16日夜の豊平の爆発について、これまで拾った情報から、その原因を憶測してみました。
16日夜、アパマンの従業員が消臭スプレー120本を処分しました。
な、何でこんなにストックしていたのか?
しかしアパマンはアパート、マンションの貸家専門の不動産屋です。 借家人がいなくなって締め切ったままの部屋には臭いがこもりますから、営業員は皆、いつも消臭スプレーを持ち歩いていたのでしょう。
そして年末ですから、古くなったスプレーの大処分を命じられたのでしょう。
そこで従業員は最初室内で、スプレーを噴霧し始めたのですが、何しろ120本です。
最初の何本かを噴霧したところで、店内の空気がおかしくなってきました。
そこで彼等は堪りかねて外に出て噴霧を続けたのです。 (外で噴霧していたという目撃情報があります)
ところでこのスプレー缶にはどんな種類でも、エタノールとLPGガスが大量に含まれています。
スプレー缶は防虫、防臭、殺虫や増毛や防水など様々な種類があり、その主要成分は種類により異なります。
しかし中身の殆どは実はエタノールとLPGです。
主要成分を界面活性剤でエタノールに溶かし、それをLPGと混ぜた液体なのです。
ところでLPGって、液化石油ガスです。 これはプロパンやブタンなど、石油から取れるガスなのですが、圧力をかけると常温で液化して、体積が非常に小さくなのです。
しかし圧力が下がると一気に気化してガスになるのです。
家庭用のLPGボンベはこの性質を利用して、ボンベ一本に大量のLPGガスを詰め込んでいるのです。
そしてスプレー缶の場合は、LPGが気化して体積が激増して、噴出する時に、混ざってたエタノールとエタノールに溶けていた主要成分が、霧状になって噴霧されるのです。
しかしこのLPGはつまり、家庭用LPGボンベの中身と同じですから、引火すれば爆発します。
さらにエタノールって、エチルアルコールの事です。
これもまた可燃物ですし、気体や霧状で火がつけば爆発します。
昔は噴霧の為にフロンガスを使ったのですが、これはオゾン層を破壊するという事で使用されなくなりました。
それでLPGガスとエタノールの混合物が使われるようになったのですが、しかしこれはフロンガスと違い引火爆発の危険を共なうのです。
だからゴミとして出す場合は、中身を空にするようにと言われているのです。
それでこのアパマンの従業員は律儀に120本のスプレー缶を空にして、しかも完全に空になるように丁寧に缶に穴まであけたのです。
その意味では彼等は違法行為をしたわけではないのです。
それどころか彼等は大変真面目に、一般家庭や事業所でのスプレー缶の処分法を守っていたのです。
但し問題は自治体が出しているスプレー缶処分に関する規則は、一度に120本ものスプレー缶を捨てる事を想定してなかった事です。
しかしアパマン従業員が真面目にスプレー缶の処分をしたおかげで、アパマンの事務所内とその周りの空間には大量のLPGとエタノールの混合ガスが充満していたのです。
でも彼等は真面目にスプレー缶の処分法を守って処分を終えたのですから、そのあと何の不安もなく湯沸かし器を使おうとしたのです。
そこで室内のエタノールとLPGの混合ガスに引火、一瞬で室外のガスも巻き込んで爆発しました。
そしてさらにその爆発が、今度は居酒屋の厨房用のプロパンボンベの爆発を招いた可能性もあります。 こうなると爆発の規模が一気に拡大します。
訂正、コメントで教えていただきました。 プロパンボンベがこのような爆発で誘爆する事はないそうです。 また火災などで爆発した例もありません。 非常に安全に作られているのです。
だからこの爆発は純粋にスプレー缶だけによるのでしょう。
結果、店が3軒吹き飛ぶ大爆発になったのでしょうね。
死者が出なかったのが幸いとしか言えません。
ところでこれは誰が悪いのでしょうか?
勿論直接の責任は、スプレー缶120本を開けたアパマンの従業員です。 しかい前記のように彼等はちゃんとスプレー缶を捨てる時の規則を守ろうとしただけなのです。
ただその規則は、一度に120本ものスプレー缶を捨てる場合を想定していなかったのです。
これが普通の家庭でやるように1本か2本なら、何の問題もなかったのです。
そしてスプレー缶を捨てる場合に、120本なんて大量に捨てる場合の注意なんか、どこにも書いていないのです。
だから化学や危険物取扱の専門家でもない人達に、この結果を予見できたとは思えません。
それでワタシは彼等を責めるのは無理があると思うのです。
だって豊洲騒動、古くは長野サリン事件での、第一発見者への誹謗中傷を見てもわかりますが、高学歴を誇るマスコミや共産党でも、化学の知識などお粗末極まる物です。
それどころかこうした団体は、ちゃんと一流大で化学を専攻した人間も抱えているはずなのに、そういう人達の意見を無視して、或いは意図的に解釈を捻じ曲げて、事実無根のデマを煽っています。
そしてまた高学歴者がそれを真に受けて、騒いでいたのです。
それを思えば正しいスプレー缶の処分法を守ったアパマンの従業員を責める気にはなれないのです。
オマケ
ワタシは昔、札幌市内にある経産省の研究所で、助手のバイトをしたことがあります。
その研究所に時々、実験に使うガス類を納入する業者が来るのですが、その人が面白い事を話していました。
ウチのところにきたテキヤの親分が嘆いていた。
「この頃の若い者は、水素を嫌がってヘリウムを使う。 これじゃ利益が出ない。」と。
街中やお祭りで売られている風船には、空気より軽いガス、ヘリウムか水素を入れます。 それでテキヤさん達も、この業者のところへガスを買いにくるのです。
ところで水素ガスは安価ですが、引火爆発の危険があります。 一方ヘリウムは不活性ガスですから、絶対引火も爆発もしないのです。 それで非常に安全なのですが、その代わり水素など問題にならないほど高価です。
実はこれは中学の理科でちゃんと教えるのです。
だからテキヤさんも水素とヘリウムの性質は皆しっているのです。
それで親分は危険を承知で安価な水素を使うけれど、若いテキヤさん達は水素を嫌がってヘリウムを使うのです。
親分としては困った事です。
ワタシは豊洲騒動や長野サリン事件の冤罪騒動ような事がある度に、このテキヤさん達の事を思い出すのです。
彼等の方がマスコミの高学歴社員やその賛同者より、余程学んだ知識を生かす能力があると。