2016-03-12 20:50

トルコ雑感 その2 国家と民族

 先日「漂流するトルコ」と言う本を読みました。
 実はこれは同じ小島剛一氏の著書「トルコもう一つの貌」と言う本の続編です。

 筆者の小島剛一氏は言語学者で、1970年代にストラスブール大学の大学院生としてトルコ語の研究に出かけました。 彼は単身、バッグパッカーとして一人で繰り返しトルコを訪問して研究するうちに、トルコ語よりもトルコ領内の少数民族の言語に興味を持ち、その研究に没頭していきました。

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 しかしこれには重大な問題がありました。
 当時のトルコ共和国政府は、トルコ共和国にはトルコ語以外の言語も民族も存在しないと言う見解を取っており、こうした少数民族の言語の存在を否定していたのです。

 そしてこうした言語の使用は完全に禁止していました。
 この法律に従わずトルコ以外の言語を使ったと言う理由で、逮捕や投獄をされた人が多数いました。

 だからこの小島氏の研究はそもそもトルコでは違法行為でした。 それでしばらくトルコ通いが続くうちに、トルコの情報機関に監視されるようになりました。
 そして遂にある日、知人の結婚式でラズ語の歌を歌ったと言う理由で、国外追放にされていました。

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 この小島氏は語学については人間離れした才能があるらしく、初めて訪問した国でも、2~3週間滞在しただけでその土地の言葉で日常会話が可能になるようです。 
 このような傑出した才能があるので、トルコ共和国領内の幾多の少数言語の研究が可能なのです。

 トルコ共和国では実に多数の言語が話されていました。

 ポーランド語、ブルガリア語、ルーマニア語、アルメニア語、ギリシャ語、アラビア語など他国で公用語になっている言語だけでも結構な数です。 
 しかしトルコ政府が神経をとがらせていたのは、他国では公用語になていないトルコ共和国領内の少数言語、特にクルド語の研究でした。
 
 これはトルコ領内でトルコからの分離独立を目指すPKKつまりクルド労働党(筆者の翻訳ではクルド共産党)の活動の活動を恐れたからです。

 そしてPKKの後ろには実はソ連(1970年代当時)がいました。 ソ連はトルコだけでなくシリア、イラク、イラン等のクルド人居住地域クルディスタンを独立させて、ソ連の支配下に置こうと画策していたのです。
 これではトルコ政府が神経を尖らせるのは当然でしょう。

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 しかし小島氏が研究対象にしたのは、このクルド語始めトルコ領内の少数民族の言語なのです。

 これらの言語については殆ど研究されておらず、しかもこうした言語が多数存在しました。
 小島氏が直接研究した言語だけでも、6種ぐらいあります。

 正確に幾つの言語があり、どこにどのように分布しているかは、非常に興味があるのですが、しかし前出のような状況なのでそれまでは研究されていません。

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 ところで問題のクルド語ですが、小島氏の研究によれば、クルド人と言われる人々がしゃべる言語は、トルコ領内だけでも数種類あり、同じクルド人でも山一つ越えた集落では全く言葉が通じないのは珍しくないと言います。

 クルド人と言われる人達の言語は皆、インド・ヨーロッパ語族に属する事だけは確かなのです。 しかし男性名詞と女性名詞の区別のある言語と、それがない言語があったりするのです。 

 だからトルコのクルド独立派達が、会合を開く場合はトルコ語を使うのです。 同様にイランのクルド独立派はペルシャ語を使うし、シリアやイラクなどのクルド独立派はアラビア語を使ってお互い話会うのです。

 それではこうしたクルド人全体での会合ではどうするのか?
 英語かドイツ語でも使うしかないでしょう。

 全てのクルド人に通じるクルド語などと言う物は存在しないのです。

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 元来クルド人と言うのは、中東の山岳地帯に住む人達の総称でした。 中東の都市民からすれば「山奥に住む野蛮人」ぐらいの意味しかなかったのでしょう。

 歴史的にもクルド人もそれ以上の意識をた形跡はありません。 
 例えばアラブ世界最大の英雄であるサラディンは、クルド人でした。 彼は十字軍を追い出して現在の中東全域を支配者になりました。
 しかしクルド人の王朝として中東を支配したと言うような評価は全くないのです。

 これだと現実問題としてクルド人が民族として独立して国家を作るのは難しいのでは?
 もしホントに独立したら、どの言語をクルド人国家の公用語とするだけで、大変な騒動になるのでは?

 全クルディスタン独立どころか、トルコ共和国領内のクルド人だけでも民族国家設立など全く非現実であると言わざるを得ません。

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 むしろクルド人を過激な反トルコ活動に駆り立ていたのは、トルコ政府のあまりに苛酷な同化政策ではないか?と思えてしまいます。

 そもそもトルコ政府はPKKとの戦いに関して、このようなクルド側の内幕を知っていたのでしょうか?

 小島氏の著書を読む限り、実はトルコ政府自身、自国内の言語状況を知らなかったようです。 トルコ政府はトルコ共和国建国以来、トルコ共和国領内に住む人間は全て「トルコ民族でありトルコ語を話すはず」と決めてしまったのです。

 だからトルコの言語学や民族学や歴史学は全てそれを正当化する方向でしか進んでいないのです。 その為トルコの大学の言語学者など海外では全く通用しないレベルでの研究しかしていないのです。

 だからこそクルド人の現実も知らずに、クルド民族は全てクルド語と言う統一された言語を使い、統一された民族意識を持つと言う幻影に怯えていたのです。

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 この幻影が消えたのは、1991年に小島氏が「トルコもう一つの貌」を出版した頃からでしょう。

 小島氏はトルコ語研究で博士号を取り、ストラスブール大学で研究を続けたのですが、トルコ共和国内の少数言語についての研究成果は発表できませんでした。

 発表すれば現地でこれらの言語を教えてくれた人達がトルコ政府に逮捕されてしまいます。

 しかし1991年に学術研究の発表ではなく、一般書籍として「トルコもう一つの貌」を出版して、この問題を社会に訴える事にしました。 学術書でないので、関係者の個人名等は伏せても構いません。

 この本は中公新書として発売されて、結構売れました。 ワタシも発売直後に買って読みました。
 そしてこの本によって、これまで明確に存在すると信じていた言語や民族の区分が実は、そうではないと言う事を知ったのです。

 池内恵氏によるとこの本は中東研究者の殆どが読んでいるそうです。

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 そしてこれが契機になって、トルコ共和国政府は小島氏にトルコ共和国領内の少数言語の報告書を依頼します。

 またその後トルコ政府はそれまでの強権的な言語政策を転換します。 その為例えばトルコ共和国内で小島氏と現地の人が共著のラズ語の本が出版可能になりました。

 しかしそれでトルコ政府の強権的な政策が全て無くなったわけではなく、今も少数民族との確執、そして小島氏とトルコの情報機関の確執は続いているのです。

 その経緯を描いたのが2010年出版の「漂流するトルコ」です。

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 それにしてもなぜトルコ政府はかくまで強権的な同化政策を取ったのか?

 それはトルコ共和国が、建国以来フランスのような国民国家を目指したからです。

 トルコ共和国はオスマントルコ帝国が第一次大戦で敗北して、解体されその殆どの地域がイギリスやフランスの植民地化した後、かろうじてトルコ人の国として独立を維持した部分です。

 オスマン・トルコ帝国は中東・バルカン半島・北アフリカにまでまたがる膨大領土を持っていましたが、その内実は部族国家で、部族同志には横の連携はなく、強大な独裁国家のイメージとは裏腹に至って脆弱な体制でした。

 その為フランスやイギリスのような一定レベルのサイズの国民国家ができると、全くこれに対抗する事はできなくなり、衰亡を続けたのです。
 そして遂に解体されてしまいました。

 だったら最後に残ったトルコが、欧米の植民地にされないためには、欧米と同様の強力な国民国家になるしかない!!
 それがトルコ共和国成立後のトルコの政策でした。

 そして第一次大戦当時を思い出せばわかりますが、国民国家=民族自決です。
 つまりトルコ共和国が国民国家であるためには、トルコ共和国の国民が全てトルコ民族である事が必要なのです。

 そこでトルコ共和国政府はこの建て前をごり押ししてきたのです。

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 元来トルコ民族は中央アジアの遊牧民です。 トルクメニスタン、トルキスタン、カザフ、ウイグルなどの国々もトルコ民族の国です。

 このトルコ民族がアナトリア半島に進出したのは11世紀からで、彼等はそこを支配するようになっても、別に先住民をジェノサイトしたわけもなく、唯支配者として君臨しただけです。 そして元来が部族国家で、領内の異民族に同化を強いたわけでもないから、幾らでも少数民族はいたのです。

 でもそれを認められないのが、トルコ建国当時から近年までの現実でしょう。

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 ちなみにこうした強権的同化策はフランスだってイギリスだってやってきたのです。

 小島氏はストラスブールに在住しているのですが、ストラスブールのあるアルザス地方は実はフランス語ではなく、アルザス語がつかわれています。 フランス政府はド・ゴール時代までアルザス語の教育や出版を禁止していました。

 アルザスとロレーヌは近世以降ドイツとフランスで領有権を争った地域ですが、フランスはこの地域が自国領である時代は、常に強権的な同化政策を取っていたのです。

 アルザス語だけでなく、オック語やコルシカ語などのフランス国内少数言語地域でも同様でした。

 こういう強権的同化策は、現在では「人権侵害」と言われていますが、しかし少なくとも60年代までは、人権大国フランスでもやっていたのです。

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 これは民主主義国家=国民国家と言う物が、国民の団結を必要とする限り、必要な政策なのです。
 国民国家は国民が団結して国家を守ろうと意思を持たないと成立しません。 

 国民が全て「我々はフランス人だ(トルコ人だ)」と言う意識で団結するから、思想宗教信条の自由を認めて、参政権を与えても混乱しないのです。

 もし一部の人達が「イヤ、オレタチはフランス人じゃないよ。 オレタチはオレタチの国が欲しい」と言い出したら、オシマイなのです。

 フランスはルイ14世時代からのヨーロッパで最も強く富裕な国でした。
 フランス語は上流階級の共通語だでした。 
 だから強権的な同化策の対照になった人達だって民族的自尊心はともかく、フランス人になれることには明確な実利がありました。

 「生まれ育ちの良いインテリだったらフランス語できないとね。

 全ヨーロッパがこんな認識を持っている時代なら、フランス語をごり押しされても、抵抗のしようもないでしょう。

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 しかしトルコ共和国の国民になる事には、そこまでの実利はありません。 強権的な同化策に不満が高まるのは当然でしょう。
 そしてソ連のようにそれに付け込んで侵略を図る国もあるのです。

 けれどもそれだからこそトルコ政府も民族意識の高揚させることで、何とか国家を維持しようと頑張るしかないのです。 もしもトルコ人が団結力を喪えば、シリアやイラクなど他のオスマン・トルコ帝国領同様に、イギリスかフランスか最悪の場合はソ連の支配下に落ちてしまう。

 でもそうやって頑張り続けたお蔭で、トルコ共和国は中東では一番近代的で安定した国家でした。 しかし無数の少数民族を抱えて、更に近隣諸国で内戦が続く中でどこまで頑張る事ができるのでしょうか?

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 そしてこれはトルコだけの問題ではありません。
 第二次大戦後、多くの国々が民族自決の旗の下に独立を果たしました。

 しかしその殆ど国がトルコ同様の多民族国家です。 しかも皆、民主主義国家、国民国家を目指したのです。
 けれど多民族国家が民族自決で国民国家を作ると言うのは、実は完全な自己矛盾です。

 今、世界中の途上国で起きている問題は、国民国家になる要件を満たさな国が国民国家を目指した事で起きているのではないでしょうか?
 植民地から独立の夢から覚めるにつれて、国民の教育レベルが上がるにつれて、この誤魔化しが効かなくなって、騒乱が起きているのです。

 そして国民国家の本場ヨーロッパ自体が、EUの創設と大量の移民の受け入れで、国民国家としての要件を喪いつつあります。
 今後国民国家、民主主義国家の理想を守り続けられる国は幾つあるでしょうか?

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 小島剛一氏の著書はこうした事をいろいろと考えさえてくれました。
  1. 古本
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  3. CM(14)

コメント

 オスマントルコ帝国の末期は、無能なメフメト6世のせいで財政破綻しそうになり、英仏の禿鷹達に金融を抑えられて痛々しい状態でした。その時にケマル・アタチュルクが登場し、独立を維持する為に明治維新を参考にし、その中で言語の統一を無理して推し進めたのは弊害が大きかったとしても仕方のない事だと思います。よもぎねこさんが書かれているように、現在のトルコの他のイスラム圏と違う自由と繁栄はこの頑張りのお蔭だと思います。

 トルコ帝国は、ローマ帝国と他民族が共存していた寛容さのせいか、1913年には女性が帝国内の大学に入学し、1830年に欧州へ女学生が留学したのは1871年の津田梅子たちの米国女子留学よりも早かったそうです。

 台湾の山岳民族は、谷ごとに言葉が違っていて日本時代は日本語を共通語にして意思の疎通をしていたそうですが、いまは台湾人というアイデンティティーを持っています。でもクルドは、住む地域や宗教などでクルド人同士で対立もあるようなので統一しても続くのか疑問です。

 それにしても小さな集団が我も我もととにかく独立を目指しても国家を運営できるのか、慎重に考えないと破綻国家が増えてもどこも助ける余裕などないと思います。独自の軍事力を持つのは大変ですから、そういう計算もしないといけませんよね。でも石油や様々な思惑から、強国が介入して色々とささやかれると何とでもなると思ってしまうのでしょうか?

 英国もEUの混乱から足抜けしようとしていますし、トルコも本当に大変でしょうが頑張って国民国家を維持して欲しいと思います。
  1. 2016-03-13 17:04
  2. URL
  3. 都民です。 #-
  4. 編集

トルコ人には「アタチュルクは美化されすぎていて嫌だ、でもイスラム化はもっと嫌だ」という人が結構います。「いざとなれば軍がクーデターをして、イスラム化を防いでくれる」と妙に期待しているし。クルド人は学歴が低くて子だくさんですが、小金持ちも多く、集団で圧力をかけたりするので、一般のトルコ人は結構嫌っている・・・怖がってもいる。でも人種差別と言われるのが嫌で無視するケースが多いです。欧州がクルド人をバンバン難民認定したので、トルコ人はそれが気に入らない。クルド人は被差別民族として味をしめてしまい、今更止められない。被害者ぶっているうちは、たとえ独立できたとしてもまともな国家運営はできないと思います。トルコ内のクルド人も本当に独立を望んでいるかは微妙なところでしょうね。なんといっても何十年にわたる愛国者教育のせいで、クルド人の中にもトルコ人としてのアイデンティティを持つ人が多いのです。(トルコ人は「愛国者」という言葉に弱いです。)欧州がちょっかいかけなければ、割とトルコはうまくいくと思います。でもそんな欧州にトルコ人は一方的に憧れているので、複雑ですね。
  1. 2016-03-13 19:01
  2. URL
  3. *** #-
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民族国家としてのトルコ共和国

民族国家としてのトルコ共和国の言語と民族問題は基本的な位相に於いてはフランス共和国と似ています。フランスもその内側に異民族とその言語を抱え込んでいるからです。

簡単に数える限りでもアルザスのドイツ人とドイツ語、ブルターニュのケルト人とブルトン語、コルシカ島のイタリア人とイタリア語、さらにはバスク人とバスク語などです。

欧州とアジアすなわちユーラシア大陸では国境は民族の勢力の伸長に合わせて国境が変容したため何処に於いても斯くの如き状況は見られます。

この点についてはかって『シナにつける薬』で<シナとヨーロッパという二つの異なる理念>http://marco-germany.at.webry.info/200712/article_4.htmlという記事で述べたことがあります。
帝国の尻尾をもつ民族国家においては普通に見られる現象がシナやトルコおよびフランスに露呈しているということです。

つまりは現行の民族国家のフレームワークが実際に存在する民族と言語の分布に適していないことから摩擦が生じているわけで、とりわけAA会議などで民族自立の原則などというものが公認とコンセンサスとなって以来は小数民族問題は民族国家の時限爆弾となったのでした。

しかしAA会議はソ連が主導した敵の陣営を分断弱化する戦略であったことは明らかです。御記事でご指摘なった通りPKKがソ連の支援を受けていたことにもそれが明らかです。そのソ連自らが解体され民族自立の原則によって中央アジア地域にトルコ系の国家群が独立してしまったのはまさに歴史の皮肉でありました。

とはいえ民族自立がすべての民族に平等に与えられるというコンセンサスを今更否定することは誰にもできないでしょう。その結果、現行の民族国家で解体分断されるところが出現するのは仕方がありません。

またそのような歴史底流を利用して自国の都合のよいように利用しパワーゲームの手段にする国も当然いますから、シナやトルコのような帝国の名残が強く民族国家として半端な国々はその餌食になりやすいのです。

シナの問題についてはそうなったほうがよいと明言できますが、トルコの場合はもっと複雑です。というのもトルコは元来モンゴルあたりを民族起源として西遷し今のアナトリアにまで至ったわけですが、その途中の中央アジアにトルコ系の国々を残してきており、トルコ共和国が混乱するとそれらの国々にも影響が及ぶことが容易に想像できるからです。

またそれ故にこそある勢力はトルコに狙いを定めて攻撃しているものと思われます。


  1. 2016-03-13 19:11
  2. URL
  3. 丸山光三 #RPJCcdqk
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Re: タイトルなし

>  オスマントルコ帝国の末期は、無能なメフメト6世のせいで財政破綻しそうになり、英仏の禿鷹達に金融を抑えられて痛々しい状態でした。その時にケマル・アタチュルクが登場し、独立を維持する為に明治維新を参考にし、その中で言語の統一を無理して推し進めたのは弊害が大きかったとしても仕方のない事だと思います。よもぎねこさんが書かれているように、現在のトルコの他のイスラム圏と違う自由と繁栄はこの頑張りのお蔭だと思います。

 色々問題はあっても結局中東では唯一国民国家の形態を維持していますからね。 
 そして中東では最先進国の位置を維持してきましたし。
>
>  トルコ帝国は、ローマ帝国と他民族が共存していた寛容さのせいか、1913年には女性が帝国内の大学に入学し、1830年に欧州へ女学生が留学したのは1871年の津田梅子たちの米国女子留学よりも早かったそうです。

 それは知りませんでした。
 ヨーロッパで第一次大戦までは、女性が大学へ行くのは大変でした。 
 
>  台湾の山岳民族は、谷ごとに言葉が違っていて日本時代は日本語を共通語にして意思の疎通をしていたそうですが、いまは台湾人というアイデンティティーを持っています。でもクルドは、住む地域や宗教などでクルド人同士で対立もあるようなので統一しても続くのか疑問です。

 実はクルド人の居住地域には、クルド人以外の少数民族も多数存在します。
 クルド人と言うべきかどうかがあいまいな民族もいます。
 
 だからクルドが独立したら、また国内で言語問題と民族問題は勃発します。

>  それにしても小さな集団が我も我もととにかく独立を目指しても国家を運営できるのか、慎重に考えないと破綻国家が増えてもどこも助ける余裕などないと思います。独自の軍事力を持つのは大変ですから、そういう計算もしないといけませんよね。でも石油や様々な思惑から、強国が介入して色々とささやかれると何とでもなると思ってしまうのでしょうか?

 そうです。 ホントに厄介です。
 民族問題を封殺する事は不可能だけれど、しかし火が着けば大火事になります。

>  英国もEUの混乱から足抜けしようとしていますし、トルコも本当に大変でしょうが頑張って国民国家を維持して欲しいと思います。

 もしトルコが国民国家の体裁を取れなくなったら、もう中東に民主化は絶対不可能と言う事になるでしょう。
  1. 2016-03-13 20:12
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
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Re: タイトルなし

> トルコ人には「アタチュルクは美化されすぎていて嫌だ、でもイスラム化はもっと嫌だ」という人が結構います。「いざとなれば軍がクーデターをして、イスラム化を防いでくれる」と妙に期待しているし。

 なるほど良識のある人ならそう思うでしょうね。
 イスラム原理主義政権ができるぐらいなら、軍事政権の方がマシですから。

>クルド人は学歴が低くて子だくさんですが、小金持ちも多く、集団で圧力をかけたりするので、一般のトルコ人は結構嫌っている・・・怖がってもいる。でも人種差別と言われるのが嫌で無視するケースが多いです。欧州がクルド人をバンバン難民認定したので、トルコ人はそれが気に入らない。クルド人は被差別民族として味をしめてしまい、今更止められない。被害者ぶっているうちは、たとえ独立できたとしてもまともな国家運営はできないと思います。トルコ内のクルド人も本当に独立を望んでいるかは微妙なところでしょうね。

 明確な内政干渉ですからね。
 人権を名目にイロイロ嫌がらせをするって、欧米が良くやる外交テクニックですし。

>なんといっても何十年にわたる愛国者教育のせいで、クルド人の中にもトルコ人としてのアイデンティティを持つ人が多いのです。(トルコ人は「愛国者」という言葉に弱いです。)欧州がちょっかいかけなければ、割とトルコはうまくいくと思います。


 そう言えばこの小島氏の著書にも、少数民族に生まれたのにトルコ民族主義者と言う人が何人か出てきます。 小島氏は憤っているのですが、しかしワタシは何となく彼等の気持ちがわかります。

 だってトルコ民族主義者になるかまでは別として、少数民族の民族に執着していると、その小さな社会でしか生きられません。 現実的な人間なら少数民族としてのアイデンティティよりも、トルコ人としてのアイデンティティを優先しようと思うのは当然でしょう。

>でもそんな欧州にトルコ人は一方的に憧れているので、複雑ですね。
  
 トルコ政府がホントにトルコ民族主義を信じるのなら、EU加盟なんかではなくアセアン加盟を目指すべきなのですけどね。

 
  1. 2016-03-13 20:27
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

レベルの低いカキコで恐縮ですが・・・

 10年以上前にカナダの語学学校でクラスメートになったトルコ人にこんな質問をしました。

私「トルコって欧州なの?アジアなの?」
クラスメート「欧州さ」(即答)

出来たらヨーロッパ人にも聞いてみたいところでしたが、機会に恵まれませんでした。おそらく先述のトルコ人とは異なった回答になると思われますが。


トルコのEU加盟が先か、EU解体が先か・・・
  1. 2016-03-13 20:49
  2. URL
  3. source-que #-
  4. 編集

Re: 民族国家としてのトルコ共和国

> 民族国家としてのトルコ共和国の言語と民族問題は基本的な位相に於いてはフランス共和国と似ています。フランスもその内側に異民族とその言語を抱え込んでいるからです。
>
> 簡単に数える限りでもアルザスのドイツ人とドイツ語、ブルターニュのケルト人とブルトン語、コルシカ島のイタリア人とイタリア語、さらにはバスク人とバスク語などです。
>
> 欧州とアジアすなわちユーラシア大陸では国境は民族の勢力の伸長に合わせて国境が変容したため何処に於いても斯くの如き状況は見られます。
>
> この点についてはかって『シナにつける薬』で<シナとヨーロッパという二つの異なる理念>http://marco-germany.at.webry.info/200712/article_4.htmlという記事で述べたことがあります。
> 帝国の尻尾をもつ民族国家においては普通に見られる現象がシナやトルコおよびフランスに露呈しているということです。

 そうですね。
 帝国であったが故に、自身にとっても民族と帝国の区別が不明なったのです。 

 しかし「シナにつける薬」久々読み返したら面白いですね。 
 関係ないところもドンドン読んでしまいました。

> つまりは現行の民族国家のフレームワークが実際に存在する民族と言語の分布に適していないことから摩擦が生じているわけで、とりわけAA会議などで民族自立の原則などというものが公認とコンセンサスとなって以来は小数民族問題は民族国家の時限爆弾となったのでした。
>
> しかしAA会議はソ連が主導した敵の陣営を分断弱化する戦略であったことは明らかです。御記事でご指摘なった通りPKKがソ連の支援を受けていたことにもそれが明らかです。そのソ連自らが解体され民族自立の原則によって中央アジア地域にトルコ系の国家群が独立してしまったのはまさに歴史の皮肉でありました。
>
> とはいえ民族自立がすべての民族に平等に与えられるというコンセンサスを今更否定することは誰にもできないでしょう。その結果、現行の民族国家で解体分断されるところが出現するのは仕方がありません。
>
> またそのような歴史底流を利用して自国の都合のよいように利用しパワーゲームの手段にする国も当然いますから、シナやトルコのような帝国の名残が強く民族国家として半端な国々はその餌食になりやすいのです。
>
> シナの問題についてはそうなったほうがよいと明言できますが、トルコの場合はもっと複雑です。というのもトルコは元来モンゴルあたりを民族起源として西遷し今のアナトリアにまで至ったわけですが、その途中の中央アジアにトルコ系の国々を残してきており、トルコ共和国が混乱するとそれらの国々にも影響が及ぶことが容易に想像できるからです。
>
> またそれ故にこそある勢力はトルコに狙いを定めて攻撃しているものと思われます。

 全く仰る通りなのです。
 
 植民地からの独立のスローガンが民族自決でした。 しかし戦後植民地から独立したアジア・アフリカ諸国の民族構成って何処も凄く複雑ですから、

 中東などサイクス・ピコ条約で民族を無視して分断する国境を引いた事を問題にされますが、しかし中東の歴史や民族構成を考えたら、どうやって国境を引いたら揉めないで済むのかわかりません。

 そもそもサウジアラビア王家の始祖アブドルアジズなど、線で引いた国境と言う概念自体理解しかねたと言う有様ですから。

 でもそれでできた国々が独立して、しかもその国々の中の民族が民族の自立と平等要求したら、大混乱になるでしょう。

 EUにとって今一番恐ろしいのは、トルコがこれで崩壊する事じゃないですか?
 
 これだけは絶対に阻止しないと、中東の混乱がダイレクトにヨーロッパに押し寄せます。
  1. 2016-03-13 21:12
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

Re: レベルの低いカキコで恐縮ですが・・・

>  10年以上前にカナダの語学学校でクラスメートになったトルコ人にこんな質問をしました。
>
> 私「トルコって欧州なの?アジアなの?」
> クラスメート「欧州さ」(即答)
>
> 出来たらヨーロッパ人にも聞いてみたいところでしたが、機会に恵まれませんでした。おそらく先述のトルコ人とは異なった回答になると思われますが。

 今のトルコの位置を見事に象徴するお話ですね。

> トルコのEU加盟が先か、EU解体が先か・・・

 ワタシはEUは絶対にトルコを入れないと思います。
 EUって結局、白人・キリスト教の集団ですから。

 ホントはトルコだって入らない方が良いと思うんですけどね。
 ユーロだってロクなもんじゃなかったし。
  1. 2016-03-13 21:17
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

興味深い国ですよね

NHK-BSで毎週土曜の朝にトルコ国営放送TRTのニュースを放送してますね。今、検索したらTRTの日本語サイトもありました。

トルコ国営放送 TRT トルコのニュース
http://www.trt.net.tr/japanese/toruko
トルコ国営放送 & TRT JAPONYA - Twitter
http://twitter.com/trt_murathan

かなり前にですが、トルコへの留学経験がある人に出会ったことがあります。トルコ語はインド=ヨーロッパ語族ではなくアルタイ諸語なので、英語より日本語に近いそうですね。自立語に助詞がくっ付いて意味のまとまりになるそうです。

西田のトルコ語入門
http://nishidanishida.web.fc2.com/turkish.htm

何のまとまりもない文章になってしまいましたが、今後の考察に役立てば幸いです。
  1. 2016-03-13 22:31
  2. URL
  3. かんぱち #vF6NeGQU
  4. 編集

Re: 興味深い国ですよね

> NHK-BSで毎週土曜の朝にトルコ国営放送TRTのニュースを放送してますね。今、検索したらTRTの日本語サイトもありました。
>
> トルコ国営放送 TRT トルコのニュース
> http://www.trt.net.tr/japanese/toruko
> トルコ国営放送 & TRT JAPONYA - Twitter
> http://twitter.com/trt_murathan
>
> かなり前にですが、トルコへの留学経験がある人に出会ったことがあります。トルコ語はインド=ヨーロッパ語族ではなくアルタイ諸語なので、英語より日本語に近いそうですね。自立語に助詞がくっ付いて意味のまとまりになるそうです。
>
> 西田のトルコ語入門
> http://nishidanishida.web.fc2.com/turkish.htm
>
> 何のまとまりもない文章になってしまいましたが、今後の考察に役立てば幸いです。

 有難う御座います。

 ホントに興味深い国です。
 
 現在のトルコ人は容姿を見れば明らかに白人です。 これは実は彼等の先祖の多くがアナトリア半島の元々の住民つまりギリシャ人やクルド人だったからでしょう。

 しかし本来のトルコ民族は実はアジア系の遊牧民で、元来はモンゴロイドでした。
 だから11世紀にアナトリアに侵入したこのトルコ人の征服者は極少数で、その征服者達は元の住民等と混血して行ったと言う事です。

 オスマン・トルコ帝国の皇帝も実に多く地域から美女を集めて、その美女達の息子ですから、トルコ民族が混血化していくのは不思議はないのです。

 それでも今のトルコ政府は我々はトルコ民族と言う建前を守っています。
 そして中央アジアに広がるトルコ民族の諸国を兄弟国と認識しています。

 実際中国で迫害されたウイグル人などトルコ系の人達は、帝政ロシア時代からソ連時代はカザフ始めトルコ系民族の亡命者は皆トルコに行きました。

 民族って何?
 それを考え込ませられます。

  1. 2016-03-14 10:32
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

トルコ・・興味深い国ですね。
政教一致の多い、イスラム圏で数少ない政教分離の為された先進国家という点に単純に興味を感じます。

日本、タイと並んでアジア・アフリカ圏では数少ない独立を守った国家でしたし。もっと、情報が多くてもいいよう
に思えますが。
  1. 2016-03-14 18:20
  2. URL
  3. prijon #-
  4. 編集

Re: タイトルなし

> トルコ・・興味深い国ですね。
> 政教一致の多い、イスラム圏で数少ない政教分離の為された先進国家という点に単純に興味を感じます。

 そうです。 トルコ共和国は第一次世界大戦後に建国した時から、フランス式の国民国家つまり政教分離の国家を目指しました。

 しかし今は国内にイスラム原理主義が台頭して結構ヤバイです。

 でもトルコが陥落すると中東はもうイスラム一色になってしまうんですよね。

> 日本、タイと並んでアジア・アフリカ圏では数少ない独立を守った国家でしたし。もっと、情報が多くてもいいよう
> に思えますが。

 結局日本にとってイスラム圏とはホントに縁が薄いのですよね。
 そしてトルコ自体は長らくEUに加盟申請を続けているのですから、自身をヨーロッパと認識しているのです。
  1. 2016-03-14 19:04
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  3. よもぎねこ #-
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【ドイツ外務省、在トルコ大使館を閉鎖 「攻撃受ける恐れ」】ロイター 2016年 03月 17日 18:03
http://jp.reuters.com/article/turkey-blast-germany-idJPKCN0WJ0WZ

 ドイツの外務大臣がアンカラでのテロではドイツの施設が狙われていたと発表したそうです。このテロはクルディスタン自由の鷹(TAK)を名のるクルド武装組織が攻撃を認める声明を出していて、ますます情勢が悪化しています。クルドとドイツは友好関係なはずなのに、どうしたか良く分りません。
  1. 2016-03-18 16:01
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  3. 都民です。 #-
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Re: タイトルなし

> 【ドイツ外務省、在トルコ大使館を閉鎖 「攻撃受ける恐れ」】ロイター 2016年 03月 17日 18:03
> http://jp.reuters.com/article/turkey-blast-germany-idJPKCN0WJ0WZ
>
>  ドイツの外務大臣がアンカラでのテロではドイツの施設が狙われていたと発表したそうです。このテロはクルディスタン自由の鷹(TAK)を名のるクルド武装組織が攻撃を認める声明を出していて、ますます情勢が悪化しています。クルドとドイツは友好関係なはずなのに、どうしたか良く分りません。

 トルコでのテロについては、本当の犯人が誰か?色々憶測が出て魑魅魍魎状態のようです。

 しかしドイツはトルコに難民を押し付ける気なのに、大使館を閉鎖は不味いでしょう?
  1. 2016-03-18 20:25
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  3. よもぎねこ #-
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