2014-07-28 11:09

原発見物 サクランボ付き その3

 7月17日、妹と原発見物に参加しました。 厳重なセキュリティチェックと原発に関するレクチャーを受けた後に、いよいよ原発構内に入るバスに乗り込みます。

 残念だけれど、カメラはバスに乗る前に取り上げられるので、原発の写真は撮れません。

 レクチャーやセキュリティチェックを受けた「とまりん館」から原発まではかなり離れている上、原発の敷地自体が非常に広いので、バスで行くのです。

 ちなみに現在は原発構内にもバスが走り回っています。
 このバスは原発で働く人達の交通手段です。

 このあたりは交通の便が悪いので、嘗ては原発の従業員も殆どが自家用車で通勤しており、構内の移動にも車を使っていました。

 しかし福島第一原発の事故では、構内に駐車してあった沢山の車が津波で流されて瓦礫になり、それがその後の復興作業の邪魔になったことから、構内での車の使用は極力控える事にしたのです。

 それで構内への車での通勤は禁止して、代わりに近くの北電施設に駐車して、そこから原発までシャトルバスを運行しているのです。

 さて、いよいよ原発へ入って驚きました。

 2012年に来たときとは、完全に地形が変わっていました。

 まず海岸に沿って、巨大防波堤ができていました。 元々あった防波堤を東日本大震災クラスの津波の襲来を想定して、16.5mまで嵩上げして、そのうえを道路にする予定なので、海岸の景色が一変しています。

 また森林火災が原発に及ばないようにと、原発の後背地の森林を幅40m分伐採して防火帯を作り、その防火帯をコンクリートで固めてあります。

 そして貯水槽や免震重要棟その他の安全対策施設を設置する為に、原発の後ろの山を切り崩していました。

 元々泊原発は海岸にあって、その後ろは海抜80mほどの山だったのです。

 しかし今回はこの山の中腹を、免震重要棟、非常用電源の発電所、電源車等安全車両の駐車場、そして1万トンの貯水槽などを作る為に、切り崩して平地を作っていました。

 さらに山の山頂近い78m地点に1万5千トンの貯水層を3つ造成していました。

 こんなに高所に凄い貯水槽を幾つもつくるのは、最悪事故で電源が亡くなっても、高い所に貯蔵した水なら重力で、原発の冷却に送り込む事が出来るからです。
 また海水よりは真水の方が冷却水としては良いからです。

 勿論これらの貯水槽と原発をつなぐ為の巨大な地下トンネルを設置中です。

 水は原発の冷却だけでなく、9・11のような飛行機によるテロで火災が起きた時にも必要です。

 また原子炉を覆う格納容器と遮蔽壁が破壊された場合は、放水銃で水のカーテンを作って、放射性物質の外部放出を阻止することになっていまが、その放水銃の為の水としても使えます。

 この放水銃と言うのは、巨大放水機を備えた車で、これは使用済み燃料の保存プールの冷却にも使えます。 福島第一原発の事故当時はこれがなかったので、高圧コンクリート車を使ったのです。
 泊原発ではこの放水銃を5~6台常時用意しました。

 勿論電源車や一般工事用の重機、更にこれらの車両にガソリンを供給する為のタンクローリーとガソリンタンク等も用意しました。 そしてこれらの車両は原発の後背地の山の斜面を切り崩して、幾つかの平地を作り、そこに分散して設置することにしました。

 実はこれらの車両は最初は原発一基分を用意していたのですが、その後原子力規制委員会が原発一基につきそれぞれに車両を用意しろと言いだしたので、原発を3基抱える泊原発では最初の予定の3倍の車両を用意する事になったそうです。

 それでこれらの車両の総数は33台だそうです。

 更に電源確保の為に今まであった、原発から伸びていた二本の送電線とは別に、非常用送電線も設置しするそうです。

 と、言うわけで原発の周りの地形が前回2012年の原発見物で見た時とは、一変してしまったのです。

 要するにどんなことがあっても、原子炉と燃料プールの冷却に必要な水と電力が確保できるように、何重もの安全対策を取っているとのことです。
 
 これらの安全施設は勿論まだ完成しておらず、どこもかしこも工事中でした。 だから原発全体が巨大工事現場の有様でした。
 
 この巨大工事現場を案内しながら北電の人が言っていました。

 「一昨日、ここを報道関係者に公開して、安全対策を説明したのだけれど、良く書いてはくれなかった・・・・orz]

 カワイソウに・・・・・。

 ちなみにこの膨大な工事は一体幾らかかるのでしょうか?

 原発構内の見学の後、また「とまりん館」でレクチャーがあったので、質問してみました。

 北電の人によると、この工事には総額1600億の予算をが必要とのことでした。 しかし原子力規制委員会はドンドン新たな対策を付け加えているので、予算が増える事も予想されるようです。

 しかし現在泊原発を止めた為に稼働させている火力発電所にかかる燃料費は実に年間2000億なのです。

 この状況は日本中の電力会社で同様でしょう。 原発の停止で日本が余分買う燃料費は年間3~4兆円ですから。

 これを思えばこの大工事だって、安い物です。
 だから電力会社は出費をモノともせずに、必死で安全工事をやりまくっているのです。

 考えてみればこれを福島第一原発事故以前にやっていれば・・・・・イヤここまでやらなくても、福島第一原発の堤防を嵩上げだけをしていれば、今頃こんな騒ぎにはならなかったのです。

 膨大な燃料費から比べればホンの僅かのお金を惜しんだ事で大変な事になったのです。 そういう意味ではやはり事故対策はやってやり過ぎると言う事はないのです。

 ちなみに原発稼働中泊原発の発電量が北電の総発電量に占める割合は44%でした。 泊原発が稼働している間、北電は原発をコンスタントに稼働させて、電力の大半を賄い、火力や水力で消費電力の変化に対応していました。

 その原発が止まったので、それまで電力消費の大きい時にだけ稼働させていた火力発電所や、殆ど稼働させていなかった古い火力発電所までをフル稼働させているのです。

 一方原発は停止中も管理が必要です。 泊原発では現在北電社員が500人、関連会社の社員が500人働いています。
 この人数は稼働中と変わりません。
 
 稼働中は定期点検が必要ですが、この定期点検には3~4か月かかり、それには1000人ぐらいの人が別に必要です。
 定期点検は一年に一回ぐらい必要なので、3基の原発を持つ泊の場合は、ほぼ2000人の人が年中原発で働いているような状態でした。

 現在はこの定期点検作業がなくて、その作業員1000人が来ない代わりに工事関係者300人ぐらいがいる状態です。 これは地元の経済には結構辛い状況のようです。

 原発見物後のレクチャーの最後で、質問に立った参加者の一人が言いました。

 「この安全対策を見て、自分は原発の安全性は信頼できると思った。 自分は福島第一原発の事故以来、他の原発を幾つも見学したし、六ヶ所村の核燃料貯蔵施設も見たけれど、原発は一日も早く稼働させるべきだと思う。 原発を稼働させないと日本の経済がもたない。 電力の安定供給が確保されないのでは、安心して工場を稼働できない。 電力会社は堂々と安全性をアピールして、一日も早い原発の稼働を訴えるべきだ。」と言いました。
 
 実に堂々とした発言で、単細胞なワタシは感動したのですが、ワタシよりは数等賢い妹は北電の仕込んだサクラじゃないのかと疑っていました。

 ま、あんまり堂々としていてそんな気がしないでもありませんが、ワタシも個人的には原発は一日も早く再稼働させるべきだと思います。

 なるほど今はまだ安全対策工事は終わっていません。

 しかしねえ・・・・原発って稼働していても止まっていても、安全性には殆ど差はないんですよ。
 
 福島第一原発は日本では最も古いタイプの原発で、GMの技術で作ったので地震対策も非常に遅れていました。 それでも福島第一原発は、東日本大震災のマグニチュード8.1と言う史上最大規模の地震では殆ど被害はなく、地震発生と同時に制御棒が下りて緊急停止しました。

 それがあの事故になったのは、地震の後に来た津波が非常用電源と冷却水の取り込み装置を根こそぎ破壊したからです。

 ところで稼働停止中の原発と言うのは、実はこの福島第一原発の地震が起きてから津波が来るまでと、全く同じ状態なのです。

 つまり現在だって津波が原発を破壊するような状態になれば、やはり同様の事故が起きる可能性があるのです。

 違いと言えば、発電できないために、日本中が電力不足で苦しんでいる事ぐらいです。

 一体何の為に稼働を停止しているのでしょうか?
 
 ただひたすら日本の経済を悪化させたい放射脳達が起こす騒ぎと、福島第一原発の事故を自分の事故処理の不手際ではなく、原発そのものにあるとした菅直人の責任転嫁以外に停止する合理的理由はないのです。

 史上最大規模の地震でも安全に緊急停止したので、世界的には福島第一原発事故後、日本の原発の安全性が世界に再認識されたと言うのが現実です。

 ワタシ自身は実は元々原発懐疑派でした。 原発は原発自体だけでなく核燃料や核廃棄物の管理に大変な技術と費用と労力がかかります。

 安全管理を徹底すれば安全ですが、しかしその安全管理を永遠に続けられる保障はないのです。 ところがプルトニウムの半減期は2万年とか核物質が安全になるには気が遠くなるほどの時間がかかります。

 その間に戦争やその他の社会的な混乱があったらどうなるのか?

 実際チェルノブイリなんかその例だと思うし、またその後ソ連崩壊時はソ連中にある膨大な原発の管理に大変な不安を感じました。

 しかしねえ・・・・この世に原発と言うモノがない時代なら、だから原発は作らないと言う選択もあったと思います。

 でも現在既に日本では50基以上の原発が存在しているのです。 だったらもうこれからは現在ある原発を安全に管理する方法を考えるしかないでしょう?

 原発を止めたら安全なら止めると言う方法もあり得ますが、しかし原発は残念ながら止めても止めなくても安全性に差はないのです。

 むしり原発を完全停止したら、もう原発の廃炉や安全性を確保する技術は進歩しなくなります。 だって現在ある原発を廃炉する為だけの研究や技術開発に人生を捧げる人などいなくなるからです。

 現在ある原発を管理し続けるのだって危うくなります。 だって従業員の立場で考えれば、発電もしない原発を唯ひたすら管理するだけの人生なんて耐えられません。
 そういう状態が続けば必ず士気が低下して事故につながるのです。

 だから好むと好まざると原発を作ってしまった以上、これをより安全に稼働させるしか方法はないのです。

 そして現在電力会社も政府も、安全な稼働の為の努力をしているのです。 だから一日も早く再稼働させて、その安全対策に十分な資金を出すためにも、原発は再稼働させるべきなのです。

 こうして原発見物は終わりました。
 
 原発見物が終わった後、帰りのバスに乗るまでの休憩中に妹とワタシは「とまりん館」で内部被爆の測定をしました。
 機械に生年月日と性別を入れると、暫くして測定値が出てきます。

 測定値は妹が5200ベクレル、ワタシが4800ベクレルでした。

 「それはオカシイよ。 年を取る程放射能を沢山浴びているはずなのに!!」

 納得のいかない妹はこれを北電の人に聞きました。 それに対する北電の人の回答は無慈悲なものでした。

 「年齢だけじゃなくて、体重も関係するんです。」

 アハハ、内部被爆は体内に放射性物質を取り込む事で起きます。 ところで放射性物質もそうでない物質も化学的な性質は変わりませんから、ヨウ素でもセシウムでも普通に体内に取り込まれます。 そして普通に代謝します。
 当然体重が重ければ取り込む放射性物質も多いのです。

 これでいよいよバスは「とまりん館」を後に、今回のツアーの最大目的地、余市のサクランボ園に向かいます。 
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コメント

こんにちは

よもぎねこさんお久しぶりです。

>「年齢だけじゃなくて、体重も関係するんです。」

無慈悲すぎる回答でしたねww
その時の妹さんの顔はどういう顔をされていたのでしょうかね?
日本も彼の国には、これくらい無慈悲な回答を用意すべきだと思いますよw

  1. 2014-07-28 11:49
  2. URL
  3. hachiman01 #-
  4. 編集

無慈悲な測定結果

>測定値は妹が5200ベクレル、ワタシが4800ベクレルでした。

満員電車によもさん姉妹と同じ体格の人が乗ったとすると、1両150人として、全部で70万ベクレル前後になるんですね。
放射脳の人向けに、リアルタイムで電車内放射線量を推定して表示してあげたら喜ばれそう。混んでるときは乗らなくなるだろうから、乗員数が平準化されて、みんながハッピーになれるかもしれません。
  1. 2014-07-28 17:59
  2. URL
  3. Kamosuke #-
  4. 編集

Re: こんにちは

> よもぎねこさんお久しぶりです。
>
> >「年齢だけじゃなくて、体重も関係するんです。」
>
> 無慈悲すぎる回答でしたねww
> その時の妹さんの顔はどういう顔をされていたのでしょうかね?
> 日本も彼の国には、これくらい無慈悲な回答を用意すべきだと思いますよw

 菅官房長官は結構無慈悲なので頼もしいです。 このままこの無慈悲な路線を守ってほしいです。
  1. 2014-07-28 21:04
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

Re: 無慈悲な測定結果

> >測定値は妹が5200ベクレル、ワタシが4800ベクレルでした。
>
> 満員電車によもさん姉妹と同じ体格の人が乗ったとすると、1両150人として、全部で70万ベクレル前後になるんですね。
> 放射脳の人向けに、リアルタイムで電車内放射線量を推定して表示してあげたら喜ばれそう。混んでるときは乗らなくなるだろうから、乗員数が平準化されて、みんながハッピーになれるかもしれません。

 マジに人間は放射線を出しているのです。 だから本当に放射線が怖いなら、自分の体から避難するべきです。
  1. 2014-07-28 21:05
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
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