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2023-03-24 12:43

海のラクダ 木造帆船と「貞操の危機」

 昔「海のラクダ 木造帆船ダウ同乗記」と言う本を読みました。
 今、ネットで調べてみたら、1980年に中公文庫として出版です。 
 実はワタシ、海と船が大好きだったので、この本が出版されたとき、直ぐに買って読んだようです。
 
 木造帆船ダウはアラブ諸国を中心に使われてきた帆船です。 「船乗りシンドバッド」が乗っていたのもこのダウだと言われ、船を数える時に使われる「隻」と言う言葉の語源もダウだと言う説もあります
 随分と古い歴史を持つ帆船なのですが、しかしこれが古代とあまり形を変えず80年代まで実用船として使われていました。
 この本は著者が実際に実用船として使われているダウに同乗した記録です。

 この本の著者がダウに同乗した80年代当時は、殆どダウはアラビア半島を中心に、アフリカ大陸の東海岸やインド辺りまでを往来して、荷物や乗客を運んでいました。
 著者は古代と変わらない帆船が、現在もなお実用船と使われている事に強く心惹かれ、ダウに同乗してその記録を残そうとしたのです。
 しかし実際に乗船しようとすると・・・・ホモ地獄・・・・・。

 ハッテン系のゲイの方なら天国でしょうが、しかしこの本の著者はゲイではなかったので以下に記述する状況は「地獄」としか言いようがなかったのです。

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 著者は最初ダウに乗船する為に、ダウが多数集まると言うクェート港に行ったのですが、その時の状況を筆写は「私は貞操の危機の感じた」と書いていました。
 彼は港内でダウが集まっている船着き場に近づくと、通りすがりの男達から次々とナンパしてきます。
 まだ17,8の少年が誘ってきて拒否すると、少年は筆写の後ろポケットに札を押し込んでくるのです。 

 また乗船できるダウを探してクェートに滞在中、フェリーで観光に行ったのですが、夜にフェリーで雑魚寝中に、いきなり隣に寝ていた男が抱き着いてきて「〇〇を貸せ!!」と喚きました。
 筆写は恐怖に駆られながらも、必死でこの男を追い払い貞操を守りました。 しかしその後は一睡もできませんでした。

 ワタシとしては美しいインド洋を走る帆船と言うロマンを求めてこの本を買ったわけだし、著者もそのような本を書く為にダウに乗ろうとしたのに、乗る前からこの有様です。
 それでも著者は何とか貞操を守りきって、同乗できるダウを見つける事ができました。

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 著者が乗ったダウはクェートで食料品や雑貨を積み込んでアフリカ大陸の東岸ザンジバルに向かいました。
 船長と船員が5~6名。 船員の国籍は様々ですが、アラブ人よりパキスタンやバングラディシュの出身者が多いようです。
 それで船員達の母語も様々なのですが、一応アラビア語が共通語として使われています。
 インド人もダウを使うのですが、インド人はインド人だけでインドのダウに乗ると言います。

 こうしてせっかく乗り込んだダウですが、帆走は殆どせずに専らエンジンで走りました。 船長も船員達も帆を張るのが面倒臭いので、余程の順風でない限り、帆走はしないのです。
 そして帆走したと思ったら、帆を揚げる為のロープがプッツンです。
 ロープや帆の手入れも真面目にやっていないのです。
 
 だって湾岸諸国はガソリンは安いのだし、目的地に着けば良いなら帆走なんかしたくないのです。
 つまり乗員達はダウの帆走にロマンなんか全く感じておらず、その意味では純然たる実用船なのです。

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 ともかくそれでも数日後にはザンジバルに到着し、荷物を降ろしました。 荷物は積み方が乱暴だったため、随分と痛んでいました。 缶入りビスケットの缶がデコボコになったりしていたのですが、しかし誰もそんなに気しません。
 荷物を降ろし、別な荷物を積み込むのに数日かかるのですが、その間に船員の何人かがやめて、新しい船員が来ました。

 そのうちの一人が暇つぶしなのか、大声でコーランを朗唱していたので、煩くて溜まらず、黙らせる目的もかねて朗誦しているコーランの内容を聞いてみました。
 すると彼は「子供の時から読み方の暗記はしたけれど、意味まではわからない」と答えました。

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 コーランはアラビア語ですが、ムハンマドの時代にメッカやメジナ周辺で使われていたアラビア語で書かれています。 しかしアラビア語も方言が色々あり、しかも千年以上も前の言葉と言う事で、アラビア語圏の人達でも唯読んだだけでは意味はわからないのです。
 でもそこそこ育ちの良い人は、子供の時からコーラン学校に通って読み方だけは習うので、朗誦だけはできるのです。 
 因みにこの船員は荷主の親戚と言う事で、他の船員に比べたら育ち良いお坊ちゃまだったようですが、その為かアフリカを離れる前にやめてしまいました。

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 ともかくこうやって荷物を積みかえ、船員も入れ替わりました。 そして乗客も一人乗せて出航しました。 客は典型的なアフリカインテリで、いけ好かない奴でした。 ダウは遅いし乗り心地も良いわけじゃないけれど、飛行機等に比べたら料金は格安なのです。
 要するにダウは誰でも何でも乗せるのです。
 この感覚は19世紀までの西洋帆船と同じです。 ワタシはこの手の西洋帆船の本も結構読んだけれど、船員は多国籍で片言でコミュニケートし、何でも誰でも金になれば乗せるのです。 そして船員の入れ替わりは激しくて、港に着くたびに人が出入りします。

 その意味ではホントに近代以前その物の世界ですが、しかしそれでも国から国へと移動する為、常に現実の国際情勢の変化にさらされます。
 特にダウが活動する中東やアフリカ東岸は、国際的にも不安定な地域で、寄港予定先が突然入港禁止なるなど、予想外のトラブルが次々と起きてくるのです。
 その為、船長は勿論船員達もこうした情報には敏感で、常にラジオのニュースを聴いたり、他の船の乗員同志話あって情報を集めています。

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 実際、著者が乗ったダウも、ザンジバルを出航して次の港入った時に、湾岸周辺の状況が怪しくなりました。 それで港にいたダウの船長達が、お互いの船を訪問しあって、情報を交換していました。
 それで他の船の船長が来た時です。
 著者の乗ったダウで賄いをしている老人が、この船長に抱き着き、顔を舐めまわしました。 賄いの老人は禿頭で白い髭が茫々なのですが、この船長の元カノだったのです。
 だから船長も回りもこの熱烈な愛情表現に文句も言わないのです。
 因みにこの船長は長身でまだ30代の初めのイケメンでした。 だから老人も彼を愛し続けたのでしょう。

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 別に全てのダウの船長船員がゲイじゃないのです。 実際船員の中には妻子がいて、寄港先で妻子に土産物を買って、それを妻子に渡すのを楽しみにしている人もいるのです。
 船長に至っては文字通り港々に女ありです。
 イスラム圏では公然と売春はできないのですが、文字通りの現地妻を持つ事は可能です。 一夫多妻ですから寄港地の女性と短期間の間結婚した事にして同棲するのです。

 但し結婚して妻子を持てるのは、有能なベテラン船員で、船員の中では高給を得ている人だけです。
 まして港々に現地妻となると、船長クラスでないと不可能なのです。
 一方イスラム圏では、女性は全身をベールで隠し、男性親族と一緒でなければ外出もしませんから、下級船員など低所得男性は、買春どころか女性を見る事もできないのです。 
 だからこうした男性が多数集まる所を歩くと著者のような男性でも「貞操の危機を感じる」と事になるのです。

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 こういう世界ですから、この時代まではイスラム世界は、同性愛には非常に寛容でした。
 イスラム教は教理では同性愛を禁じているのですが、しかし前記の若者のようにコーランを朗唱できても意味は知らないと言うイスラム教徒が多数います。 それどころかコーランなど全く読めないイスラム教徒の方が圧倒的多数派なのです。
 これじゃ教理や戒律を厳密に守るなんて発想もないでしょう?
 
 だからイスラム教発祥以来、近年までイスラム世界では同性愛には非常に寛容でした。 「アラビアンナイト」にも同性愛の話が多数出てきますが、同性愛を全く罪悪視していません。
 トルコのスルタンはハレムに多数美女を囲いながら、一方で多数の美少年を侍らせていました。

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 しかしイスラム世界の原理主義化が進行するにつれて、同性愛への締め付けが厳しくなり、今はブルネイなど同性愛に極刑を課す国まで出てきました。
 このイスラム教の原理主義化には、イスラム世界の教育レベルが上がった事、テレビの普及でイスラム教の教理をテレビで放映するようになった事が原因のようです。

 尤も西欧ではほぼ同時期に、それまで歴史上長く続いた同性愛迫害を止める方向に動いてきました。 そして更にヘンな方向へ動いて男を女子トイレに入れる、女湯にまで入れるようなことまで始めました。
 こうしてみるとどんな社会でも、人間社会が価値観を転換して、社会がオカシクなるのには半世紀ぐらいあれば十分なのでしょうね。

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 因みにこの著者の乗ったダウは、この後、船長が行方不明になってしまい、結局副船長が船長になって出航する事になりました。
 しかし副船長の航海術が今一で結構危うい事態にもなったのですが、とりあえず無事にクェートに戻る事ができました。

 ダウの船長達は天文航法は使えず、多くのダウはロランに対応する設備もなく、80年代ですからGPSは勿論く、船の進行方向と速度から位置を割り出すと航法だけに頼っていました。
 これは原理から言えば海図さへ読めれば中学生でもできるのですが、しかし誰でも経験だけで学べる物ではないのです。
 だから船員の中でも船長になれる人は限られているのです。

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 船長になれなくても船員として有能な人は、結婚して妻子を養う事ができますが、船員としての能力が今一だと、生涯独身のまま年老いて、体力がなくなれば船の賄いでもするしかないのです。
 この辺りの厳しさも西洋帆船と同じです。

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 前記のようにワタシはこの本は、船と海のロマンを求めて読んだのですが、しかし今はイスラム世界の原理主義化について、そして西欧で荒れ狂うLGBTを考える上で最良の書ではないかと思っています。
 

 
  1. 古本
  2. TB(0)
  3. CM(12)

コメント

自分も先日、或る本を読みました。
前エントリーのコメ欄で、多発性骨髄腫の入院治療の為に京都に行ったのが、風邪でその治療ができない為に帰ってきたことを書きましたが、何しろ地元から京都まで長い時間を要しますから(早朝始発で出て、地元の駅に着いたときは日は完全に落ちていた)、その時間をずっと或る本の読破に使いました。

本の題名は『女たちのシベリア抑留』(著者/小柳ちひろ:文春文庫)。
この本は、2014年8月12日にNHKで放映された「BS1スペシャル 女たちのシベリア抑留」の取材をもとに、その製作者の小柳ちひろ氏が書き下ろしたもので、単行本の初版は2019年に文藝春秋社から刊行されたものです。

大東亜戦争終盤に侵攻してきたソ連軍に捕虜された日本軍兵士・軍属の男たち約60万人の他に、従軍看護婦だった女性の方々も数百人が、同様にシベリア、樺太のラーゲリ(収容所)に抑留され、この本はそのうちの存命していた元従軍看護婦の方々の証言、体験談を著したものです。

往き帰りの車中の時間が長かったとはいえ、一冊をその乗車時間内に読めるくらい夢中になれる興味深さでしたね。

そして著者が後書きで書いてましたが、単行本を上梓してから2年で、まさか74年前の満州と同じ状況(ロシアによるウクライナ軍事侵攻)が起こるとは思っていなかった、と。

そこで自分の小学生の頃の或る体験談を思い出しました。
確か三年生の時だったか夏休みに町内会の子供たちのキャンプが自分の隣町の湖(ブログ主さんは何所だか見当つきますよね)
で催されたのですが、ちょうど8月15日に重なっていたことからか、夜の食事中の子供たちとの語らいで、引率の大人たちの一人が、自身の子供時代の戦争体験談を始めたのです。 戦争体験談といっても、その人は当事、まだ小学生(国民学校生?)で、しかも国内の地方の小都市にいたから、そんな大層な話しではなかったのですが、その中で憲法9条を持ち出して、「平和を守る大切な法律」と言ったのですが、その直後、或る年配女性(参加者の子供の伯母さんだったかな?)が、こう言ったのです。
「法律で戦争が起きないなら、あの時の満州でのアレは何だったのさ!日本とソ連は戦争しない約束(日ソ中立条約)があったのに、ロスケは攻めてきたじゃないか!!」
後日、聞いた話しでは、その年配女性は戦中に満州に住んでいて、やはりあのソ連軍侵攻の際に命からがら逃げてきた人だったそうです。

自分は当事から軍オタ少年でしたが、その時はまだ、三年生という幼さだったせいか、「兵器」に関する興味が殆どだった為、それ以上の興味・関心にはまだ至っておらず、その年配女性に詳しい話しを聞かずのまま、そちらへの興味関心が起きた2年後の五年生の時には、その女性は既に亡くなられた後でした。

今でもあの時、いろいろ話しを聞いておかなかった事が悔やまれます。
  1. 2023-03-24 20:20
  2. URL
  3. 温泉猫 #-
  4. 編集

中東に長期滞在した経験もあるゲイの故・ジャックさんのブログ 「ジャックの談話室」 には、御自身の体験談が書いてありましたね。私はそれまで 「アラブ世界・イスラム世界では、同性愛は死刑」 だと思っていたので、衝撃的でした。

ジャックの談話室 | カテゴリ : アラブ・イスラム世界
https://jack4afric.exblog.jp/i18/

以前、よもぎねこさんがイスラム教について取り上げたエントリで、私は 「イスラム教の戒律が、やたらと厳しいのは『どうせ誰も守らないから』が前提になっているからでは?」 と書いたことがありますが、私がそう思うようになったのは、ジャックさんのブログを読んだからでした。

また、私はリアルの世界でも、仕事で中東に長期滞在したことのある人から話を聞いたことがありますが、文字どおりの意味で 「オカマを掘られないように気をつけろ」 と言ってましたね。

アラブ世界・イスラム世界で識字率などの教育水準が上がって、人々の遵法意識も高くなれば、コーランの教えやイスラム法を忠実に守ろうとして、原理主義的になる人が増えるのは必然だろうと思います。中世のキリスト教が 「魔女狩り」 や 「異端審問」 を行なっていたのも、当時のキリスト教が原理主義化していたからでしょう。

その後、キリスト教は世俗化しましたが、イスラム教はキリスト教より600年遅く始まった一神教なので、キリスト教のように世俗化するには、あと600年かかるかも・・・?
  1. 2023-03-24 23:09
  2. URL
  3. かんぱち #vF6NeGQU
  4. 編集

>温泉猫さんへ

私は鉄オタなので・・・北陸と京都を鉄道で往復したということは、「特急サンダーバード」 を利用したんでしょうか? 私は関東民なので、乗る機会がないんですが、今のうちに乗っておきたいですね。

「今のうちに」 というのは、北陸新幹線が延伸されるにつれて、特急サンダーバードの運行区間は、逆に短縮されているからです。以前は富山や新潟まで走っていたんですが、金沢以東に北陸新幹線が出来たため、ほとんどのサンダーバードは金沢折り返しになってしまいました。来年春に北陸新幹線が敦賀まで延伸されると、サンダーバードは敦賀折り返しに短縮される予定です。

そのため、敦賀以東では乗り換えが必要になって、北陸 ⇔ 関西の移動は、かえって不便になります。もし温泉猫さんが敦賀以東にお住まいなら、鉄オタの私が言うのもなんですが・・・
北陸 ⇔ 関西には、高速バスや夜行バスもたくさん走っているので、「乗り換えが面倒」 「移動中は寝ていたい」 「早朝に到着したい」 などの人にはバスがオススメです。

はっきり言って、バスのほうが 「高いけど豪華」 なものから 「キツイけど安い」 ものまで、選択肢がたくさんあります。「3列独立シート車」 なら、一つ一つの座席が独立しているので、知らない人と相席になることもありません。

シートタイプ比較表 | 高速バス・夜行バス予約 【バス比較なび】
https://www.bushikaku.net/bustype/

余談ですが、東京 ⇔ 西日本の長距離路線には 「一つ一つの座席が『個室』になっている超豪華バス」 も走っています。

快適すぎる高級バス3選|一度は乗ってみたいラグジュアリー感 | ドットコラム
https://s.kosokubus.com/column/?detail00001

↑このバスは、東京 ⇔ 徳島を走っているらしいです。考えてみたら、今は東京 ⇔ 四国もバスで、乗り換えなしで移動できるんですね。すごい時代になったもんだ。
  1. 2023-03-24 23:11
  2. URL
  3. かんぱち #vF6NeGQU
  4. 編集

>かんぱち様

>特急サンダーバードを利用したのでしょうか

そうです。

>バスがオススメ

実は自分は、列車なら平気だけど、何故かバスには「酔う」のです。
  1. 2023-03-24 23:40
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  3. 温泉猫 #-
  4. 編集

Re: タイトルなし

> 自分も先日、或る本を読みました。
> 前エントリーのコメ欄で、多発性骨髄腫の入院治療の為に京都に行ったのが、風邪でその治療ができない為に帰ってきたことを書きましたが、何しろ地元から京都まで長い時間を要しますから(早朝始発で出て、地元の駅に着いたときは日は完全に落ちていた)、その時間をずっと或る本の読破に使いました。
>
> 本の題名は『女たちのシベリア抑留』(著者/小柳ちひろ:文春文庫)。
> この本は、2014年8月12日にNHKで放映された「BS1スペシャル 女たちのシベリア抑留」の取材をもとに、その製作者の小柳ちひろ氏が書き下ろしたもので、単行本の初版は2019年に文藝春秋社から刊行されたものです。
>
> 大東亜戦争終盤に侵攻してきたソ連軍に捕虜された日本軍兵士・軍属の男たち約60万人の他に、従軍看護婦だった女性の方々も数百人が、同様にシベリア、樺太のラーゲリ(収容所)に抑留され、この本はそのうちの存命していた元従軍看護婦の方々の証言、体験談を著したものです。
>
> 往き帰りの車中の時間が長かったとはいえ、一冊をその乗車時間内に読めるくらい夢中になれる興味深さでしたね。
>
> そして著者が後書きで書いてましたが、単行本を上梓してから2年で、まさか74年前の満州と同じ状況(ロシアによるウクライナ軍事侵攻)が起こるとは思っていなかった、と。
>
> そこで自分の小学生の頃の或る体験談を思い出しました。
> 確か三年生の時だったか夏休みに町内会の子供たちのキャンプが自分の隣町の湖(ブログ主さんは何所だか見当つきますよね)
> で催されたのですが、ちょうど8月15日に重なっていたことからか、夜の食事中の子供たちとの語らいで、引率の大人たちの一人が、自身の子供時代の戦争体験談を始めたのです。 戦争体験談といっても、その人は当事、まだ小学生(国民学校生?)で、しかも国内の地方の小都市にいたから、そんな大層な話しではなかったのですが、その中で憲法9条を持ち出して、「平和を守る大切な法律」と言ったのですが、その直後、或る年配女性(参加者の子供の伯母さんだったかな?)が、こう言ったのです。
> 「法律で戦争が起きないなら、あの時の満州でのアレは何だったのさ!日本とソ連は戦争しない約束(日ソ中立条約)があったのに、ロスケは攻めてきたじゃないか!!」
> 後日、聞いた話しでは、その年配女性は戦中に満州に住んでいて、やはりあのソ連軍侵攻の際に命からがら逃げてきた人だったそうです。
>
> 自分は当事から軍オタ少年でしたが、その時はまだ、三年生という幼さだったせいか、「兵器」に関する興味が殆どだった為、それ以上の興味・関心にはまだ至っておらず、その年配女性に詳しい話しを聞かずのまま、そちらへの興味関心が起きた2年後の五年生の時には、その女性は既に亡くなられた後でした。
>
> 今でもあの時、いろいろ話しを聞いておかなかった事が悔やまれます。

 ワタシも父や母や祖父母など戦争体験者の話をもっと聞いておくべきでした。 今思い出しても、あれをもっとちゃんと知りたいと言う話が多数あります。

 父の同僚の方は戦時中は北朝鮮にいて化学コンビナートの関係で働いていたのですが、敗戦で必死に避難したそうです。 その奥様は普段は手芸などしている上品な奥様の典型みたいな方だったのですが、「あの当時の事は絶対に話したくない」と言っていたそうです。

 ワタシが戦争の話を聞いたのは、子どもの頃だったので、大人は子供がわかる話しかしないし、こっちもちゃんと理解できていないのです。
 本当は大人になってから詳しく聞くべきでした。
 大変後悔しています。
  1. 2023-03-25 11:40
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  3. よもぎねこ #-
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Re: タイトルなし

> 中東に長期滞在した経験もあるゲイの故・ジャックさんのブログ 「ジャックの談話室」 には、御自身の体験談が書いてありましたね。私はそれまで 「アラブ世界・イスラム世界では、同性愛は死刑」 だと思っていたので、衝撃的でした。
>
> ジャックの談話室 | カテゴリ : アラブ・イスラム世界
> https://jack4afric.exblog.jp/i18/
>
> 以前、よもぎねこさんがイスラム教について取り上げたエントリで、私は 「イスラム教の戒律が、やたらと厳しいのは『どうせ誰も守らないから』が前提になっているからでは?」 と書いたことがありますが、私がそう思うようになったのは、ジャックさんのブログを読んだからでした。
>
> また、私はリアルの世界でも、仕事で中東に長期滞在したことのある人から話を聞いたことがありますが、文字どおりの意味で 「オカマを掘られないように気をつけろ」 と言ってましたね。
>
> アラブ世界・イスラム世界で識字率などの教育水準が上がって、人々の遵法意識も高くなれば、コーランの教えやイスラム法を忠実に守ろうとして、原理主義的になる人が増えるのは必然だろうと思います。中世のキリスト教が 「魔女狩り」 や 「異端審問」 を行なっていたのも、当時のキリスト教が原理主義化していたからでしょう。
>
> その後、キリスト教は世俗化しましたが、イスラム教はキリスト教より600年遅く始まった一神教なので、キリスト教のように世俗化するには、あと600年かかるかも・・・?

 今はエジプトでも大学進学率が50%を超えたそうです。 
 だからコーランやイスラム法を厳密に理解できる人も多数いて、そういう人達がムスリム同胞団などで、同胞をリードしているのでしょう。
 
 一方イスラム圏は猛烈な人口増加が続いていて、しかも大学進学率も爆上げでは、大卒の就職は悲惨な状況になっています。 こうした不満がまた原理主義化に拍車をかけているようです。

 しかし原理主義化して男女隔離も厳格化すると、性的には凄いストレスになるのでは?と思います。

 元々イスラム圏が同性愛に寛容だったのは、男女隔離が非常に厳しく、結婚以外に異性との交渉が不可能だったからです。 しかも下層階級は生涯結婚もできなかったのです。

 元来男女隔離が厳しい地域程、同性愛に寛容なのです。
 ところがイスラム原理主義化により、イスラム世界は男女隔離はますます厳しくなり、同性愛も厳禁になりました。

 しかしイスラム教の教理では、一夫多妻ですから、イスラム原理主義団体の指導者など、上流階層は皆複数の妻と妾まで抱えているのです。
 
 イスラム原理主義体制で、下層階級の男性まで全て結婚できるなら、これはこれで「よい」社会ともいえるのですが、しかし経済的社会格差が減少しているとも見えません。

 これだと超ストレス社会になるのでは?と思ってしまいます。
 
 だからワタシはこの体制は結構早々と爆発するのでは?と思っています。
 
  1. 2023-03-25 11:53
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
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Re: >温泉猫さんへ

> 私は鉄オタなので・・・北陸と京都を鉄道で往復したということは、「特急サンダーバード」 を利用したんでしょうか? 私は関東民なので、乗る機会がないんですが、今のうちに乗っておきたいですね。
>
> 「今のうちに」 というのは、北陸新幹線が延伸されるにつれて、特急サンダーバードの運行区間は、逆に短縮されているからです。以前は富山や新潟まで走っていたんですが、金沢以東に北陸新幹線が出来たため、ほとんどのサンダーバードは金沢折り返しになってしまいました。来年春に北陸新幹線が敦賀まで延伸されると、サンダーバードは敦賀折り返しに短縮される予定です。
>
> そのため、敦賀以東では乗り換えが必要になって、北陸 ⇔ 関西の移動は、かえって不便になります。もし温泉猫さんが敦賀以東にお住まいなら、鉄オタの私が言うのもなんですが・・・
> 北陸 ⇔ 関西には、高速バスや夜行バスもたくさん走っているので、「乗り換えが面倒」 「移動中は寝ていたい」 「早朝に到着したい」 などの人にはバスがオススメです。
>
> はっきり言って、バスのほうが 「高いけど豪華」 なものから 「キツイけど安い」 ものまで、選択肢がたくさんあります。「3列独立シート車」 なら、一つ一つの座席が独立しているので、知らない人と相席になることもありません。
>
> シートタイプ比較表 | 高速バス・夜行バス予約 【バス比較なび】
> https://www.bushikaku.net/bustype/
>
> 余談ですが、東京 ⇔ 西日本の長距離路線には 「一つ一つの座席が『個室』になっている超豪華バス」 も走っています。
>
> 快適すぎる高級バス3選|一度は乗ってみたいラグジュアリー感 | ドットコラム
> https://s.kosokubus.com/column/?detail00001
>
> ↑このバスは、東京 ⇔ 徳島を走っているらしいです。考えてみたら、今は東京 ⇔ 四国もバスで、乗り換えなしで移動できるんですね。すごい時代になったもんだ。

 うわ~~!!
 バスが凄い事になっているんですね。
 ワタシは子供の頃バス酔いで散々な思いをしたのでバスは忌避してしまうのですが、しかし今度旅行するならバスも考えてみます
  1. 2023-03-25 11:56
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
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ちなみに前コメで紹介した『女たちのシベリア抑留』の著者の小柳ちひろ氏の、後書きの「上梓してから二年、まさか74年前の満州と同じ状況が起こるとは思わなかった……」ですが、その74年前以降も、ハンガリー動乱やら、プラハの春やら、アフガニスタン侵攻やらと、同様の悲劇は続いていたわけですけど、小柳ちひろ氏は1976年の生まれだそうですから、アフガニスタン侵攻の時(1979年)はまだ幼児だし、それ以前のプラハの春やハンガリー動乱ではまだ生まれていないから、リアルタイムでは知らないので、イメージが出てこないのは仕方ないですかね。



自分の場合、アフガニスタン侵攻は中学1年生の時だからリアルタイムで知っているし、プラハの春やハンガリー動乱は、軍オタ少年でしたから、その頃には「兵器」だけじゃなく、「戦史」にも興味関心を持ち出したから、詳細はともかく、そういう事件が有ったことは知識としては知ってましたけど。
  1. 2023-03-25 23:03
  2. URL
  3. 温泉猫 #-
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そうですか、イスラム教徒も人間の欲望には正直だったんですね。
欧米でもカトリックの縛りから法律で禁止してたとしても陰ではちゃんとゲイは存在していましたから、日本だけが特別寛容だったわけでもないのかなと思います。

それが昨今こんなにややこしい問題になってしまったのは、人権だの多様性だのを盾にしてナニカの利権を得ようとするグループのたくらみでしょう。
そもそもがLBGは性癖だから個人で好きなもの同士楽しめば良いのだし、Tは病気として認定されているのだから差別もへったくれもないはずなのに、やたらに差別だのなんだの問題を大きくして、挙句には、体は男でも女性を自認したら女性とか無茶苦茶言い出すからおかしくなったんです。

ダウ乗船記は私たちにはびっくり仰天異世界の冒険ですが、人間の本質は古今東西変わらないのだとわからせてくれますね。
  1. 2023-03-26 11:02
  2. URL
  3. 月の猫 #-
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Re: タイトルなし

> ちなみに前コメで紹介した『女たちのシベリア抑留』の著者の小柳ちひろ氏の、後書きの「上梓してから二年、まさか74年前の満州と同じ状況が起こるとは思わなかった……」ですが、その74年前以降も、ハンガリー動乱やら、プラハの春やら、アフガニスタン侵攻やらと、同様の悲劇は続いていたわけですけど、小柳ちひろ氏は1976年の生まれだそうですから、アフガニスタン侵攻の時(1979年)はまだ幼児だし、それ以前のプラハの春やハンガリー動乱ではまだ生まれていないから、リアルタイムでは知らないので、イメージが出てこないのは仕方ないですかね。
>
 ハンガリー動乱も朝鮮戦争もホントに印象が薄いですね。 生まれる前の話だから仕方ないと言えばそれまでなのですが、しかし共産主義国家の悪行は殆ど報道されていないのです。

 ワタシの中学にはシベリア抑留経験のある先生がいて、その先生が音楽の先生だったこともあり、授業中にシベリア抑留の話を聞きました。
 しかしシベリア抑留だって、公式には授業で教えられていません。
>
> 自分の場合、アフガニスタン侵攻は中学1年生の時だからリアルタイムで知っているし、プラハの春やハンガリー動乱は、軍オタ少年でしたから、その頃には「兵器」だけじゃなく、「戦史」にも興味関心を持ち出したから、詳細はともかく、そういう事件が有ったことは知識としては知ってましたけど。

 共産主義国家に関わる話は、報道自体が少なくて、いつも漠然としていた印象です。
  1. 2023-03-26 11:07
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2023-03-26 11:07
  2. #
  3. 編集

Re: タイトルなし

> そうですか、イスラム教徒も人間の欲望には正直だったんですね。
> 欧米でもカトリックの縛りから法律で禁止してたとしても陰ではちゃんとゲイは存在していましたから、日本だけが特別寛容だったわけでもないのかなと思います。

 欧米では国や地域により結構差があります。 一応フランスやイタリアは、寛容みたいですが、イギリスやアメリカは不寛容のようです。
 但し男色罪など同性愛を禁止する法は、欧米全部にあったようです。

 ポール・ヴェルレーヌもオスカー・ワイルドも男色罪の逮捕投獄されていますからね。
>
> それが昨今こんなにややこしい問題になってしまったのは、人権だの多様性だのを盾にしてナニカの利権を得ようとするグループのたくらみでしょう。
> そもそもがLBGは性癖だから個人で好きなもの同士楽しめば良いのだし、Tは病気として認定されているのだから差別もへったくれもないはずなのに、やたらに差別だのなんだの問題を大きくして、挙句には、体は男でも女性を自認したら女性とか無茶苦茶言い出すからおかしくなったんです。
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> ダウ乗船記は私たちにはびっくり仰天異世界の冒険ですが、人間の本質は古今東西変わらないのだとわからせてくれますね。

 このLGBT差別反対運動と言うのは、どうもオカシイのです。
 欧米ではこの差別反対運動が起きるまで、同性愛は違法行為だったし、同性愛者やトランスジェンダーに対する暴行・殺人事件も多く、しかもそれを警察が真面目に取り締まらず放置していました。

 だからこれはホントに問題なのですが、しかしそういう問題が解決してからも、運動は暴走をし続けて、今はトランスジェンダーが活動の中心になっています。
 そしてアメリカのリベラル派の強い州や、スペインなどヨーロッパの数か国で、性自認だけで性別を決めて、その決めた性別に従って扱わないと「差別」だと言う事になり、それが法制化されました。

 その為、強姦犯が公判中に「性自認は女性」と言い出し、女子刑務所に収監され、そこで他の囚人を強姦すると言う事件が多発しています。

 勿論、女子トイレや女子更衣室などにも性自認女性の男が入り込んでいます。
 
 一体何でこんなことになったのか?
 しかもこういう法案は、どの国でも驚くべき速さで成立していて、国民が気付いた時は、男が我が物顔で女子トイレに入り込んでくると言う状態です。

 一体何でこんなことになったのか?
 しかもこんな騒ぎは日本ではほとんど報道されていません。

 ホントに不可解で不気味です。
  1. 2023-03-26 11:31
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  3. よもぎねこ #-
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