見事なやり取り。
記者:あなたは欧米のイスラモフォビア(イスラム差別)をこれほど批判しているのに、なぜ中国のウイグル人ジェノサイドについては口をつぐんでいるのか
パキスタンのカーン首相:私は私の国境で発生していることに集中したい
記者:これはあなたの国境で発生していることですよ
そうなんです。
パキスタンって中国とは国境を接しているのです。 だからウィグル人の虐殺は自国の直ぐ傍で起きている事なのです。 自国にとっても十分な脅威なのです。
それに比べたらイスラエルなんて遥か遠方だし、欧米なんかその更に更に先で、さしあたりパキスタンには何の脅威にもなりません。
しかしホントに不思議です。
パキスタンに限らずイスラム諸国の首脳は揃って、欧米のイスラムフォビアは猛烈に非難するし、また反イスラエルを叫ぶのですが、しかし皆揃って中国共産党によるウィグル人のジェノサイトには沈黙しています。
それでもカーン首相のような為政者が、中国を非難できないのはわからないでもありません。
だってイスラム諸国はどこも経済的にも軍事的に脆弱です。
強国アメリカのようなわけにはいきません。
しかし一般国民、特にイスラム諸国で台頭している原理主義者達は、なぜ中国を非難しないのでしょうか?
彼等は文字通りの「原理主義者」ですから、コーランやイスラム法などイスラム教の聖典の言葉を一字一句そのまま実践しようとしているのです。
それで自爆テロなどと言う事まで行っているのです。
イスラム諸国でも政府は自国内のテロは厳しく取り締まっているし、テロを扇動するような団体は容赦なく弾圧しています。
それでもイスラム原理主義団体を支持するのは、まして自爆テロなんてモノを実践するのは、余程純粋な信仰があってのことだとしか思えません。
だったら彼等は世俗の国益など無視して、純粋に信仰の敵と戦うはずでしょう?
その場合まず怒るべきは、西欧諸国やイスラエルなんかではなく、まずは中国のはずでしょう?
だって今現在、中国ではイスラム教徒が抹殺されようとしているのです。
モスクが破壊されて、イスラム教徒全てが中国から消されようとしています。
これはもう中国からイスラム教を消滅させようとしているのです。
そしてイスラム教徒の地をすべて奪おうとしているのです。
こうした中国のやり方の悪辣さは、イスラエルのパレスチナ政策なんかとは比較にもなりません。
イスラエルは建国に当たって、そこに居住していたパレスチナ人とはもめたけれど、パレスチナ人の人権はきちんと守っています。 またパレスチナ国家の建国も提案しています。
けれども中国はウィグル人を完全に抹殺して、ウィグルという国も、またウィグル人という民族も、最初からこの世に存在しなかった事にしようとしているのです。
例えばパキスタンの場合、それが自国の直ぐ傍で起きているのです。
これが他人事で済むのでしょうか?
しかしなんか他人事なんですよね。
このカーン首相の口ぶりからみても、そしてカーン首相だけでなく一般パキスタン人も、パキスタンのイスラム原理主義者も、実は中国共産党政権によるウィグル人虐殺にはそれほど腹を立てているようにも見えないのです。
パキスタンだけでなく中東やアフリカのイスラム教徒一般も、またイスラム原理主義者のテロリストも、実はウィグル人のことなんかどうでもよいとしか思えないのです。
だって連中は、ヨーロッパの雑誌がイスラム教徒を風刺した絵を掲載しただけでも、狂乱して暴動のようなデモをやるくせに、イスラム諸国でウィグル人虐殺に対する抗議デモが起きたなんて話は聞いた事もありません。
今やイスラム諸国にもスマホやパソコンが普及しています。
それ故にこそ7世紀のアラビア語で書かれたコーランやイスラム法の意味が、イスラム世界全体に広く共有されて、それがイスラム原理主義の原動力になっているのです。
だったらウィグル人虐殺に関する情報だって、知られないはずはないでしょう?
ところが中東やアフリカのイスラム教徒の怒りは、なぜかイスラエルには向くけれど、中国には向かないのです。
それどころか欧米在住のイスラム教達も、なぜかイスラエルやアメリカに向かい、ヨーロッパに向かいはしても、中国には向かわないのです。
日本在住のイスラム教徒もウィグル人のことはどうでもいいみたいですね。
コイツラ、土葬用の墓を作れとか、給食に豚肉を出すなとか、日本に暮らしながら勝手な事を言いまくっているのですが、しかし「ウィグル人を助けてほしい」とは言いません。
「ウィグル人を助けてほしい」というのは、ウィグル人だけで、他のイスラム教徒は冷笑主義とでもいうべき無関心さです。
尤も日頃「人権が~~!!」と言ってる自称人権派も全く無関心なんですけどね。
例えばアメリカの民主党の下院議員にイルハン・オマルというのがいます。
コイツはソマリア出身のイスラム教徒なのですが、アメリカで下院議員までなりながら、ひたすらアメリカとイスラエルを非難しているのです。
オマエなあ!!
オマエ、イスラム教徒だった少しはウィグル人のことも考えてやれよ!!
オマイはアメリカにいるから、議員にまでなって「多様性が~~!!」とか好き勝手な事ほざいてられるけど、同じイスラム教徒のウィグル人は家の中でお祈りするのも命がけなんだよ。 そしてお祈り止めてもやっぱり殺されそうになっているんだよ。
そんな話の証拠、アメリカ議会にも一杯出ているだろう?
だったら「イスラエルが~~!!」なんて言う暇があったら、「中国が~~!!」って言えよ!!
コイツ、ホントに何考えているんだろうか?
ワタシはホントに不思議です。
民主党の支持者とか、アメリカの人権活動家とかで、この件についてコイツにこれ聞いた人いるんでしょうか?
ワタシは英語ダメ子だからアメリカの情報には疎いんですが、なんか全体の雰囲気を見ていると、反イスラエル・反米で燃え上がるイスラム教徒に対して、これについて聞くのはタブーみたいなってませんか?
というか、そもそもイスラム教徒全体が、実はウィグル人の命や信仰なんかには欠片も興味がないんじゃないですか?
だってホントに欠片でもウィグル人に共感や同情心を持っているなら、イスラム教徒の中からウィグル人のジェノサイトに抗議をしてくれたアメリカ等などの国に対して感謝の声がでるはずです。
でもそういう声も聞いた事がありません。
ワタシがイルハン・オマルだったら、2019年にトランプ大統領やペンス副大統領が中国非難を鮮明にしてくれた時に、感謝して土下座しちゃうけどね。
勿論アメリカ始め西欧諸国の中国非難は純粋にウィグル人だけの為ではありません。 いやむしろこれを中国を追い込む手段として利用しようという下心が見え見えです。
それでもやはり本当に同じ信仰を持つ身ならば、とにかく中国に対して非難の声をあげてくれる事には感謝するべきじゃないですか?
だって他に中国に対して声をあげてくれる人はいないのだから、とにかく声をあげてくれる人に感謝するしかないのです。
ところが連中は感謝するどころか、反米・反西欧でテロまでやっているのです。
こういうのを見ていると、実はイスラム教徒の反西欧、反米、反イスラエルって、実は信仰には全く関係ないんじゃないかと思います。
そもそもイスラム教徒としての連帯なんて最初から完全な嘘っぱちでしょう?
イスラム教徒によるテロや暴動など、暴力行為の本質って、実は信仰でも何でもなくて、欧米やイスラエルの豊かさへ嫉妬と怨嗟じゃないですか?
これは以前「こんな事で憎まれては堪らない!!」というタイトルでエントリーしましたが、池内恵の著書「中東危機の震源を読む」の中に、イスラム原理主義団体の嚆矢であるイスラム同胞団の創設者ザイィド・クトゥブのアメリカ体験が紹介されています。
この男はエジプト独立直後にアメリカに国費留学して、なぜかロッキー山脈の奥にある小さな街で暫く過ごしました。
で、池内恵はザイィド・クトゥブの体験を「アメリカ憎悪を肥大させたムスリム思想家の原体験」として紹介しています。
「アメリカ憎悪を肥大させた原体験」というからには、余程ひどい目に遭ったのか?
でも、街の人達はこの見知らぬ外国人の中年男を温かく迎え入れて、お茶会やダンスパーティにも招待したのです。
しかしそれが結局彼のアメリカ憎悪を招いたのです。
彼はそこで見た自由な男女交際や豊な生活を憎悪し始めたのです。
しかし現在のイスラム原理主義の台頭と、それとは裏腹なウィグル人虐殺への無関心を見ると、結局アメリカ憎悪、ヨーロッパ憎悪、イスラエル憎悪の根源って、結局ザイィド・クトゥブと同じ心理じゃないですか?
オレタチだって女欲しい!!
女にもてたい!!
車が欲しい!!
広くて立派な家が欲しい!!
何でアメリカ人はオレタチの欲しい物全部持っているんだ??
許せない!!
一方、ヨーロッパではイスラム左翼主義なんてモノが生まれました。
これは「歴史のゴミ箱に捨てられたマルクス主義者達が、イスラム教の尾鰭にしがみ付いて、ゴミ箱からの脱出を図る」というモノなんだそうです。
マルクス主義が歴史のゴミ箱に捨てられたのはわかるけれど、幾らゴミ箱の居心地が悪いからって何でイスラム教の尾鰭なんかにしがみ付くのだろうか?
だってマルクス主義って無神論でしょう?
イスラム教では無神論というのは最も忌むべきものだし、一方マルクス主義では宗教はアヘンなのです。
しかしそれが合体したイスラム左翼主義なんてモノが生まれるぐらいですから、結局マルク主主義者もイスラム教徒も双方、宗教もイデオロギーもどうでもよいんじゃないかと思います。
宗教もイデオロギーも関係なくて、連中はただもう持てる者に対する嫉妬や怨嗟による共感、つまりルサンチマンじゃないですか?
イスラム教徒と欧米知識人・言論人がこれでシッカリと共感しあっているので、イスラム教徒は反米・反西欧・反イスラエルで騒ぐけれど、絶対反中国にはならないのでしょう。
そしてこれで欧米知識人・言論人とイスラム過激派がしっかりと合体しているので、中東に関する報道は常に徹底的に偏向します。
それで常にカワイソウなパレスチナ、悪いイスラエルになるのです。
イヤ、ウィグル人はもっとカワイソウなんだけど・・・・・。
彼等はとにかく自分達が住んでいる国、自分の隣人を憎悪したいのです。
それでひたすら差別とか格差とかそういう事をほじくり返して、自分の受け入れて国、自分を生み育ててくれた国を憎悪するのです。
ルサンチマンに生きる人達は、自分が一番不幸だと思いたいのです。
だから本当に自分より不幸な人がいたら困るんです。
自分の不幸に泣く人間は、他人の不幸には無関心なんです。
アタシが一番不幸なの!!
だから他人ではなくて、アタシに同情してよ!!
アタシを助けてよ!!!
アタシを助けないアンタたちって屑よ!!
それでワタシはコイツラ見ているとしみじみ白けてしまいます。