ワタシは三流大工学部卒なので、経済学というのは全くわかりません。
しかし例えば今朝ネットで拾ったこんな記事を読むと、高橋洋一等、リフレ派の唱える政策が正しいとしか思えなくなります。
とりあえず記事の前半を貼りますね。
2020年8月4日 ニューズウィーク日本語版
<「いくら国債を発行しても財政破綻しない」理論について、日本が実際に経験した財政破綻の事例から考える>
1945年8月15日、玉音放送とともに太平洋戦争は終結した。終戦時、日本全土は既に焼け野原となっていたが、経済面での苦難はここからが本番だった。
戦争中の無謀な戦費調達によって日本の財政は完全に破綻。終戦によって財政問題が一気に表面化し、準ハイパーインフレが発生した。最終的に政府は全ての銀行預金を封鎖して、国民から強制的に預金の大半を徴収する形で帳尻を合わせた。
近年、日本の財政が問題視されていることに対して、一部から「政府はいくら国債を発行しても財政破綻は起こらない」という意見が出ている。政府が発行する国債は購入した国民から見れば資産であり、円建てで国債を発行している限り財政破綻は起こらないという理屈だ。
しかし、戦時中の国債発行はほぼ全額が日本円建てだったが、いとも簡単に財政は破綻し、日本円(旧円)は紙くずとなった。この事実ひとつをとっても、自国建てであればいくら借金してもよいという話は嘘であることが分かる。
太平洋戦争の戦費総額(日中戦争含む)は、当時の国家予算(一般会計)の約280倍(インフレを考慮しても74倍)という途方もない金額であり、戦費のほとんどを国債発行で賄ったことから、GDPに対する政府債務の比率は200%を突破した。
戦争中は物価統制によって見掛け上、インフレは存在しないことになっていたが、現実には深刻な物価上昇が起こっており、終戦でそれが一気に表面化。開戦当時から55年までの14年間で物価は約180倍に高騰している。
現在の政府債務の対GDP比は戦時中と同水準
この状態になると、国民は銀行から一斉に預金を引き出し、価値が維持されるモノの購入に奔走するので、インフレが止められなくなる。政府は銀行預金を強制的に封鎖し、預金を引き出せないようにした上で、預金に対して高額の財産税(最大税率90%)を課すという非常手段に打って出た(預金封鎖と財産税)。国民の財産の大半を奪い取るという形で日本政府は何とか事態を収拾した。
現時点での政府債務の対GDP比は200%を超え、戦時中とほぼ同水準となっている。当時と今とでは日本経済の基礎体力が異なるので一概に比較はできないが、諸外国と比べても日本の財政が深刻であることは間違いない。
「いくら国債を発行しても財政破綻しない」理論について、日本が実際に経験した財政破綻の事例」が戦中・戦後の日本政府ですか?
そりゃ戦中・戦後の日本経済は悲惨でした。
マジに「蛍の墓」その通りでしたからね。
ワタシの母は戦前神戸神戸で生まれ育ち、蛍の墓の主人公と同様、神戸大空襲に遭い家を焼かれました。
そしてあの映画はあの当時の状況を本当によく描いていると言っていました。
でもさ、ああいうの見ていれば誰でもわかりますが、日本が戦後大変なインフレになったのは、空襲で国中が焼け野原になって、生活に必要な物資の供給が不可能になったからじゃないですか?
工場は空襲で丸焼けになり、農地はあっても農民の多くが、兵士として戦地に送られたまま帰国が遅れ、それでも生産できた農産物を移送しようとしても、汽車も鉄道網も大量に破壊されてしまいました。
インフレの原因はこれじゃないですか?
物価って元来、需要と供給のバランスで決まるんじゃないですか?
これは例えば今年の2~3月頃に起きたマスクバブルを思い出せばわかるでしょう?
元来マスクなんて花粉症の人や、風邪をひいている人などしか使っていなかったので、それに見合った量しか供給されてこなかったのです。
それがコロナウィルス流行で、マスクの需要が一気に増えたのです。
その為、マスクの価格の爆上げを期待して買い占めが横行し、ドラッグストアやスーパーからマスクが全部消える一方、メルカリなどでは元来価格の数十倍という高額で売買されるようになりました。
これが政府がアベノマスクの支給を決定する4月まで続いたのです。
マスク不足に対応する為に、政府が国民全員に長期間使用可能な布マスクを一世帯に二枚ずつ配布すると宣言すると、それだけでマスクの価格は下がり始めました。 また新大久保の韓国人の店とかヘンな所で山積みで売られるようになりました。
政府のアベノマスク配布宣言で、マスクの買い占めをしていた連中は、抱え込んだマスクを急いで売り抜けようとしたのです。
それで一気にマスクの価格が下がったし、消えたはずのマスクも市場に戻ったのです。
こんなのを見たら幾ら経済音痴でも、商品の価格が需要と供給のバランスで決まるのだという事を実感せざるを得ません。
4月にこれを目の当たりにしたのに、戦後の物価高騰を国債残高で説明されてもね。
逆にこの著者に聞きたいのだけれど、それじゃ何で今、日本はインフレにならないのでしょうか?
国債残高のGDO比が戦時中並みになってから何年たつのでしょうか?
ワタシの記憶ではバブルがはじけたあたりからドンドン国債残高が増えて行って、対GDP比200%超えをしてからだけでも10年以上たってますよね?
これって太平洋戦争開戦から朝鮮戦争開戦に相当する期間ですから、この記事の著者の言い分が正しのなら、その間ドンドンインフレが進行するはずでしょう?
だって戦時中と違って日本政府はこの間一度でも、物価統制なんかやっていないのです。
唯一の例外がアベノマスクの供給と転売規制によるマスク価格の高騰防止です。
にもかかわらずバブル崩壊以降、インフレなど一切起きていないのです。
それどころか日本経済はデフレで苦しみ続けたのです。
この記事の著者はこれをどのように説明するのでしょうか?
物価は需要と供給のバランスで決まるという市場経済の常識で考えれば、日本がインフレにならずデフレに苦しむのは当然です。
だってバブル以降も、日本の生産力は殆ど減っていないのです。 そして人口はわずかながら減少しており、所得も増えていません。
政府も自治体もひたすら緊縮財政です。
生産が減っていないのに、政府も自治体も国民も金を使わない、つまり消費が増えない、つまり需要が増えない。
これじゃ物価が上がるわけないでしょう?
しかしこういう市場価格決定のメカニズムを無視して、「国債残高が増えたら、インフレになる」という事であれば、「インフレは貨幣現象」だという事でしょうか?
だったらデフレも貨幣現象でしょう?
リフレ派は「デフレは貨幣現象」だと言っているわけですから、この記事の著者は実はリフレ派が正しいと言っている事になります。
マジにコイツ、財政さへ健全なら敗戦して焼け野原になっても、国家の貨幣価値は維持できると信じているのでしょうか?
世界史上のそういう事例があるのでしょうか?
逆に聞くけど世界有数の債権国が、内政外交共に安定した状態で、貨幣価値だけが破綻した例ってあるんでしょうか?
それにしてもこの記事、実は後半もヘンテコリンなのです。
終戦後の例でも分かるように、自国通貨建てでも過度な政府債務を抱えれば財政は破綻する。筆者は日本政府が現実に財政破綻する可能性は限りなく低いと考えているが、このまま財政が健全化されない場合、徐々にインフレが進む可能性は高いとみている。
もし景気が回復しないなかで年率3%のインフレが続くと、金利が上がるので最終的に日本政府の利払い費用は年間30兆円を超える。税収のほとんどが利払いに消え、年金や医療、公共事業、防衛費の維持が難しくなる。
一方、債務の額は10年間で実質的に25%減少するので、財政問題は解決に向かう。緩やかなインフレの場合、多くの国民はその事実を認識できないので、気付かないうちに実質的な預金額が目減りしていく。
財政に魔法の杖はなく、政府の借金は何らかの形で埋め合わせる必要がある。確かに日本国債は国民から見れば資産だが、インフレによってその価値が減価することで、事実上の増税が行われるというカラクリについて理解しておく必要があるだろう。
<本誌2020年8月11、18日号掲載>
>このまま財政が健全化されない場合、徐々にインフレが進む可能性は高いとみている。
??
第二次安倍政権発足以降、日銀がひたすらインフレ目標を達成しようと頑張ってきたのに、結局未だに達成してないという現実はどう説明するんですか?
日銀がインフレターゲットなんて決めるのは、マイルドなインフレは経済成長を促すからでしょう?
逆にデフレで物価上がらないままだと、景気は良くならないし経済成長できないからでしょう?
それなのに何でこんな話になるんでしょうか?
>もし景気が回復しないなかで年率3%のインフレが続くと、金利が上がるので最終的に日本政府の利払い費用は年間30兆円を超える。税収のほとんどが利払いに消え、年金や医療、公共事業、防衛費の維持が難しくなる。
景気は回復しないのに、何でインフレになるんですか?
景気が回復しなきゃ金利だって上がらないでしょう?
それに現在日本の長期国債の47%は日銀が持っています。 だから払った金利に半分は日本銀行が受け取り、それは結局日本政府の物になるんですよね?
こういう状況で104年後に資産が25%減少しては大変だから、財政再建しろ!! 増税しろ!!って言われてもね。
因みに以前にも国債暴落により国家破綻した例を挙げて、「財政再建が~~~!!」と言っていたエライ先生がいました。
この時この先生が例に挙げたのは南北戦争時の南部政府でした。
この先生によると南部政府が破綻したのは、南部が戦争遂行の原資として発行した債券が綿花の暴落により破綻したからだというんですよね。
もう増税原理主義者というか増税真理教の神官の皆様のいう事って、我々異教徒には全く理解不能です。
ワタシがこの信仰に入信できないのは、きっとワタシが低学歴だからでしょうね。