寄付してくれる人が沢山いるのです。 だから荷ほどきをしていると、新品の素晴らしい食器セットが次々と出てきました。

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 ワタシ達三人はそれらに適当に値段をつけては、綺麗に並べていきました。
 すると一人が「わあ~~!! 綺麗!!」と声をあげました。 
 見るとそれはホントに目を瞠る程美しい花瓶でした。 
 花瓶としては最大級と言ってよいほどの巨大さで、両面に見事な薔薇が描かれていました。
 ワタシももう一人もそれを見て思わず声をあげました。

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 ノリタケ? 
 実その頃、札幌の都心にノリタケのショールームがあって、ワタシは時々そこを見るのを楽しみにしていました。 ワタシは実家に寄生中で、ノリタケの製品なんか買う事は全くなかったのですが、しかし美しい陶磁器を見るのが楽しみだったのです。
 特に素晴らしいのが花瓶類でした。
 尤も少し大きめだと値段は当時のワタシの塾講師のバイト代の一か月分ぐらいにもなるので、買う事は全く考えていませんでした。

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 で、寄贈品の花瓶の底を見ると、やはりノリタケのロゴが入っていました。
 あらら、これ一体いくらにしたら良いのだろうか?
 すると最初に花瓶を見つけた人が言いました。
 「ああ、これ買ってお仏壇に置いてやったら娘たちが喜ぶだろうなあ・・・・。」
 
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 お仏壇??
 こんなに綺麗な花瓶ですから、買えば娘さん達が喜ぶのはわかります。 でもお仏壇って何?
 でも聞けば、この方の娘さんは二人とも筋ジストロフィーで亡くなっていたのです。 この二人の娘さんが生前、難病連のお世話になっていたので、そのお返しに娘さん達の死後、難病連のボランティアなど色々手伝っているとのことでした。

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 この花瓶を一体幾らにしたのか、記憶がありません。 しかし当日並んだ陶磁器類の中では一番の高額をつけていたと思います。
 一方、娘さん二人を筋ジストロフィーで亡くしたと言う方は「明日は一番でこの花瓶を買う。」と言っていました。
 ワタシは特にお目あての商品はなかったけれど、なんか楽しみなので明日のバザーには絶対行こうと思っていました。 ホントはワタシもあの花瓶が欲しかったのですが、でもあんな話を聞いたらあの方に買ってもらう事を祈るしかありません。

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 翌日、ワタシがバザーに行くと、凄い混雑でした。 毎年の事ですが、難病連のバザーは凄い人が集まっていたのです。 商品の値段が非常に安い為、故買屋などの業者も来ていたようです。
 でもワタシは混雑の中で、あの方に合う事ができました。 大きな荷物を抱えていました。
 首尾よく花瓶を買えたそうです。
 
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 で、思い出したのだけれど、今日リサイクルプラザで見た花瓶が、あの時の花瓶とそっくりなのです。
 勿論、30年余り前の話だし、記憶も色々曖昧なのですが、しかしあの花瓶も巨大で華やかな薔薇の花の花瓶でした。
 そもそもあの手の花瓶は量産品とはいえ、制作数が限られているので、札幌にいくつもないはずです。
 でもあの花瓶は、あの方のお宅のお嬢さん達を祀ったお仏壇の前にあるはずです。

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 それで思ったのです。
 あの方もお嬢さん達の所へ行ったのかもしれないと・・・。
 当時、ワタシは30代の初めでしたが、あの方はワタシより10歳以上は年上のようでした。 
 そうなるとお嬢さん達の他に子供はいなかったようですから、遺族の方達が適当に遺品を処分して、それであの花瓶がリサイクルプラザに来たのかのしれません。

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 そう思うとなんだか溜まらない気がして、急いでリサイクルブラザに引き返しました。
 そして花瓶を貰って来ました。
 意地汚い話ですが、家に持ってくるとなんか気になって、ネットでノリタケの花瓶の値段を調べ居たのですがヤッパリ結構な値段でした。 やっぱり当時のワタシの塾講師のバイト代一か月分ぐらいになります。
 しかしこの花瓶がホントにあの時に花瓶なら、とてもメルカリやヤフオクには出せません。

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 それで花瓶は今、ワタシの家の8畳間に収まっています。
 置いてみると凄く綺麗です。
 8畳間に薔薇の花が咲いたようです。
 ワタシがリサイクルブラザに持ち込んだダンボール箱一杯の食器が、花瓶に変わったと思えば良いのでしょうか?
 ともあれ捨てる神あれば、拾う神ありです。
 ワタシは今日は捨てる神と拾う神の両方をやりました。

  1. 札幌の四季
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コメント

素敵な花瓶

なんとも奇遇なお話ですね。よもぎねこさんの思い出話は小説みたいで何時も面白いです。ブログをまとめて本でも出版なさったらどうでしょう?

でも要らない物を寄付して欲しいものをもらって来れるシステムっていいですね。うちの近所にもそういう場所があればいいのに。

うちもだいぶ前から色々ガラクタの整理をしていますが、捨てるには惜しい、と言って誰が買ってくれるわけでもない、というものが結構あり、結局近所のチャリティーに寄付しています。
  1. 2023-06-08 02:05
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  3. 苺畑カカシ #-
  4. 編集

Re: 素敵な花瓶

> なんとも奇遇なお話ですね。よもぎねこさんの思い出話は小説みたいで何時も面白いです。ブログをまとめて本でも出版なさったらどうでしょう?

 恐縮です。
 駄文だけれど、話を読んでいただけると嬉しいです。
 
>
> でも要らない物を寄付して欲しいものをもらって来れるシステムっていいですね。うちの近所にもそういう場所があればいいのに。
>
> うちもだいぶ前から色々ガラクタの整理をしていますが、捨てるには惜しい、と言って誰が買ってくれるわけでもない、というものが結構あり、結局近所のチャリティーに寄付しています。

 このリサイクルブラザは色々あるんですが、それでもやはり行くといつも「捨てる神あれば拾う神あり」と思います。
 ここは月末には古着の交換と言うのもあるのですが、ワタシが太って履けなくなったジーンズを持っていくなり、別の人が嬉しそうに持っていくのなど見ていると、やっぱり捨てる神も拾う神のいるのだと思います。
 
  1. 2023-06-08 10:40
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  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

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