大地主の場合別に軍用地がなくても、住宅街や商業用地、観光地などとして活用していることが多いので、それだけでも億単位の収入を得ている者もいます。 百田発言にはあちこちで反発が出ているようです。
これはブロゴスに出ていた記事で、ワタシが書いたコメントに対していただいた反論の一部です。

作家・百田尚樹氏の暴言・妄言に抗議する - 照屋寛徳
今日は朝からワジワジーして(怒って)いる。
地元二紙で大きく報じられた昨日の作家・百田尚樹氏による沖縄と沖縄二紙への暴言・妄言に腹の底からワジワジーしているのだ。(中央紙でも小さく報じられている)
報道によると、百田氏は、安倍総理に近い自民党の若手国会議員らによる憲法改正を推進する勉強会「文化芸術懇話会」で、次のように暴言・妄言を吐いている。
まず、米軍普天間飛行場の形成過程について「もともと田んぼの中にあり、周りには何もなかった。基地の周りに行けば商売になると、みんな何年もかかって基地の周りに住みだした」と述べたらしい。
現在の普天間飛行場内には戦前、役場や小学校、5つの集落があり、民家や先祖代々のお墓もあったことは万人が認めるところだ。普天間飛行場は悲惨な沖縄戦終結後、国際法に反して強制的に接収されたのだ。
作家だからといって、世界一危険な普天間基地の形成過程に関する歴史的事実を無視し、思い込みで勝手なことを発言するのは許されない。
次に、勉強会に出席した関係者の証言によると、百田氏は軍用地主(地権者)について「基地の地主さんは年収何千万円なんですよ、みんな」「ですからその地主さんが、六本木ヒルズとかに住んでいる。大金持ちなんですよ」などと持論を展開したようだ。
百田氏の「持論」はあまりにも馬鹿げていて、根拠の全くない妄言の類で反論する気にもなれない。一笑に付したい。断固抗議し、発言の撤回を強く求めたい。
とはいえ、百田氏の誤った言説がもっともらしく流布され、ネット上に拡散されても困るので、指摘しておく。
沖縄には、いわゆる軍用地主が約4万3千人いるが、その半数以上(54.2%)が年間地料100万円以下だ。500万円以上受け取っているのは約3,400人(7.9%)に過ぎない(平成23年度。沖縄防衛局資料)地権者の高齢化にともない相続が進み、1人当たりの受け取り額は年々減少しているのが実態である。
ほとんどの地権者は、先祖の眠る土地の一日も早い返還を願っている。百田氏の指している「六本木ヒルズ暮らしの大金持ち」とは、軍用地を投機対象にしている土地ブローカーのことではないか。
普天間飛行場の地主みんなが、年間何千万円もの地代を受け取り、六本木ヒルズに住んでいるなら、百田氏はその証拠も併せて開示すべきだ。それができないなら、百田氏の普天間基地形成過程に関する初歩的な知識は「永遠の0(ゼロ)」だ。

この記事のこの部分に関してワタシが書いたコメントに関する反論なのです。
億単位で地代を貰っている地主が普通にいるなら、六本木ヒルズの住人だって普通にいるでしょう?
照屋の言うことがウソで、百田氏の言った事は本当なのです。
しかし目から鱗でした。
と言うのはワタシもこれまで何も考えずに照屋が言うように、普天間に住んでいた5つの集落の農民達が土地を奪われたと思っていたのです。

沖縄が農奴制だったって事を知っていたのに、農民と言われると、ついついワタシの親戚のような、父方の親戚の石川県の米作農家の一家や、母方の祖母の実家の岡山県の果樹農家の叔父や叔母を思い浮かべてしまうのです。
我が家は父方も母方も先祖は農家で、しかも小作農だったのですが、しかし農地改革のお蔭で自作農になったのです。
しかし我が家の先祖だけでなく、普通の本土の小作農と沖縄の農民とは全然違うのです。
それを忘れて自分の親戚を基準にしちゃうって・・・・。
こういうの思考停止って言うんですよね。 気を付けないと。

沖縄って琉球王朝時代は大地主制どころか、農奴制だったのです。
地主は土地を小さな区画に分けて、二人組にした農奴に割り当てて耕作させます。 どの区画を割り当てるか、誰と誰を組ませるかは毎年くじ引きで決めます。
耕す区画が毎年変わるのは、良い土地と悪い土地があるので、毎年変える事で公平性を保つ為です。 二人組にしてその組み合わせを毎年変えるのは、収穫物の誤魔化せないように相互監視させるためです。 同じ人間と長く組ませると二人が共同で誤魔化すようになりますから。
農奴ですから家も自分の物ではありません。 家も地主の物です。

ワタシはこういう農奴制がイランにある事は知っていました。 中東諸国は異民族支配が支配が続いたし、奴隷制も普通だし、日本人の感覚ではギョッとするほど苛酷な世界なのです。
しかしまさか日本にこれと同様の農奴制があるとは夢にも思いませんでした。
明治になってからは農奴制はなくなったでしょうが、しかし地主と農民の関係は変わっていなかったでしょう。
そして米軍による普天間基地の土地収用は1945年、まだ日本が降伏する前の話ですから、農地改革なんか全然関係ありません。 米軍が強制収用したのは、こうした農民の土地じゃなくて、農民が住んでいた家まで含めて全部大地主達の土地だったのです。

一方日本の小作制はこれとは全然違います。
小作人は地主から土地を借りて耕作しますが、この小作権は先祖代々受け継がれ、農業経営の全てを自分の裁量で行います。 家も自分の物です。
これは沖縄やイランの農奴や、イギリスのpeasantとも全然違います。 これらが単なる農業労働者であるのに対して、日本の小作人は完全な農業経営者なのです。
しかし沖縄県以外の日本人にとってはこれが余りに普通なので、小作とか農民とか言うと、殆どの日本人は単純に日本の小作農を思い浮かべてしまうのです。

当然ですが、同じ土地を持たない農民と言っても、日本の小作農の方が、遥かに労働意欲も高く、農業技術を優れていました。 そしてこれまた当然ですが生産性は高く、生活も豊でした。
これだと日本の農地改革が大成功したのに、他の国々では成功しなかった理由は簡単です。 日本の自作農なら農地が自分の物になられば地代の負担が減る分直ぐに所得が増えるだけです。
しかし農業労働者としてしか働いた事がなく、自分の責任で農業経営をやったことのない人達が、農地を貰っても簡単には自立できないのです。
脱線するけど、ソ連崩壊後農業が低迷したままである理由もわかります。 ロシアも農奴制が続き、農民は自立して農業を営む体制がありません。 それがそのままソ連で国営農場や集団農場になったのです。 これを解体しても、農民に自立して農業を営む技術はないのです。

ともあれこういう事情では、普天間基地ができて、それまでそこにいた農民が追い出されたとしても、その中で自分の土地を失った人は何人いるのでしょうか?
土地を返せと言っている地主は元々普天間になんか住んでいなかったのでは?
那覇で優雅に暮らしていたのでは?
それが土地を奪われたと言って、戦後延々と莫大な借地料を貰い続けてきて、なお不満を言っているのです。

これに比べたら農地改革で土地を奪われた本土の地主は気の毒です。 不在地主、つまり自分で耕していない農地の持ち主は、その土地を全部タダ同然で強制的に奪われたのです。
この不在地主には勿論村の農地を全部持っていたような大地主もいました。 けれどもそれだでなく夫が出征したため耕せなくなった土地の耕作を頼んだような人々まで含まれています。 ちなみに農地改革は1947年ですが、海外にいた日本兵はすぐには帰国できませんでした。 ワタシの父も応召してハノイ郊外で終戦を迎えたのですが、帰国したのは終戦の後二年半経ってからです。
元来農地改革は耕す人に農地を与えると言う主旨でしたが、しかし都市近郊農家などその後、農地改革で得た農地を売って大富豪になった人が沢山います。
それでも農地改革で先祖代々の土地を奪われた地主達には、その後は一切の補償を受けていません。

これを考えれば、沖縄で米軍に土地を奪われたと言う人々ってなんなんのでしょうね?
沖縄が日本本土と切り離されてアメリカの支配下に置かれる事もなく、本土同様の農地改革が行われていたら、彼等は基地の土地は勿論、その他の全ての農地をタダ同然で取り上げられていたではありませんか?
>大地主の場合別に軍用地がなくても、住宅街や商業用地、観光地などとして活用していることが多いので、それだけでも億単位の収入を得ている者もいます。 百田発言にはあちこちで反発が出ているようです。
こんな事不可能でしょう?
沖縄がアメリカ支配下にあったお蔭で、一番利益を得たのは、基地に土地を奪われた地主達でしょう?

そしてこの大地主達を社民党や共産党が、応援して「土地を返せ」と騒ぐ構図って何なのでしょうか?
勿論土地が米軍に奪われた事で、農奴として暮らしていた人々も、仕事と住処を失いました。 でも代わりに米軍基地での仕事があったでしょう?
どう考えたって芋やサトウキビしかできな土地で農奴をするより、米軍基地で働く方が遥かに豊に暮らせますよね?
この人達は米軍基地で働くようになって、初めて人間らしい賃金を得たのではありませんか?

大変面白いのは、このコメントでワタシの目の鱗を下さった方が、実はひたすら基地反対、米軍・米兵悪と言い続けている事です。
つまりこの人達には、事実は関係なく米軍悪、と言うより米軍悪であると言うことに事実を結びつけるのです。
なるほどね、確かに米軍が土地を強制収容したのは、悪い事ですよ。 しかしそれだけを理由に、その後70年受け続けた利益を全否定して、ひたすら自分達を悲劇化して、米軍悪を言い立てる感覚って、マトモな大人の発想じゃないですよね?
普通の沖縄県民ではなく、先祖代々農奴を搾取し続けた地主の発想でしょうか?