安倍首相「質も量も、二兎を追う」 アジア向けインフラ投資、5年間で13兆円表明
で、この13兆円と言うのはどのような意味があるのでしょうか?
上念司氏の解説です。
【5月22日配信】上念司の経済ニュース最前線 平成27年5月22日号 「AIIBの勢いは何処へ?日本はアジア投資13兆円」 桜林美佐 上念司【チャンネルくらら】
AIIBが予定している資金が1000億ドルです。
中国始め57カ国が資金を出し合って1000億ドルです。
中国が絡むAIIB、ブリックス銀行、シルクロード基金が全額予定通りに資金を集めても、総額1400~1900億ドルにしかなりません。
ところが今回日本は一国で、1100億ドルのアジアへのインフラ投資の増額を決めたのです。
ちなみに日本はこれまでに既にこの3倍程度の資金を、アジアのインフラ投資に出しています。
こうしてみると恐ろしい程の資金力です。
なるほどこれなら中国がなんとしても日本をAIIBに誘うわけです。
しかし日本はこの誘いに乗る代わりに、AIIBを潰しに出たのです。
中国が今から銀行を作ろうとしている所なのに、日本がこれから巨額融資をすると言ったら、お客は皆日本の方に行っちゃうじゃないですか?
ちなみに5月2日にアゼルバイジャンで、ADBの中尾武彦総裁がAIIBとの協調融資を行う考えを示しています。
協調融資をするんだから、「仲良くしようぜ」かと思ったら、これは全然違うのです。
協調融資、つまり同じプロジェクトにAIIBとADBが一緒に融資するとなると、当然それぞれがどのような条件で融資するかが問題になります。
本来なら同じプロジェクトへの融資なら、同じ金利で融資になるはずです。
でもその為にはどちらも同じレベルで融資資金を調達する必要があります。
ADBもAIIBも融資資金は、加盟国から拠出金の他に、社債を売る事で調達します。
ADBの社債はトリプルAですから低金利でも売れます。 しかしAIIBは格付けが低いので、ADBよりもかなり高い金利を出さないと売れません。
そうなるとAIIBがADB並みの金利で融資する場合は、高い金利を出して、調達した資金を、安い金利で融資しなければならないのです。
この差額はどうするのでしょうか?
AIIBの面子を守る為には、中国が出すしかないでしょう。
だからADBはワザワザ「協調融資で仲良くしようぜ」なんて、言い出したのです。
でもこれを断れば、「我は信用力がないから、安い金利で資金調達できないアル。」と白状する事になるので、絶対イヤとは言えないのです。

ADBの「仲良くしようぜ」ってシバキ隊と同じだったのです。
でもシバキ隊なんぞ違って、本気で相手を潰す力と知恵があるのです。