夕べ寝る前にこれを聞いていたら滅茶滅茶腹が立ちました。
この前「池田信夫陥落」で紹介した南部同盟の話をしたやつが、ここで「5g惨敗云々」と言っているヤツだったんですよ。
名前を思い出したので一応、コイツの南部同盟の話を貼っておきます。
野口悠紀雄と言う高偏差値大学教授のエライ先生でした。
有料サイトなので、今は途中までしか読めないのですが、ワタシは無料で全部読めた時に読みました。
で、この話を要約すると、以下の通りです。
アメリカ南北戦争時に南部同盟は綿花を担保に大量に国際を発行した。
しかしその綿花が南北戦争の途中でエジプト棉の流入等で、値崩れを起こした。
その為南部同盟債が暴落し、それで南部通貨の価値が崩壊、南部同盟は敗戦に追い込まれた。
と、言う話です。
もう、呆れちゃうんですよね。
南北戦争時、南部は完全な農業地帯で工業力は殆どゼロでした。
海軍もありませんでした。
白人だけなら人口も北部の半分以下でした。
だから兵器弾薬は勿論、日用品も工業製品は殆ど全部輸入に頼っていました。 その対価は南部で生産される綿花でした。
そこで南北戦争が始まると、北部側は海軍を使って南部の港を封鎖して、南部側の輸出入をほぼ完全に止めてしまいました。
すると南部はたちまち兵器弾薬から日用品まで不足するようになりました。
それで戦争の途中から、軍服の服地も足りなくなって、綿花を紡いで手機織りで作った物が使われるようになる有様でした。
勿論武器や弾薬などどうにもなりません。
しかし必要なのは武器弾薬だけではありません。
食料のような南部で生産できる物も、大量に必要です。
しかも多くの農民が兵役についているので、食糧生産も滞ってきました。
それで一般市民は、工業製品だけでなく、食糧不足にも苦しむようになりました。
それでも南部同盟政府としては、戦争遂行に必要な物資は買い集めなければなりません。
その為には紙幣をドンドンするしかなかったのです。
これ物価が上がらないわけないでしょう?
それでも南部同盟は精神力だけで頑張り続けたのです。
しかし制海権を完全に確保した北部側は、海外から兵士を募集する事ができました。
だから殆ど無限に兵士を動員できるのです。
これでは南部同盟が勝てるわけもないのです。
そして南部同盟が敗戦すると、南部同盟は国家としての主権を喪いました。
また奴隷解放によって南部の経済基盤であった綿花農園が崩壊しました。
主権を喪い、経済基盤を喪った国の通貨が、通貨価値を維持できるのでしょうか?
ところがこの野口悠紀雄大先生の話では、こうした南部同盟の通貨価値崩壊は勿論、南北戦争での南部敗戦の原因までが、南部の国債の大量発行とその価値のコントロールの失敗であるかのように描かれています。
イヤ違うってば!!
綿花を担保に国債を発行しても、港を封鎖されず、綿花を順調に輸出できていたら、話は違っていたからさ。
南部の綿花が順調に供給されるなら、イギリスはエジプト棉の購入なんて考えないから。
南部が戦争に負けたのは、通貨や国債の問題ではないよ。
武器をはじめ工業製品を全部輸入に頼っているのに、その貿易路を保護する海軍もなしに戦争を始めちゃったからでしょう?
因みにこの人、元財務官僚で、均衡財政主義者で、円高イケイケ派だそうです。
なるほどこういう人から見れば、全てのインフレは国債の出し過ぎ、金融緩和をやり過ぎでしか説明できないのでしょうね。
実際財務省やそれに近い学者の話で出てくるハイパーインフレーションの話は、この南部同盟の話以外でも、敗戦後の日本や、第一次大戦後のドイツ、更にジンバブエやベネゼイラのような話です。
しかしどれもそうですが、この南部同盟の話と同様、生産力の崩壊や、国家主権の喪失など、国家が紙幣の乱造に追い込まれた原因を完全に無視しています。
彼等の話を聞いていると、国家主権は安泰で、外交も内政もこれまで通り機能していても、日用品もその他の必要な物資も、全くこれまで通りに生産され供給されていても、国債が過剰になると通貨価値が暴落し、ハイパーインフレーションになると言う事らしいです。
これってつまり「インフレは貨幣現象」ってことでは?
つまり現実の物資の生産や消費に関係なく、国債を大量発行したら、それが貨幣として使われるかもしれないからハイパーインフレーションになる!!と言う話ですか?
彼等の話だと国債の乱発や、放漫財政など財政政策の失敗だけで、ハイパーインフレが起きる事になります。
だったらもう少し国債を発行すれば、もう少しお金を刷ってばら撒けば、アベノミックスの最初の目標だった2%のインフレ目標を達成できるはずでしょう?
何で反対するんですか?
だったらデフレだって財政金融政策の失敗で起きるという事ですよね?
インフレが貨幣現象だけで説明できるなら、デフレだって貨幣現象でしょう?
でも連中は「デフレは貨幣現象」だという説は断固否定するのです。
デフレの弊害も完全に黙殺しています。
ワタシはド田舎の三流工科大学卒だから、経済学は全然習っていません。
ネットを始めてから、初めて高橋洋一等の話を聞いて、初めて「デフレ」の意味を知りました。
勿論高橋洋一等の説が正しいかどうかは、わかりません。
しかし高橋洋一等リフレ派に対する反論が野口悠紀雄等のレベルだと、幾ら低学歴でも野口悠紀雄等を支持する気にはなれません。
そもそも南部同盟敗戦の原因が全て南部の財政政策だなんて事がホントなら、凄い新発見だからアメリカの歴史学会で発表したら?
ついでに物資が不足しても国家主権がなくなっても、財政さへ健全なら通貨価値が維持できるというのも、これまた超絶大発見だから、正しければノーベル経済学賞が取れるのでは?
そんなに財政均衡主義に自信があるなら、安倍政権がアベノミックスを発表して、クルーグマン等ノーベル経済学賞受賞者達が揃って、それを称賛した時に、「イヤ、違うぞ!!」と反論したら?
肝心の時に肝心の相手に異議を唱えないヤツの説なんか、幾ら低学歴でも信じる気にはなれません。
そしてワタシは思うのです。
そもそもバブル以降30年日本の経済が停滞を続けて、日本の電子産業が崩壊したのには、財務省の責任も大きいのでは?と。
なぜなら日本の電子産業崩壊の始まりは、産業のコメと言われた半導体の生産で、韓国に負け始めた事です。
NECや富士通はバブルまではこれで絶対的な強さを誇っていました。
しかしこの半導体産業は大変リスキーな産業で、将来の需要を見越して、2000~3000億単位で先行投資をして工場を作りっていかなければなりません。
その為には銀行から融資が必要です。
しかしバブル以降、日本の銀行はひたすら帳簿を綺麗する事に拘り、こうしたリスキーな投資には融資しなくなりました。
そこで社債など発行するのですが、しかしデフレが続くので、幾ら低金利でも借金をしてしまうと、後が大変苦しくなります。
こういう状況が30年も続けば、大胆な先行投資などできるわけもないのです。
勿論経営陣のセンスや決断の遅さも問題ですが、しかしデフレの中での借金は命取りですから、決断が遅れるのは仕方がないのです。
しかも際限もない円高が続くのです。
エルピーダメモリーが倒産したのは、完全に異常円高が原因でしたよね?
一方、インフレ状態の国なら、この種の投資は果敢にやれます。
投資で期待通りの収益が上がらなくても、投資の為の借金はインフレで確実に縮小していくのですから。
そしてインフレで自国通貨が下がれば、輸出には絶対有利です。
こういう相手と競争するのは無理でしょう?
これで日本の半導体産業は衰退の一途をたどりました。
そうなるとこれまで利益の中心だった分野が衰退したのですから、利益が細り、研究開発や他の分野に投資できる資金も減ってきました。
そして資金繰りが苦しくなれば、技術者だってリストラされてしまいます。
これでは衰退するしかないのです。
こういう状態に追い込まれたのは、IT産業だけではないでしょう?
こういう状態から逃れる事ができたのは、自動車など海外に逃れる事で円高やデフレのリスクを早めに回避した産業だけではないですか?
短足おじさんによれば日本はバブル以降、喪われた20年と言われた間に、日本の海外における経済力は日本1.8個分になったと言います。
つまり日本本土がデフレで投資が不可能になったので、日本企業は仕方なく海外に投資したのです。
その投資によって生まれた経済力が実に日本1.8個分に相当するというのです。
だから日本は現在世界一の債権国になり、貿易収支の赤字を全部資本収支で賄えるという安楽な状態です。
こうなると日本企業が無能だったという話ではありません。
この経済力が日本に留まっていれば、今頃日本は現在の2.8倍の経済力を誇り、アメリカに並び、中国に脅かされる事などあり得なかったのです。
そしてロズジェネと言われる世代などおらず、彼等が結婚して子供を産み、日本の人口減少も問題にならなかったはずです。
だからこれからでも遅くないのです。
日本から日本の企業を追い出さない政策とれば、日本はまた息を吹き返すでしょう?
その為にはこんなキチガイに煽られた「増税しないと、ハイパーインフレが~~~!」なんて話は無視して、アメリカがやっているようなマトモな経済政策を取るべきでしょう?
つまりデフレ下での増税なんてありえないのです。
そしてこういうヘンテコリンな経済政策を推進するような組織は始末して、常にマトモな政策を取れる体制を作るべきなのです。
因みに5Gの話ですが、5G対応のスマホ中継装置は、ファーウェーなど中国企業とスェーデンのエリクソンしか作っていません。
と言うかスマホの中継基地装置はこれらの企業しか作っていないのです。
日米には作れないのです。
これは安全保障上、スマホが作れないより怖いでしょう?
もっと怖いのは半導体の供給を、大幅に韓国に頼っている事です。
韓国は事実上中国の属国です。
中国が日本への侵略の意図を明確にし始めた以上、単純な経済原理だけからの産業政策は考え直すべきでは?
安全保障上必要な機材は、日米で調達できるようにしていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?