配信 共同通信
出版社の宝島社(東京)は22日、「国民は、自宅で見殺しにされようとしている。」と政府の新型コロナウイルス対策を批判する見開きの企業広告を、全国紙3紙の朝刊に掲載した。
掲載したのは日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞の22日付朝刊。汚れて捨てられたようなクマのぬいぐるみの写真と共に「今も、ひとりで亡くなっている人がいる。怒りと悲しみでいっぱいになる。この国はいつから、こんなことになってしまったのか。」と訴え、医療現場が厳しい状況に追い込まれた対策の在り方に、疑問を投げ掛けた。
宝島社は1998年から、社会的なメッセージを前面に出した新聞広告を掲載している。
何ともおどろおどろしい広告ですが、しかし完全に一か月遅れです。
「自宅で見殺しにされる」という言葉に人々が反応したのは、8月中旬までの話でしょう?
この時期は感染者数が激増していて、病床が逼迫しました。 それで8月3日には菅総理が軽症者は原則自宅療養の方針を出したのですが、マスコミと左翼はこれを「国民を見殺しにする!!」と大騒ぎしました。
だから宝島社もこの時期に、これに便乗した特集号を出版して一儲け♪を期待したのでしょう。
こういうのを見ると、こうしたメディア関係者が、いかに科学リテラシーに欠けるが良くわかります。
なぜなら自宅療養が大問題になった時期には、既に実行再生産数がピークアウトしており、その後順調に下がり続けました。
菅総理は8月29日の記者会見で「光は見えた」と仰ったのですが、この時期実効再生産数は0.98と1を割りました。
感染者数も8月20日がピークでその後減少しています。
実効再生産数が順調に下がり続けて1を割ったのですから、今後感染者が減少に向かう事は中学生でもわかります。
ところがこの時、宝島社が広告を出している新聞3社はじめ、多くの新聞テレビは「光なんか見えない!!」と言って、キチガイのように菅総理を非難しました。
でもホントにコイツラには見えなかったんでしょうね?
だってこんな雑誌が特集号の出版を計画してから、実際に販売できるようになるには一か月ぐらいはかかるんでしょう?
でも大枚の経費をかけて編集し製本し更に高額の広告費を出して宣伝しても、その時に肝心の感染が終息していたら売れないじゃないですか?
これはこの手の弱小出版社には大きな痛手じゃないですか?
宝島社に最低限の科学リテラシーがあったら、実効再生産数が1を割った時点で、こんな特集号の出版計画は中止したでしょう。
しかし宝島社は実効再生産数が既にピークアウトした時点で、この特集を出すという決定をして、その後実効再生産数が順調に下がり続け、更に感染者も激減し始めてからも、この特集号出版に向けての作業をつづけたのです。
そして22日、遂に大々的に広告を出したのです。
一方22日発表の全国の感染状況は以下の通りです。
8月中旬までは全国の都道府県が全てステージ4の紫色だったのですが、しかし現在はもう東京・大阪・名古屋の三大都市圏周辺と、沖縄を除いて全てステージ3以下になりました。
しかも完全に感染終息状態と言えるステージ1の県も増えてきました。
全国で感染者数が先週に比べて半減しています。
首都圏や大阪や愛知など感染者が多かった都府県の減少率が高いのもうれしいです。
唯一島根県だけが増えているのですが、これは島根県では21日に全県で10人だった新規感染者が22日11人になってしまったからです。
さすがにここまで感染者の絶対数が減ってくると、完全にゼロになるまでは、実効再生産数も減少率も不安定になってきます。
これをみると、感染症って非常に少なくなっても完全にゼロにするのは、まず不可能という事がわかります。
当然ですが病床にも余裕が出てきました。
全国の都道府県の殆どで病床使用率が100%を割りました。
最悪の愛知県でも実は非常なハイペースで要治療の感染者が減っています。
今回の第5波の特徴は、デルタ株の強力な感染力の為に、感染者数がこれまでの波をはるかに超える数になったばかりではなく、島根県や秋田県などこれまで感染者数が僅少で、緊急事態宣言等の対象になったことのなかった地域までが、ステージ4レベルになったことです。
更に感染がこのように首都圏から地方に拡大していく過程で、東京がピークアウトしてからも愛知県や大阪府では感染が増え続けて、感染者数が東京を超えるという事態にまでなったことです。
つまりデルタ株による感染は全国津々浦々を完全に制圧したのです。
しかしこのようにすざましいデルタ株ですが、しかし感染の減少もまた驚くほどのハイペースなのです。
しかも第1波から第4波までの波の形状をみる限り、波は減少に入ると至ってスムーズの減衰しています。 更に第5波の場合はワクチン接種の進捗という感染の減少要因があるので、一旦波が減衰し始めたら、その後の感染者減少のペースがこれまでの波以上に早くなることは十分に予想可能なのです。
しかし宝島社もまたこの広告を掲載した大手紙三社も、データから先を予想するという能力は全くありませんでした。
だから感染者が増えて病床が逼迫し始めたら、今後は永遠に病床逼迫が続くと信じて、こんな煽り報道の特集号の発行を決断して、そのまま頑張って発行にこぎつけたのです。
ご苦労様でした。
今回のコロナパンデミックはこうしたメディアの科学リテラシーを評価する良いチャンスでした。
どれだけ売れるか楽しみですね。
ところでマスコミと左翼が騒ぎ続けた5波ですが、過去のどの波より感染者数は多かったのに、死者数ははるかに少ないのです。
実は第5波での感染者・重症者・死者について大阪府が年齢別に詳しく分析しています。
但しここで使われたデータは9月6日までです。 大阪府は感染の収束が東京などより遅くなっているので、第5波は完全に収束したとは言えません。
しかし死者数と重症者数は完全にピークアウトしているので9月6日から現在までに死者や重症者が激増したとは考えられません。
そこでこのデータを元に所謂「医療崩壊」「自宅で見殺し」という事実があったかどうかを考察しています。
まず非常に簡単な事実として第5波の死者数・重症者数は、第3波、第4波に比べて少ないです。
感染者数 重症者数 死者数
第3波 36065人 1148人 938人
第4波 53138人 1757人 1536人
第5波 79186人 663人 128人
第5波では第4波に比べて死者は10分の1以下に、重症者も3分の1に減っています。
感染者数の総数は第5波の方が第4波の1.5倍にもなるのにです。
年齢別の死者数、感染者数をみると、第5波では高齢者の感染者・重症者・死者が激減しているのがわかります。
これは明らかにワクチンの効果です。
50歳以上 感染者数 重症者数 死者数
第3波 15155人 1279人 920人
第4波 12950人 1200人 1440人
第5波 5409人 226人 100人
デルタ株が本格的に感染を拡大する直前というタイミングで高齢者のワクチン接種が進んだ事で、ワクチンの効果が最大の状態でデルタ株を迎え撃つ事ができたのです。
しかし年齢別の重症者と死者数を見ればわかりますが、実は50代以下の世代でも、死者・重症者は減っています。
50歳以下 感染者数 重症者数 死者数
第3波 29010人 201人 18人
第4波 42368人 557人 96人
第5波 73777人 457人 28人
9月6日以前なら50代以下の世代のワクチン接種率はほぼゼロですから、ワクチンの効果は期待できません。
実際、50代以下の感染者数は、第4波の1.8倍にもなっています。
デルタ株については、感染力が従来株の1.87倍であるばかりか、重症化率や死亡率も従来株よりはるかに高いという研究結果が出ています。
大阪での感染者数をみる限りは、感染者数はこの論文通りに増えています。 特に50歳以下の感染者数は第4波の1.8倍ですから、キッチリ論文通りです。
しかし50代以下の死者・重症者も、第4波より少ないのです。
ワクチンを接種していない世代でも実は死者・重症者が、減少しているのです。
第5波ではNHKはじめ多くのメディアが「若年層の重症化が増えた」と騒ぎましたが、実際には50歳以下の死者・重症者共に第4波よりはるかに少ないのです。
あれ一体何だったんでしょうね?
感染者数は激増していながら死者と重症者が減ったのですから、致死率、重症化率も激減した事になります。
重症化率を比較すると、第5波では高齢者の重症化率が非常に下がっただけでなく、50代以下の重症化率も実は第4波よりかなり低いのです。
そして致死率は更に下がっています。
更に重症化率と致死率を重ねてみると、重症者致死率つまり重症化した人が死亡する割合が激減している事が見て取れます。
50歳以下 感染者数 重症者数 死者数 重症者致死率
第3波 29010人 201人 18人 8.9%
第4波 42368人 557人 96人 17.2%
第5波 73777人 457人 28人 6.1%
これは一体どういう事でしょうか?
感染者が激増して医療が崩壊したのであれば、ワクチンを接種していない世代で重症化率が下がるはずはないのです。
また重症化した人が死亡する率は上がるはずなのです。
因みに要治療者数のグラフを見る限り、大阪では第5波の殆どの期間、病床使用率が100%を超えていてました。 大阪の病床使用率が100%を割ったのは実は昨日からなのです。
だからこの時期、大多数の感染者は自宅待機を迫られました。
この状況ですから、自宅待機中の感染者の重症化する率は上がり、重症化しても入院治療も受けられないので重症者が死亡する率も上がるずです。
新聞やテレビの報道通り「医療崩壊」して「自宅で見殺し」になっていたはずなのです。
しかし現実にはワクチンを接種していない世代も、重症化率は下がり、また重症化してしまった人が死亡する人も大幅に減っています。
これはつまり大阪では、自宅療養中の感染者にも適切な治療が行われていて、自宅療養中の人が重症化することを防ぐ事ができたとしか考えられません。
またそれでも重症化した人の入院治療も適切に行われたので、重症化した人が死亡する率も減ったとしか考えられません。
つまり医療崩壊なんか起きなかったし、自宅で見殺しになった人など皆無だったのです。
しかしこれも当然でしょう?
何よりもまず第5波ではワクチンの効果で死者と重症者の9割を占めていた高齢者の重症化率が激減しました。
それで重症者の絶対数が減ったのです。
医療に一番負担がかかるのは重症者の対応ですから、その重傷者の絶対数が激減したのなら医療の負担も激減するはずです。
一方この病気では若い人が重症化する率は高齢者の20分の1以下なのです。
第5波の感染者数は第4波の1.5倍に過ぎませんでした。
これだと高齢者がワクチンで守られたら、重症者の絶対数は激減して、医療負担は激減するとしか考えられません。
だから自宅待機中の人は適切な治療を受けられて、多くが重症化せずに治り、運悪く重症化した人は速やかに入院して十分な治療を受けられる状況だったので、重症化した人の死亡率も下がったのです。
実は大阪府は第4波の時に、軽症者を安易に入院させて、無意味な病床逼迫をやらかしています。 それが第4波の致死率を上げた可能性が高いです。
それで第5波ではこの反省で、軽症者を安易に入院させず、病床を確保しておく方針に切り替えました。
これで感染者が激増する中でも、入院が必要な人は入院できる体制を確保したのです。
高齢者はワクチン接種で感染と重症化を防ぐ。
若年層は安易に入院させず入院が必要な人の為に病床を確保しておく。
大阪の場合はこの二本立てが上手く機能したので、デルタ株の強力な感染力と毒性にもかかわらず結局、全世代で死者・重症者を減らしたのです。
しかしこの傾向は別に大阪だけではありません。
第5波での感染者数はこれまで最大であったにもかかわらず、死者はこれまでより著しく減っているのです。
そして第4波では2%を超えていた致死率は、第5波では0.2%にさがりました。
これは世界でも最低レベルです。
因みにインフルエンザの致死率は0.1%です。
第4波まで重症者の9割を超えていた高齢者の感染と重症化がワクチンで阻止できたのですから、医療に余裕が出るのは当然でしょう?
だからワクチン未接種世代の医療が確保できたのです。
だったら新聞テレビが騒ぎ続けた「医療崩壊」「自宅で見殺し」って一体何だったのでしょうか?
ワタシはあれは唯のバカ騒ぎ、根拠のない煽り報道だったと思っています。
確かに8月一杯、新聞やテレビは「自宅療養中に死んだ」「救急搬送が間に合わなかった」「入院できない!!」などと「医療崩壊」を煽り続けました。
しかしその期間に国の補助金が出ていたコロナ病床にかなりの空床があったことや、東京医師会会長の病院はじめ「医療崩壊するから自粛しろ!!」と煽り続けた医師達の病院が実はコロナ患者の治療を拒否していた事などは全く報道してきませんでした。
新聞もテレビも、コロナ患者を積極的に受け入れている特定の病院にだけ押し掛けて、「病床が満杯」「医療関係者が大変な苦労をしている」と騒いだのですが、しかし大多数の病院がコロナ患者を受け入れていないばかりか、コロナ患者を受け入れるという事で、補助金を得ていた病院の病床さへ半分空いていた事は報道しませんでした。
なるほど救急搬送に時間がかかった人も沢山いたでしょうし、自宅療養中に亡くなった人も沢山いました。
しかしそもそもこの50代以下の場合、最悪時でも重症化率は3%以下なのですから、自宅療養を基本にするのが正解なのです。
それでも感染者の絶対数が増えたら、中には必ず非常に不運な死に方をする人たちは出てくるのですが、しかしそれでコロナ医療全体が崩壊していたというのは、明らかにオカシイのです。
救急搬送の遅れで死亡することなど、コロナパンデミック以前でもありましたし、自宅で孤独死する人も常にいるのです。
しかし普段はそれを持って「医療崩壊」とは言いません。
けれども今回のコロナパンデミックでは、特に第5波ではマスコミ各社はこれらの偶発事故をすべて「医療崩壊」として報道したのです。
彼等はそれでオリンピックを中止させ、政権交代をさせたかったのでしょう。
しかしこうした悪意以前に、新聞にもテレビにもそして宝島社など出版社にも、実はデータを読んで先を見通すという能力が欠如していたのです。
だからこれから実効再生産数がピークアウトして順調に減少し続けていても、感染者数が増えていれば、感染感染拡大は続くのだと信じて「自宅で見殺し」なんて特集号を発行を決めるんですね。
実際に店頭に並ぶ頃に感染が終息していたら、大量に売れ残るばかりか、自分達の先見性のなさを証明する証拠になるのに・・・・・。
この特集号の売れ行きがホントに楽しみです。