今またG7首脳がこういう事を明言するのは、まだまだこの戦争が続くと言う事です。
今回のG7でF16のウクライナへの供与が決まったのですが、ウクライナのパイロットがF16に乗れるようになるには、最低4カ月はかかると言われいます。
と言う事は、今からウクライナのパイロットをF16操縦訓練に協力してくれる国々に送り、そのパイロットが操縦するF16が操縦するF16が、戦場に現れるのは、最短でも4カ月後です。
戦争はそれまでは続くし、その後も続くと言う見通しだから、こういう事が決まったのです。
一体何でこんなに長引くのか・・・・。
ロシアはなぜ撤退しないのか・・・・・。
ロシア国民はこの戦争の行く末をどう考えているのでしょうか?
今回のG7で団結して、ウクライナ支援を掲げた国々は、しかし一方でウクライナに長距離兵器を与える事は渋り続け来ました。
だからF16の供与だって遅れたのです。 ウクライナは開戦当初から、F16の供与を要求していたのに・・・・。
ウクライナが一国でロシアと戦うのは不可能。 アメリカ始めNATO諸国の支援があって初めて戦い続ける事ができるのです。 しかしNATO諸国はどこもウクライナがロシア本土を攻撃する事は、阻止してきました。
だからロシア本土で怪しい爆発が幾ら起きても、ウクライナ当局はウクライナの関与だけは否定し続けています。
つまりG7諸国もNATOもロシアがウクライナ領から撤退すれば、そこで停戦する事を望んでいるわけで、ロシア領が戦場になる事など絶対に阻止したいのです。
そしてウクライナ軍がロシアに侵攻できないとなると、ロシアが現在のロシア領を喪うとか、その後ウクライナやNATOの支配を受けると言う事もあり得ません。
ウクライナ国民の復讐心はわかるけれど、NATO諸国はロシア軍が撤退して、この戦争が終わってくれたらそれでいいのです。
そうすれば経済制裁を解いて、ロシアの安い石油や天然ガスを買えるので、大助かりなのです。
だったらロシアが撤退すればよいではありませんか?
撤退したら、家族が戦場へ送られる事はないし、経済制裁も解けて元通りの生活ができるではありませんか?
しかしロシア人は停戦や終戦をそれほど期待しているわけではないかもしれません。
我々日本人が考える戦争は第二次世界大戦で、日本はこの戦争に敗戦しましたが、しかし敗戦後平和と繁栄が訪れました。
日本政府が敗戦する前に、太平洋全域から北方領土や満州まで広がった広大な戦域で、敗戦が続き、それがジワジワと本土に迫っている状況でした。
その戦場では日本人は降伏後を恐れて、降伏するより死を選び、兵士は玉砕し、非戦闘員は集団自決するなど、悲惨な状況になりました。
しかしそれでも生き残った人々が非人道的に扱われる事はなく、むしろ非常に人道的に扱われる場合も多かったのです。
そして最後の日本が無条件降伏した後の、扱いも同様でした。
その後日本は完全な平和を享楽し、それが経済発展につながりました。
だから日本人にとって、戦争の反対は平和、戦争を止めたら平和なのです。
でも考えてみると、これって全ての国に当てはまるわけじゃないです。
だって高校世界史レベルでロシアの20世紀を考えてみればわかります。
第一次大戦が思いのほか長引いて、ロシア国民の生活は疲弊しました。 戦死者の増加に人々は憤りました。
それでロシアでは民衆の不満が爆発し、ロシア革命が起こり、この革命政府がイギリスやフランスなど同盟国の意思を無視して、敵国ドイツといち早く停戦しました。
これでロシアは平和になりまいたか?
違います。
ロシアは以降、共産主義者の赤軍と共産主義国家の成立を阻止したい白軍に分かれて、激しい内戦状態になり、その内戦はヨーロッパ戦線でも講和が成立し、第一次大戦が完全に終結した後も続いたのです。
この内戦がおさまったら、ロシアは平和になりましたか?
違います。
内戦の渦中から共産主義者の独裁政権は、恐ろしい粛清を始めていました。
共産主義政権は労働者・農民の為の政権のはずでしたが、しかし現実には労働者も農民も共産主義者の考える理想国家建設のパーツでした。
特に農民は共産主義建設に必要な資金を生み出す事だけを要求されました。
その為、共産主義政権は農民を徹底的に搾取し、ウクライナやカザフスタンを中心に大飢餓が起きました。
その数は600万人ともいわれます。
農民以外にも多数人々が強制収容所に収容されて、奴隷労働を課されました。
こうした粛清と飢餓で死んだ人の数は今も正確にわかりませんが、2000万人とも4000万人ともいわれます。
マジにこれだったら第一次世界大戦を最後まで戦った方が、マシだったんじゃないですか?
だってロシアが勝手にドイツと講和した時には、ドイツだって結構ヘタレていたのです。 それにロシアが講和した後、1年半ほどで第一次世界大戦は終結しました。
そもそも交戦中だって、ドイツ軍は西部戦線を維持するのが手一杯で、ロシア領奥深く攻め込むような戦力はありませんでした。
しかしロシアの内戦はロシア全土が戦場になり、ロシア人同士で殺しあう嵌めになったのです。
同じ戦争ならドイツ人と殺し合う方がロシア人同士で殺し合うよりマシじゃないですか?
しかし共産主義政権の粛清は続きます。
その独裁と粛清が続くうちに、今度は第二次世界大戦がはじまり、ロシアはまた戦場になるのです。
で、この悲惨な戦争が終わっても粛清は続きました。
それでもソ連領の領土は増えたし、さらに第二次世界大戦の前にはなかった「共産圏」と言う物ができて、つまりここが事実上ソ連の支配地になったのですが、しかしそれは結局粛清と独裁に輸出でした。
そしてここでは戦争が終わっても平和にはならない、戦争をしなくても平和にはならないのです。
バルト三国は三国あわせても人口は700万人弱です。 だからソ連には軍事的抵抗は不可能なので、アッサリ占領され、その後併合されたのですが、その過程でそれぞれの国の総人口の3~4割が強制収容所に送られて殺されました。
そしてソ連はその穴埋めのために、ロシア人を送り込みました。 そのロシア人の大多数は今もバルト三国で暮らしているのです。
ポーランドはこの戦争で総人口の2割を喪いました。 勿論ドイツ軍の虐殺もありますが、しかしカチンの森の虐殺のようにソ連による虐殺も無残でした。
ソ連はポーランドの反抗を永遠に封殺する為に、ポーランド軍の将校全員を殺害して、カチンの森に埋めたのです。
考えてみれば戦争状態では、将校全員が殺害される事などありえません。
戦争は悲惨だけれど、お互いが軍隊を持ち、武器をもって戦うのが戦争なのです。
だから戦争をやっている間は、幾ら弱い敵でも敵は敵として武器をもって抵抗するので、階級や思想を選んで、皆殺しなんてできないのです。
でも相手が降伏して、武器を捨てたら、やりたい放題できます。
そして実際ソ連はやりたい放題しました。
因みに将校と言うのはロシア・東欧では知識階級を兼ねています。 徴兵でも高等教育を受けている人達は、最初から将校として勤務すると言う国が少なくなりませんでした。
つまり将校を全部殺害すると言う事は、高等教育を受けた男性を全部殺害すると言う事なのです。
前述のバルト三国でもそうですが、政治家は勿論、知識階級など国の頭脳だった人々を選んで大量に殺害したのです。
こんなことをされたら、国の歴史や伝統を知る人もいなくなってしまいます。
でもソ連の狙いはそれです。
国民全員を皆殺しにしなくても、歴史や伝統に詳しい知識階級を中心に皆殺しにすれば、残った国民はもう自国の歴史や伝統を知るすべもなくなり、民族も国家も消滅するでしょう?
ソ連とすれば、軍事的に重要な地域に居住する多民族は、こういう形で抹消したかったのです。
こうした歴史を見る限り、戦争が終われば平和なんて、実は稀有なる例外だったのではないでしょうか?
実際日本の場合だってそうでしょう?
前記のように日本では沖縄戦やサイパンなどで、米軍を恐れた非戦闘員が降伏を拒否して自決しました。 しかし生き残った人々に対する米軍の扱いは、至って人道的なモノでした。
ではソ連軍の占領地は違うでしょう?
北方領土でも満州でも朝鮮北部でも、ソ連軍の占領地では男性はシベリアに送られて奴隷労働を課せられました。 そして日本に帰国できるようになるまでの間に総数の1~2割が飢餓と疲労と寒さで死にました。
女性は徹底的に強姦されました。
実は敗戦間近に日本国内では「もし戦争に負けたら、男性は去勢されて奴隷にされる。 女性はみんな強姦される。」と言ううわさが流れていたそうです。 沖縄やサイパンで自決した人々はこの噂を信じて自決したのでしょう。
しかしソ連に占領された地域では、ほぼこの通りになっています。
それでも日本人が敗戦=平和、戦争が終われば平和になると考えるのは、ソ連軍の攻撃を受けて占領された地域にいて、ソ連の占領による悲惨な体験をした人は、全体からすれば少数派だったからでしょう。
でもヨーロッパ諸国ではむしろこちらが圧倒的多数派です。
特にウクライナの周辺諸国は、皆ソ連軍の占領とその後の共産主義政権による圧政を経験しています。
だから戦争さへ終われば、平和になって安心して暮らせるなんて考えた事もないでしょう。
戦争は勿論恐ろしいのです。
これらの国々は国の全土を戦場にして戦った経験があるのですが、戦争の恐ろしさは日本人以上に身に染みているのです。
でもその恐ろしい戦争に負けた時、敵に占領された時に恐ろしさも、身に染みているのです。
だから皆必死になってウクライナを支援しています。
今やポーランドがドイツを超える軍事大国を目指しています。
ポーランドはソ連崩壊後、自由化して結構経済発展をしきましたが、それでも国民所得もGDPもドイツやフランスには、及びもつきません。
だからこんな軍事予算の捻出は国民生活を圧迫するばかりですが、しかしそれでも第二次世界大戦と、その後のソ連支配の恐怖を思えば、そんなことは言っていられません。
そして当のロシアにしても同じでしょう。
だって人間、自分達がやってきた事は他人も自分達にやると思うのです。
自分達が無帝国な小国を占領して国民の3割とかを粛正したのだから、当然自分達が占領された場合は、最低でも1割ぐらいはやられるって思うのでは?
そもそも過去の歴史で自分達自身が、外国との戦争が終わっても、それより厄介な遺産が始まる、さらには戦時以上に恐ろしい粛清や飢餓を体験していれば、現在の戦争が多少苦しくても我慢した方がマシと思ってしまうのかもしれません。
それにロシアは食料とエネルギーを完全に自給できる国なので、この程度の戦争では、豊かな生活や便利な生活はできなくても、飢餓や寒さに苦しむ事はないのです。
だったら政権転覆などによる混乱より、このままこの体制が続いたほうがマシって思っても不思議はありません。
こうなるともうこの戦争の先はホントに見えません。
と、言ってウクライナ側が譲歩して停戦に持ち込んでも、この停戦はいつまでもつのでしょうか?
多少領土を喪っても、朝鮮戦争の停戦のように70年も維持できるのなら、ワタシも停戦するべきだと思います。
でもそれはウクライナに大規模米軍基地を作り、ウクライナがNATO加盟でもしなければ無理です。
しかしそんな条件ならロシアは呑まないでしょう。
だから結局、一旦停戦してもそれは唯の「水入り」で、ロシアはそれで一息ついてまた侵略を再開するでしょう。
こうしてみるとホントに先が見えません。
それでもとにかく、この戦争をこれ以上拡大しないためには、ウクライナに頑張ってもらうしかないのです。
ホントに厳しいです。
正直に言うとワタシも軍靴の足音が聞こえています。
しかしその軍靴を踏み鳴らしているのは、日本ではないのです。
日本とは全く違う歴史、違う価値観を持つ国々が軍靴を踏み鳴らしているのです。
哀しいけれどワタシ達は遂にそういう時代にめぐり合わせてしまいました。
しかしそれはワタシ達にはどうにもなりません。
だから彼等の歴史、彼等の価値観を考えた上で、彼等が何とかこれ以上軍靴を踏み鳴らす事を止めさせるようにするしかないのです。
で、ワタシは今の所、日本人のかなりの人が、何とかアタマを切り替えて、現実に向かおうとしていると思っています。