fc2ブログ

2018-05-22 12:07

紫丁香花(むらさきはしどい)

  ワタシがライラックの花を始めてみたのは、中学2年の時です。

IMG_3785

 中学二年の時、我が家は父の転勤で、名古屋から札幌に引っ越しました。

IMG_3791

 始めて札幌に来た時は3月末で、まだ雪が沢山残っていました。

IMG_3793

 引っ越先の家から見える山々は真っ白で、そこに黒々とした枯れ木が生えていました。 それは毛深い人の肌と体毛のようでした。

2018y05m22d_110752612

 年中緑に覆われた山しか知らなかったワタシには、それが実に異様に思われました。

IMG_3807

 4月末になってその山々がようやく緑になり、梅と桜が一緒に咲き終わっても、肌寒い日が続きました。

IMG_3810

 そして肌寒いまま5月も半ばすぎた頃、近所の家々にライラックが咲き始めました。

IMG_3816

 大通り公園では「ライラック祭」なるものをやっていました。

IMG_3827

 しかし行ってみると、一体何がどうお祭りなのかわからない祭でした。

IMG_3828

 それでもライラックの花は沢山咲いていました。

IMG_3831

 寒く暗い日で、大通り公園には人気もなかったけれど。

IMG_3840

 このように初めて見たライラックは、まさに北海道その物におもえました。

IMG_3842

 品種は様々あって、白から薄紫、濃紫、濃厚な赤紫などの花が咲きます。

IMG_3847

 しかし白か紫系の花だけなので、どちらかと地味な感じです。

IMG_3851

 しかし洗練された清楚な感じが、いかにも西欧風です。

IMG_3862

 実際この花はヨーロッパ原産で、明治以降北海道に持ち込まれたのです。

IMG_3863

 この花の日本名が紫丁香花(むらさきはしどい)だと言うのを知ったのは、今年の冬でした。

IMG_3873

 冬のある夜、寝る前にベッドの中で青空文庫でチェホフの短編を読んでいると、田舎地主の屋敷の庭に咲く花々が描かれていました。

IMG_3887

 その花々は皆、ワタシの馴染みの花々で、なるほど北海道とロシアは似た気候なのだと思いました。

IMG_3890

 しかし一つだけ、紫丁香花(むらさきはしどい)と言うのがわかりませんでした。

IMG_3891

 実はこの紫丁香花という名はロシア文学の他の作品でも何度か見た事がありました。

IMG_3896

 そして美しい語感が気になっていました。

IMG_3906

 ところがネットができる前は、それが実際にどんな花かを調べるのは、結構大変だったのです。

IMG_3908

 だからワタシもどんな花か気になりながらそのままになっていました。

IMG_3919

 しかしi-padでの読書中なら話は別です。

IMG_3924

 そこで「ムラサキハシドイ」を検索すると、それが他ならぬライラックだとわかったのです。

IMG_3927

 なるほど初夏のロシアの地主屋敷の庭に咲くわけです。

IMG_3932

 それで今年のライラックは、チェホフの世界を想わせてくれるようになりました。

IMG_3933

 今年の札幌は気温が低いので、ライラックの花は漸く開いたばかりです。

IMG_3938

 だからまだライラックはまだ十分香りません。

IMG_3940

 しかしもう少し待ては丁香花の名に相応しく香り始めるでしょう。
  1. 札幌の四季
  2. TB(0)
  3. CM(0)

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する