2016-11-04 21:59

ベルリン特電 

 入院中に「ベルリン特電」と言う本を読みました。
 これは共同通信の記者である著者江尻進が、1939年に支局長としてベルリンに赴任してから終戦で帰国するまでの記録です。

 この中で非常に驚いたのが、1939年3月にこの著者江尻進がヨーロッパに着いてから、9月1日に第二次大戦が勃発するまでの状況の描写です。

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 当時、日本からの渡欧は船によるしかなく、著者江尻も神戸から43日かけてマルセイユに到着しました。

 そしてベルリンに行く前に一旦パリに立ち寄り、そこに妻を置いてイギリスに行きます。
 当時日本人が多数いて色々な情報の集まるイギリスで、顔つなぎをして欧州情報を得る為でした。

 江尻によると当時のイギリスでは、戦争は起きないと言う楽観論が横溢していたと言うのです。

 例えば江尻は当時イギリス大使だった重光葵に面会したのですが、この時重光は江尻に「ドイツへ行ったら戦争が始まると言う連中に騙されないないように気を付けろ」と言われました。

 イギリス世論は政治軍事を仕切る上流階級と、一般庶民との間にはかなり世論でもかなり乖離があったようです。

 そして日本の外交官は主に上流階級の情報を、銀行など民間人は一般人の情報を得ていたのですが、双方共に戦争は起きないと言う楽観論に支配されていたと言うのです。

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 しかしイギリスを離れて、パリも引き払い、いよいよドイツに入るとアーヘンの駅で大量の軍隊が終結しているのを見かけます。
 
 またその後はどの駅でも、軍隊や軍事物資の移送を見かけるばかりか、ナチの突撃隊の若者達が、防空壕を作っていたりする光景が続き、どう見ても戦争一色なのです。

 ベルリンについてみると、週末ごとにダンスパーティが開かれたりして都市生活は非常に華やかです。

 しかし鉄道を見ると、戦車を積んだ列車がドンドン東に向けて進行するのが見えて、どう考えても尋常な雰囲気ではないのです。

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 一方、当時ダンチヒ回廊を巡ってドイツと対立していたポーランドに行ってみると、こちらも全く戦争など想定していない。

 ポーランド在住の日本人達も、外交官まで皆その気分で、ドイツの軍の侵攻など一切予想していない。

 汽車で乗り合わせたポーランド人の弁護士は、戦争について聞いても、「ポーランドは騎兵が強いので、ドイツ軍など怖くない。」と真顔で言うのです。

 そこで江尻はこれほど戦争への危機感が違うのか?と驚いています。

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 ベルリンの華やかなダンスパーティなどは、当時のドイツ政府が意図的に戦争の危機を隠そうとしてやっていた事ではあります。
 
 しかし戦車を載せて続々と東に向かう汽車や、駅で塹壕を掘る突撃隊員などは隠せないし、隠す気もなかったのです。

 そして開戦までドイツには多数のイギリス人もポーランド人も多数いて、活発に行き来していたのです。

 こうした人々は本国にドイツの状況を知らせなかったのでしょうか?
 ドイツの状況を聞いた人々は何と思ったのでしょうか?

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 けれどもこうしたドイツの状況は、結局イギリスもポーランドも本気で心配する事は無かったと言うわけです。

 逆に言えばだからこそイギリスもポーランドも安心して、ドイツとのチキンゲームを続けていたのです。

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 ワタシはハミルトン・フィッシュの「日米開戦の悲劇」を読んだのですが、この中で著者フィッシュはアメリカ上院議員として、ドイツのポーランド侵攻の半月前まで、必死に戦争回避の努力をしていました。

 そしてアメリカに帰国してから、新聞記者に戦争について聞かれたとき「このままでは一週間以内にも戦争になる。」と答えました。

 しかし当時アメリカの新聞はこれで彼を狂人として、一斉にバッシングしたのです。

 つまりアメリカもまたこの時期に至ってもまだ戦争が起きるとは信じていなかったのです。

 けれども何と正確にその一週間後の1939年9月1日、ドイツ軍はポーランドに進行して、第二次世界大戦が勃発したのです。

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 ドイツ軍が侵攻した時、ポーランド人の多くは最初これを演習かと思ったと言います。

 現地の日本大使館員も同様に思い、ぼんやりしていたのですが、その後本物の戦争とわかって、慌てて撤退するポーランド軍について行く事になりました。

 こんな有様でポーランド軍は抗戦の体制を整える暇もないまま、なし崩し的に崩壊してしまいます。
 
 ポーランド軍はそれまではヨーロッパ最強の陸軍の一つに数えられていたのに・・・・・・。

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 人間は全ての物を見る事はできない。 だから見たいものだけを見る。

 これはユリウス・カエサルの言葉です。

 そしてイギリスもポーランドもアメリカも皆、見たいものだけを見ていたわけです。

 でもドイツもまた自分の見たいものだけを見た結果、第二次世界大戦が勃発したのです。

 これを思うと現在自分が見ている物はどういう物なのか?非常に恐ろしくなります。

 関係ないけどオマケです。 さっきyou tubeで見たけど凄く面白かったです。


 
 

 
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コメント

見たいものを見る
大戦に関係のないことで恐縮ですが、最近よく考えることなので…。私自身も見たくない情報はあります。ツイッターでデマがパッと拡がるのも見たい方向に情報をフィットさせてしまうんですよね。昨日からパリで難民が暴動、日本メディアは報道しないとか画像付きで流れてきますが在住の人によると小競り合い程度で画像も昔のものなんだそうです。難民怖い!日本メディアは報道しない自由!と言いたい人が拡散してしまう。気を付けなければと思います。

私が最も理解しがたく嫌悪してしまう人種は(あの恨日韓国人よりも)日本を見下す日本人です。最近見かけたのは電車内で化粧するのはみっともないというCMに発狂しているフェミ。「男の大股開きや痴漢行為にまで表立って批判しないくせに女のやることには日本の広告業界はジョセイサベツガー」
車内の大股や痴漢は電車マナー広告の古典的な題材ですが。このフェミはどこの日本に住んでいるのか?フェミとは韓国人と一緒で妄想の日本を作り上げて勝手に怒っているだけではないか?男が行動を制約されたり批判されても何も感じず、女が批判されるのは一切を許さないというだけではないのか?
この手の日本サイテーばかり言ってる人には簡単な事実誤認が多々見られます。「オーストラリアでは車が止まってくれて感動、日本では全くない」とかアホみたいなことを書き散らしてます。見たいものだけ見て、見たくないものに目を瞑るというより更に進んで積極的に最低日本像を捏造している。自分も日本人なのにわざわざ事実を捻じ曲げてまで自国を叩いて得られるものって?彼らの見たいものってひどく倒錯してます。病気ですかね。
韓国人がウリは人類史上最悪なことをされたとうっとりするのも分からなかったんですが、被害者になりたがるという特徴を知ると、彼らはだから慰安婦より性奴隷の方が嬉しいのか…くらいの理解はできます。

「ドイツリスク」に面白い記述がありました。ある日本人教授がドイツ左派メディアに、「英語ができる日本人は危険を知って東京を脱出しているのは本当か」と訊かれ、日本の体制に批判的な人物ながらはあ?と呆れたらしく、あんたたち日本語もわからんくせに何がわかるんかとたしなめ、「確かに英語が話せる日本人で欧米の外国人に対し、そのようなことを流暢な英語で確認する傾向を持つ、正確に言えば、喜びを見出すタイプの人がいることは確かだが」と答えたそうで、私はケケっと笑ってしまいました。ヨロコビって。
  1. 2016-11-05 00:29
  2. URL
  3. こきち #97nXsu5.
  4. 編集

第一次世界大戦から変わらない話

第一次世界大戦の時も、総力戦にはならないと思われて、有名な「クリスマスには帰れる」、と言われて泥沼の塹壕戦にお互い膠着したのと同じでしょう、あ、そういえば第二インターナショナルが崩壊したのも、第一次世界大戦、労働者に祖国は無いとか無茶なスローガンが、第一次世界大戦勃発と同時に皆なが祖国に帰り武器を持って戦ったのですから、そりゃ崩壊しますよ、あと結局戦争は行ってから先が大変、どこの国も補給やら生産が追い付かない、女性の社会進出だって戦争が元ですから、男手は前線へ、生産は女性が、自称フェミニスト見てるか?
、見たい平和と現実の戦争、まあ昔からとしか、軍オタで申し訳ありませんが、第一次世界大戦で使われた兵器は、核兵器を除くとすべて第二次世界大戦で使われたという現実、ドイツがお得意の技術力と工業生産力を戦争に注ぎこむ、ドイツは怖いです、第一次世界大戦で通称パリ砲なんて作りましたから、射程130キロってどうなんだ、ですし、ロンドン空襲も最初はツェッペリン飛行船から、段々大きな爆撃機をお互い作ったり、戦車も塹壕突破用ですし、戦争は無益で悲惨で止めたいが向こうから来たら最後です、平和念仏九条踊りの人見てるか?
余談ですが、ホチキスは商標名、機関銃のメーカーです、ホチキス見ればわかりますが、弾を連続して送る仕組みですから、ルノーも戦車作って世界中に売りましたし、なんですかね、平和は祈ってもきません、九条教徒どこか紛争地域に行って来い!
第一次世界大戦の陰惨な狂気は、やはりレマルクの「西部戦線異常無し」でしょう、甘い平和は必ず破綻します、そんな非武装都市だの平和都市だの何を考えているのやら、まあ私は朝に核兵器が使われても驚きません。


http://otokogumdoronikazu0000000.blog.jp/

http://wwwjtheravadanetsatoutesuroushibuykusyogaisyaombudsman0000.dreamlog.jp/

http://sesesekurokawashigeru.blog.jp/

↑どいつも戦争知らない平和念仏です。
  1. 2016-11-05 05:03
  2. URL
  3. 政界ウォッチャー三十年 #WO.TtlzE
  4. 編集

Re: タイトルなし

> 見たいものを見る
> 大戦に関係のないことで恐縮ですが、最近よく考えることなので…。私自身も見たくない情報はあります。ツイッターでデマがパッと拡がるのも見たい方向に情報をフィットさせてしまうんですよね。昨日からパリで難民が暴動、日本メディアは報道しないとか画像付きで流れてきますが在住の人によると小競り合い程度で画像も昔のものなんだそうです。難民怖い!日本メディアは報道しない自由!と言いたい人が拡散してしまう。気を付けなければと思います。

 なるほどそういう事だったのですか。
 ワタシも一昨日これをネットで見て、違和感を感じていました。

 尤もフランスだけでなく、スウェーデンでもドイツでも移民が暴れて車を焼くなどもう日常化していて、ニュースと言う程のニュースにもならない状況もあるようですね。
 それはそれで単発の暴動以上に恐ろしいのですが。
>
> 私が最も理解しがたく嫌悪してしまう人種は(あの恨日韓国人よりも)日本を見下す日本人です。最近見かけたのは電車内で化粧するのはみっともないというCMに発狂しているフェミ。「男の大股開きや痴漢行為にまで表立って批判しないくせに女のやることには日本の広告業界はジョセイサベツガー」
> 車内の大股や痴漢は電車マナー広告の古典的な題材ですが。このフェミはどこの日本に住んでいるのか?フェミとは韓国人と一緒で妄想の日本を作り上げて勝手に怒っているだけではないか?男が行動を制約されたり批判されても何も感じず、女が批判されるのは一切を許さないというだけではないのか?
> この手の日本サイテーばかり言ってる人には簡単な事実誤認が多々見られます。「オーストラリアでは車が止まってくれて感動、日本では全くない」とかアホみたいなことを書き散らしてます。見たいものだけ見て、見たくないものに目を瞑るというより更に進んで積極的に最低日本像を捏造している。自分も日本人なのにわざわざ事実を捻じ曲げてまで自国を叩いて得られるものって?彼らの見たいものってひどく倒錯してます。病気ですかね。

 自称リベラリストの多くは、自分の不満、自分が社会に評価されないのを、自分の無能や自分の性格の悪さのせいではなく、社会のせいだと思いたいようです。
 だから必死に自分の暮らしている社会の悪口を言うのですね。

> 韓国人がウリは人類史上最悪なことをされたとうっとりするのも分からなかったんですが、被害者になりたがるという特徴を知ると、彼らはだから慰安婦より性奴隷の方が嬉しいのか…くらいの理解はできます。

 だって自分が被害者になると、全ての不幸を社会の責任にできますから。

> 「ドイツリスク」に面白い記述がありました。ある日本人教授がドイツ左派メディアに、「英語ができる日本人は危険を知って東京を脱出しているのは本当か」と訊かれ、日本の体制に批判的な人物ながらはあ?と呆れたらしく、あんたたち日本語もわからんくせに何がわかるんかとたしなめ、「確かに英語が話せる日本人で欧米の外国人に対し、そのようなことを流暢な英語で確認する傾向を持つ、正確に言えば、喜びを見出すタイプの人がいることは確かだが」と答えたそうで、私はケケっと笑ってしまいました。ヨロコビって。

 でもホントに左翼が日本の悪口を言っているのを見ると、ヨロコビとしか思えないんですよね。 
 これ日本に限らず世界中同様ですが。
  1. 2016-11-05 13:04
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

Re: 第一次世界大戦から変わらない話

> 第一次世界大戦の時も、総力戦にはならないと思われて、有名な「クリスマスには帰れる」、と言われて泥沼の塹壕戦にお互い膠着したのと同じでしょう、あ、そういえば第二インターナショナルが崩壊したのも、第一次世界大戦、労働者に祖国は無いとか無茶なスローガンが、第一次世界大戦勃発と同時に皆なが祖国に帰り武器を持って戦ったのですから、そりゃ崩壊しますよ、あと結局戦争は行ってから先が大変、どこの国も補給やら生産が追い付かない、女性の社会進出だって戦争が元ですから、男手は前線へ、生産は女性が、自称フェミニスト見てるか?
> 、見たい平和と現実の戦争、まあ昔からとしか、軍オタで申し訳ありませんが、第一次世界大戦で使われた兵器は、核兵器を除くとすべて第二次世界大戦で使われたという現実、ドイツがお得意の技術力と工業生産力を戦争に注ぎこむ、ドイツは怖いです、第一次世界大戦で通称パリ砲なんて作りましたから、射程130キロってどうなんだ、ですし、ロンドン空襲も最初はツェッペリン飛行船から、段々大きな爆撃機をお互い作ったり、戦車も塹壕突破用ですし、戦争は無益で悲惨で止めたいが向こうから来たら最後です、平和念仏九条踊りの人見てるか?
> 余談ですが、ホチキスは商標名、機関銃のメーカーです、ホチキス見ればわかりますが、弾を連続して送る仕組みですから、ルノーも戦車作って世界中に売りましたし、なんですかね、平和は祈ってもきません、九条教徒どこか紛争地域に行って来い!
> 第一次世界大戦の陰惨な狂気は、やはりレマルクの「西部戦線異常無し」でしょう、甘い平和は必ず破綻します、そんな非武装都市だの平和都市だの何を考えているのやら、まあ私は朝に核兵器が使われても驚きません。
>
>
> http://otokogumdoronikazu0000000.blog.jp/
>
> http://wwwjtheravadanetsatoutesuroushibuykusyogaisyaombudsman0000.dreamlog.jp/
>
> http://sesesekurokawashigeru.blog.jp/
>
> ↑どいつも戦争知らない平和念仏です。

 そうですね。 日本では第一次世界大戦に対する関心は至って薄いけど、ヨーロッパについて言えば第一次世界大戦の方が遥かに被害が大きく、影響の甚大なのです。

 第一次世界大戦で、古き良きヨーロッパの基盤が壊れて、第二次世界大戦でそれをダメ押ししたのです。

  1. 2016-11-05 13:07
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

退院、おめでとうございます。

退院、おめでとうございます。
いつも、遅れ遅れて、読ませていただいて居るので退院を知ったのも、今日やっとです。
装具を付けたままということで、まだまだご不自由な生活が続くことと思いますが、よもちゃんを追っかけたりするのは、どうぞ控えてくださいね。
よもちゃん共々、元の生活に少しでも早く、戻られますことをお祈りしています。
そして、冷静で鋭い分析力の溢れる記事をこれからも読ませてください。
いつも、楽しみにしています。

  1. 2016-11-06 11:50
  2. URL
  3. オールドローズ #-
  4. 編集

Re: 退院、おめでとうございます。

> 退院、おめでとうございます。
> いつも、遅れ遅れて、読ませていただいて居るので退院を知ったのも、今日やっとです。
> 装具を付けたままということで、まだまだご不自由な生活が続くことと思いますが、よもちゃんを追っかけたりするのは、どうぞ控えてくださいね。
> よもちゃん共々、元の生活に少しでも早く、戻られますことをお祈りしています。
> そして、冷静で鋭い分析力の溢れる記事をこれからも読ませてください。
> いつも、楽しみにしています。
 
 有難う御座います。
 何とか退院できました。
 
 まだ普通の生活には不便ですが、何とかやっていけるようになったので退院しました。

 よもちゃんはこちらの都合は一切関係なく、マイペースです。
  1. 2016-11-06 14:38
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

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