2014-12-19 18:51

経済学とSTAP細胞雑感 

 STAP細胞騒動がようやく終結しました。
 一人の女詐欺師に振り回されて、国宝級の科学者と言われた笹井芳樹氏が自殺に追い込まれるなど、実に無残な話でした。

 だからこんな事は二度と起きないようにしなくては・・・・・と言う人は多いですが、けれどもそれは不可能でしょう。

 実は自然科学の世界では、数年に一度はこの種の捏造騒動があります。

 戦後超有名になったモノには、ルイセンコ論争とか常温核融合なんてのがあります。

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 自然科学では誰かが何かを発見して論文を書くと、その発見に関連する研究をしたい人は、まず追試をします。
 つまり論文に書かれていたのと、同じ条件で同じ実験をして、同じ結果が出るかどうかを確認するのです。 

 その追試験を行った人達が皆、同じように実験に成功すれば、元の論文は正しかった事になります。 だからインチキな論文で大発見を捏造しても、必ずバレます。

 小保方STAP細胞論文も、追試験をした人達の誰一人として、小保方氏と同じ結果が得られなかった事から、小保方氏の捏造がバレたのです。

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 追試験をして論文を検証すると言う姿勢が、徹底しているので自然科学は、人文科学などより遥かに信頼性があるのです。

 それでもヤッパリ、何年に一度かこの種の騒動を起こす科学者が、必ず出てくるのです。

 必ずバレる事はやらなきゃよいのに・・・・・って思うけれど、しかし大学や研究所に務めるプロの研究者・科学者と呼ばれる人だって世界中には何万人もいるのですから、何年かに1人ぐらいオカシイのが出てくるのはどうしようもないのです。

 とは言え何万人もの科学者の中で何年かに1人出る程度の異常者ですから、そういう人を絶対排除するために不正防止の為にシステムを作るとか、そういう事はみんなあまり考えていません。

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 基本的には「博士号を取るような人が、直ぐバレるインチキをやるはずないじゃないか?」と思って、性善説で論文を通すのです。
 だって捏造がバレたらそれで研究者としての生命は終わりですからね。 そんな馬鹿なことをする人はホントに少数なのです。

 でもこれは逆に言えば最初から捏造する気でいる人間からすれば、どんな一流学者だって簡単に騙せるでしょう。 

 それで騙された学者達を責めるのは、酷じゃないでしょうか?
 また絶対に防がなければならないと言うほどの物でもないでしょうか?

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 だって世界中で何年かに一度ぐらいしか起きない事件なのです。 起きても直ぐにバレてしまい、そこで問題は終わる話なのです。
 
 勿論その捏造論文を書いた人間が使った研究費や、追試をした人々の労力や研究費は、勿体ないです。 でも事件の起きる頻度が、非常に低いのです。
 だったらこのような事件を防ぐための費用や労力を掛けるのは引き合いません。

 ましてこんな事で責任を追及して、優秀な科学者を自殺に追い込んだりするのは、愚かの極みです。 笹井氏は本当にお気の毒でした。

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 一方これに比べて凄く違和感のあるのが人文科学の姿勢です。

 昨年経済学で勇名だったケネス・ロゴフとカーメン・ラインハートの論文が、インチキだとバレると言う騒動がありました。

ケネス・ロゴフとカーメン・ラインハートをメッタ斬りにした学生、トーマス・ハーンドンがビジネス・インサイダーに寄稿
 
 このケネス・ロゴフとカーメン・ライハートは二人共ハーバード大学教授で、彼等は「債務水準が国内総生産(GDP)の90%を超えると、経済成長が著しく鈍り、経済は破たんに向かう」と言う論文を書きました。

 この論文の影響でIMFや多くの国々が緊縮政策推進策を取ったのです。

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 ところが何と経済学博士課程在学中のある学生が、この論文の基礎になったデータを検証したら、統計上の処理におかしなところが沢山見つかったと言うのです。 
 
 故意か偶然かはわかりませんが、ライハート・ロゴフの論文の結論に都合の悪い数字が抜けていたり、計算が間違っていたりしたのです。

 ここでワタシはビックリするのです。

 そ、それじゃ経済学ではこうした重要な論文が出た時に、他の学者はこの論文の元になって数値や計算の結果は検証しないのかい?

 そりゃあね、エライ先生の出した論文に計算間違いがあるかもしれないなんて思うって検算するなんて失礼だとは思いますがね、でもそれをやるのが科学でしょう?

 何よりそういう計算は自分でやり直さないと、本当に論文を理解する事なんかできないでしょう?

 経済学では自然科学のような追試は不可能ですが、しかしそれだけに出てくる数値や計算結果が全てです。 その計算も数値も検証しないんじゃ、「科学」として進歩するはずもないでしょう?

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 先日ワタシは選挙に絡んでアベノミックスに関する討論の動画を何本か続けてみました。 これを見ていて驚くのは、増税派と反増税派では全然議論がかみ合っていない事です。

 なぜかみ合わないのか?

 それはつまり増税の必要不要を論じる為に算出された数字の根拠について、増税派が完全にスルーして議論の対象にしないからです。
 そしてひたすら増税が必要とだけ言うのです。

 我が尊敬するご隠居さんはこの状況を「まあ経済学を初めとする社会科学のレベルなどは、物理学に例えればニュートン以前ですから。  要するに今の経済学などは星占いのようなものですな。」と仰いましたが、本当にその通りなんですよね。

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 ちなみに星占いが天文学に変わったのは、ヨハンネス・ケプラーの時代ぐらいからです。 ヨハンネス・ケプラーはケプラーの法則を発見した天文学者であり物理学者ですが、実は生前は占星術師として知られていました。

 それでもケプラーが天文学者になれたのは、彼の師チコ・ブラーエのお蔭です。
 チコ・ブラーエは生涯精密な天文観測を続けて、偉大な発見をしたのです。

 「天文学での観測は長期間正確に続けなければならない」と言う事を発見したのです。

 ケプラーはこの師の正確で膨大なデータを引き継いだので、ケプラーの法則が発見できたのです。
 
 故笹井氏の為にも、日本と世界の為にも、経済学もちゃんと占星術から科学に進歩して欲しいです。

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 推薦図書 息をするように嘘をつく韓国

 
 

 

 
 
 
 
  1. 何じゃこりゃ??
  2. TB(0)
  3. CM(12)

コメント

高藤聡一郎氏の「仙道帝財術」という本を持っていましたが、「経済」すなわちお金の流れも「氣」の流れであるという説は面白かったです。

まったく同じ事をしているはずなのに、儲ける人と損をする人がいる。

まったく同じ事をしているはずなのに、女性にもてる男ともてない男がいる。

男前とかでなくとも、「氣」すなわち勢いがあればもてたりするわけです。

女心とお金は良く似ている。
  1. 2014-12-19 19:41
  2. URL
  3. taigen #-
  4. 編集

 チコのような占星術師は刻苦勉励して、肉眼で星の観察をしていましたが、今の経済評論家などはカネを貰ってのことなのか実に安易なポジショントークを。
  1. 2014-12-19 20:16
  2. URL
  3. ご隠居 #kaKZ91t6
  4. 編集

こんばんは。

小保方女史が詐欺師か否かは、各自の推測の域を出ません。本当に詐欺かも知れませんし、研究方法に瑕疵があったかも知れませんし、理研の組織等に問題があったかもしれません。追試や検証試験で再現できなかったので、研究結果は間違いだったのでしょう。
ただ、彼女の今後の研究者としての道は閉ざされてしまいました。
振り返って、ご隠居さんが取り上げる大前某他のような経済学者や評論家。どう見ても詐欺まがいな御仁もいますが、揃いも揃って予測顔全く違ったからと言って職を辞して隠居したなどとは聞いたことがありません。「経済は生き物」とは便利な言葉です。
  1. 2014-12-19 21:56
  2. URL
  3. koguma #-
  4. 編集

常温核融合を捏造のトンデモ研究、とされているようですがこれは現在大変な進展があります。
一種の核融合が行われエネルギーが放出されてることはもとより、元素変換と呼ばれる減少が起きてることはほぼ確実になってきました。
例えばこれなんかどうだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ040JJ_X00C14A4000000/

この研究先何しろ三菱重工です。いい加減なものではありません。
これは常温核融合の研究から生まれたものです。常温核融合は実際にエネンルギーを発生してることは間違いありませんでしたがその条件がどうにもわからなかったのです。
その条件を突き詰める過程でとんでもない発見があったということです。

そもそも太陽における核融合では鉄以上の重さの物質は生成されないことは理論上分かってます。それ以上の重さの物質は超新星爆発とかなんとか色々な理屈をつけてますが、その程度で今ある量が生成されるのかは正直疑問でした。

この研究はその辺りにも一石を投じるものです。
ご参考まで
  1. 2014-12-19 22:34
  2. URL
  3. 一つだけ訂正する必要はあると思います #cPv2SIBE
  4. 編集

しまった、subjectとnameを間違えました。

それはともかく

経済学は理科系の感覚から言うとズバリ。学問ではないでしょう。
経済学はその研究の前提があまりにも単純化されてます。人間は全て経済合理的に行動するものとされ、生産されたものは全て消費される、情報は常に完全に与えられタイムラグが存在しない世界である、それを原則とするのです。

こういう世界での経済分析をやって一体何の意味があるのだろうか、そう考えるのがまともな感覚の人間というものです。金の話はその人間の目を確実に曇らせます。これは博打と一緒でどこかのポジションに立てば確実に予測能力が落ちます。人間なら当然でしょう。

経済学の参加者たちがみなそういう人々ならば不況も失業も存在しません。

そういうおとぎ話のような世界を研究してる人々です言ってることがお伽話なのは当然でしょうね。だから信用ならない人たちてことなんですよね。
  1. 2014-12-19 23:23
  2. URL
  3. kazk #cPv2SIBE
  4. 編集

Re: タイトルなし

> 高藤聡一郎氏の「仙道帝財術」という本を持っていましたが、「経済」すなわちお金の流れも「氣」の流れであるという説は面白かったです。
>
> まったく同じ事をしているはずなのに、儲ける人と損をする人がいる。
>
> まったく同じ事をしているはずなのに、女性にもてる男ともてない男がいる。
>
> 男前とかでなくとも、「氣」すなわち勢いがあればもてたりするわけです。
>
> 女心とお金は良く似ている。

 ハハハ、ケインズは株式投資が好きで、大成功と大失敗を繰り返したそうです。

 投資の成果みたいなモノは経済学で予想するのは絶対無理だと思います。
 これは不確定性原理が働いてしまいますから。
  1. 2014-12-19 23:28
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

Re: タイトルなし

>  チコのような占星術師は刻苦勉励して、肉眼で星の観察をしていましたが、今の経済評論家などはカネを貰ってのことなのか実に安易なポジショントークを。

 マジにアイツらインチキ占い師と同じですからね。
  1. 2014-12-19 23:30
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

Re: タイトルなし

> こんばんは。
>
> 小保方女史が詐欺師か否かは、各自の推測の域を出ません。本当に詐欺かも知れませんし、研究方法に瑕疵があったかも知れませんし、理研の組織等に問題があったかもしれません。追試や検証試験で再現できなかったので、研究結果は間違いだったのでしょう。
> ただ、彼女の今後の研究者としての道は閉ざされてしまいました。

 ワタシはこの人最初からインチキだと思っていたので、全然同情する気になれないんですけどね。
 この手の人は非常に特異な人格だから、普通の人間にインチキを見抜くのって不可能でしょう。

 自殺された笹井氏が気の毒です。

> 振り返って、ご隠居さんが取り上げる大前某他のような経済学者や評論家。どう見ても詐欺まがいな御仁もいますが、揃いも揃って予測顔全く違ったからと言って職を辞して隠居したなどとは聞いたことがありません。「経済は生き物」とは便利な言葉です。

 呪い師は呪いが効かなくても、占い師は占いが外れても処罰されません。

 
  1. 2014-12-19 23:34
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
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Re: タイトルなし

> 常温核融合を捏造のトンデモ研究、とされているようですがこれは現在大変な進展があります。
> 一種の核融合が行われエネルギーが放出されてることはもとより、元素変換と呼ばれる減少が起きてることはほぼ確実になってきました。
> 例えばこれなんかどうだ。
>
> http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ040JJ_X00C14A4000000/
>
> この研究先何しろ三菱重工です。いい加減なものではありません。
> これは常温核融合の研究から生まれたものです。常温核融合は実際にエネンルギーを発生してることは間違いありませんでしたがその条件がどうにもわからなかったのです。
> その条件を突き詰める過程でとんでもない発見があったということです。
>
> そもそも太陽における核融合では鉄以上の重さの物質は生成されないことは理論上分かってます。それ以上の重さの物質は超新星爆発とかなんとか色々な理屈をつけてますが、その程度で今ある量が生成されるのかは正直疑問でした。
>
> この研究はその辺りにも一石を投じるものです。
> ご参考まで

 うわあ~~!!
 これは凄いですねえ。

 実はワタシはこの常温核融合騒動の顛末を書いた本を読みました。
 それでスーパーカミオカンデまで使って検証しても、明確な結果が得られず、これを言い出したユタ大学の化学者二人が、豊田系の研究所に拾われたところまでは、知っていたのですが・・・・・。

 しかしこれ本当に成功したら、大変な事ですよ。
 原子物理学の理論を書き換えになる成果です。

 ノーベル賞どころじゃないです!!
  1. 2014-12-19 23:38
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
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STAP報道の歪み

 STAP騒動については、科学界でしばしば発生する不正だったのでしょう。この手の問題は、どんなに治安を良くしようとも犯罪を0にすることができないのと同じで、不正の発生を0にすることは土台無理な話です。ただ、マスメディアについては救いようのないクズ連中であるということがSTAP発見から疑惑発覚にいたる過程で再確認されたとは言えるでしょう。
 
  1. 2014-12-20 01:25
  2. URL
  3. 凍え馬 #-
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Re: しまった、subjectとnameを間違えました。

> それはともかく
>
> 経済学は理科系の感覚から言うとズバリ。学問ではないでしょう。
> 経済学はその研究の前提があまりにも単純化されてます。人間は全て経済合理的に行動するものとされ、生産されたものは全て消費される、情報は常に完全に与えられタイムラグが存在しない世界である、それを原則とするのです。
>
> こういう世界での経済分析をやって一体何の意味があるのだろうか、そう考えるのがまともな感覚の人間というものです。金の話はその人間の目を確実に曇らせます。これは博打と一緒でどこかのポジションに立てば確実に予測能力が落ちます。人間なら当然でしょう。
>
> 経済学の参加者たちがみなそういう人々ならば不況も失業も存在しません。
>
> そういうおとぎ話のような世界を研究してる人々です言ってることがお伽話なのは当然でしょうね。だから信用ならない人たちてことなんですよね。

 化学は元々錬金術だったし、天文学は元々は占星術でした。 だからその意味では、現在のレベルが占星術や錬金術のレベルだからと言って経済学の研究を止める必要はないと思います。

 しかし例えば重要な論文のデータを誰一人検証しない、そういう習慣はないと言う状況は変えるべきでしょう?

 だって経済学は数字が全てなのですが、その数字は結構誤魔化せるし、評価の仕方は実に様々なのです。
 だからまず重要な論文が出たら、それに関連する研究をしたい人は、まずその論文のデータの出所を確認して、計算は自分で検算するぐらいの習慣はつけて欲しいです。

 そういう方法論の確立がなければ未来永劫、占星術ですよ。
  1. 2014-12-20 12:30
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
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Re: STAP報道の歪み

>  STAP騒動については、科学界でしばしば発生する不正だったのでしょう。この手の問題は、どんなに治安を良くしようとも犯罪を0にすることができないのと同じで、不正の発生を0にすることは土台無理な話です。ただ、マスメディアについては救いようのないクズ連中であるということがSTAP発見から疑惑発覚にいたる過程で再確認されたとは言えるでしょう。

 まあそういうことです。

 今まで科学界では数年おきにあった事です。 日本人がやったのは初めてですが、しかし日本人だってオカシイのがゼロと言うわけにはいかないのです。

 だから理研の落ち度と言えば落ち度ですが、しかし小保方氏のような特異な人格の持ち主は、滅多にいませんから、こういう人間が入り込む事なんか用心のしようがないのです。

 「ああ、やられちゃった。 騙されちゃった。」で済む話なんです。

 それをマスゴミが歪んだ正義を振り回して大騒ぎするから、笹井氏のような貴重な人材を失う事になるのです。 
  1. 2014-12-20 12:35
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

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