この雇用の内容については飯田 泰之氏が克明に検証しています。
飯田氏によるとアベノミクスで500万人増えました。 これ以前に日本の雇用が増えたのは2002~2008年のイザナミ景気の150万人ですから、安倍政権はこの3倍以上の雇用を増やしたのです。
これに対して、野党とパヨクとマスコミは「非正規ばかりだ!!」と非難しています。
また「実質賃金が下がった!」との非難も盛んです。
でも、非正規の方が多いじゃないか!!
何で正社員を増やせないんだ?
非正規労働なんか禁止するべきだ!!
そんな事無理です。
例えば新卒者の就職内定率は、安倍政権成立以降ドンドン上がり、2016年以降は毎年バブル期以上という状態が続いているのです。
ワタシもバブルは覚えていますが、この内定率だと大学院への進学その他の理由で就職を希望しない学生以外は誰でも就職できるし、またブラック企業など評判の悪い企業にはいかなくても済むという状態です。
これは雇用者側からすれば、正社員として雇用したい人間が、全然足りないという事です。
勿論、正社員になりたいのは新卒者だけではありません。
しかし安倍政権下では10代から65歳以上まで全ての年齢層で雇用が増え、有効求人倍率も1.8前後を保ち続けました。
これだと中途退職者でも、能力と意欲のある人なら、誰でも正社員への再就職は可能なのです。
唯一問題なのは就職氷河期に就職に失敗して、非正規職を転々とし続けたまま今も正社員になれない人達です。
この人達の境遇は非常に悲惨で、しかしこういう人の正規職への就職というのは非常に難しい問題であるのは確かですが、けれども実はこういう人の数は限られています。
つまり新卒者や中途退職者など、正社員として働きたい人は、ほぼ全員が職を得ている状態なのです。
一方、日本の労働年齢人口はこの20年来、ドンドン減り続けています。
また総人口も2008年をピークに減少し始めました。
つまり安倍政権下では労働人口も総人口も減るなかで、雇用が500万人増えたのです。
これを可能にしたのが、非正規労働でしょう?
正社員は雇用は安定しており、福利厚生などでも有利で、昇進や昇給も期待できるですが、しかしフルタイム労働で、転勤などにも応じるというのが基本です。
労働年齢人口が減っている中で、こういう人をドンドン増やすというのは、不可能なのです。
しかし非正規としてなら働ける人はまだたくさんいました。
それが主婦や高齢者です。
実は現在の非正規職の大多数は高齢者と35歳以上の女性で、後は学生など本当のアルバイトなのです。
こういう人たちは家庭の事情や、年金との関係で、必ずしも正規職は望んでいません。
そういう人たちを非正規として働くようになったことを、「非正規が増えた」と問題にするのはオカシイでしょう?
実はワタシは2009年の小泉構造改革に関しても同様のエントリーをしています。
2002~2008年のイザナミ景気は実は小泉政権時で、前期のようにこの期間に雇用が150万人増えました。 この時もやはりマスコミと野党とパヨクは、「増えたのは非正規ばかり!!」、そして小泉構造改革が格差を生んだと言って非難したのです。
しかし実はこの時も非正規も増えたけれど、正社員も増えているのです。
また増えた非正規の圧倒的多数は、主婦のパートと高齢者の嘱託です。
そして国民の所得も全体として増えて、格差も減っているのです。
この時期から日本の高齢化が本格化して、労働人口の減少が始まったのですが、このころから定年退職した人が嘱託など非正規として働く、主婦のパートが増えるなどして、労働人口の減少を補うようになったのです。
60代後半、70代を過ぎた人が、誰でも若い時と同じようにフルタイムでハードな仕事はできるわけではありません。
しかし経験や技術はあるし、勤務時間を短くし、責任の軽い仕事なら十分できるしやりたいという人は沢山いるのです。
そしてこういう人たちが沢山いて、その人たちをその人たちの体力などに応じて条件で働ける雇用形態つまり非正規雇用があるからこそ、世界最高と言われる高齢化社会であるにもかかわらず、社会の負担も限られた状態を維持できているのではありませんか?
高度経済成長時代のように55歳で定年退職し、その後は働く事ができない状況だったら大変な事になっていましたよ。
因みにこのころは定年退職した人が、生きがいを喪って絶望とすると言う話をよく来ました。
しかしこれが定年の延長と、高齢者雇用の拡充でパタリと消えたのです。
これは主婦のパートも同じです。
勿論、正社員として働く意思のある女性をサポートする体制は必要だし、また医師など専門教育を受けた女性が女性であるが故に、家庭を持てない、或いは家庭を持ったら仕事をやめなければならないといのは、本人にも社会にも大きな損出です。
しかし全ての女性が本当に共働きを望んでいるわけでもないし、母親が傍にいる事がどうしても必要な子供もいるのです。
その場合、フレキシブルに働けるシステムと言うのは、悪い事ではないでしょう?
日本の人口推移の現実を考えると、高齢者や子供を抱えた女性など、フルタイム労働の難しい人々も労働力として生かせる非正規労働と言うのは絶対に必要な労働形態で、一概の悪いというのは間違いなのです。
で、でも就職氷河期は企業が非正規ばかり採用して正社員を取らなかったから、起きたんだろう?
あれがどんなに悲惨だったか?
オマイ知らないのか?
知ってますよ。
ワタシの甥っ子が就職氷河期に大学を卒業して、その後長い間非正規職を転々として苦労していましたから。
ホントにかわいそうでした。
尤も彼もアベノミックスの恩恵か?数年前には正規職を得て、一昨年結婚しましたけど。
でもね、それで疑問なんですが、それじゃあの時、非正規と言うのがなければ、企業は正社員を沢山採用したと思いますか?
ワタシはそれはあり得ないと思いますよ。
だってあのころ企業が新卒者の採用を控えたのは、日本経済全体が大変厳しい状況で、多くの企業が先行きを非常に悲観してたからです。
この先自社が生き延びる自信も持てなくなったので、将来の為の人材の為に若者を採用して育成するどころではなく、ただもう日々のコストをカットすることで生き延びようとしていたのです。
だからあのころは新卒者の採用もしなかったけれど、中高年の社員をリストラだてってバンバンやっていたのです。 挙句に多くの技術者が中韓に流れて、更に自分の首を絞める結果になった企業も沢山あります。
こういう状況では、企業は少し仕事が増えて一時的に人手不足になっても、正社員を増やそうとは思わないでしょう。
正社員は一回雇えば簡単には解雇できないので、将来を悲観しきっていた当時の企業はできる限り正社員を取りたくなかったのです。
だから人手が足りなければ非正規だけで済ませようとしたのです。
しかしこの状況で非正規雇用を禁止されたら、「だったら受注を減らすしかない」と言う事で非正規の雇用さへ辞めてしまったのではありませんか?
非正規雇用を完全に禁止されたら、正規雇用はほんの少しは増えるでしょう。
しかしその代わりその何倍もの非正規雇用が失われて、日本全体での雇用は減り、日本全体の経済はドンドン縮小したのではありませんか?
とりあえず非正規職ならある社会と、非正規職もない完全失業者があふれる社会のどちらが良いんですか?
悪いのは非正規雇用という形態ではなく、不景気、何より長期にわたるデフレなのです。
デフレが続いて経済縮小するばかりだから、労働市場も買い手市場になって労働条件が悪くなるのです。
本来なら日本の労働市場は、労働者に有利なのです。
なぜなら日本は人口減少中で特に労働年齢人口の減少は激しいのです。
こういう状態であれば、不景気の中で緊縮財政・金融引き締めを続けるような馬鹿な事をしない限り、労働市場は常に売り手市場を維持できるのです。
だったら正常な政府が正常な経済政策を維持する限りは、労働力不足に対応し、高齢者が働ける非正規と言う労働形態は合理的ではありませんか?
因みに日本で非正規職を転々として生きる事を選ぶ人が出現したのは実はバブル期です。
バブル期は本当に異常な景気過熱で、「人手不足倒産」が続出しました。
仕事は受注したけれどその仕事をするはずの従業員に逃げられたりで倒産しちゃんですね。
だから死に物狂の求人が沢山あったのです。
それで凄い高賃金の短期雇用が一杯ありました。
数か月、或いは数日の間だけの急場の人手を確保するだけだから、正社員にはとても出せないような高給を出すのです。
だから時給や日給なら、正社員を超えるアルバイトがいくらでもありました。
例えば居酒屋で、正社員が開店の何時間も前から出勤して開店の準備を済ませると、開店時間にバイトが出勤して、正社員に指示された仕事をして、閉店と共に帰宅します。 けれども正社員はその後、後片付けや翌日の準備等を済ませないと帰れないのです。
それでも一か月の手取りはバイトの方が遥かに高いなんてこともあったのです。
だったら馬鹿馬鹿しくて正社員なんかやってられない・・・・・。
と、言うわけでひたすら非正規職を渡り歩き、楽しく暮らす事を選ぶ人たちが増えたのです。
こういう人たちのことを当時は「フリーター」と呼びました。
ワタシはだから菅政権が今後、コロナで落ち込んだ経済の再生に成功して、アベノミックス以上の成功を収めても、正社員はもうあまり増えないと思います。
それどころかこのまま賃金か非正規職の賃金が上がり、求人が増えれば、令和の「フリーター」が生まれると確信しています。