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2023-04-04 12:52

「ジェンダー」という造語と性別の抹殺

 90年代ぐらいから所謂フェミニスト達が、「ジェンダー」と言葉を使うようになりました。 
 
 「ジェンダー」とは各人の性別に押しけられた、ないしは期待された社会的役割の事です。

 人間は女児や男児として生まれるのですが、しかしそれだけで女性や男性になるのではなく、生まれた国や地域、時代によって、男性・女性に期待される社会的役割を果たせるように教育されます。
 要するに女の子は女らしくなるように、男の子は男らしくなるように、親や学校、社会全体から言われて育つのです。

 この男女によるジェンダーの違いが、男性と女性の言動の違いに大きな影響を与えていると言うのです。

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 ワタシもここまでは十分理解できます。
 
 しかしその後、フェミニスト達はジェンダー重視を推し進めて、ジェンダーが性別に圧倒的に優越するようになり、更に過激なフェミニスト達は性別を抹殺していきました。

 今、LGBT理解増進法でトランスジェンダー、トランス女性と言われる「自分は女性」と名乗る男が女子トイレや女湯に入ってくる事が懸念されています。
 そしてLGBT差別が法で厳禁となった欧米では、トランス女性が女子スポーツに進出して、記録を塗り替えています。
 さらには強姦犯が「自分は女」だと言えば、女子刑務所に収監されて、そこで他の囚人を強姦すると言う事態になっています。

 これは女性にとって極めて深刻な人権侵害なのですが、しかし日頃「セクハラが~~!!」「キモイ!!」と喚きまくるフェミニスト達が、なぜかこの問題に無関心でした。
 それどことかむしろトランス女性を女性施設に入れる事を応援してきた観さえあります。

 これは大変不可解ですが、しかしフェミニストとして活動し来た女性達、特に学者など高学歴者がフェミニズムの理論の中心を「ジェンダー」に据えてしまい、性別を抹殺してきたの事を考えると当然の話です。
 彼女達の中では既に性別は消滅しているのです。

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 性別は肉体的な男女の違いですが、ジェンダーは社会的な男女の違いです。 
 肉体が男の人の性別は男性です。
 でも彼が女装して女らしく振舞えば、ジェンダーは女性です。
 だからジェンダーを性別に優先させてたら、彼は完全に女性なのです。

 だったらトイレでも女湯でも自由に入って当然ではありませんか?
 ジェンダーを性別に優先させる、性別を抹殺したら、トランス女性と生得的な女性を区別せず全て女性に含めるべきではありませんか? 

 勿論、これはあまりに馬鹿馬鹿しい空論なのですが、しかし90年代以降、女性学とかフェミニズムなどの学問に関する世界は、この理論で進んできたのです。
 それどころかこの理論が遂に現実の法として実現したのです。
 結果、ホントにトランス女性と自称すれば、「自分は女性」と言えば、男が女湯にはいっても処罰されないし、強姦犯が女子刑務所に収監されると言う社会が実現したのです。

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 ホントにこれでは女性は恐ろしくて暮らせないのですが、しかし過激派フェミニストにとっては大変満足な結果でしょう。
 
 これで法的には、「男女の差は全てジェンダーの差」と言う事になったのですから。
 男女の差が肉体の差であれば、これは天然自然の物ですから、フェミニスト等社会活動家が幾ら喚いても変えられません。
 しかしジェンダーは元来社会的、政治的に決まる物ですから、変えられるのです。

 だからジェンダーを優越させて性別を抹殺した後、男女のジェンダーを均一化すれば完全な平等社会になると信じているのでしょう。

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 この理論で頑張ったのはジュディス・バトラーと言う学者だそうです。
 因みに日本では東大教授の清水晶子と言うが、これで頑張っているようです。 
 この二人の書くものって凄く難解なのだそうです。 
 しかしその難解さが、こうした問題についての議論で勝ち進む為には有効なのでしょう。

 だって難解過ぎて何を言っているのかわからない論文では、簡単に否定できないのです。 しかも学者同志の議論で相手の論文がわからないなんて言えないのですから。 
 それで「ジェンダー」はドンドン性別に優越する概念となって、性別を抹殺してしまったのです。

 でもいくら学者の頭の中で性別を抹殺しても、現実に男性から男根や睾丸を消せるわけではないし、女性から子宮や卵巣を消す事はできないのです。 そしてその性別から来る体力の違いや、妊娠・出産・育児の問題がなくなるわけでもないのです。

 だからこの性別の抹殺は、実に愚劣な社会実験だったとしか言えません。
 それでもこの学説の教祖様は、未だに自説を曲げずに頑張っているようです。


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 しかしそれにしてもよくもこんな馬鹿馬鹿しい理論で、現実の社会の法まで変えられた物だと呆れるしかありません。

 ワタシはこの論文を読んでいて、これはもう人文科学とそれを取り巻く人間の欠陥だと思いました。

 自然科学では言葉や概念は極めて厳密に定義して、中学生も大数学者も、物理学者や化学者も全く同じ意味で使います。
 でも人文科学の場合は、最初から言葉の定義が最初から曖昧なので、学者同志議論をする場合でも、それぞれが自分の都合に合わせて中身をすり替えて使うのです。
 更に彼等を取り巻くジャーナリストや活動家が、意図的に言葉の意味を変質させて煽ります。
 それで程なく元の言葉とは全く違う意味になってしまいます。
 これだと学問としてフェミニズムを進歩させるなんて事は不可能でしょう。

  1. シェベツニダ!!
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コメント

困った時代

ジェンダーなる問題で、この20年間分かりにくい世界になりました。

50年前の団塊世代が騒いだ「世界同時革命」の論理の方がまだわかる。しかし「分る」論理もたちまち頓挫した。実用に耐えなかったからです。

それに控えてジェンダー論は火の手が衰えない。なぜか。いわばこの問題は「フロンティア」なんでしょう。政治経済のような旧来の概念から外れて性に関わる「なんでも」が前例無き概念の中でこね繰り返されているから。加えて雌雄に関わる生物的概念が社会事象と連動する。さらに人権が!と騒ぐ余地もある。燎原の火の手は収まらぬ。

一方で男社会を呪い通した女性社会学者が、実は男と同棲していた話もあります。こういうのは「裏切り」と言うより「綻び」だと思います。ジェンダー問題は時間と共に綻びが露見するまで続くのでしょう。しかしやがて終わる。世界同時革命が実現しなかったと同様に、です。
  1. 2023-04-04 17:20
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  3. 相模 #-
  4. 編集

Re: 困った時代

> ジェンダーなる問題で、この20年間分かりにくい世界になりました。
>
> 50年前の団塊世代が騒いだ「世界同時革命」の論理の方がまだわかる。しかし「分る」論理もたちまち頓挫した。実用に耐えなかったからです。
>
> それに控えてジェンダー論は火の手が衰えない。なぜか。いわばこの問題は「フロンティア」なんでしょう。政治経済のような旧来の概念から外れて性に関わる「なんでも」が前例無き概念の中でこね繰り返されているから。加えて雌雄に関わる生物的概念が社会事象と連動する。さらに人権が!と騒ぐ余地もある。燎原の火の手は収まらぬ。
>
> 一方で男社会を呪い通した女性社会学者が、実は男と同棲していた話もあります。こういうのは「裏切り」と言うより「綻び」だと思います。ジェンダー問題は時間と共に綻びが露見するまで続くのでしょう。しかしやがて終わる。世界同時革命が実現しなかったと同様に、です。

 ワタシもこのジェンダーの話は支離滅裂じゃないかと思います。 
 しかしジェンダーを言い出した一部フェミニストの脳内では、女性とは女性のジェンダーに属する人であって、子宮や卵巣を持つ人ではなくなっているのです。

 でもこれもヘンな話で、人間は教育や社会の圧力つまりジェンダーで女性になるなら、男性の肉体を持って生まれた人は、皆男の子として育てられるのです。
 そういう人が成人してから女性だと言い出す事自体あり得ないはずだし、言い出しても女性としてのジェンダーが見につくはずもないのでう。

 しかしこの種の学者達の脳内では、こうした論理矛盾に関係なく、ドンドン現実離れした理論が展開され続けているのです。
 
 思うにこの種の学者達の中では、個別の事例に議論している時に、その場その場で目の前の敵と戦う為に、言葉や論理をドンドン自分に都合よくすり替えている間に、自身の理論であっても元の理論から逸脱していくからでしょう。 挙句に全体の理論が狂ってしまうのですが、本人はそれに気づかないでしょう。

 それにしても何でこんなバカげた理論が法として実現したのか?
 
 相模さんのコメントの「世界同時革命」で思い出したのですが、あの世界同時革命は失敗し、共産主義も崩壊して、欧州の左翼はイスラム教にすがりついて「イスラム左翼主義」と言われる状態です。

 イスラム教と左翼は本来絶対に相いれないはずなのですが、しかしソ連の崩壊でゴミ箱に捨てられた左翼達は、イスラム教の尾鰭に縋り付いて左翼からゴミ箱から抜け出そうとしたようです。
 勿論、イスラム教側からも一顧だにされませんでしたが。

 ワタシはこのLGBTの活動も左翼の新しい生き残りビジネスではないですか? 
 実際、日本は共産党や令和が推進しているし、欧米でもこれを推進しているのは、極左政党や団体です。
 
 落ちぶれた左翼にとって、これは新しい活動拠点だし、共産主義には元々家族の破壊と言う目標があったので、その点では一致しました。
 
 それでこの理論が現実の法改正まで、進んでしまったのでは?
 
 思うに極左とか左翼とか言われる人達には、現実の社会への憎悪から来る革命願望があって、とにかく現在の社会を壊したい変革したいと言う欲求を強く持っているのです。
 
 それで共産主義が崩壊するとイスラム原理主義にしがみ付いたのだけれど、イスラム原理主義のテロも下火になってきました。
 だから今度はLGBTに飛びついたんだじゃないですか?
  1. 2023-04-05 11:06
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

進歩派には 「現状を否定すること」 しか共通点がない

左翼がLGBT運動をゴリ押しをするようになってから、「ジェンダー・フリー」 という言葉を全然聞かなくなりましたね。まあ、当然ですけどね。LGBTの存在自体が 「体だけでなく、心にも生まれながらの性別がある」 という、なによりの証拠ですから。

小さな子供にも、明らかに 「男の子が好きな遊び」 「女の子が好きな遊び」 があって、だからこそ 「女の子の遊びが好きな男の子」 は、からかわれたりするわけですし。

でも、左翼が 「ジェンダー・フリー」 と 「LGBT」 の整合性が取れるように、主張を変えたとか、新たな理屈を考えたとかは、全然聞かないですね。まあ、「セッ〇ス・ワーカーの権利を守れ!」 という人達も 「自ら売春する女性などいない。私たちは買われた!性奴隷だ!」 という人達もいる界隈ですからね。

P.S.
2つ前のエントリ 「左翼の 「多様性」」 にもコメントしたけど、読み飛ばされてしまったようです。
  1. 2023-04-05 19:17
  2. URL
  3. かんぱち #vF6NeGQU
  4. 編集

Re: 進歩派には 「現状を否定すること」 しか共通点がない

> 左翼がLGBT運動をゴリ押しをするようになってから、「ジェンダー・フリー」 という言葉を全然聞かなくなりましたね。まあ、当然ですけどね。LGBTの存在自体が 「体だけでなく、心にも生まれながらの性別がある」 という、なによりの証拠ですから。
>
> 小さな子供にも、明らかに 「男の子が好きな遊び」 「女の子が好きな遊び」 があって、だからこそ 「女の子の遊びが好きな男の子」 は、からかわれたりするわけですし。
>
> でも、左翼が 「ジェンダー・フリー」 と 「LGBT」 の整合性が取れるように、主張を変えたとか、新たな理屈を考えたとかは、全然聞かないですね。まあ、「セッ〇ス・ワーカーの権利を守れ!」 という人達も 「自ら売春する女性などいない。私たちは買われた!性奴隷だ!」 という人達もいる界隈ですからね。

 そうなのです。 人間は性別ではなく、ジェンダーで男性や女性になると言うなら、トランスジェンダーと言う人達は存在しないはずなのです
 なぜなら男児に生まれた子は男の子として育てられて、男性のジェンダーを持つはずだし、女児に生まれた子は女の子として育てられて女性のジェンダーを持つはずです。

 それなら性違和感など存在するはずもないし、また成人した人が性別を変えるのも不可能なはずです。 だって成人する頃にはその人のジェンダーは固まっているわけで、変えられるわけもないのです。

 だからトランスジェンダーの存在を認める事は、ジェンダーの限界と性別の重みが明確化されます。
 ところが過激派フェミニストの話は、支離滅裂で自分達自身が他で話している事とも整合しないのです。

 要するに何でも良いから被害者ポジションを取って騒ぎたいだけなんでしょうね。
 さらに言うと何でも良いから、現状を変えたい、現状を変える事でリーダーになりたいと言う願望が全てに優先しているのではないでしょうか? 

>
> P.S.
> 2つ前のエントリ 「左翼の 「多様性」」 にもコメントしたけど、読み飛ばされてしまったようです。

 そうなのですが

 すみません。 直ぐに返信させていただきます。
  1. 2023-04-06 12:05
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

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