有機化学の講義が始まりました。
有機化学の教授はこの直前までイギリスの大学に留学していたので、講義の最中に時々イギリスの土産話しをしました。
その中で今でも覚えている話があります。
イギリスの大学の学生は黒いのや黄色いのばっかり!!
イギリス人が一人もいない!!
イギリス人の学生は何処に行ったんだ??
驚いてイギリス人の同僚に聞いたら
彼等はアーツや文学を学ぶ。 工学部や理学部には来ない。 なぜならガールがいないから。
と、答えたそうです。
こ、これじゃダメだ!!
理工系の技術者は文明国を維持するのに絶対必要なのに、こんな事では国がダメになる。
と、教授は言いました。
で実際それから数年後、イギリス経済が破綻状態になりました。
因みに我が母校は三流大学ですが、教授の留学先の大学は三流ではありません。 教授が行った先の研究室のボスは、ノーベル化学賞を獲った北大の鈴木教授の師匠筋で、有機ホウ素化合物の権威でした。
そういう大学でも、理工学部にはイギリス人の学生がいなかったと言うのです。
理工系の学生の教育には、人文系の学生の教育より遥かにお金がかかります。
それでも国が多額の費用を出してこうした学部を作るのは、技術者なしでは近代国家は維持不能だからです。
だから理工系の学部は就職には有利です。 好況時は勿論、不況時でも常に一定の雇用が確保されています。
それでもイギリス人の学生は、理工系の学部を嫌って行かなかったのです。
因みにこの頃から既にイギリス経済は落ち目で、失業率は高かったのです。
ただこの頃のイギリスはまだ「揺り籠から墓場まで」と言う福祉政策を続けていたので「働いたら負け」と言う感覚がイギリス全体に横溢してたようではあります。
だからイギリス人の若者達は、卒業後の就職はなくてもガールのいる学生生活を選んだのかもしれません。
ともあれイギリスの若者がこの有様では、技術者を必要とするイギリスの企業や団体は、どんなにレイシストで黒いのや黄色いのはイヤでも、技術者が必要なら黒いのや黄色いのを取るしかないのです。
そしてこの頃からイギリスに移民が激増して行ったようです。
「移民が増えてイギリスの治安が悪くなった」と言う話はその頃から出てきました。
それじゃそれまでは?
それまでは感動するほど治安が良かったようです。
こんな話を聞いた事があります。
ある日本人がイギリスの街角に車を止めて、暫くして戻ってみるとワイパーにメモがはさんである。
読んでみると「自分の不注意で貴方の車に傷をつけてしまった。 修理代を出すので連絡して欲しい」との事で、名前と連絡先が書いてある。
感動して連絡先にそのことを告げると「当然のことです。」と言われた。
イギリスはホントに紳士の国だ!!
しかし今はそんなことは嘘のようです。 治安の悪化は移民の増加と共ドンドン進んだのでしょう。
今ではイギリス人の少女達が5000人もパキスタンギャングに強姦されるなんて恐ろしい事件まで起きています。
でもイギリス人の若者が理工学部に進まないような状況では、移民を止めるわけにはいかないでしょう。
本来イギリス人に自然科学系の才能がないわけではありません。
それどころか古典物理学を確立したニュートンも、蒸気機関を発明したスティーブンソンも、イギリス人です。
イギリス人の近代自然科学と工学に対する貢献は大変な物なのです。
それなのになんでこんな事になったのか?
豊で安逸な生活が続くとどんな民族でも堕落するのでしょうか?
ワタシは移民には反対です。
そして高度人材には一年で永住権を与えると言う話は超如何わしいと思ています。
あれは移民是非以前に異様に不自然でオカシナ裏があるとしか思えないのです。
しかしそれだけで反グローバリズムを叫ぶのにも違和感があります。
なぜなら日本はアメリカと共にグローバリズムで最も成功した国の一つなのです。
だってイギリスの造船業や鉄鋼業などを潰したのは日本です。
戦前は世界一だったイギリスの造船業は、日本との競争に負けて潰れたのです。
そして日本の鉄鋼メーカーはイギリスだけでなく、アメリカの鉄鋼業まで追い込んで行きました。
自動車や家電も日本の企業は欧米の競争相手をドンドン追い込んで一流になって行きました。
だから日本は豊な国になれたのです。
そして今の日本は世界一の債権国です。 つまり世界中の国や企業にお金を貸して、その利息を得ている国なのです。
お蔭で日本は原発が止って、石油輸入で莫大な貿易赤字を出しても、この利息収入でその穴が埋まるばかりか、黒字を維持しているのです。
利息収入があるので高齢化にもそれほど不安がないのです。
グローバリズムは要するに優勝劣敗の自由競争ですから、強い者には有利なのです。
そして日本は今まで強者として散々その有利を享楽してきたのです。
それなのに今になって日本に不利な面だけを問題にして反グローバリズムを唱えても通るわけはないでしょう?
これはアメリカも同様です。
反グローバリズムを唱えて大統領になったトランプさん本人だって、世界中に不動産投資をしているのです。
これでどこまで反グローバリズムを通せるのでしょうか?
日本が生きる道は、安易に反グローバリズムを唱える事じゃないでしょう?
グローバリズムの中で勝ち残れるような競争力を維持する事でしょう?
その為には日本人が向上心と勤労意欲を維持する事が一番重要なのではないですか?
移民に反対なら移民を必要としない人材を日本人が作り出さなければならないのです。
移民に反対する人達はそのことは十分に考えて置いて下さい。