TVドキュメンタリー番組が魅せた「民主主義のカタチ」
>だが、英国のEU離脱、米国のトランプ現象と民主主義の牙城のような国で雪崩打つように崩れてゆく現実を目の前にして、工藤氏が訴えてきたことの意味が腑に落ちたのだという。
しかしワタシはエリートではなく低学歴なので、どうしてこれが民主主義の崩壊になるかは全然わかりません。
例えばEUは加盟国の国家主権が大幅に制限される組織です。
そしてこうして奪われた主権はEU官僚なる連中の物になってしまいました。
民主主義は主権在民ですが、この「民」に「在」する「主権」とは国家主権ですから、これを大幅に奪われる事は、反民主主義です。
だからそれをEU離脱でそれを取り戻すのは、民主主義の回復でしょう?
そしてアメリカの大統領選挙は完全に合法的に行われた物です。
完全に合法的に民主的に行われた選挙で、トランプ候補が勝利したら何で「民主主義の崩壊」になるのでしょうか?
しかしこのオバサンだけでなく、自称エリート達によるとイギリスのEU離脱やトランプの大統領選勝利は、民主主義ではなく、ポピュリズムなのだそうです。
そうです。
ワタシがやたらにポピュリズムと言う言葉を聞くようになったのは、昨年のイギリスのEU離脱騒動が始まった頃からです。
このイギリスのEU離脱に関する欧米の報道を見ていると、実にまあ呆れる程露骨に、離脱派を侮蔑し罵倒していました。
レイシスト、低学歴、低所得、そしてEU離脱派の政治家を「ポピュリスト」と罵倒し続けていたのです。
それはもうインテリによる一般大衆へのリンチ、インテリンチと言っても良いレベルでした。
そして同様のインテリンチは、米大統領選でも行われたのです。
こうしたインテリンチを見ていてワタシが呆れたのは、このインテリ達の傲慢さと特権意識、そして知性の乏しさでした。
だってそうでしょう?
例えばイギリスのEU離脱です。
イギリスのEU離脱がイギリスの国益になるかどうかはわかりません。
しかしイギリスのインテリ・エリート達が、本当にEU離脱は国益にならないと考えているのならば、なぜならないのかを一般国民にわかりやすく説明するべきだったのです。
またどんなに国益に叶った事でも、全て国民が等しく利益を得られるわけではありません。 例え国家には大きな利益でも、その為に不利益を蒙る人達も出てくる場合があります。
民主主義国家なら当然ですが、こうした人々の不利益は国家が償うべきです。
ワタシは昔学習塾講師をしていた経験から、この問題で特に同情したのは、移民の子供が6割にも達して授業が成り立たない学校に通わなくてはならない子供達でした。
毎日英語の授業を聞かされるなんてワタシだってイヤだ!!
絶対に切れてやる!!
授業中に教室で大騒ぎしてやる!!
これじゃ学級崩壊して、イギリス人の子供だけでなく移民の子供もマトモに教育を受けられないのです。
これは子供の将来には死活問題です。
本当にインテリ・エリートならこれが子供達にとってどれほど深刻な問題か理解できるはずです。
だからEUに残留する場合は、こうした学校をどうするか?
溢れる移民達の中で、イギリス人の子供と移民の子供をどう教育してくかを、ちゃんと考えて子供の親達にちゃんとその対策案を示すべきでしょう?
しかしそういう話は全くなかったのです。 それどころかイギリス人の親達が、子供を移民の多い学校に入れたくないと言うのを非難する、そもそも英語のわからない移民の子供がどのぐらいいるかを調査する事が「人種差別」と言いたいようでした。
このようにEU残留を訴える自称エリート達がやったことは、EU残留に伴う現実の問題は完全に無視して、代わりにひたすらEU離脱派を罵倒する事だけでした。
つまりイギリスの自称エリート達は以下のような人々だったのです。
自分達の意見をちゃんと説明できない。
自分達の推奨する制度から来る問題に対する対策案を示せない。
それどころかそもそも自分達の推奨する制度から来る問題がある事を認める事を拒否する。
そして自分達の意見に反対する人間を、唯ひたすら罵倒する。
これが知性と教養のある人間と言えるでしょうか?
これじゃ場末のヤクザか、演説の下手なヒトラーです。
ワタシはこれで欧米のエリート達に心底幻滅し、彼等への敬意を完全に喪いました。
ところが更に呆れた事に、欧米のインテリ・エリート達はこのEU離脱での敗北に何一つ学びませんでした。
そこでアメリカ大統領選が始まると、全く同じ事を今度はトランプ候補にやったのです。
つまりトランプ候補の掲げる政策の問題は何か?
トランプ口語が指摘したグローバル化による問題に他候補はどう対応するのか?
などと言う政策についての議論は全部吹き飛ばして、ひたすらトランプ候補の人格攻撃を行い、更にトランプ候補を支持する人達を「レイシスト」「低学歴」「低所得」と罵倒する事に熱中したのです。
こんな低レベルの人格攻撃と、自分と意見の異なる人々へのヘイトスピーチしかできない人間達の何処に知性があるのでしょうか?
しかしこの愚劣な人格攻撃と罵倒しかできない自称エリート達は、国民大衆は自分達の意見に従うべきだと信じて疑わないのです。
下民は俺達エリートの言う事を聞け!!
それが民主主義だ!!
そう信じて疑わないので、自分達の気に入らない政党政治家には「ポピュリスト」のレッテルを貼り、自分達の気に入らない選挙結果が出ると「民主主義の崩壊」と喚くのです。
なるほどね。
ワタシも優れたエリートが社会をリードする事自体は、全然悪いと思いません。
しかし前記のように、自分の意見もちゃんと説明できない、他人の人格攻撃や罵倒しかできない、そんな人間は幾ら学歴が高くてもエリートとは言えないでしょう?
そもそもそんな愚劣な人間がエリート面をして踏ん反り返る事ができる社会が、本当に民主主義社会と言えるかどうかを疑うべきなのです。
それでもこのような愚劣な人間達が自分達をエリートと信じて踏ん反り返ってきたのは、結局彼等がマスメディアと教育界を席巻して、彼等による言論統制を実現していたからでしょう。
この10年来、欧米では「ポリティカルコレクトネス」や「反差別」が魔法の呪文になってしまいました。
これを唱えるとどんな相手でも黙らせる事ができるようになったのです。
言論の自由と言うのは民主主義国家では、民主主義を守り維持する為に最も重要な権利のはずでした。
しかしこれが70年代から始まった人種差別反対運動以降、段々変質して「人種差別反対」が絶対化してしまい、人種差別的と思われる言論をドンドン弾圧するようになっていったのです。
更にその人種差別の概念を拡大して、例えばイスラム教に対する批判まで人種差別になってしまいました。 イスラム教は宗教で人種じゃないはずなのに。
その言論弾圧の先頭に立ったのが、実はこの自称エリート達なのです。
彼等にすれば「自分達はこの世から差別をなくすと言う正義に為に活動しているのだから、それに反対する言論は抹殺されて当然。」と言う事でしょう。
でもこれって完全にファシズムですよね?
こんな発想が自由の国アメリカで生まれ、そして実行されていた事こそが恐ろしいのですが、しかし自分達の正義に耽溺している人間達には、それを客観視する事はできないのです。
それどころか自分達の強大化させることこそが民主主義であると言う、曲芸のような妄想に陥っているのです。
最初に紹介した記事のオバサンは、言論NPOなんてモノが国民と政治家の間に入るのが民主主義と言う珍説を掲げています。
そしてこのオバサンは自分で言論NPOを主催しているのです。
つまり彼等の心中にあるのは、際限もない権勢欲と自惚れなのです。
彼等の民主主義とは自分達の自惚れと権勢欲を満喫できる制度なのです。
そういう連中がイギリスのEU離脱やトランプ当選を見ると「下民共が俺達エリート様の言う事を聞かなくなった。 これは民主主義じゃない。 だからポピュリズムだ。」と言う事になるのです。
つまり自分達エリートの気に入らない意見が、国民から支持されたらそれは「ポピュリズム」なのです。
でもアメリカもイギリスも伝統ある民主主義国家です。
だから国民は気付いたのです。
「こんな愚かしい連中をのさばらせ続けたら、自由も民主主義も喪う!!」
その結果がイギリスのEU離脱とアメリカ大統領選のトランプ当選です。
そしてこの結果に、自称エリート達は憤激し、今も憤激し続けているのです。
しかし哀しい事に、憤激するだけでなぜ自分達が国民から見捨てられたかを理解する能力はないのです。
アメリカやイギリスが健全な民主主義国家である限り、こんな愚かしい自称エリートが権威と権力を取り戻す事はないでしょう。