河野太郎外相が、国会審議について不満を述べたツイートが話題になった。その後削除されたが、首相や大臣の政治日程と国会審議のあり方は、果たしてこのままでいいのか。
14日の衆院予算委員会は、外交防衛の集中審議が行われていた。NHKの中継で、河野外相が腕を組んで目をつぶる姿が映し出されていた。
ネットを中心に、河野外相が委員会の最中に寝ているという批判が出たことを受けて河野外相は、自身のツイッターで「やらねばならないことが山のようにあるのに、9時から5時まで答弁が無くとも委員会に座ってろって…腕組んで目を瞑る暇に仕事させてほしい!」と書き込んだ。
この発言は河野外相らしい率直なものであるが、今の国会運営方法では集中審議の際に外相はずっと委員会にいなければいけないので愚痴を言っても意味はない。そのためか、ツイートは削除された。現職閣僚が国会審議方法を批判して、国会が止まったりして予算案審議に支障が出たら、それこそ目も当てられないからだろう。
しかし、今のやり方を多くの人が批判しているのも事実だ。筆者も役人時代、答弁も求められていないのに、閣僚がまるで「拷問」のように委員会席に貼り付けられて、必要な事務仕事ができないことを不合理に思ったことが何度もある。
その後、海外の議会運営を見ても、やはり日本の国会の不合理性を感じざるを得なかった。例えば、米国や英国の議会では、質問と答弁に必要な人しかいない。だからこそ、小ぢんまりとした雰囲気で、小人数の熱い議論が行われている。日本の国会では質問しない人が別のことをやったり、答弁しない大臣が座り続けていて眠くなるのも仕方ないだろう。
NHKの中継中の居眠りには批判が出てくるが、国会の運営方法が前時代的なことには批判が出にくい。野党は、質問通告がなくても大臣には答弁する義務があると言うが、実際問題は質問通告がなければ答弁をしなくてもいいので、質問通告のない大臣までも拘束するのは、時間の無駄遣いである。
日本の大臣の国会での拘束時間は、海外と比較して長い。ある調査によれば、各国の財務大臣と外務大臣の国会の出席日数をみると、日本では財務大臣207日、外務大臣165日(2011年)であったのに対し、フランスでは経済・財政・雇用大臣34日、外務大臣17日(07年7月~08年7月)、英国では財務大臣17日、外務大臣22日(08年12月~09年11月)。ドイツでは財務大臣15日、外務大臣16日(09年11月~10年11月)だった。
実は、首相についても、日本127日、フランス12日、英国36日、ドイツ11日(期間は大臣と同じ)と、日本がずぬけている。日本は他の先進国の10倍近く国会に拘束されているのだ。このため、外国訪問や国際会議出席などの公務に支障を生じている。国会改革は急務だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
>今の国会運営方法では集中審議の際に外相はずっと委員会にいなければいけないので愚痴を言っても意味はない。
なるほど愚痴を言っても仕方はないのですが、しかしこれを河野太郎が自分の口で言ったのは良い事です。
だって国民はこれになかなか気づきません。 なぜなら国会中継を見ていると、議員や閣僚の発言には注目しても、黙って後ろに座っている人達には、その存在さへ意識しないからです。
真面目に考えたら、自分には直接関係のない質疑応答を毎日延々と聞かされるのは、苦痛でしかなく、しかも他にすることはないならともかく、大事な仕事が一杯なのに、唯国会に出席しろと言うのは嫌がらせでしかありません。
勿論国会は国権の最高機関ですから、国会の質疑応答は大切なのですが、しかし幾ら閣僚でも自身に直接権限の及ばない問題についての質疑応答を全部聞いていなければならないと言うのはオカシイでしょう?
閣僚の答弁が必要な場合は、記事にある通り、質問主意書を出して、必要な答弁を求め、その答弁をする日だけ国会に出席すれば良いのです。
そもそも閣僚は本来の仕事があるわけで、それなのにその仕事に加えて国会議員と同じだけ国会に拘束されると言うのは、無茶苦茶なのです。
本来であれば閣僚は閣僚の仕事に専念し、それに問題がある場合は国会に召喚して議員からの質問に答えると言う体制にするべきでしょう?
それなのに何でこんな奇妙な体制になったのでしょうか?
お蔭で閣僚の外遊は、全部ゴールデンウィークなど国会の休会中に集中します。
通年国会にするべきだと言う話もありますが、閣僚が必ず国会に出席しなければならない体制では、閣僚の仕事をするどころではなくなります。
まして外務大臣など相手国の都合もある仕事では、どうにもなりません。
相手国の首脳からすれば「日本の大臣は何でワザワザ人の休み中に来るんだい? 警官だってSPだって、それに大統領府の調理師だって土日は休みたいんだよ。」と思っているでしょう?
そもそも野党は何かと言えば「外交で解決しろ~~!!」と言っているのです。
それなのにその外交仕事をする外務大臣を国会に縛り付けて置くと言いのはオカシイではありませんか?
それなのにこの状況を改革する話が出ないのは、つまりは彼等は政府にちゃんとした外交などやらせる意思はないし、むしろ自分達の権力を濫用して、政府を邪魔したいだけでは?
それにしてもこういう事一つとっても、日本の戦後体制は色々限界に来ているのでは?
しかもその戦後戦後体制に一番執着しているのは、自称リベラル、自称革新だった連中では?
こんな悪しき戦後体制の残滓みたいな連中を早く整理しないと、日本は先進国の地位から滑り落ちるんじゃないかと不安になります。