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2022-03-28 12:55

ロシアのウクライナ侵略雑感 Z対X

 ロシア軍はウクライナで大変苦戦しているようです。
 その苦戦の原因の一つは、ロシア軍の通信システムにあると言われます。
 
 ロシア軍はウクライナに侵入した直後に何も考えずにウクライナのネット通信インフラを破壊してしまったので、ロシア軍もウクライナでネットが使えなくなりました。

 これに対してウクライナの副大臣が2月26日、ツィッターと書簡でイーロン・マスク氏にスターリンクシステムの提供を要請しました。
 するとイーロン・マスク氏は即受諾し、10時間半後にはウクライナでスターリンクシステムのサービスを開始し、10時間後にはサービス利用に必要な端末のウクライナへの配送を開始しました。

 ウクライナでスターリンク衛星通信が提供開始 イーロン・マスクへの要請からわずか10時間半で ニューズウィークジャパン 3月1日

 このニュースは2月26日から世界に配信されていましたが、ワタシはこの種のハイテクには疎い方なので、この重要さがよくわかりませんでした。
 その後拾った情報から考えるとこれは大変な話です。

 まずスターリンクシステムですが、これは低高度の軌道を回る衛星を使ったインターネット配信システムで、低高度の衛星を沢山使う事で、これまで衛星を使ったインターネットに比べると遥かにスムーズにインターネット通信ができます。
 衛星を使うので、戦争や災害で光ファイバーの回線が切れる言う事もありません。

 それで多くの企業がこのシステムを利用したインターネットサービス事業を計画していますが、現在実際にこの事業を行っているのはイーロン・マスク氏のスペースX社一社なのです。

 これを利用するには専用の端末やアプリが必要なようですが、イーロン・マスク氏はウクライナ側の要請から10時間半でこの端末の大量配送を開始し、56時間後にはウクライナ側で利用可能になりました。
 これで現在ウクライナでは必要なインターネット通信は完全に確保されている状態です。

 お陰でウクライナ側ではほぼこれまで通りのインターネットサービスが続いており、国民が自国のみならず世界中から情報を得られる状態です。
 またウクライナでは民間人が民生用のドローンを使って、ロシア軍の情報を集め、それを軍に提供するようなことも行われているのですから、こうした情報の提供にも非常に有効でしょう。

 情報は戦争遂行には極めて重要なのですが、国家間の戦争においてその情報伝達の手段を一企業が簡単にになってしまうというのは、人類史上初めてです。

 因みにイーロン・マスク氏がこれほど迅速にスターリンクシステムを提供できたのは、イーロン・マスク氏の決断力とアメリカ企業ならでは意思決定に早さも大きな理由でしょう。
 しかし技術的も非常に簡単で、しかも経済的にも大した負担でなかったことも大きな理由でしょう。
 
 実はスターリンクシステムは既にヨーロッパ全域でサービスを行っており、ウクライナの隣国ポーランドでも2021年9月からサービスを開始しています。
 衛星を利用したシステムで、既にポーランドで使用中と言う事ですから、衛星のキャパに余裕があるなら、ウクライナでのサービスを開始するかどうかは、問題はウクライナで営業体制を作って利益が出るかどうかと言う事だけです。

 因みにこのスターリンクシステムの利用料は月額99ドル、入会時に495ドルとかで、一般のインターネット利用料に比べるとかなり高めです。
 だから加入するのは企業や公共機関など、コストより安全性を重視する所だけでしょう。

 今回スペースX社がウクライナから料金を徴収しているのかどうかわかりません。
 尤も戦時と言う事で無料提供しても、宣伝効果を考えたら十分元が取れると踏んだのかもしれません。 
 だって戦争が終わるまで数カ月間、無料でサービスを提供すれば、戦後もウクライナの公共機関や企業はずうっとスペースX社のスターリンクシステムを使ってくれます。 ロシアが隣にある限り、ロシア軍から攻撃されない通信手段の確保が絶対に必要だからです。
 これだと日本のインターネットプロバイダーが皆やっている「キャッシュバック」を出したのと同じレベルです。
 それで世界中から大絶賛されるんだから、宣伝効果も抜群です。
 
 なるほどイーロン・マスク氏って迅速にこういう決断をして、行動を移せる人だから一代で大富豪になったのですね。

 しかしこれってホントにすごい話です。
 だって世界第二の軍事大国が、情報通信の破壊作戦を一企業に阻止されたのですから。
 しかもその一企業にとってそれが企業の命運にかかわるとか、存亡をかけているそういうレベルでもないのです。
 
 スペースX社が無償でウクライナにスターリンクサービスを提供したとしても、これってスペースX社からすれば、日清製粉がポーランドに難民支援の為に大量のカップヌードルを提供したのと似たようなレベルでしょう?

 ロシアにもロシアの同盟国にもこんな企業はありません。
 ロシアとその同盟国の政治・経済システムでは、情報通信に限らず世界を変えるような重要な技術を持つ企業は生まれなかったのです。

 自由経済と言うのは色々な弊害もあるのですが、やっぱりすべて国民が自由な経済活動を行う事から、こうした企業が生まれ技術が生まれるのです。
 アメリカと言う国はその自由を最大限重視しているので、自動車産業や鉄鋼産業などが衰退しても、こうした産業が次々と生まれて経済は成長し続けているのです。

 そしてこうした自由な経済活動から生まれて技術は、そのまま軍事技術に転用されます。 それがまた次々と高性能な兵器を産み、強大な軍隊を維持する事になるのです。

 更にアメリカは自由な経済、自由で開かれた国家であることから、同様に自由な経済、自由な開かれた国家と強い同盟関係を持つ事ができます。 
 その為、同盟国からも軍事技術や物資を調達できるのです。

 例えば米軍の戦闘機に使われているカーボンファイバーは、日本企業が作っています。 実は戦闘機にカーボンファイバーを使うというアイディアも日本が生んだのです。
 因みに光ファイバーと光通信も日本初の技術です。
 
 一方、こういう企業を生み出す事のできないロシアは、独自こういう技術を持つ事はできません。 勿論これらの軍事利用もできません。
 そこでロシアはこうした技術をコソコソと盗んで使うのですが、盗みは所詮盗みです。 そして法は勿論条約も全く無視して自国の国益だけを追求する姿勢の為、まともな国とは同盟できません。
 だから今回の経済制裁のようなことが起きると、軍事物資の調達にも苦労する羽目になります。
 
 これにはソ連時代にもずいぶん懲りたはずなのに、ロシアは未だにこれを学んでいないのです。 
 と言うより、自分の権力を維持したければ、自国民に自由な経済、自由な社会を与える事ができないのでしょう。

 それで結局、世界第二位の軍事力を持っているはずが、交戦国の情報通信手段の破壊と言う戦争遂行上非常に重要な作戦を、相手国の友好国の一企業に阻止されて失敗するという無残な結果になりました。

 はスペース社に惨敗したのです。

 こんな状況ではロシアが勝てるはずもないでしょう?

 バイデン大統領はこの戦争を「権威主義との闘い」と言っていますが、正に権威主義体制では、絶対的に自由主義体制には勝てないという事の象徴ではありませんか?



 因みに、戦争ではどんな場合も双方でプロパガンダ合戦になります。
 このプロパガンダでもロシアは完全に劣勢です。
 それはGAFAが全部アメリカ企業で、それが全部ウクライナ側についていて、コイツラはロシア側有利な情報を「偽情報」として、そういう情報を発信する人達のアカウント停止までやっているのです。

 本来こうした企業は中立的な立場をとるべきだとは思うのですが、そもそもアメリカ企業なのだからロシア側から文句が言えた義理でもないのです。

 それに対してロシアがやっているのは、テレビ局に工作して橋下徹などにロシア擁護の発言をさせる事ぐらいです。
 テレビや新聞を抱え込むというのは、冷戦時代からの古典的な情報操作ですが、現在の社会ではあまり効果はありません。

 こういうのを見ていると結局プーチンと言う人は、現在の情報空間を全然理解しておらず、自分がKGBに努めていたころの冷戦時代そのままのやり方で、ウクライナとのプロパガンダ合戦に勝てると思っていたのではないでしょうか?

 こういうのを見ていてもロシアは到底勝てそうにありません。
  1. ウクライナ
  2. TB(0)
  3. CM(4)

コメント

いろいろ読ませて頂いての雑感

昔の日中戦争の焼き直しを見ているように思います。
ロシアは世界的にハブられ、世界から武器などをもらい、ゼレンスキーは世界中で演説で人を動かしている。
歴史に敏いタイプの日本人なら、援蒋ルート=ウクライナへの欧米の支援。
ロシアへの経済的制裁=日本への経済的制裁
蒋介石の奥さんの演説=ゼレンスキーの演説
構造は似てないか?
それだけで、かなり背筋が寒くなるでしょうね。
下手したらプーチン大統領は、東條英機やムソリーニになりかねないです。
  1. 2022-03-28 21:46
  2. URL
  3. Suica割 #ENLDOnSQ
  4. 編集

Re: いろいろ読ませて頂いての雑感

> 昔の日中戦争の焼き直しを見ているように思います。
> ロシアは世界的にハブられ、世界から武器などをもらい、ゼレンスキーは世界中で演説で人を動かしている。
> 歴史に敏いタイプの日本人なら、援蒋ルート=ウクライナへの欧米の支援。
> ロシアへの経済的制裁=日本への経済的制裁
> 蒋介石の奥さんの演説=ゼレンスキーの演説
> 構造は似てないか?
> それだけで、かなり背筋が寒くなるでしょうね。
> 下手したらプーチン大統領は、東條英機やムソリーニになりかねないです。

 全くその通りだと思います。

 プーチンは「ウクライナはロシアの生命線」と言う事で、ウクライナの確保を目指したのですが、これは「満州は日本の生命線」と言って満州支配を目論んだ日本と同じです。
 
 だから左翼、自称平和主義者達がプーチンを擁護するのを見ていると笑えます。
 だったら日本のやったこと何も悪くないじゃん!!
 何でオマイラ非難し続けたの?

 しかしマジに21世紀に、自国の安全保障上の為でも、他国を侵略支配する事なんて許されるはずもありません。
 だからロシアが袋叩きになっているのですが、プーチンは理解していないようです。
 
 
  1. 2022-03-29 09:46
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

イスラエルは国力が小さいから、戦争が長期化すると破産してしまうので、短期決戦が大原則です。そのために攻撃目標を事前に調べ上げ、念入りに下準備をした上で、計画的に戦争をしているのです。中東戦争を経験したイスラエルの元退役大佐は、「早く終わってくれ」と気が気ではなかったと回顧していますが、国力の小さい国の戦争は時間との戦いでもあるわけです。
今回のロシアは短期決戦のために必要な下準備、計画、外交的な根回しや世論工作など一切やっておらず、まるで司令塔が存在していないような戦争の進め方をしており、むしろ意図的に長期化させているかのようにさえ見えます。
戦争中、ドイツにいた日本の外交官によると、ドイツの正統派軍人たちは、顔を合わせるたびにヒットラーの悪口ばかり言っていたそうです。ヒットラーも戦争後期になると、判断力の衰えに加え、周囲が茶坊主ばかりとなって正面から意見する人がいなくなり、思い付きで采配を振るうものだから、現場は相当振り回されたらしいのです。これでは、ドイツ軍が本来の力を発揮できないのも道理です。
現在のロシアの司令塔の存在しないような戦い方は、これに相当するようで、プーチンも末期に来ていると思います。
  1. 2022-03-29 14:02
  2. URL
  3. 名無しの権兵衛 #9PvOH.Us
  4. 編集

Re: タイトルなし

> イスラエルは国力が小さいから、戦争が長期化すると破産してしまうので、短期決戦が大原則です。そのために攻撃目標を事前に調べ上げ、念入りに下準備をした上で、計画的に戦争をしているのです。中東戦争を経験したイスラエルの元退役大佐は、「早く終わってくれ」と気が気ではなかったと回顧していますが、国力の小さい国の戦争は時間との戦いでもあるわけです。
> 今回のロシアは短期決戦のために必要な下準備、計画、外交的な根回しや世論工作など一切やっておらず、まるで司令塔が存在していないような戦争の進め方をしており、むしろ意図的に長期化させているかのようにさえ見えます。
> 戦争中、ドイツにいた日本の外交官によると、ドイツの正統派軍人たちは、顔を合わせるたびにヒットラーの悪口ばかり言っていたそうです。ヒットラーも戦争後期になると、判断力の衰えに加え、周囲が茶坊主ばかりとなって正面から意見する人がいなくなり、思い付きで采配を振るうものだから、現場は相当振り回されたらしいのです。これでは、ドイツ軍が本来の力を発揮できないのも道理です。
> 現在のロシアの司令塔の存在しないような戦い方は、これに相当するようで、プーチンも末期に来ていると思います。

 現在ロシア軍にはウクライナとの戦闘を統括する司令官とか司令部が存在しないという説があります。 またロシア軍の首脳達さへ今回の侵攻計画を知らされていなかった言う説まで出ています。

 兵士だけではなくロシア軍の首脳達も、ウクライナ国境で演習をやるだけと思っていたのかもしれません。
 だから無線等の装備の不備もあんまり気にしなかったのでしょう。

 本来ロシアの国力を考えたら、ウクライナと戦争をするなら、国家総動員態勢が必要なのに、そもそも一般国民にはこれを「戦争」とさへ報道していません。
 
 ロシア人の大多数はウクライナ人の親戚や友人がいると言われますから、ウクライナと戦争をするなどと言えば絶対に支持されない事をプーチンも理解していたのでしょう。

 ホントにこれは完全に破綻するしかない計画だったと思います。
 だからロシア軍の幹部にさへも秘密裏に決行したのでしょう。

 ヒトラーの方がマシでした。
  1. 2022-03-30 13:24
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

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