2015-04-10 22:57

紳士の思惑 AIIB 英文解読

 イギリスのAIIBの加盟に関して、イギリス政府の公式見解を、我が尊敬するベヒモスさんが翻訳してくださいました。
 日本の報道とは随分ニュアンスが違います。

aB39kqcVcqEe13P1428674661_1428674683.jpg

 英語読解 - 英国政府のAIIBに関する発表(3月12日版)

UK announces plans to join Asia Infrastructure Investment Bank

英国、アジア・インフラ投資銀行へ参加の計画を発表

from HM Treasury and the Rt Hon George Osborne
First published: 12 March 2015
Part of: UK economy and China
財務省及びジョージ・オズボーン閣下より
初回発表:2015年三月十二日
部門:イギリス経済と中国

The Chancellor of the Exchequer, George Osborne is announcing today (12 March 2015) that the UK intends to become a prospective founding member of the Asian Infrastructure Investment Bank (AIIB). In doing so, the UK is the first major Western country to seek to join the AIIB.
財務大臣ジョージ・オズボーンは本日(2015年三月十二日)、イギリスがアジア・インフラ投資銀行(AIIB)の暫定的創設メンバーになるつもりである事を発表します。これによりイギリスは、AIIBへの参加を求める西側大国の最初の国になります。」

Once fully operational the AIIB will support access to finance for infrastructure projects across Asia, using a variety of support measures - including loans, equity investments, and guarantees - to boost investment across a range of sectors including transportation, energy, telecommunication, agriculture and urban development. This support can complement the work already done in the region by existing Multilateral Development Banks such as the World Bank and Asian Development Bank.
完全に機能すれば、AIIBは運輸、エネルギー、通信、農業、そして都市開発を含む幅広い分野への投資を押し上げるため、ローン、株式投資、また債務保証を含む様々なサポート手段を用いて、アジアにまたがるインフラ・プロジェクトに対する資金獲得を援助する事になります。この援助により、既存の世界銀行やアジア投資銀行といった多国間開発銀行によって既にこの地域で行われている事業を補完する事が出来ます。

As the first major Western country to apply to become a prospective member of the AIIB, the UK will join discussions later this month with other founding members to agree the Bank’s prospective Articles of Agreement, setting out the governance and accountability arrangements that underpin the AIIB’s operating practices.
AIIBの暫定的メンバー加入申し込みをする最初の西側の大国として、AIIBの活動業務の基盤となるガバナンスや説明責任制度を設立する本行の暫定的『協定の条項』に合意すべく、英国は他の創設メンバーと共に今月末の討議へ参加します。

As part of these discussions the UK will play a key role in ensuring that the AIIB embodies the best standard in accountability, transparency and governance, which will be essential to ensuring the success of the initiative and to unlocking the potential benefits for the wider global economy.
これらの討議の一部として、英国はAIIBが説明責任、透明性、そしてガバナンスに於ける最高水準の実現を確保するための鍵となる役目を果たす事になるでしょう。これらはこの構想主導の成功への保証や、より広いグローバル経済への潜在的恩恵を顕在化させるために、欠かせないものです。

The Chancellor of the Exchequer, George Osborne said:
財務大臣ジョージ・オズボーンの言葉です。

“I am delighted to announce today that the UK will be the first major Western country to become a prospective founder member of the Asian Infrastructure Investment Bank, which has already received significant support in the region.
「本日、既にこの地域で大きな賛同を集めているアジア・インフラ投資銀行の暫定的創設メンバーになる、西側大国の最初の国にイギリスがなる事を、喜んで発表させて頂きます。

“This government has actively promoted closer political and economic engagement with the Asia-Pacific region and forging links between the UK and Asian economies to give our companies the best opportunity to work and invest in the world’s fastest growing markets is a key part of our long term economic plan. Joining the AIIB at the founding stage will create an unrivaled opportunity for the UK and Asia to invest and grow together.”
「この政権は、アジア太平洋地域とより緊密な政治経済の結びつきを精力的に応援して来ました。また、英国とアジア各国との繋がりを深め、我が国の企業に世界で最も急速に成長する市場での事業と投資の機会を提供する事は、我々の長期経済計画の鍵となる部分です。創設段階でのAIIBへの加入は、英国とアジアにとって、共に投資し成長するまたとない機会となるでしょう。」

(翻訳はここまで。)


TxMoeZoTj4AvEbm1428674775_1428674801.jpg

ブログ主の解説:(ベヒモスさん)

しかし、常に「prospective」を「founding member」に付ける所が、まずミソですね。「創設メンバー」じゃなく「暫定的創設メンバー」なんですよね。一回も外さない所が私の笑いを取る、、、。「prospective」って、「見通し」です。もっと言葉に沿って訳をするなら「創設メンバーになる見通し/予定のメンバー」になってしまいますね、、、。「暫定的」としたのは日本語でピタっとした一語が思い浮かばなくて、、、。「provisional」っていう単語のほうが「暫定的」という言葉に近いんですが、これだと「臨時の」の意味が入るかな、、、。まあ、英語的には「prospective」が妥当なんでしょうね。

ああ、題名の中の「plans」ねえ。複数形ねえ。「the plan」じゃないんですね。つまり「色々プランを持っている」って事で、色んな事を考えているようですね。

で、「参加を決定した」という表現を出さないですね。「the UK intends to become …」ですから、「…になる事を意図する」であり、「…になるつもり」であり、つまり「…になる予定」です。これが「the UK has decided to join the AIIB」だったら、「AIIBに参加する事を決めた」になるんですけど、「decide(決める)」がない。「determine(決める)」もない。「conclude(結論を出す)」もない。「参加した」とか「参加を決定した」という表現を避けまくっているような、、、。

「…to seek to join the AIIB」で、「AIIBへの参加を求める」とはなりますが、ここでは「求めている段階」なので、つまりまだ参加していない事になるし、、、。「seek」だと「模索する」という意味合いも出るし、、、。「参加を模索する」となれば、参加はまだしていない事に、、、。

日本のマスゴミ発表では、参加した事になっていたのでは?

7ElJZmFODcUM6Jd1428675067_1428675085.jpg

「… the UK will join discussions … to agree the Bank’s prospective Articles of Agreement…」という事は、これからこれまた「暫定的」な「協定の条項」に付いての「討議に参加する」んで、つまり確実な事は何も決まっていない、、、という事ですよね。

あれ、習様の話では、「AIIBは中国人が総裁で、総裁が専横/独裁で物事を決め、理事会はお飾りで、中国語が言語で、本拠地は北京で、加盟国には検閲とか調査の権利は無く、今までの欧米のやり方とはひと味違う中国的ガバナンスで運営する」のでは無かったので? どうもイギリスは、そういう話しは聞いていないようですね。さもなければ、これからそういう事を決める「討議に参加する」とは言えない訳で、、、。どうもおかしいですね。習様は説明責任だとか透明性だとかは欧米のやり方だとして、それを中華風(?)の総裁の専横/独裁で運営するつもりだと言っていたのに。

で、その辺りを麻生さんが一昨年辺りから「どうなんだ?」と聞いていたのに、中国から満足な解答を得られなかったから、今回の参加は見送る事にした、、、のでは?

まさか習様、その国、その国で、全く違う話しをしているのでは?え、それが中華風?

少なくともイギリスは説明責任や透明性、そしてガバナンスの確立に中核的役割を果たそうと、やる気満々な感じで書いていますね。そこが「the UK will play a key role in enduing that the AIIB embodies the best standards in accountability, transparency and governance…」ですよ。「the best standards(最高水準)」を「embodies(実現する)」事を、さらに「ensuring(確保する)」ですからね。その「a key role(鍵となる役割)」を「play(果たす)」となれば、なんかイギリス、力が入り過ぎ?いや、リップサービスか?

ついでに、そういう説明責任、透明性、そしてガバナンスを「…will be essential to ensuring the success…(成功を確保するのに欠かせない)」。あ~あ、習様、大丈夫?

最も私は「おズボン君」(=ジョージ・オズボーンの事)にも言いたい。何がAIIBは「…has already received significant support in the region (この地域で大きな賛同を集めている)」だ。日本は参加しない。このままでは参加出来ない。我々はATMではない!

君達の政府がアジア=太平洋地域との経済的繋がりを推進して来たのは君達の勝手だ。いや推進し過ぎて中国に金を貸し過ぎたんじゃないのか?

2015y04m10d_223512363.jpg
If China’s economy craters, the UK’s banks are on the hook

随分と気前良く貸しているようじゃないか。表に出ているだけで1930億ドル。(←ソースの記事の日付から、2014年3月当たりの統計だと思われます。)ついでに香港とシンガポール経由にも絡んでいるよね。で、シティーのお仲間から焦げ付きのお話が届いているんじゃないか?「何とかしてくれ」ってね。

で、日本の金を当てにしている?

ファイナンシャル・タイムスとかエコノミストとかに、「日本、バスに乗り遅れるな!」っていう記事が載るかな? そしたら英国の日本に対する陰謀だと、私は思うからね。総選挙でシティーから寄付金が欲しいから、シティーのお願いを聞いてやっているのかい?う~ん、有り得る話しだ。

そう、この件に関して、日本は英国を決して信じてはならない。Banking=銀行業に関して、金が絡んだ事に関して、アングロサクソンの腹黒さと向こう見ずさは、時に「卑劣」ですらある。

同時に、向こう見ずな分、墓穴を掘ったときは大きい。Bankingは英国経済の15~17%を占めると言われている。そして金融は、イギリスに残された最後の経済の要である。

だからこそ、中国の負債が英国の銀行業を圧迫するのであれば、イギリスは「卑劣」な手段を取ってでも、そこを守ろうとするだろう。その為に中国と手を結んで日本が犠牲になっても、何とも思わない。思う神経など持ってはいない。だから一時とは言え、世界一の植民地支配帝国になったのである。英国政治家の頭にあるのはイギリスの国益であって、好意というものはない。(←好意に見せかけた国益のための戦略/戦術はある。)

だから、日本はAIIBなんて言うバスに乗ってはいけない。乗らずに中国に引導を渡してやる事が日本の国益だ。そうして、その波及効果(?)でイギリスが危機になっても、それがイギリスの器量だと言う事だ。

国際関係は仁義無き関係なのである。そういう殺伐とした関係に、紳士服を着せているだけである。


4kz2iNXgZz48kVQ1428674965_1428674985.jpg

 英単語解説まで付いた完全訳ですから、ワタシのような英語ダメ子でもわかります。

 イギリス政府の発表は、やたらに調子の良い事を言って、AIIBを持ち上げているんですが、肝心の所にはシッカリと「暫定的」とか「・・・・するつもりである」とか書かれていて、「AIIB参加を決めたわけでない」ということを明確に書いているのです。

 これが何で日本のマスゴミ訳になると「参加表明」になっちゃうんでしょうか?

 ともあれ、英訳だけではなくベヒモスさんの解説も完璧ではありませんか?

 更新の少ないブログは幾ら内容が良くても、アクセスが少なくなりランキングも上がりません。 ベヒモスさんのブログも無いようは素晴らしいのですが、更新が少ないの目に着きにくいのです。

 でもこんな素晴らしい内容のブログは一人でも多くの人に知ってほしいです。

 どうぞ皆さんも、是非アクセスしてください。

 Behemoth's Scroll - ベヒモスの文書
  1. ヨーロッパ
  2. TB(0)
  3. CM(6)

コメント

おはようございます。

「中国主導のインフラ銀行を拒絶する愚」(フィナンシャル・タイムズ 3月26日)

著者はマーティン・ウルフ。シティとウォール街の投資家に絶大な人気のある「エコノミスト」です。新自由主義経済、グローバリゼーションの信奉者で、アベノミクス(特に竹中ミクス)を評価していることでも知られています。フィナンシャル・タイムズの読者層を体現する人物と言えましょう。

主張の結論は、

「中国が中国自身と世界にとって理にかなうことを提案する場合、傍からケチをつけるよりも関与する方が賢明だ」

として、参加表明を見送った日米をこき下ろしています。
早い話が、バスの行き先を決めるなら乗客になれ、ということですな。

私個人の考えでは、新しいバス会社を作るより、既存のバス会社のサービスを改善した方が良いような気がします。

投資に縁のない貧乏人であっても、安全を無視した価格競争は矢っ張りイヤです(笑)
  1. 2015-04-11 10:11
  2. URL
  3. cn2100 #-
  4. 編集

Re: タイトルなし

> おはようございます。
>
> 「中国主導のインフラ銀行を拒絶する愚」(フィナンシャル・タイムズ 3月26日)
>
> 著者はマーティン・ウルフ。シティとウォール街の投資家に絶大な人気のある「エコノミスト」です。新自由主義経済、グローバリゼーションの信奉者で、アベノミクス(特に竹中ミクス)を評価していることでも知られています。フィナンシャル・タイムズの読者層を体現する人物と言えましょう。
>
> 主張の結論は、
>
> 「中国が中国自身と世界にとって理にかなうことを提案する場合、傍からケチをつけるよりも関与する方が賢明だ」
>
> として、参加表明を見送った日米をこき下ろしています。
> 早い話が、バスの行き先を決めるなら乗客になれ、ということですな。
>
> 私個人の考えでは、新しいバス会社を作るより、既存のバス会社のサービスを改善した方が良いような気がします。
>
> 投資に縁のない貧乏人であっても、安全を無視した価格競争は矢っ張りイヤです(笑)

 なるほど・・・・。
 しかし中華人民共和国と言うバスの乗客は13億もいるのに、サービス改善要求ができない事を無視した話ですね。

 あの暴力的な国のバスに乗ったら、生命の危険なしには、サービス改善要求なんか出せないのです。

 それにしてもファイナンシャルタイムまで中国の投資詐欺の宣伝とはね・・・・。
  1. 2015-04-11 11:04
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

恐縮です。

お褒めに預かり大変恐縮しております。

でも、よもぎねこさんのように、マメに質の高いエントリーを連発出来るほうが良いと思います。よもちゃんのお話も楽しいですし、、、。

私もマメに書いてはいるつもりなのですが、それが完成してエントリーとなる作品(?)は一割程度です。実は書きかけなら沢山あるんですが、まとまらない、、、。うーん、才能の限界でしょうか、、、。(グスッ)
  1. 2015-04-11 13:24
  2. URL
  3. tna6310147 or ベヒモス #-
  4. 編集

Re: 恐縮です。

> お褒めに預かり大変恐縮しております。
>
> でも、よもぎねこさんのように、マメに質の高いエントリーを連発出来るほうが良いと思います。よもちゃんのお話も楽しいですし、、、。
>
> 私もマメに書いてはいるつもりなのですが、それが完成してエントリーとなる作品(?)は一割程度です。実は書きかけなら沢山あるんですが、まとまらない、、、。うーん、才能の限界でしょうか、、、。(グスッ)
 
 ワタシはベヒモスさんのブログを見る度に「量より質」と思うんですけどね。
 しかしブログのアクセスは量がないと増えないんですよね。

 ワタシのブログも暫く更新をさぼると、直ぐにランキングが落ちます。
 
 だから世の中には「質より量」と言うのもありなんでしょうね。
  1. 2015-04-11 16:09
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

鄙見では

AIIBは中共主導で進められていますが、まだ準備段階で、正式に設立してはいません。従って、参加国が50ヶ国になったのではなく、参加表明国が50ヶ国になったということです。参加させるか否かは、中共が選択権を持っています。
この中共主導による運営内容や貸付方法、返済条件などが不透明なため、日本は参加を見合わせていますが、英国は中共への見返りか、中共との裏約束かで、発言権のある主要な地位を占めれる、と踏んでいるのでしょう。それが a prospective founding member であり、prospective article の意味だと思います。もっと云えば、英国はAIIBで利権に与れるよ、と言っているのではないでしょうか。
  1. 2015-04-11 20:47
  2. URL
  3. chengguang #DibDBv7k
  4. 編集

Re: 鄙見では

> AIIBは中共主導で進められていますが、まだ準備段階で、正式に設立してはいません。従って、参加国が50ヶ国になったのではなく、参加表明国が50ヶ国になったということです。参加させるか否かは、中共が選択権を持っています。
> この中共主導による運営内容や貸付方法、返済条件などが不透明なため、日本は参加を見合わせていますが、英国は中共への見返りか、中共との裏約束かで、発言権のある主要な地位を占めれる、と踏んでいるのでしょう。それが a prospective founding member であり、prospective article の意味だと思います。もっと云えば、英国はAIIBで利権に与れるよ、と言っているのではないでしょうか。

 腹黒く強欲なことでは世界に冠たる英国紳士が、参加する見通しであると表明するからには、相応の見返りをゲットする自信はあるのでしょうね。

 とりあえず英国紳士の御健闘を拝見しましょう。
  1. 2015-04-11 21:02
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する