何で理想の戦争かと言うと、米兵を一人も死なせずに戦争ができて、兵器の性能とか色々試せるからだそうです。
ワタシもそれは全くその通りだと思いました。
この戦争ではジャベリンやハイマースなどアメリカの兵器が色々と供与されて、更にそれとIT技術を組み合わせる事で、これまで想定されいなかった使用法で効果を上げています。
しかも敵は世界第二位の軍隊ロシア軍です。
シリアとかアフガニスタンとかベトナムとかのゲリラや軍隊モドキじゃないのです。
ウクライナを支援している国々は多数あるのですが、この多くが実は戦争から軍事情報を知りたくて支援国になっているとも言うのです。 だって日本もそうですが、ロシアを仮想敵国としている国は多いのです。
そういう国々にとって、この戦争は「宝の山」でしょう?
でもウクライナ側も無料で誰にでも軍事情報を教えてくれるわけもないですから、ウクライナを支援して情報を貰うのです。
そしてウクライナ軍は善戦しています。
5月6月と東部二州での砲撃戦になったころは、随分と苦戦したようですが、しかしハイマース等アメリカからの強力で長射程の火砲が届くと、また戦況が変わりました。
ハイマース自体は新兵器と言うわけではなく、2010年ぐらいからアフガニスタンでも使われた兵器です。
しかしIT情報や衛星写真など駆使して、ロシア軍の弾薬庫や指揮所などの場所を正確に特定し、長射程と射撃の正確さを生かして、そこを集中的に攻撃すると言う使い方など、IT技術の確立した現在だから考えらた作戦ですが、実際にやってみなければホントに効果があるのか?そもそもホントにできるものかもわかりません。
で、今回のロシアのウクライナ侵略戦争では、実際にロシア軍の兵站や指揮所の攻撃に大成功したのですから、ハイマースのスポンサーであるアメリカは、この攻撃に関する情報をしっかりと頂き、今後米軍の作戦に生かすべく分析や考察をするのでしょう。
情報を得ると言う意味ではまさに理想の戦争でしょう。
現在ウクライナには各国からの義勇兵が入っているのですが、ワタシはあの中には情報を得る為に義勇兵を装った正規の軍人も多数入っていると思っています。 だって武器支援と引き換えにウクライナ軍が情報をくれても、やっぱり自分の眼で現場を見て確認したい事は山ほどあるでしょう?
それにしてもホントにウクライナは善戦しています。
ワタシはロシアのウクライナ侵略戦争でのアメリカの支援を見ていて思いました。
「おお、アメリカが初めて助け甲斐のある相手を助けている。」と。
ワタシは安倍総理と同じ1954年生まれですから、ベトナム戦争始め、随分と色々な戦争を見てきました。 その大半が「民主主義を守る為」と言う事で、アメリカが軍事介入した戦争でした。
勿論、アメリカがそんな綺麗ごとだけで軍事介入したわけではないのです。 色々汚い面はあったのです。
しかしベトナム始め米軍が撤退した後、平和になった、その国の人々が安心して幸せにくらせるようになったか?と言えば、それどころではなくむしろ世にも悲惨な事になってしまいました。
だからやっぱりアメリカの支援はそれ自体は善意であったと考えるしかないのです。
その中でも特に印象に残っているのがベトナム戦争です。
ベトナム戦争中、世界中で反戦平和運動なるモノが起きて、その反戦平和運動家達はなぜか北ベトナムや解放戦線に「降伏しろ」とは言わず、アメリカに「撤退しろ」と言い続けたのです。
で、遂にアメリカも撤退したのですが、その直後が無残でした。
膨大な膨大な人々がボートピープルとなってベトナムを逃れ多数の人が海の藻屑になりました。
ベトナムの共産化で「ドミノ理論」通りにカンボジアやラオスが共産化し、カンボジア国民の3分の1が虐殺されました。
共産主義化でベトナムは貧困状態から脱出できず、軍備の近代化もできませんでした。
そのベトナムに中国が侵略の手を伸ばそうそとしました。
中国はアメリカ撤退直後の1974年にベトナム領西沙諸島のベトナム軍守備隊を強襲して全員殺害し、西沙諸島を占領して今に至っています。
そしてその後も、際限もない軍備の拡張と、覇権主義をあらわにして近隣諸国を脅かすようになりました。
ここに至ってベトナムは共産主義経済を放棄して、対中防衛の為にアメリカにすり寄っているのです。
それにしても・・・・こんなことになるなら、何で南ベトナム人はもっと頑張らなかったのか?
ボートピープルとして小型船で海に逃れ、洋上で救助を待つって、戦場で戦うよりはるかに危険なのです。
命がけで逃げるぐらいなら、何で命がけで戦わなかったのでしょうか?
ワタシは凄く疑問でした。
だってベトナム戦争中、アメリカは南ベトナムを共産主義から守る為に最新兵器で武装した大規模な軍隊を送り多数の米兵を戦死させました。
ベトナム戦争時のアメリカの支援体制を見れば、アメリカが必死でベトナムを支援しており、北ベトナムや解放戦線がアメリカ相手に抵抗し続ける事が可能とは誰も思えませんでした。
しかしアメリカに支援してもらうはずの南ベトナム政府軍の方も南ベトナム一般国民も、全然やる気がないようにしか見えなかったのです。
ベトナム戦争中の報道を見てもそうとしか思えなかったし、ベトナム戦争後にアメリカなどに亡命したベトナム人の話を見てもやっぱりそうなのです。
農民などベトナム一般国民にやる気がなったのはわからくもありません。
ベトナムは元々中国と全く同様に皇帝と科挙で選ばれた官僚が支配する国でした。 それが近代になってフランスに植民地化されました。
つまりベトナム一般国民は民主主義社会と言う物を全く体験していません。
そしてフランスから独立したベトナムは初等教育の制度も整える事もできないまま戦争に突入したのです。
だから大多数の国民は「民主主義 何それ美味しいの?」「共産主義 それどんなお化け?」と言う状態です。
それで「民主主義を守る為に命をかけろ」と言われたって、意味わかりません。
しかしボートピープルになるなどして決死の亡命をした連中は、元来富裕層と知識階級でした。
富裕層の多くは華僑で、ベトナム戦争中は戦時中にも拘らず随分と阿漕な商売をやって資本主義の悪弊を庶民に知らしめた張本人でした。
戦時中は儲けるだけ儲けて、我が身に危険が及ぶと、金を持って逃げる事しか考えていなかったのです。
でも一番の屑は知識階級でした。
彼等は口では民主主義の理想を語るのですが、でもその為に血を流して戦うのは米兵かベトナムの庶民だと信じて疑わないのです。
近藤紘一さんの著作で描かれたベトナム人の一人は、元々北ベトナムの大農園主の息子で、北ベトナムが共産化したので南ベトナムに逃げました。
彼はサイゴンで細々と暮らしながら、趣味でショーロホフの「静かなドン」をベトナム語訳するようなインテリです。
彼は常に自分から農園とそこでの優雅な生活を奪った北ベトナムの共産主義を罵るのですが、同時に南ベトナム政府や政府軍のふがいなさも罵り、また南ベトナムの国民を蔑んでいました。
近藤家に招待した時も平然と南ベトナム国民を侮蔑する話をするので、近藤氏の奥さんがブチ切れて「アイツを二度と呼ぶな!!」と言い出しました。
近藤氏の奥さんは南ベトナム人だと言う事は彼も知っているはずなのに・・・・・。
他の南ベトナム知識人も大体この同類です。
共産主義は憎い。
民主主義は素晴らしい。
だからアメリカはもっとちゃんと北へとナムと解放戦線と戦え!!
で終わりです。
ああ、ダメだよ。
こんな連中助けちゃ。
友人知人がこんな奴を助けると言ったら、普通に止めるレベルだよ。
幾らアメリカが頑張っても、ベトナムの運命は結局ベトナム人が決めるしかないんだから、その肝心のベトナム人がこれじゃ、どうしようもないよ。
アメリカのベトナム戦争軍事介入って、頭も悪い、基礎学力もない、何より向学心がなく勉強嫌いの奴を、無理矢理一流校に行かせようと頑張っているみたいな話なんですよね。
ワタシは80年代塾の講師をしているのでこの手の親を一杯見ました。 でもこういう親の努力が実を結んだと言う話を聞いた事がありません。
勿論、一流大学を卒業したらいい事沢山あるんですよ。
だからその為に応援するのは善意なのです。
それでアメリカはそいつの為に学費を出すのは勿論、家庭教師をつける、自分でも勉強を教える、コネを駆使して教師や学校に留年しないように頼み込むみたいにできる事を全やってやったのです。
でも本人が勉強嫌いで向学心がないのではどうしようもないでしょう?
アフガニスタン介入だって同じでした。
あれってもう十字軍の時代に生きる人々に、「狂信はダメ。 宗教の自由を認め、人権を尊重して民主主義国家になりましょう。」と言って、中世からいきなり現代にタイムスリップさせようとして頑張るみたいな話だったのです。
100%善意でやってもこんなの無理です。
ペシャワール会の中村医師だって最後は射殺されたでしょう?
ペシャワール会の農場や病院だって遠からず崩壊するでしょう。 ワタシも昔寄付をしていたので悲しいのですが。
で、こういう無残な話に比べれば、ウクライナは凄い優等生です。
僅かな学費援助をしたら、本人が必死で勉強して全国模試の成績が毎回上がってきたので、今は志望校のランクを上げて医学部を狙っている・・・・ような状況なのです。
まあ、ウクライナとベトナムやアフガニスタンでは元々民度が全然違うのだし、民主主義への認識も全く違うのだからこうなったのです。
こういう一般国民の認識なんて外国がいくら頑張って応援してもどうにもならないんですよね。
親が幾ら応援しても教育しても、向学心のない勉強嫌いの子を勉強を好きにさせて、一流大学に合格させることができないのと同じです。
尤も穿った見方ではありますが、南ベトナムやアフガニスタンの民主派は、アメリカと言う世界最強の助っ人が頑張りすぎたからダメになったとも思える節もあります。
あんまり親が頑張るから益々子供がダメになるって事もあるんですよね。
南ベトナムの民主派も、余りと言えば余りに強力な助っ人がついて、その助っ人があまりに頑張るから自分は何もしなくても全部助っ人がやってくれる、やってくれて当然と思い込んでしまったのかもしれません。
例えば自宅が火事になっても消防車が来て消火を始めたら、自分で消火しようなんて思わないでしょう?
南ベトナム民主派は、消防車と消防士に全部お任せしちゃったのです。
一方ウクライナ人は、消火剤や消火用具は貰えたけれど、消防車も消防士も来てくれないとわかっているので自分達で必死に消火しているのでしょう。
ワタシも青春時代からアメリカがダメな奴を支援しては、骨折り損のくたびれ儲けに終わるのばかり見て来たので、晩年になってこんな支援し甲斐のある支援をするのを見る事になって驚いています。
何とかウクライナには頑張ってほしいです。