道で倒れている老人を助けた人が、その老人から自分に怪我をさせた犯人扱いをされて、挙句に莫大な賠償金を請求されると言う事件でが、ネットで「中国 老人」で検索すると同様の事件がワラワラと出てきます。
それにしても中国の社会主義って何だったのでしょうね?
ワタシは一応在特会の会員で、共産主義には反対なのですが、こんな文章を読むと旧ソ連が理想社会に思えてしまいます。
ワタシはソルジェニーツィンが大好きなのですが、彼はスターリン時代に反体制の嫌疑で強制収容所に入れられ、その後中央アジアへ「永久追放」になります。
そしてその時に腫瘍を患い、ガン病棟に入院します。
彼はこの時の体験をもとに「癌病棟」を書きました。

ソルジェニーツィンは「癌病棟」を当時のソ連社会の病理の象徴として描きました。
中央アジアの辺境の街の病院なので近隣の癌患者が全て入院するので、当時のソ連の地方都市に暮らす全ての階層の人々が集まっていてます。
ソルジェニーツィンはこの患者達一人一人を克明に描く事で、ソ連の社会の縮図を示したのです。
しかしねえ・・・・これを思い出すと、ソ連って中国に比べたら天国ジャマイカ?
だってまず入院費は完全に無料です。
だから患者は誰一人医療費の心配はしていません。 そして身よりの全くない少年、遊牧民でイスラム教徒の老人、若いエリート科学者、この地方の共産党に中堅幹部、そしてソルジェーニツィン自身の分身と思われる追放中の政治犯が、同じ病室にいるのです。
職員の労働意欲は全体としては今一で、サボる事しか考えて居ない奴もいるけれど、医者でも掃除婦でも真面目な人はいて真摯に仕事をしています。
ソ連の医療は一般には質が悪く、医者の給与は低くて、それで女医が多かったそうですが、それでも賄賂を取るような事もしていません。
共産党の中堅幹部は何とか自分のコネを使って、もう少し設備の良い大都市の病院へ転院しようとしたりするのですが、治療不能となるとアッサリ退院させられてしまいます。
ソ連の病院は治癒不能の患者は「もう大丈夫ですよ。」とか言って、さっさと退院させるのが普通だったようです。
それでも治癒の見込みがあれば流刑中の政治犯だってちゃんと治療はしてくれたのです。

そりゃあ日本やその他、欧米の先進国から見れば、医療の質は低いし、様々問題はあったでしょうが、それでも現代の中国の医療事情に比べたら天国じゃないですか?
これはロシア人と中国人の国民性日が居でしょうか?
ソ連が崩壊した直後、ロシア政府はたちまち財政難に直面しました。 それで経済自由化の対象にならなった病院や学校その他公共施設で働く職員には、給与の遅配が続きました。
けれどロシア人達の職員達はこのような中でも、職場を去らずに患者達を助け続けたのです。
最終的にプーチンが解放後大儲けをした資本家たちから金を強奪して、財政難を解決してこれらの職員の給与や年金の支払を出来るようにしたそうです。
これが今に至るロシア人の絶大なプーチン支持につながったと言います。

ところが中国は改革開放以前から、文化大革命中の社会主義全盛期でも、どうやら一般国民の為の医療など考えてもいなかったようです。
文化大革命当時「はだしの医者」と言うヘンな物がもてはやされたのですが、これはどうも農民など一般国民の治療は。医者とも言えない簡易教育を受けただけだの人間にやらせようとかいう話だったようです。
そして中国は未だに義務教育の無償化も行われていません。
現在のアジア・アフリカの途上国でもこういう国は皆無なのに・・・・・。
オリンピックをやり、万国博を行い、アジア・アフリカ諸国に莫大な援助を続ける国が、実は自国民には医療も教育もマトモに行う意思がないのです。
ソ連始め旧共産主義国家は、何処も残忍な粛清で自国民を大量に殺害したし、文化破壊も無惨にやったけれど、唯一良い所は医療、教育、老人福祉のような物は、一定レベルまではやった事です。
ところが中国は粛清で殺した人の数も、文化破壊のレベルも、他の共産主義国家を凌駕するにも拘らず、本来社会主義の理想とした教育や福祉は完璧に放棄しました。
彼等の社会主義とはなんだったのでしょうか?

ワタシは中学生になってから新聞を読むようになりました。 その頃中国では文化大革命が始まり、それで新聞には連日中国を礼賛する記事が満載でした。
その記事を読むと全て中国人は「一人は万人の為に、万人は一人の為に」と言う理想に生きているようでした。
この状況はワタシが大学を卒業するまで、毛沢東が死んで江青等所謂4人組が失脚するまで続きました。
そしてその後、文化大革命の内情が明らかになったのですが、それにしてもあれだけ大勢の人を犠牲にして唱えた理想の結末が「倒れている老人には近づくな」と言う社会とはね・・・・・。
人間の理想とか夢とかが、ここまで無惨な結末を迎えるのを見ると、イデオロギーの正否に関わらず哀しくなります。

そして哀しいだけで済まないのは、この中国の老人達の姿がそのまま現在の日中関係に繋がる事です。
文化大革命で経済破綻して倒れた中国を助けようとしたのは日本でした。 ところがその後から始まったのは中国の反日です。
貧しい老人達がなぜワザワザ自分を助けた人を「自分に怪我をさせた」と言って賠償金を取ろうとするのか?
それは行きずりの貧しい老人を助けてくれるような人なら、気が優しく善良で、幾ら無法な言いがかりをつけても、返り討ちに遭うような心配がないと本能的に察知しているからです。
実際、最初に紹介した記事の青年など、無法な賠償金の支払い請求されたら、それを苦にして自殺しただけです。 生年を自殺に追い込んだ老人一家には何の危害も加えませんでした。
だから彼等は安心してこの青年を追い込んだのです。
これは正に日中国交正常化以降の日中関係そのままではありませんか?
そしてこれはまた日韓関係も同様なのです。

第二次大戦以前、中國を侵略した国は日本だけではありません。 アヘン戦争以降、中国は欧米列強全てから侵略を受けました。
しかし中国は日本だけに執拗に謝罪と賠償を要求し続けます。
これはつまり日本なら要求をすれば通ると思っているからです。 イギリスやフランスには幾ら要求しても相手にもされない事は明らかだからです。
善意で対応する相手に無法な賠償を要求する、これは貧しい老人だけではなく中国と言う国家その物の生き方なのです。
そして現在超高齢化社会に向かって驀進中の中国は正に貧しい老人国家になるのです。
だったら何とか気力のあるうちに、取れそうな相手から取れる物は取って置こう。
これが現在中国の外交ではありませんか?
ワタシ達日本人はこのような国家と対峙していかなければならないのです。