それにしても何で解散をしないと消費税増税をストップできないのでしょうか?
消費税増税法案には付則18条と言うのがあって、これによると消費税を増税するかどうかは、その時の景気等の状況から内閣総理大臣が判断できるはずだったのでは? だから安倍総理が「止めた」と判断すれば済むことだったのは?
ワタシはこう思っていました。
実際、今回の消費税引き上げに関して、マスゴミは延々と安倍総理の判断に関する報道を繰り返してきました。 また前回2014年4月の消費税引き上げの時も、それに先立つ半年前2013年10月1日に安倍総理が、消費税増税決定の判断をしました。

ところが実はこの消費税増税法案の付則18条と言うのは、総理が増税延期を決定しただけは、消費税増税を止められない物だったのです。
この付則18条に従って首相が増税中止を表明しても、この法案ではそれによって増税を中止するとは書いてないのです。
だから首相の意思に従って、増税を中止する為には増税中止法案を作成して、その法案が国会可決成立しなければ、増税を中止できない仕組みなのです。

そうなると首相の意思だけで増税阻止はできません。 国会議員の過半数の同意が絶対に必要なのです。
自民党は衆議院では480議席中295議席、参議院では242議席中115議席持っており、どちらも自公が過半数を占めています。
しかし元々この消費税増税は、三党合意つまり自民・公明・民主の三党の合意で決まった法案です。
公明党は最初から消費税増税には乗り気でした。
民主党だって解散風が吹くまでは消費税増税を喚いていたのです。
野党の中で明確に消費税増税に反対していたのは、共産党ぐらいでした。
これでは幾ら安倍総理が消費税増税中止法案を提出しても、可決成立は難しいでしょう。 だって衆議院で自民党の中の80人余りが安倍総理に反旗を翻し、民主党や公明党に同調して反対すれば、それで法案は否決されますから。

だから解散するしかないのです。 解散して選挙となると、どの政党の世論の支持の無い消費税増税は引っ込めるしかなく、増税派は黙ります。
そして増税中止で自民党が勝てば、自民党内の増税推進派も増税中止法案に賛成せざるを得なくなります。
つまり増税を阻止するためには、解散をするしかなかったのです。

そうするとなぜ2013年10月1日に、安倍総理が2014年4月の消費税増税を認める判断をしなければならなかったのかも理解できます。
消費税増税阻止には消費増税中止法案を可決しなければならなかったのは、今回と同じです。
それではあの時に消費税増税法案を提出していたとして、可決する可能性はあったのでしょうか?
勿論あるわけはないのです。 前回の方が今回よりも遥かに可能性が低かったのは明白です。
しかしそれでは政権発足一年に満たない状況で解散ができたでしょうか?
そんなことができるわけはないですよね。 だから安倍総理とすれば、泣きの涙で増税を決定するしかなかったのです。
あの増税決定は非常に辛く悲しく、倉山満なんかあのショックで人格崩壊しそうになったのですが、しかしそれでも安倍総理とすれば他にどうしようもなったのです。

この消費税増税法案と付則18条の仕組みは、財務官僚や政治家には自明の話で、だから彼等はこれについて敢えて解説しないのですが、しかしワタシのような一般国民は全然わかっていませんでした。
実は倉山満や三橋貴明等も良くわかっていなかったのだと思います。
だから2013年10月1日前の消費税増税に関するチャンネル桜の討論会で、これに触れたのは元財務官僚高橋洋一だけでした。
実はあの討論会で高橋洋一は「消費税増税はもう決定している。 だって9月になっても中止法案作成の話も出ていないもの。」と言っていました。
ワタシはこの時「法案?? 何でそんな法案がいるの?」と凄く怪訝に思ったのですが、討論の場では誰もそれに突っ込まないので、高橋洋一はそれ以上の話はしませんでした。

しかしこれはあの時の消費税増税の有無の判断には、最重要なポイントだったのです。
こういうポイントを理解できるかどうかが、政治の動向を見る上では非常に重要なのですね。 そして逆に言えば、一般人がこうしたポイントを理解できない事を見越して、財務官僚はこの付則18条を消費税増税法案に書き込んだのです。
つまりこれを書き込んでも、増税派議員が多数派で居る限り増税阻止は不可能だと分かったうえで、増税反対派にも法案を呑みやすくしたわけです。

ところで安倍総理と麻生副総理は、解散で今回の増税を延期する代わりに、消費税増税法案からこの付則18条を取り除くと言っています。 つまり法案で決めた期日には景気や経済動向に関係なく増税できるような法案にすると言うのです。
そ、そんなことをして法案で決めた増税の期日の頃にまたリーマンショックのような事が起きていたら?
世界中が不景気へまっしぐらの中でも増税するの?
でも考えてみれば、付則18条って前記のような代物ですから、増税阻止法案を可決できなければ意味がないのです。
逆に言えばそんな物なくても、反増税派の議員で過半数を固めれば、減税法案を可決して消費税増税法案なんか潰してしまえるのです。

ちなみに高橋洋一は解散をするなら今でしょうと言っています。
この人、何でも数理的に考えるので、ワタシは凄く好きなんですよね。
そして今までの経済動向を見ても、選挙結果を見ても、この人の予想は凄くよく当たるので、今回も的中すると期待しています。
今回の選挙で勝てば、安倍総理は党内の増税派長老を粛清して、党内の基盤を盤石にできます。 しかも増税派長老達は揃って親中親韓派なのだから是非とも粛清して欲しいです。

2013年10月1日の消費税増税決定について、倉山満は「安倍総理自身の死刑判決」と言っていました。 実際、ここで決まった消費税増税後、消費はみるみる落ち込み安倍総理の支持率も下がり続けました。
しかし安倍総理は自分の死刑判決を出す前から、この死刑執行を中止させて、代わりに増税派を大粛清する方法を考えていたのでしょう。
そして順次それを実行していったのです。
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