久しぶりにブロゴスを見たらこんな記事を見つけました。
最低賃金は最低賃金法が定める労働者を雇う場合に支払わなければならない最低の時給で、都道府県ごとに決められています。
そして現在のところまだ1000円を超えている所はないようです。
最低賃金が1000円を超えない事が、良いのか悪いのか、現在の経済状況にあっているのかはどうかは、ワタシにはわかりません。
しかし上記の記事の議論を読んでいると、そもそもここで最低賃金が1000円に届かない事を怒っている連中も、またこの記事の筆写も最低賃金の意味を全く理解してないのではないかと思います。
この記事では最低賃金が低い事に対する2チャンネルでの怨嗟の声を紹介してます。
「ホント日本は落ちぶれたよな オーストラリアとかEUとかアメリカとか最低賃金1300円以上だろ?それが1000円も出せないとかほざいている」
「本末転倒。年収200万しか出せない企業が存在するのがそもそもおかしい」
「人の人生使うんだから、300位(編注:300万円)は出そうぜ 出せないんなら規模小さくして個人でやれ 儲けは欲しい金は出さないとか、ムシが良すぎ」
「200万も従業員に出せないなら潰れるのもやむなしだろ……」
しかしこれを読むと何とも奇妙です。
ここで怒り狂っている人達は、最低賃金でも技能や経験のある一般勤労者と同じ生活ができると考えているのではないでしょうか?
でも最低賃金ってホントに最低の賃金、つまり技能も経験も全くない人に対しても人を雇用するならば、払わなければならない賃金です。
高校生のアルバイトでも得られる賃金なのです。
だから一定の技能や経験を持つ勤労者の賃金と比較すれば、低いのが当然です。
因みに生活保護費も各都道府県が独自に定めます。
この算定の根拠は、それぞれの地域での最低賃金で、フルタイムで働いた時に得られる賃金です。
だから最低賃金が上がれば生活保護費も上がるし、最低賃金が下がれば生活保護費も下がる事になります。
以前、プロの生活保護受給者なる人物が、生活保護費と最低賃金を比べて、それが殆ど変わらない事から「日本の最低賃金はこれほど低いのです。」と言って、働かずに生活保護を受給する事を正当化していました。
しかしそもそも生活保護費の算定基準が、最低賃金でフルタイムで働いた時の収入なのですから、幾ら最低賃金が上がっても、生活保護費と差が出るわけもないのです。
けれども2チャンで騒いでいる連中も、この記事を書いた記者もほぼ同レベルです。
なぜなら実は生活保護費も、単身者の場合は、高卒公務員の初任給の手取りも、殆ど同じだからです。
公務員の初任給は額面だけなら、最低賃金よりは少し高いのですが、しかし生活保護受給者と違って社会保険料等を負担しなければならないので、手取りならほぼ同額になってしまうのです。
でも就職したばかりで技能も経験もないのだからこれは仕方がありません。
その意味ではパートタイム等で最低賃金で働く人の賃金が異常に低いとも言えません。
それに何より最低賃金と言うのは、雇用者が人を雇う為に最低ラインであって、別に労働者に最低賃金で働く事を強制しているわけでも何でもないのです。
「本末転倒。年収200万しか出せない企業が存在するのがそもそもおかしい」って?
イヤ、貴方その賃金が不満なら、もっと給料の良い会社に行けば良いのです。
しかし韓国のように国家が強権的に最低賃金を上げた結果、本当に一定の年収を出せない企業がドンドン倒産・廃業してしまい、若年層や貧困層の失業率を爆上げしている国もあるのです。
「本末転倒。年収200万しか出せない企業が存在するのがそもそもおかしい」って?
そりゃもっと高給を出してくれる企業が幾らでもあるなら、最低賃金なんか上げなくても無問題でしょう?
そういう企業は自然に人がいなくなって潰れますから。
しかし韓国の場合は、韓国標準で「年収200万」を出せない企業が、存在できなくなってしまったので、失業する人達が激増したのです。
結局こういう意見を読んでいる限り、騒いでいる人達は、最低賃金の意味自体を理解できていないとしか思えないのです。
技能も経験もなく、高校生のバイト並みの仕事で、熟練の技能や経験を持った他の勤労者と同じだけ賃金が貰えるわけはないでしょう?
高卒公務員の初任給の手取り程度の賃金になるのは当然ではないですか?
ましてこの記事の著者が書いているような「最低賃金1000円でもゆとりある生活はできない」なんてナンセンスその物です。
この記事の著者は東京を中心に考えているようですが、東京都の最低賃金は昨年で時給985円です。
東京都で働くなら、高校生のバイトでも時給985円はもらえるのです。
これに15円足した賃金で「ゆとりのある生活」ができるわけはありません。
だって「ゆとりのある生活」って、常識的には経済的な面で、周りの一般勤労者と同等の生活でしょう?
でも高校生のバイトレベルの仕事で、技能や経験があり、責任の重い仕事をしている人達と、同じ賃金が貰える方がオカシイのです。
学校を卒業して就職してから、地道の努力して技能をつけ、経験を積んだ人達が、初任給のままでは、それこそ不当な低賃金と言うべきでしょう?
そもそも最低賃金と生活保護費が連動している事からもわかるように、最低賃金と言うのは憲法で保障された社会権「人間として文化的で健康的な最低生活」を保障するための物で、「ゆとりのある生活」までは保障しないのです。
だって国家が企業に強制している賃金なのですから、自由主義経済である限りこれ以上の物は強制できるわけもないのです。
しかし技能や経験を積んだ人、雇用者が必要とする人に支払う賃金の上限を定めているわけではないのです。
だから最低賃金以上と言う制限の上で、労働者の賃金は当人の努力と労働市場の状況で決まるのです。
それを国家が強権的に引き上げたら、韓国のように零細企業の倒産が続出して、ホントに最低賃金でも働かなければならない人達の職さへなくなります。
しかしこうやって騒いでいる連中の言い分を聞いていると、そもそも彼等はあのプロの生活保護受給者と同様に、最低賃金の定義さへ理解していなし、その引き上げがどういう結果をもたらすかなど全く考えてもいないようです。
ワタシはこの手の人達をみる度に考えてしまいます。
結局こういうレベルだから最低賃金でしか働けないのでは?
こういう人格だから生活保護受給者になるしかないのでは?
と・・・・。
そしてそれに全面的に同意して、不満を煽っているのがパヨクです。
つまりパヨクには最低賃金の意味を数理的に理解する能力もないのです。
真面目に最低賃金について議論するなら、まずは最低賃金の数的な意味と、法的な意味ぐらいは理解した上で議論するべきだと思います。
ところがこの記事を見ていると、彼等はそもそもその意味を一切理解せずに、唯自分の感情と感覚だけから「最低賃金が低い。 生活ができない。」と騒いでいるとしか思えないのです。
こういう議論は幾らしても問題の解決にならないばかりか、韓国の例を見れば明らかに事態を悪くします。
因みに最低賃金の定義や、生活保護費との関係は、中学3年の公民で習います。
そのぐらい簡単な話なのです。
それなのにいい年の大人が、しかも結構な高学歴の人が、理解できないのでしょうか?
ワタシには全く理解できません。