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2023-05-24 12:42

大国の外交 カエサルとクレオパトラ

 昨日、ネットフェリックスのポリコレ暴走、黒人クレオパトラについて書いたので、そのついでにユリウス・カエサルとクレオパトラのロマンスについて少し書いてみます。
 ネタは塩野七生さんの「ローマ人の物語」です。

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 昨日も書いた通り、塩野さんはクレオパトラを糞みそに描いています。
 元々、西洋ではクレオパトラは絶世の美女で、カエサルは彼女の色香に迷い、歴史が変わったとさえ言われています。
 そしてクレオパトラがカエサルを誘惑する為に用いた手管が、尤もらしく語られてきました。
 クレオパトラのカエサル誘惑の手管がどこまで本当だったかはわかりません。

 しかし塩野さんは「ローマ人の物語」で、そういう事に殆ど筆を割いていません。
 そもそもカエサルは据え膳があれば、とりあえず食う男だったので、そんなに必死で誘惑する必要もなかったのです。
 でも据え膳を食ったからって、それで自分の政治的判断を変えるような男ではなかったのです。
 だからクレオパトラの据え膳は、カエサルの対エジプト政策には何の影響もなかったのです。

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 そしてカエサルの対エジプト政策の基本は、親ローマ安定政権を支援すると言う物です。
 当時、プトレマイオス朝はクレオパトラと彼女の弟と妹が、帝位の相続争いをして不安定な状況でした。 カエサルとすればこの三人が骨肉の争いの中で、誰が一番有能でエジプトを安定的に統治できるか?そしてその統治者はローマとの友好関係をきちんと維持するか?を見極めて、その条件に合う人間を支援して、プトレマイオス朝の混乱を早期に収拾したいのです。

 で、この三人の中ではクレオパトラが一番優秀で、クレオパトラ自身がローマの支援で帝位を安定させたいと思っているのだから、間違いなく親ローマです。 だから暮れクレオパトラを支援したのです。
 でもこれならクレオパトラが有能であり親ローマである事を示すだけで十分で、美女でなくても、カエサルを誘惑しなくても全然構わないないでしょう?
 なんならクレオパトラが男でも良い構わないのです。 因みにカエサルはゲイではありません。

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 エジプトに限らず、そしてカエサルに限らず、親ローマ安定政権を支持し支援すると言うのは、ローマの外交政策の基本です。
 一旦ローマと戦って敗北した地域でも、属州となった国でも、必ずしもその地域の元の支配者を排除していません。 その支配者が親ローマで地域を安定的に統治する能力があれば、そのまま温存して統治を任せました。
 だからローマ帝国内には多数の王国もあったし、ギリシャのように民主制を維持したい地域では古典的な民主制を維持させていました。

 でもこの感覚は現代のアメリカや日本も同じですよね?
 地政学的に重要な国が不安定だと、そこから戦争が起きて周辺国を巻き込んで行きます。
 経済的に重要な国が不安定だと、世界経済に悪影響が出ます。
 だから重要な国には、安定政権ができて、そしてその政権が自国と友好的であるのが理想なのです。
 でもそれ以上は望みません。

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 そりゃ友好関係を絶対的なモノにするには、現地の政権を潰して直接支配すればよいのですが、これはこれで大変なコストがかかります。
 これは例えば日韓併合や台湾統治を思い出せば明らかです。
 朝鮮半島は日本の安全保障に死活的に重要なのに、李王朝はロシア、中国、日本の間で漁夫の利を漁るようなことを続けて全然信用できない。 そこで日韓併合で日本が直接統治したのですが、そうなると日本基準でインフラ整備など始める事になるので、途方もなく金がかかってしいました。
 
 因みに日本の朝鮮統治や台湾統治って、実はローマ帝国の皇帝属州の統治と全く同じです。
 これを思うとローマ帝国としては、属州と雖もできる限り、直接統治は避けたかったでしょう。
 まして現代では直接統治など絶対不可能なのですから、重要国には安定的で友好的な政権が存続する事を望むしかないのです。 
 だから友好的で有能そうな政権なら支持や支援をするのです。
 英雄ユリウス・カエサルも外交の基本はこの路線を守り続けました。

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 ところがクレオパトラはどうも勘違いしたようで、カエサルの個人的な愛情で自分の帝位が安定する、更にはローマをも支配できると思っていた節があります。
 だから塩野さんに酷評されるんですよね。
 だってこれはクレオパトラがカエサルのローマでの立場を全然理解してないと言う事ですから。

 ユリウス・カエサルはこの時期まだローマの支配者ではありません。
 そしてローマはまだ帝国ではなく共和制です。
 この時期、これまでの共和制の政体でローマを統治する事は非常に難しくなり、カエサルとしては自分の独裁で統治すると言う政体への変更を考えていました。
 しかしこれにはローマ国内では猛烈な反発がありました。

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 これはカエサル個人の問題ではありません。 
 カエサル時代までのローマ史でも、古代ギリシャでも独裁者は絶対悪とされて、共和制を守る事を国家目的と考えている人が多数いたのです。
 そしてこの時期のローマでカエサルの独裁化に最も反発していたのは、元老院の議員達でした。
 
 このような立場のカエサルに、外国の女王が愛人になり「自分と結婚してエジプトとローマを支配しよう」なんて事を公言し続けたらどうなるか?
 カエサルからしたらホントに困った女だし、クレオパトラ自身にとっても大変危険な状況なのですが、しかし彼女は全然それを理解していなかった節があります。

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 クレオパトラと言う人はネットフェリックス捏造のアフリカ系黒人ではなくギリシャ系なので、プラトンやアリストテレスなどギリシャ哲学に深い教養があったと言われます。
 だったら共和制国家における独裁者の立場については、知っていたはずでしょう? 
 でもクレオパトラの言動を見る限り、こうした知識や教養は全く生かされておらず、ローマの権力者の置かれた立場は最後まで理解できなかったようです。 
 だからローマの権力者をハニトラで取り込めば、そのままその国が自分の思い通りになると信じ切って行動し続けたのです。

 仕方ないですね。
 学問や知識を学んでも、結局それがアタマの中にため込まれるだけで、現実の理解に役立てる事の出来ない人って、多いですから。
 クレオパトラもその一人だったわけです。

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 そしてこれは現実の危機を招きました。
 ユリウス・カエサルは元老院の議場で、元老院議員達の手によって暗殺されたのです。
 
 ユリウス・カエサルは共和制を廃して独裁者になろうとしている。

 これが暗殺者達の言う暗殺理由です。
 実際その後のローマ史を見れば、これは全くその通りです。
 だってカエサルを暗殺しても、結局カエサルの養子オクタビアヌスがローマ皇帝になり、その後ローマ帝国は崩壊まで帝政のままでしたから。

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 一方エジプトは滅亡しました。
 カエサルの死後、カエサルの側近アントニウスとカエサルの養子オクタビアヌスによる後継者争いになりました。
 するとクレオパトラは今度はアントニウスを誘惑して、アントニウスと組むのですが、しかしこれでアントニウスはローマの信認を喪います。 一方、オクタビアヌスはこれでアッサリとローマのインペラトールつまり後に皇帝と訳される地位につき、ローマの元首としてアントニウスと戦い勝利するのです。

 これでオクタビアヌス以降、ローマの帝政が確立します。
 一方、アントニウスと共にローマと戦ったエジプトは、敗戦により国家主権を喪い、以降ローマ皇帝の直轄領になります。 
 エジプトは豊かな穀倉地帯で、ローマへの小麦の供給地だったので、ローマにすれば直轄領として維持する価値はあったのです。

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 このユリウス・カエサル暗殺の顛末と、その前後を考えると、ローマの皇帝と言う者の立場と言うか、何とも複雑な立ち位置がわかります。
 そして民主主義国家を運営する事の難しさも痛感します。
 しかしこのローマ帝国の存在は後の西欧世界に大きな影響を与えてました。

 だから暇な方はこっちも見てください。

 エンペラとカイザーと皇帝

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コメント

自分はこのブログのジャンルの中で一番好きなのが、この「古本」です。

自分も活字中毒と他人からいわれるくらい本が好きなので、此方でこれまで塩野七生氏を含め、いろんな名著を紹介していただき自分の読書の対象の幅がかなり拡がりました。

ところで、ブログ主さんの兄君と妹さんはどうなのです?
ブログ主さん同様にやはり読書好きなのですか?
ちなみに自分は1歳上の姉と、1歳下に妹の3人でしたが、姉と妹は自分とは異なり、活字をほとんど読まず、漫画とテレビばかり、教科書以外で唯一読む活字が芸能誌で、父親がそれを憂いて、児童向けの名作文学や偉人の伝記、ギリシャ神話その他古典作品を大量購入して読むのを頻りに勧めたのですが、姉・妹二人ともTVドラマ(主に学園・青春モノ)、少女漫画(アニメ)と歌謡番組に夢中で、せっかく父親が大量購入したのも、「字ばかりで読むのがめんどくさい!」と全く見向きもせず、結局は専ら自分が読むことになり、父親を落胆させていました。

ちなみに自分はそれら児童向けの本の他にも父親の所有する歴史読み物、戦記物、政治評論も読んでいて、それはそれで父親は「小学生のクセに変わったヤツだな」と呆れていましたがね(笑)

ちなみに我が父は、学歴は小学校卒止まりです。昭和一桁生まれで、東北地方の寒村の貧しい農家の八人兄弟(六男二女)の五男坊で、一番上の長兄と末弟、妹だけが、上の学校に行かせてもらえて、父と次兄以下三人の兄と姉は小学校だけだったそうな。

長兄は海軍の予科練から航空機搭乗員になり、鹿児島県の鹿屋基地で特攻出撃直前に終戦を迎えたそうです。
そして復員したその長兄のおかげで、末の弟と妹は上の学校に行かせてもらえたそうですが、我が父までは小学校止まり、父はそれが悔しくて、独学しかないと、読書に励むようになったそうです。
だから子供たちにも頻りに読書を勧め、いろいろ買い与えたり、町立図書館に連れて行ったりしたのですが、その効果は自分一人にしか無かったのを頻りに嘆いていましたな(笑)
ただそうやって父を嘆かせていた我が姉と妹も、学校では二人とも「優等生」で、むしろ自分の方が「問題児」でしたけどね
(笑)(笑)(笑)
  1. 2023-05-24 21:34
  2. URL
  3. 温泉猫 #-
  4. 編集

個人的体験から

それと、カエサルとクレオパトラが出てきたことで、まったく余談ながら、個人的体験をば。

以前何度か、自分が東京時代に役者(それだけじゃ食えない兼業だったけど)をしていたことはコメントしましたが、その役者を始めた初期、20代前半、まだTVや映画の仕事は来ず、専ら舞台活動の頃に、自分が所属していた劇団ではなく、客演で他所の劇団でしたが、そこが公演する『シーザーとクレオパトラ』に出演したことが有ります。まあ出演といっても当時の自分はまだ駆け出しだったから、そこからの助っ人要請での員数を揃える為の端役、TV・映画でいうところのエキストラに過ぎませんでしたが、まあそれはともかくとして、そこはよく、シーザーとクレオパトラを題材にした作品をやるのですが(自分も4回参加)、内容はシリアスとパロディを交互なのですが、シリアス、パロディのどちらも、クレオパトラを極端なまでに超・美化し、シーザーやアントニウス、オクタビアヌスを糞味噌、ボロカスに演出するんですな。つまり塩野七生氏と真逆です。
その劇団の座長が脚本と演出も担当していたから、完全にその座長の趣味嗜好なわけですが、その座長、当時30代後半の女性でした。
そして気になったのは、その劇団、所属役者が女性しかおらず、男性の役者は自分がそうだったように、必要な都度に他所から客演で借りるようなのです。
なんでそんな不効率な、と不思議に思いましたが、後に聞いた話では、その女座長は「百合」、つまりレズビアンで、舞台の必要な場合を除き、男は近づけないらしく、照明や大道具等の裏方以外に男は所属させなかったのです。
まあ、それでもそこまでは他所の話だから構いませんが、その座長、所属の女優でも、さらに容姿の良し悪しで極端に差別してまして、容姿が良い女優を超贔屓にするけど、そうでない女優は与える役も、扱いも悲惨で、塩対応どころか「これ、イジメじゃないか?」と傍から見て思えるものでしたわ。

まあ、そう思ったところで、自分ら外部からの助っ人の員数揃え要員は口出しできるはずもないですが。

凡そ30年余り前の自分の青春時代の無駄話、お粗末さまでしたm(_ _)m
  1. 2023-05-25 06:43
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  3. 温泉猫 #-
  4. 編集

Re: タイトルなし

> 自分はこのブログのジャンルの中で一番好きなのが、この「古本」です。
>
> 自分も活字中毒と他人からいわれるくらい本が好きなので、此方でこれまで塩野七生氏を含め、いろんな名著を紹介していただき自分の読書の対象の幅がかなり拡がりました。

 恐縮です。 楽しんで頂けたら嬉しいです。 
>
> ところで、ブログ主さんの兄君と妹さんはどうなのです?
> ブログ主さん同様にやはり読書好きなのですか?
> ちなみに自分は1歳上の姉と、1歳下に妹の3人でしたが、姉と妹は自分とは異なり、活字をほとんど読まず、漫画とテレビばかり、教科書以外で唯一読む活字が芸能誌で、父親がそれを憂いて、児童向けの名作文学や偉人の伝記、ギリシャ神話その他古典作品を大量購入して読むのを頻りに勧めたのですが、姉・妹二人ともTVドラマ(主に学園・青春モノ)、少女漫画(アニメ)と歌謡番組に夢中で、せっかく父親が大量購入したのも、「字ばかりで読むのがめんどくさい!」と全く見向きもせず、結局は専ら自分が読むことになり、父親を落胆させていました。
>
> ちなみに自分はそれら児童向けの本の他にも父親の所有する歴史読み物、戦記物、政治評論も読んでいて、それはそれで父親は「小学生のクセに変わったヤツだな」と呆れていましたがね(笑)

 ワタシの兄と妹は、両方ともそこそこ読書はしました。 でも二人とも学生時代はスポーツの方が好きだったようです。
 二人ともスポーツは抜群に上手かったので当然かも?
 一方ワタシは運動音痴で、全然ダメで本ばかり読んでいました。
>
> ちなみに我が父は、学歴は小学校卒止まりです。昭和一桁生まれで、東北地方の寒村の貧しい農家の八人兄弟(六男二女)の五男坊で、一番上の長兄と末弟、妹だけが、上の学校に行かせてもらえて、父と次兄以下三人の兄と姉は小学校だけだったそうな。
>
> 長兄は海軍の予科練から航空機搭乗員になり、鹿児島県の鹿屋基地で特攻出撃直前に終戦を迎えたそうです。
> そして復員したその長兄のおかげで、末の弟と妹は上の学校に行かせてもらえたそうですが、我が父までは小学校止まり、父はそれが悔しくて、独学しかないと、読書に励むようになったそうです。
> だから子供たちにも頻りに読書を勧め、いろいろ買い与えたり、町立図書館に連れて行ったりしたのですが、その効果は自分一人にしか無かったのを頻りに嘆いていましたな(笑)
> ただそうやって父を嘆かせていた我が姉と妹も、学校では二人とも「優等生」で、むしろ自分の方が「問題児」でしたけどね
> (笑)(笑)(笑)

 やっぱりこの時代はホントに大変だったのですね。
 優秀でも家庭の事情で進学できない人が沢山いたのですね。
 だからこそ教養を積もうと努力した人も多かったのでしょう。

 ワタシの父と母や両方読書家でした。
 ワタシは子供の頃母から読書を勧められて読書を始めました。
 それで読書ができなくなったら死ぬと思う程の読書好きになりました。

 でも30代ぐらいから目が悪くなり、段々細かい字が読めなくなりました。 それでも死ぬのをやめたのは、ネットができて、結構なんとかなっているからです。
 今は凄く悪くなってしまいホントにやばくて、それで老眼鏡を作り直す事にしたのですが、何とか戻って欲しいです。
  1. 2023-05-25 10:36
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  3. よもぎねこ #-
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Re: 個人的体験から

> それと、カエサルとクレオパトラが出てきたことで、まったく余談ながら、個人的体験をば。
>
> 以前何度か、自分が東京時代に役者(それだけじゃ食えない兼業だったけど)をしていたことはコメントしましたが、その役者を始めた初期、20代前半、まだTVや映画の仕事は来ず、専ら舞台活動の頃に、自分が所属していた劇団ではなく、客演で他所の劇団でしたが、そこが公演する『シーザーとクレオパトラ』に出演したことが有ります。まあ出演といっても当時の自分はまだ駆け出しだったから、そこからの助っ人要請での員数を揃える為の端役、TV・映画でいうところのエキストラに過ぎませんでしたが、まあそれはともかくとして、そこはよく、シーザーとクレオパトラを題材にした作品をやるのですが(自分も4回参加)、内容はシリアスとパロディを交互なのですが、シリアス、パロディのどちらも、クレオパトラを極端なまでに超・美化し、シーザーやアントニウス、オクタビアヌスを糞味噌、ボロカスに演出するんですな。つまり塩野七生氏と真逆です。
> その劇団の座長が脚本と演出も担当していたから、完全にその座長の趣味嗜好なわけですが、その座長、当時30代後半の女性でした。
> そして気になったのは、その劇団、所属役者が女性しかおらず、男性の役者は自分がそうだったように、必要な都度に他所から客演で借りるようなのです。
> なんでそんな不効率な、と不思議に思いましたが、後に聞いた話では、その女座長は「百合」、つまりレズビアンで、舞台の必要な場合を除き、男は近づけないらしく、照明や大道具等の裏方以外に男は所属させなかったのです。
> まあ、それでもそこまでは他所の話だから構いませんが、その座長、所属の女優でも、さらに容姿の良し悪しで極端に差別してまして、容姿が良い女優を超贔屓にするけど、そうでない女優は与える役も、扱いも悲惨で、塩対応どころか「これ、イジメじゃないか?」と傍から見て思えるものでしたわ。

> まあ、そう思ったところで、自分ら外部からの助っ人の員数揃え要員は口出しできるはずもないですが。
>
> 凡そ30年余り前の自分の青春時代の無駄話、お粗末さまでしたm(_ _)m

 それは貴重な体験ですね。
 
 しかしこれって同性愛が忌まれる理由の一つですね。
 
 日本では元禄時代ぐらいまでは、ホントに同性愛がオープンで盛んだったのです。 でもその後ダンダンと忌まれるようになって、あんまりにオープンにはならなくなるんです。

 理由は同性をオープンにすると、人事に同性愛が絡んでくるからです。
 江戸時代は女性には全く公的な地位がないので、権力者が女性を寵愛しても、彼女が直接それで権力を得るわけではなく、彼女の親族の男性が彼女のバックアップで権力を振るうのです。

 これでもやっぱり問題なのですが、同性愛だと同性愛で寵愛を得た当人が権力を振るうのです。
 そして寵愛されるか否かが、昇進の重要なファクターになってしまうのです。
 
 で、君主が死ねば、詰め腹を切らされる事になったりするので、殿様に寵愛されるのも‥‥みたいになってくるんですね。
 それで元禄以降は次第に同性愛を忌避するようになっていくのです。
 
  1. 2023-05-25 11:07
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