2015-12-07 23:42

ユダヤ人はソ連から逃れた 映画杉原千畝

 12月5日から「杉原千畝」と言う映画が上映されています。
 
 このプロモーション映像は、ナチの兵隊がユダヤ人を殺す場面や、三国同盟を問題視する会話場面で構成されています。

 だからこれを見ると杉浦千畝はナチからユダヤ人を救う為に、ビザを発行したと思ってしまいます。
 
 しかし事実は違います。
 
 リトアニアのユダヤ人達はソ連から逃れる為に、杉浦にビザの発行を請願したのです。

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 このユダヤ人の多くはポーランド出身でした。 
 彼等がリトアニアに逃げ込んだのはナチスドイツを恐れての事だったのはその通りです。
 
 1939年9月1日、ドイツのポーランド侵攻で第二次世界大戦が勃発しました。 快進撃を続けるドイツ軍を恐れたポーランドのユダヤ人達の一部は、当時中立国だったリトアニアに逃げ込んだのです。

 しかし実は当時もう一つの国が、ヨーロッパで大規模な侵略戦争を始めていたのです。

 ドイツ軍のポーランド侵攻から2週間余の9月17日、ソ連軍もまたポーランドに侵攻しました。

 当時ドイツとソ連は独ソ不可侵条約を締結していました。 

 この条約の秘密議定書では、独ソで東欧を分割占領する取り決めがなされていたのです。

 双方で示し合わせて一つの国に侵略戦争を開始するのですから、これは単なる不可侵条約と言うより、殆ど軍事同盟でしょう。
 因みに日独伊三国同盟には、こんな取り決めはありません。 相互防衛義務もありません。 
 それどころか日米安保条約だってここまで親密な同盟ではありません。

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 独ソ不可侵条約が破綻したのは1941年6月22日に、ドイツ軍が突然ソ連を奇襲攻撃し始めてからです。
 それまでの間、ソ連とドイツは殆ど蜜月と言える程、親密だったのです。

 この秘密議定書でソ連はポーランドをドイツと分割し、フィンランドとバルト三国を併合し、ルーマニアの東部ベッサラビアを領有する事が認められていました。
 
 この為1940年7月15日、リトアニアにも親ソ政権が樹立し、ソ連併合が確実になりました。

 もしリトアニアがソ連領になれば、もう絶対ソ連から出れない!!

 ポーランドからリトアニアに逃れたユダヤ人達はこれを恐れたのです。 

 だから彼等はなんとしてもリトアニアから逃げ出そうとしたのです。 
 
 この時期、ドイツ軍がソ連に攻め込む事を予想した人間など誰一人いません。 ヒトラーとその一部の側近を除いては・・・・。
 スターリンはそのヒトラーを信じ切って、ドイツと共同しての侵略戦争に邁進していたのです。

 リトアニアのユダヤ人達が逃げようとしたのは、このような侵略国家ソ連からだったのです。

 そしてこの当時のソ連とドイツの親密さを考えたら、既に祖国オランダをドイツに占領されているはずのオランダ名誉領事ヤン・ツバルテンディクが、ソ連からユダヤ人を救うためにキュラソー島への入国ビザを出したのも、また杉浦千畝が日本の通過ビザを出したのもわかります。

 ユダヤ人達がソ連から逃げ出したのは結果的に大正解でした。 実は後にドイツ軍を逃れたユダヤ人達がソ連に逃げ込んでいますが、ソ連側の彼等への取り扱いは実に苛酷なモノでした。

 そもそもスターリン支配下のソ連は国家全てが強制収容所とでもいうべき世界でした。

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 1940年7月18日早朝から、200人を超えるユダヤ人が日本領事館の前に集まりました。
 そしてキュラソー島への入国ビザを手に、日本への通過ビザ発行を懇願します。

 杉原千畝は日本の外務省に電報で2度、ビザ発行の許可を仰ぎましたが、拒否されました。 そこで独断でビザ発行を決意します。

 独断で発行したビザでは、日本政府が認めてくれるかどうか心もとないのですが、しかし杉浦にはこれ以上日本の外務省を説得する時間はありませんでした。
 当時は国際電話もなく緊急のやり取りが難しいのも理由ですが、それ以上に時間が無かったのです。

 リトアニアがソ連に併合されたら、日本領事館も閉鎖される事が確実だったからです。 下手をすると領事の杉原自身が出国できなくなる可能性もありました。

 杉原夫人が書いているのですが、杉原千畝はロシア語の達人で、リトアニアで対ソスパイ活動もしていたのです。 リトアニアの日本領事館って殆どそれだけの為に置かれていたのです。

 だから外務省もソ連のリトアニア併合が完了する前に領事館を閉鎖して、引き上げるように杉原に命じていました。

 杉原がビザ発行を決断したのはこのギリギリの状態でのことです。 
 本省の許可が出るまで待ち続けるわけにはいかなかったのです。

067

 こうしてビザ発行の決断をした杉原は、このビザの作成作業をすべて自分一人で行います。 
 当時日本領事館には、リトアニア人の職員が4人(後のこのうちの一人がソ連のスパイだったとわかります)程いました。 

 けれども杉原はビザ作成の単純事務を、彼等職員にもまた妻にも手伝わせず、何日も徹夜をしながら一人で行いました。
 
 彼はこのビザ発行で災いが彼等に及ぶ事を恐れたのです。

 で、誰が災いを?

 勿論日本政府ではありません。 日本政府の力が及ばない所だから、日本政府は領事館を閉鎖せざるを得なくなったのです。

 またドイツでもありません。
 前述したようにこの時期、独ソ不可侵条約が破られるなど、スターリンすら予想していません。 だからソ連の支配域にドイツ軍が侵攻する事など誰も考えません。

 杉原が恐れたのはソ連でしょう。

 かくもドイツと親密なソ連が、ヒトラーの無二の親友スターリンが、ユダヤ人逃走に手を貸した人間を無事では置かない。
 
 そう思ったから、緊急時であるにもかかわらず、膨大なビザを一人で作成するしかなかったのです。

 杉原は7月25日ビザ発行を決断して以降、9月5日にリトアニアを退去させられるまでひたすら一人で、ビザを発行し続けるたのです。

 ユダヤ人はなぜ日本通過ビザを求めたのか

 その結果、6000人のユダヤ人をソ連から救う事ができたのです。

070

 第二次大戦では日本・ドイツ・イタリアの侵略戦争が非難されています。

 しかし本当にドイツと手を組んで侵略戦争を行ったのは、日本でもイタリアでもありません。 
 ソ連です。

 そしてドイツ以上の徹底的なジェノサイトを行ったのもソ連です。

 この時ドイツと手を組んだスターリンが求めたのは、帝政ロシア領の回復です。 ドイツとの秘密議定書で認められたソ連の取り分は、実はロシア革命のドサクサでソ連から離れた国や地域なのです。

 1941年6月22日にドイツがソ連を裏切って、ソ連を攻撃し始めた事で、ソ連は連合国の一員としてアメリカから莫大な支援を得る事になりました。 

 そして独ソ不可侵条約の秘密議定書で密約した領土以上の地域を支配下に収めました。

 さらにこの映画の製作者のようになぜかソ連から逃れたユダヤ人までが、ナチスドイツから逃れたように粉飾する人々に事欠きません。

 その意味でも第二次世界大戦の最大の勝利者はソ連だったのです。
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コメント

日本はユダヤ人に非難される筋合いはない

杉原千畝ばかりが評価されていますが、杉原を評価するなら満州に大量のユダヤ人を逃がした東条英機や樋口季一郎、安江仙弘などの帝国陸軍軍人、さらにはそれを了承した日本政府の政策そのものを高く評価しなくちゃいけないと思うんですよね。
日本の戦争のやり方は日本国民にとってひどいものでしたが、当時の日本政府が行った人種政策は見事なものだと思います。特にユダヤ人には批判される筋合いは一点もないと思っています。
  1. 2015-12-08 09:05
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  3. Kamosuke #-
  4. 編集

ポグロム(погром パグローム)

ポグロム(погром パグローム)とは、ロシア語で「破滅・破壊」を意味する言葉である。特定の意味が派生する場合には、加害者の如何を問わず、ユダヤ人に対し行なわれる集団的迫害行為(殺戮・略奪・破壊・差別)を言う。チェコ語には同系のポフロマ「pohroma」という言葉があり、不時の災難を意味する。
歴史的にこの語は、ユダヤ人に対して、自発的計画的に広範囲に渡って行われる暴力行為と、同様な出来事について使われる。ポグロムは標的とされた人々に対する物理的な暴力と殺戮を伴っている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ポグロム

ナチスドイツより前にロシア人によるユダヤ人に対し行なわれる集団的迫害行為が有り、ヤコブシフが日露戦争時の日本の資金調達に協力した背景にもそういう事情があったかららしいですしね。

※帝政ロシア政府は社会的な不満の解決をユダヤ人排斥主義に誘導したので助長されることになった。
これは支那、朝鮮が民衆の不満を反日に向けさせて対応しようとする手口と似ていますね。
  1. 2015-12-08 09:08
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  3. taigen #-
  4. 編集

勉強になります

また歴史を勉強させてもらいました。

よく考えてみれば、そのとおりですネ。
・ナチスの勢力圏外のリトアニアで、ビザを出したのだから、ナチスからの逃避だけではないはず。
・通過ビザ以外に、どこかへの入国ビザが必要。

映画とかドラマは面白くするために、単純化し、善悪を誇張します。
事実に忠実ににすると、複雑で面白くなくなるのでしょう。
製作者はそのことを自覚しないといけないですが、事実と虚構がわからなくなる傾向にあります。
そういう人が多いですネ。

先のコメントにもありましたが、
樋口季一郎が、ユダヤ人を満州国に受け入れ輸送し通過させた例があります。

「指揮官の決断」(満洲とアッツの将軍 樋口季一郎)早坂 隆(文春文庫)
この時の関東軍参謀長は東条で、満鉄総裁が松岡洋右だった。
日本は昔からユダヤ人にはやさしかったのだと思います。
  1. 2015-12-08 10:40
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  3. 道草人 #-
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Re: 日本はユダヤ人に非難される筋合いはない

> 杉原千畝ばかりが評価されていますが、杉原を評価するなら満州に大量のユダヤ人を逃がした東条英機や樋口季一郎、安江仙弘などの帝国陸軍軍人、さらにはそれを了承した日本政府の政策そのものを高く評価しなくちゃいけないと思うんですよね。
> 日本の戦争のやり方は日本国民にとってひどいものでしたが、当時の日本政府が行った人種政策は見事なものだと思います。特にユダヤ人には批判される筋合いは一点もないと思っています。

 そうです。
 
 東条内閣の当時の人種政策は民主主義国家の規範となるものです。

 それに比べればアメリカなど自国民を人種で差別したのですから、ナチの事を非難できる筋合いでもないのです。 日系人を強制収容所に入れたのは、自国民を人種により根拠なく危険視したと言う点ではナチのユダヤ政策と同じなのです。
  1. 2015-12-08 15:57
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
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Re: ポグロム(погром パグローム)

> ポグロム(погром パグローム)とは、ロシア語で「破滅・破壊」を意味する言葉である。特定の意味が派生する場合には、加害者の如何を問わず、ユダヤ人に対し行なわれる集団的迫害行為(殺戮・略奪・破壊・差別)を言う。チェコ語には同系のポフロマ「pohroma」という言葉があり、不時の災難を意味する。
> 歴史的にこの語は、ユダヤ人に対して、自発的計画的に広範囲に渡って行われる暴力行為と、同様な出来事について使われる。ポグロムは標的とされた人々に対する物理的な暴力と殺戮を伴っている。
> https://ja.wikipedia.org/wiki/ポグロム
>
> ナチスドイツより前にロシア人によるユダヤ人に対し行なわれる集団的迫害行為が有り、ヤコブシフが日露戦争時の日本の資金調達に協力した背景にもそういう事情があったかららしいですしね。
>
> ※帝政ロシア政府は社会的な不満の解決をユダヤ人排斥主義に誘導したので助長されることになった。
> これは支那、朝鮮が民衆の不満を反日に向けさせて対応しようとする手口と似ていますね。

 ユダヤ人迫害ってユダヤ人の居住地では、紀元前から自然発生的に起きるのです。 でも時々それに為政者が悪乗りするんですよね。
  1. 2015-12-08 16:04
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  3. よもぎねこ #-
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Re: 勉強になります

> また歴史を勉強させてもらいました。
>
> よく考えてみれば、そのとおりですネ。
> ・ナチスの勢力圏外のリトアニアで、ビザを出したのだから、ナチスからの逃避だけではないはず。
> ・通過ビザ以外に、どこかへの入国ビザが必要。
>
> 映画とかドラマは面白くするために、単純化し、善悪を誇張します。
> 事実に忠実ににすると、複雑で面白くなくなるのでしょう。
> 製作者はそのことを自覚しないといけないですが、事実と虚構がわからなくなる傾向にあります。
> そういう人が多いですネ。
>
> 先のコメントにもありましたが、
> 樋口季一郎が、ユダヤ人を満州国に受け入れ輸送し通過させた例があります。
>
> 「指揮官の決断」(満洲とアッツの将軍 樋口季一郎)早坂 隆(文春文庫)
> この時の関東軍参謀長は東条で、満鉄総裁が松岡洋右だった。
> 日本は昔からユダヤ人にはやさしかったのだと思います。

 恐縮です。

 実はワタシは10年余り前に、杉原千畝夫人の著書や他二冊ぐらい杉原千畝に関する本を読みました。 しかしその時はどうも第二次大戦のヨーロッパ戦線について良く知らないので、ユダヤ人のリトアニア脱出の事情をよく理解しないままでした。

 でもこの映画の事で改めて確認したら、彼等は実はソ連から逃げた事を知ったのです。

 これは別に秘密でもなんでもなく、このブログで紹介した杉原千畝記念事業のサイト二も出ているし、杉原夫人の著書にも出ているのです。

 しかしヨーロッパ戦線について確認しないとどうしても「ユダヤ人脱出=ナチの迫害」と頭が固定したまま動かないのです。

 だってソ連のポーランド侵攻やフィンランド侵攻など日本人は殆ど知らないでしょう?
 ワタシも最近まで知らなかったのです。

 でも今回はワタシもこのエントリーを書くにあたって、少し調べなおして改めて「ああそうだ。 ユダヤ人はソ連から逃げたのだ」と思い知ったのです。
  1. 2015-12-08 16:18
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

ユダヤ人と日本

「ドイツと手を組んで侵略戦争を行ったのは、日本でもイタリアでもありません。 ソ連です。・・・・ドイツ以上の徹底的なジェノサイトを行ったのもソ連です。
 この時ドイツと手を組んだスターリンが求めたのは、帝政ロシア領の回復です。 ドイツとの秘密議定書で認められたソ連の取り分は、実はロシア革命のドサクサでソ連から離れた国や地域なのです。
 1941年6月22日にドイツがソ連を裏切って、ソ連を攻撃し始めた事で、ソ連は連合国の一員としてアメリカから莫大な支援を得る事になりました。
 そして独ソ不可侵条約の秘密議定書で密約した領土以上の地域を支配下に収めました。」

本当に世界は黒々してますね。日本の真珠湾攻撃を一番喜んだのは、スターリンだったと読んだことがあります。日本が米国方面へ方向転換したことを喜んだと読んだことがあります。「日本人に謝りたい」byモルデカイモーゼ著も大変いい本ですね。

  1. 2015-12-28 22:15
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  3. yumiko #-
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Re: ユダヤ人と日本

> 「ドイツと手を組んで侵略戦争を行ったのは、日本でもイタリアでもありません。 ソ連です。・・・・ドイツ以上の徹底的なジェノサイトを行ったのもソ連です。
>  この時ドイツと手を組んだスターリンが求めたのは、帝政ロシア領の回復です。 ドイツとの秘密議定書で認められたソ連の取り分は、実はロシア革命のドサクサでソ連から離れた国や地域なのです。
>  1941年6月22日にドイツがソ連を裏切って、ソ連を攻撃し始めた事で、ソ連は連合国の一員としてアメリカから莫大な支援を得る事になりました。
>  そして独ソ不可侵条約の秘密議定書で密約した領土以上の地域を支配下に収めました。」
>
> 本当に世界は黒々してますね。日本の真珠湾攻撃を一番喜んだのは、スターリンだったと読んだことがあります。日本が米国方面へ方向転換したことを喜んだと読んだことがあります。「日本人に謝りたい」byモルデカイモーゼ著も大変いい本ですね。

 ちなみに朝日新聞は日本を共産化するために対米戦を煽りました。

 朝日新聞は日本を「共産化」しようと工作した
 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51966670.html
  1. 2015-12-28 22:28
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
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