これは朝日の記事から拾った図ではありますが、双方の損傷から言うとこの図は正しいでしょう。
航海規則から言うと、進行方向に向かって右から来た船と、左から来た船が衝突しそうになった場合、回避義務があるのは左側の船です。
回避して航路を譲る義務はイージス艦側にあります。
それにしてもイージス艦、酷い損傷です。
イージス艦の損傷と、コンテナ船の損傷の写真を見ると、まるでイージス艦がコンテナ船の衝角攻撃を受けたみたいです。
イージス艦側で7人の乗員が行方不明、海上保安庁が捜索していると言うニュースを見た時は、「海に投げ出された?」と思ったのですが、7人全員の御遺体が艦内から発見されました。
これはつまり艦内の水線下の区画で、作業中や就寝中に、コンテナ船が衝突して、船体が歪んでドアが開かなくなって脱出不能になったまま一瞬で浸水して、それで亡くなられたのだと思います。
こんなことで7人も亡くなられると言うのは、つまりイージス艦側はコンテナ船の接近を全く認識しておらず、乗組員には衝突時の安全措置を取らせていなかったと言う事でしょう。
事故原因はイージス艦側の不注意としか考えられません。
完全な外洋で、イージス艦が回避する場所がない等の理由も考えられません。
つまりイージス艦側はコンテナ船の接近に全くきづいていなかったのです。
レーダーも確認していなかったし、目視も殆どせずに自動操舵で走行していたのではないでしょうか?
コンテナ船の見張りも不十分だとは思いますが、しかしこうした商船はギリギリの人数で運行されているのですから、見張りも最低限、それにコンテナ船側に航路権があるのです。
一方、イージス艦は本来なら十分な人数を見張りに配置しているはずです。
しかも相手はイージス艦より大きい船なのです。 だから漁船など小型船との衝突とは全く違うのです。
更に運動性や速度はイージス艦の方が遥かに勝っています。 本来ならコンテナ船がイージス艦を衝角攻撃する気で追い回しても、余裕で逃げられるでしょう。
それなのに・・・・・こんな事になるなんて。
コンテナ船からすればイージス艦が回避行動をとると思って、安心しきって突っ込んだのではないでしょうか?
日本近海は船乗りに取って世界最高の難所です。
台風その他、変わりやすい厳しい海象、激しく複雑な海流、そして海としてはあり得ない程の交通ラッシュ。
日本の船乗りでも、日本近海に入る時が一番緊張すると言うのです。
米海軍の中にはこうした日本近海に事情に慣れていない乗員が多かったのでしょうか?
それでも政治的に幸運なのは、相手船が日本船や中国船ではなく、また相手に人的被害が無かった事です。
とにかく日米政府はこの状況を踏まえて、米海軍側の不注意であることを前提に事故対応をしていくしかありません。 相手船に人的被害が無かったので金で済むと思います。
亡くなられた皆様のご冥福をお祈りします。
まだ若く健康な方ばかりでしょうから、御遺族の御悲しみはいかばかりでしょうか?
但し米海軍はこんな事故では、対北朝鮮の戦力に影響は受けないでしょう。 だって米海軍はイージス艦を100隻余り持っているのですから。
この事故を教訓に気持ちを引き締め、禍転じて福となすように健闘される事を期待します。