中国の一帯一路政策は、イギリスの東インド会社と同様の植民地政策だそうです。
つまり相手国の支配層を金で誑し込んで、植民地化するというのです。
なるほどね。
それでわかりました。
ワタシは随分前ですが「マハラジャ歓楽と陰謀の日々、インド裏面史」と言う本を読みました。
それは植民地時代のインドのマハラジャの途方もない奢侈と、藩王国内での意味不明の権力闘争を描いた本でした。
しかし何で植民地支配を受けている状態で、そんな途方もない奢侈に耽る事ができたのでしょうか?
ムガール帝国はサマルカンド出身の豪族バブールが、インドを征服して作った王朝です。
バブールはチンギス・ハーンの後継者であったティムールの子孫であると名乗っていたので、その帝国はムガール、つまりモンゴル帝国を名乗ったのです。
バブールがサマルカンドを後にしたのは、実はサマルカンド周辺での豪族同志の争いに敗れたからです。
当時のインドは統一国家ではなく、小王国が群雄割拠している状態でした。
しかしこうしたインド小王国の軍事技術は、サマルカンド周辺のそれに比べて格段に劣っていました。
それでバブールはこうした小王国を難なく個別撃破していき、彼の存命中に現在のインドとパキスタンにあたる領域を、全て支配下に置き、ムガール帝国を成立させました。
これは小王国の上にムガール帝国皇帝が乗っかるという形で、小王国の王様、つまりマハラジャはそのまま自分の王国を支配し続ていました。
これって日本の幕府と同じような形態なのですが、但し皇帝の支配力は江戸幕府は勿論、室町幕府に比べても弱体だったようです。
だってムガール帝国皇帝には、全然権威がありません。
ヒンズー教徒のマハラジャ達からすれば、異教徒でしかも外来の皇帝など、権威どころか本来ならアウトカーストなのです。
しかも軍事的に絶対的に優越しているわけでもないのです。
だからイギリスが入り込む前、ムガール帝国の最盛期でも、マハラジャ達は皇帝への反乱を繰り返しました。
またムガール帝国がモンゴル系遊牧民の特徴で、長子相続ではなく兄弟の中の実力主義での相続制を取っていた事から、皇帝が死ぬと殆ど必ず皇位継承をめぐって兄弟間の内戦を繰り返す事になりました。
だから皇帝は常にモグラたたきのように、反乱や内戦を戦い続けました。
東インド会社は、こういう世界に入り込んだのです。
こういう世界であれば、商人が私兵を養うのも全然問題にされないでしょう?
でもその私兵は次第に強大化して、インド最強の軍団となり、気がつけばムガール帝国皇帝の軍隊も全く敵わなくなるのです。
でもこうしてみると、外国人が入り込んで、軍事力でインドを支配するというのは、イギリスもムガール帝国も同じでしょう?
但しイギリスはムガール帝国より狡猾で、それに金を持っていたので、直接戦うよりマハラジャ達を金で抱き込む事にしたのです。
イギリスはマハラジャ達に地位と収入を保障してやり、その代わりに彼等の王国を完全にイギリスが支配して、搾取を恣にできるようにしたのです。
イギリスからすればその搾取の上りを一部マハラジャに与えておく方が、反乱など起こされるより安上がりと言う計算だったのでしょうね。
しかしそれで与えられた収入は、それまでの君主としてマハラジャの生活費をはるかに超える物でした。
そして君主としての仕事、つまり統治や防衛に関する仕事も経費も、全部イギリスが抱えているわけですから、マハラジャ達は何もする事がなく、ただもう痴呆のような奢侈に耽るだけの存在になっていくのです。
イギリスに抱え込まれる前のマハラジャ達は、日本の戦国大名のような状態だったのですから、収入を全部自分の奢侈に使い、歓楽に溺れて暮らす事などできませんでした。
しかしイギリスが身分と収入を保障してからは、もう現実的な権力は全て喪い、遊んで暮らすより他にどうしようもなくなったのです。。
そうなるともうマハラジャの反乱なんか全く起きなくなってしまいました。
一方インドの民衆はひたすらイギリスに搾取され続けたのです。
イギリス賢い!!!
だったら我もこれでくアル!!
中国はこう思ったのでしょうね。
中国と言う国は、元来戦争は余り強くないのです。
でも賄賂に関しては、まず間違いなく世界一と言える程の伝統があります。
考えてみると中国は黄河文明発祥の時代から、何度も王朝が変わり、実は民族だって完全に入れ替わっているのだけれど、どの王朝でも絶対に絶えた事がないのが贈収賄です。
中国の官僚制度など、官僚が賄賂を貰う事を前提に成り立っているぐらいです。
それも廉官三代と言うレベルです。
つまり清廉は官僚は、その3任中に得た賄賂で暮らせるのは3代目までと言う話なのです。
そういう国であれば賄賂を相手国の支配層を抱き込むというのは、イギリス東インド会社ではなく「我が本家アル」と言いたいぐらいでしょう?
実際、マレーシアのナジブ政権から鳩山由紀夫まで、親中派って皆中国の金で動いている人達なんですよね。
で、これで上手くいくんでしょうか?
ワタシは無理だと思うのです。
イギリスがマハラジャを金で抱き込む事でインドを支配できたのは、藩王国は民主制ではなく、王族を抱き込んでしまえば、それに反対する勢力などできよもなかったからです。
でもマレーシアを見ればわかるけれど、賄賂でナジブ政権を抱え込んだら、国民がそれに怒って、マハティール首相が返り咲いてしまったのです。
そしてイギリスのインド支配には、横槍を入れる第三国はありませんでした。
イギリスは周到な国で、侵略政策を進める時には、邪魔をしそうな国々とは先に話をつけて、邪魔をさせないようにしておくのです。
また常に良い同盟国を作っておいて、同盟関係にある間は、その同盟国をそれなりに大切にして、国家としての信用を確保しておくのです。
イギリスはインド始め広大な植民を持ち、日の没する事のない大国だった時代でも、こうやって外交を駆使して自国の権益を守っていたのです。
しかし中国はどうでしょうか?
中国には同盟国などないのです。
それどころか国家としての中国を信用する国さへありません。
それなのにアメリカに喧嘩を売ってしまったのです。
だから一帯一路にはアメリカとその同盟国が一斉に横槍を入れ始めたのです。
実際、マハティール政権が対中政策を転換すると言ったら、日本は大歓迎です。
アメリカは中国がこれまで大枚を貢いできたマドロゥ政権転覆を応援しています。
そしてスーダンの親中政権も崩壊しそうです。
こうなると中国はいつまでこの「東インド会社」を続けられるのでしょうか?
だからワタシは中国の一帯一路政策は遠からず破綻するんじゃないかと思います。
でも油断してはいけません。
一帯一路政策が破綻する前に日本がそれに呑み込まれて、大量の中国人が入り込んでしまえば、その後どうしようもなくなります。
イギリスはインドを400年支配しましたが、しかし総人口4億人のインドに入り込んだイギリス人はたったの4万人でした。
だからインド独立後、インドは簡単にイギリス人を排除できたのです。
しかし今の日本に在留する中国人は、既にこの10倍を超えているでしょう?
これが更に増えたら中国共産党が崩壊しても、排除は不可能だし、残り続ければその人数だけで日本の主権を脅かします。
だから日本は中国共産党政権が崩壊するまで、絶対に油断してはいけないのです。