しかし安倍政権が移民受け入れに舵を切った事で、この考えは完全に間違っていた事がわかりました。
ヘイトスピーチ規制法案では「外国出資者やその子孫の地域から排除しよう」と言う発言が、ヘイトスピーチとして違法になります。
その場合、移民や外国人労働者の受け入れ反対は、ヘイトスピーチとされる可能性があります。
今回成立した法案には罰則規定はないので、こうした発言をしても処罰はされません。
しかし明確に違法行為となった以上、テレビや新聞が移民問題について報道する時に、移民反対派の発言は「ヘイトスピーチだから取り上げる事はできない」「移民反対派の意見を取り上げなくても放送法の中立性違反にはならない」事になります。
だから移民に反対する政党があっても、その政党の意見は報道されない、それどころかそのような政党自体が「ヘイト政党」と報道されてしまいます。
これは移民推進派には極めて都合の良い話です。
実際ヨーロッパの報道を見ていると、移民規制制作を提言する政党「ドイツの為の選択肢」やフンラスの「国民戦線」などが、「極右ポピュリスト」などと著しく侮蔑的に表現されています。
因みに「ドイツの為の選択肢」も「国民戦線」も別に、現在いる移民を追放しようなどと言っているわけではありませんん。
また移民の受けれを全廃しようとも言っていません。
ただ今までのような野放図な移民歓迎政策は止めて、もう少し抑制的な移民政策にしようと言っているだけなのです。
ヨーロッパ諸国が移民受け入れを始めたのは、60年代ぐらいからです。
それ以降、大量の移民受け入れ政策を続けています。
当然移民に対する反感や、移民規制の声もあったのですが、ヨーロッパ各国がやったのは、そうした声を「ヘイトスピーチ」として封殺する事でした。
だから今では移民追放や移民反対ではなくて、移民を減らそう、移民流入を規制しようなどと言う発言は全て「ヘイトスピーチ」とされ、またそうして政策を掲げる政党は「極右ポピュリスト」など侮蔑的に報道されるが当然になってしまったのです。
そしてその間に大量の移民が入り込みました。
けれどもヨーロッパ諸国が本当に労働力不足だったのは、70年代初頭ぐらいまでです。
80年代以降は10%超える高失業率が定着しています。
特に若者の失業率の高さは、常に問題になってきました。
実に無残なのは、移民の二世の失業率で、フランスなど40%を超えていると言われます。
移民一世は祖国の超貧しい暮らしを体験しきたので、フランスでの低賃金労働にも不満はなく、喜んで働きました。
しかし二世は生まれながらのフランス人ですから、フランス人として普通に暮らせる職に就きたいのは当然でしょう。
けれどもそんな職はないのです。
70年代以降、ヨーロッパの経済成長も頭打ちになり、ドンドン雇用が増えるような状況ではなくなりました。
だから純粋なフランス人の若者だって失業率は大変高いのです。
まして移民二世で格別高等教育を受けたわけでもなく、個人的なコネもない人が就ける仕事は、フランス人としては耐えられない低賃金です。
だから勤労意欲を喪い失業してしまいます。
そうした若者達は国家が、福祉で飼い殺しにします。
そして失業者として一生を終える事になります。 だって若いうちに仕事を覚え技能を身に着ける事の出来なかった人が、中年になってから仕事に就くのは不可能です。
勿論結婚などできませんん。
それではフランス人には耐えられない低賃金の仕事は誰がしているのでしょうか?
新しく来た移民達です。
産業界は「フランス人(移民二世も含めて)は働かないから、移民が必要だ。」と言って、更なる移民を入れるのです。
そしてその新移民達の子供達が、成人したら?
勿論失業するのです。
こんな事を続けていたら ドンドン失業者が増えるばかりです。
これでは文化摩擦なんかなくても、国家が崩壊します。
しかし労働者を雇用する側から言えば、これは天国のような話です。
常に安い労働力が無限に供給されるのですから、労働生産性を上げようとか、労働環境を改善しようなどと言う意欲など持つ必要もないのです。
本来であれば国家が、こうした状況を改革して、自国の若者達が働ける社会にするべきなのです。
しかしその為にはまず移民をストップさせるしかありません。
けれどこれを言えば「ヘイトスピーチ」になってしまいます。
自分達でそういう状況を作ってしまったのですから、どうしようもないですよね?
これを想うとヘイトすピーチ規制と移民政策は、国家崩壊の両輪だと言う事がわかります。
しかし問題はそれだけではありません。
日本の移民受け入れ派は労働力不足だけでなく、日本の少子化、そして将来考えられる人口減少の対策の為に、「移民が必要」と言います。
けれども少子化って何で起きたのですか?
実は日本の少子化は、バブル崩壊以降のデフレとそれによる就職難が原因なのです。
バブル崩壊とそれに続く20年のデフレの間、大学や高校を卒業しても、正規雇用に就けない若者が大量に出てしまいました。
彼等は仕方なく非正規職を転々として暮らしてきました。
しかも卒業後数年内に正規職に就けなかった人達が、その後正規職に就ける可能性はドンドン減るばかりです。
そして今ではこのような人達が30代半ばを過ぎたのです。 このような人達の殆どが結婚できませんでした。
このまま行くとこの時期に大学や高校を卒業した男性の3人に一人は、一生結婚できない可能性があります。
就職氷河期には大卒時の就職内定率が最悪55%まで落ちました。
実はワタシの親族にもこの時期に大学を出た人がいます。 彼は人柄が良くて親族皆から好かれていたし、国立大学卒でした。 だからワタシは彼が就職できないなんて夢にも思いませんでした。
しかし彼の同期の学生の大半が就職できませんでした。 そして彼もできなかったのです。
だから卒業後は色々な仕事を転々として大変辛い思いをしたようです。
数年前ようやく安定した職を得たのですが、その時には既に30代過ぎていました。 彼が今後結婚できるかどうかは大変心細いです。
そして結婚しても相手が同年輩の場合は、子供が生まれる可能性は大変少なくなります。
彼の3つ上の兄は大学卒業後直ぐに職を得たので早々と結婚し子供も3人いるのですが。
日本の少子化はつまりあの長期デフレによる、若者の就職難によるのです。
人が結婚して子供が産めるのは20歳から30歳半ばぐらいまでなのに、その間に結婚できなければ、子供などできるわけがないのです。
ワタシの親族の例を見れば、これは全くその通りとしか言いようがないのです。
人間として自立自尊の精神があれば、最低限の責任感があれば、安定した職がなく生活の目途が立たなければ結婚などできないのです。
そして結婚できなければ子供だって生まれないのです。
あの20年デフレの間、日本人の自殺者は年間3万人になりました。 それ以前は年間2万人だったのです。
だからあの20年デフレは20万人の日本人を殺した事になります。
しかし実はそれだけでなく、それより遥かに多数の子供達、本来生まれているはずの子供達をこの世に出られなくしたのです。
もしこんな長期デフレがなければ、少子化や人口減だってここまで深刻にはならなかったのです。
ところがこのデフレの出口が見えたら、自民党が言い出したのは「移民受け入れ」です。
自民党は労働力が不足していると言うのですが、しかしそれって現在の求人状況がこのまま続けばの話でしょう?
これで増税でもしたら、一発で就職氷河期が再来するではありませんか?
リーマンショックの翌年だって、多くの学生が就職内定を取り消されたりのです。
しかも一旦受け入れた移民は、不況になっても返せない事はヨーロッパで証明済みです。
介護職や建設労働者が人出不足なのは、そもそも労働条件が余りに悪いからでしょう?
安倍総理はIT技術者の移民を増やすと言うのですが、あれだって高学歴の割には凄く労働条件が悪いから、人が集まらないのではありませんか?
そもそも現在の状況でも、完全雇用が達成されたかどうかギリギリだからこそ、賃金が上がらないのです。
本当に労働力が足りない状況なら、賃金はドンドン上がります。
それを賃金も上がる前に移民を入れてしまえば、日本人の賃金は絶対に上がりません。 そして日本人の雇用も増えません。
そうなると一旦不況が来れば、これからも結婚できない若者がドンドン出てくるのです。
そして資本主義である限り、不況は必ず来るのです。
このようにして日本人の子供は減って行くのです。
移民を受け入れて低賃金社会を作り、国民が結婚できない状況にする。
これに反対する言論は「ヘイトスピーチ」として規制する。
すると移民の受け入れは続き、低賃金社会が続き、少子化は更に進行する。
すると労働力不足を理由に更に移民を入れる。
これは自発的ジェノサイトじゃないですか?
自国民に子供を産ませず、他民族を受け入れを続けたら、いずれ自国民は絶滅するのです。
ヘイトスピーチ規制と移民がセットになったら、その危険性は「在日特権」とか「拉致問題が解決できない」なんてレベルではないのです。
ワタシは今後は今までのように安倍政権を支持できません。
それで一番困るのは、安倍政権を潰しても移民とヘイトスピーチのセットに反対する政党は、「日本のこころを大切にする党」ぐらいしかない事です。
「日本のこころを大切にする党」は理念では100%共感できるのですが、余りにも弱小なので、当面政権獲得などは全く期待できません。
だからこれからどのように安倍政権を牽制していくかを考えるしかありません。
安倍政権が誕生した時に、このような幻滅を味わう事に成ろうとは夢にも思いませんでした。
残念です。