テンプル騎士団ってこんな人達です。
胴衣に赤い十字架を着けている人達がテンプル騎士団の騎士です。
テンプル騎士団は第一次十字軍の直後、9人のフランス人騎士がパレスチナ近辺で聖地を巡礼する人々の警護を始めた事から始まりました。
当時は大変治安が悪く、巡礼達は盗賊やイスラム教徒の襲撃に慄きながら旅をしていたのです。 だから巡礼達がこれをどれ程喜んだ事か・・・・。
やがてこの騎士達の善行は、彼等の警護を受けた巡礼達を通じて忽ちヨーロッパに伝わりました。
そこでこれに感動した人々が仲間に加わり、また多額の寄付が集まり、この騎士団は程なく十字軍最強の武装集団になりました。
因みに騎士団と言うのは正式には騎士修道会と言います。
つまり修道会なのです。
修道会は修道院を作り、修道士達はそこで会の方針に従って神に仕えるのです。 例えばトラピスト会は労働により、ベネディクト会は学問により神に仕えるのです。
騎士修道会は、神の為に異教徒と戦う事を目的とした修道会なのです。
だから騎士団の騎士達は、修道士として、従順・清貧・貞潔の厳しい戒律を守り生涯独身の集団生活をしながら、異教徒と戦い続けたのです。
テンプル騎士団の名称は、この騎士団の本部がテンプル、つまりエルサレムにあったソロモン王の神殿跡地に会った事から付きました。
しかしこの場所はユダヤ教の聖地でもあり、またムハンマドがエルサレムを支配して以降は、イスラム教の聖地にもなりました。 現在はイスラム教の聖地アル・アサクモスクが建っています。
このような場所を敢えて本部にすると言うのは、極めて攻撃的です。
塩野七生さんは「十字軍物語」で彼等を「特殊部隊」「さっと行って、さっと殺して、さっと帰る」と評しています。
当に異教徒を殺す事にだけに特化した集団だったのです。
しかしこのような彼等の在り方こそは、当時のヨーロッパの人々が十字軍に求める物でした。 だから彼等は当時のキリスト教徒には絶大な人気があったのです。
その為入団希望者はドンドン増えるし、荘園の寄進や金銭の寄付も集まり続けました。
騎士団はこうして豊になった資産を、実に巧みに管理運用しました。
考えてみるとこれは大変難しいのです。 なぜなら寄付や寄進は殆どヨーロッパでなされるのですが、戦費など騎士団の予算は殆ど全部パレスチナ周辺で使う事になります。
彼等はこの問題を解決する過程で、唯寄付された資産を運用管理するだけでなく、聖地に来る他の王侯貴族相手に、金融や為替の業務まで行うようになりました。
そして騎士団の富は益々増えて行きました。
しかしこうなると益々資産の管理は難しくなります。
そこで彼等は自分達の資産を管理するために発明したのが、複式簿記と言われています。
彼等の使っていた簿記が本当に現代の腹式簿記だったのかどうかはわかりません。 複式簿記の発明には他にも諸説ありますから。
しかし大変高度な資産管理法を確立していたことだけは間違いなのです。
複式簿記の特徴は、金銭の収支だけではなく、債務や債券を総合的に記載する事ができて、簿記を見れば常に債務と債権の差、つまり純資産或いは純債務が解る事です。
サラリーマン家庭の家計簿や、子供の小遣い帳のような金銭出納簿では、債務も債権も記載できません。
普通のサラリーマンなら債務=借金は家や車のローン程度、債権=貸金はほぼない(厳密に言えば銀行預金は債権だけれど)ので、敢えて複式簿記を着ける必要はありません。
しかしどんな小さな企業でも企業となれば、売掛金、未払いの仕入れ代金、銀行から借り入れ金、その担保である不動産など、資産の状況は遥かに複雑になってきます。
だから零細企業でも、複式簿記を使って資産を管理して、税務申告もこれを元に行います。
但しこれはそれほど難し物だありません。
複式簿記は商業高校なら必ず習います。 そして殆どの学生が卒業する前に簿記3級を取ります。
さてここまで長々と書いたところでこの記事を読むとどうでしょうか?
国の借金1080兆!!
凄いね。
それでは国の資産はどれだけ?
それに借金は誰にしているの?
国債の内400兆ぐらいは日銀がもっていたと思うけど、日銀って国の子会社だから、日銀がもってる国債は国の借金じゃなくて資産でしょう?
資産を子会社に移して、借金だけがあるように見せるって?
それ粉飾決算とか言うんじゃない?
それで利益を隠して税金逃れをやると、脱税で捕まるんじゃない?
それなのにこんな事を何十年も言い続けるって?
財務省のエリート官僚達の皆様って、複式簿記がわからないの?
ええ、でもホントにわからないのだそうです。
財務省のエリート官僚の皆様は、東大の法学部で憲法学のような宗教的な教育を受けた方々なのであって、簿記なんて俗世の事はご存知ないのです。
因みに東大の経済学部でも簿記は教えないのだそうです。 簿記などの会計学は経済学より格下の学問なので、東大のようなエリート教育機関では教えないそうです。
だから財務相のエリート官僚様は、国の財務状況を債務と債権を総合的に見て判断すると言う発想はお持ちではないのです。
実際、国家の財務管理の為の複式簿記は作っていないのです。
毎年の国家の歳入と歳出しか管理していないのです。
国の帳簿は主婦の家計簿と同じレベルなのです。
そこで
借金はしてはイケナイ悪い事!!
だから何が何でも減らすべき!!
と、倹約家の主婦の家計管理のレベルから一歩も出ないで、国家財政を仕切っておられるのです。
それにこの手の質素倹約は、宗教家の好みです。
東大法学部と言うのは、GHQを唯一絶対の神として、その聖典である日本国憲法を学ぶ神学校なのですから、複式簿記とかそういう俗世的な発想が生まれるわけはないのです。
で、でもテンプル騎士団は?
連中は当に狂信的暴力集団だったのに、ちゃんと自分達の資産を管理するために、中世の最中に複式簿記を発明したんだよ!!
騎士達個人は禁欲・清貧の生活をしていたけれど、それは騎士団の資産管理とは別だよ。
それなのに21世紀の日本で国家の財務管理をやっている連中が、未だ複式簿記を理解できないって?
これじゃ日本の財政や金融がマトモに機能するわけないでしょう?
こんな人達にできた事が、何で21世紀の日本のエリート様にできないのでしょうか?
先日、虎の門ニュースでの藤井聡先生と高橋洋一の話を聞いていて、なんかもう気が遠くなりそうでした。
つまり日本の国家財政を仕切るのは、財務や経理についての知識が皆無な、カルト神学者によって仕切られているのと言う事なのです。
しかもそのカルト神学者達は、とても頭が悪いらしく、中世中期の修道会の財務管理能力にも遠く及ばないのです。
これではバブル以降の日本の経済が低迷するのも当然です。
バブルまでは日本の賃金水準はまだ世界的にも低く、人口ボーナスもあった時期ですから、国民が唯真面目に働けばそれで経済は発展したのです。
しかしバブル経済破綻後の処理は、カルト神学者達にはとても手に負えるものじゃなかったのです。
そこで見事に処理を誤ったのですが、でもそこはカルト神学者ですから絶対に間違いは認めないで頑張り続けて現在に至っているのです。
この状況を改善しない限り、日本には未来はないのではないでしょうか?