ところでこの10000発ってどういう量でしょうか?
銃弾の提供先の韓国軍PKO部隊は、総勢280人です。 しかし殆どが衛生兵と工兵隊で、戦闘部隊は70人だそうです。
で、この10000発を70人の戦闘部隊で分けると、一人頭150発弱になります。
この銃弾は5.56x45mm NATO弾と言う物で、その名の通り、NATO関係諸国で広く使われています。
韓国軍はこれをK2 (ライフル)やK3 (分隊支援火器)と言った軽機関銃で使うようです。
しかし軽機関銃と言っても、K2で1分間に700~900発、K3は1分間に900発発射します。 150発の銃弾を撃ち尽くすのにたったの10秒しかかかりません。
これってつまり映画で見るような銃撃戦になったら、1時間も持たないのではないかと思います。
そんな僅かな量の銃弾を、大嫌いな日本に要求するのは、つまり韓国軍の状況が恐ろしく切迫していると言う事です。
韓国政府は実はもう輸送機で現地へ銃弾その他の物資を届ける手配をしており、その時に弾の補給もするので、自衛隊に借りた分も直ぐ返すつもりのよです。
で、その輸送機がスーダンの首都ジュバに着くのが25日の予定です。 その25日まで待てないので、自衛隊に借りたのです。
現在韓国軍の宿営地には15000人の避難民が身を寄せています。
そこに1000人規模の武装集団が迫っているのです。 韓国軍が逃げたら、この避難民はどうなりますか?
とりあえず手に入る限りの武器弾薬を集めて、抗戦体制を作るしかない状況なのです。 尤も銃弾なしでは逃げる事だってできないでしょうし・・・・・。
だから10000発の銃弾も貴重なのです。
ちなみに韓国軍はアメリカ軍からも5000発借りたそうです。
だったら他の国から借りたら・・・・・と言っても、現在スーダンでPKOを行っている国で、NATO弾を持っているのは自衛隊の他はインドとパングラディッシュだけです。
パングラディッシュは小部隊で、提供できるほどの銃弾は持っていません。
そしてインドは現在、武装集団と交戦中で、戦死者も出ています。 それどころ武装集団がインド軍の武器弾薬を奪うと言う事態になっています。
これでは他国に銃弾の提供どころではありません。
このインド軍の危機的な状況が韓国軍にも迫っているのです。
だから韓国軍も大嫌いな自衛隊に銃弾提供を要請したのです。

UNMISS参加部隊と展開地域(防衛省資料より
それにしてもこのスーダンのPKO派遣国を見ると、なんだかなあ・・・・・と、思いませんか?
日本以外全部、途上国なのです。
ルワンダとかカンボジアとか、つい最近までPKOの厄介になっていた国が、派遣しているのです。
つまりこれってスーダンの状況が非常に危険で、自国兵の命が大事な国は派遣したがらないって事じゃないですか?
実際スーダンは内陸国で、一番近い港から2000キロもあり、しかもその港からの道路がマトモにないので、自衛隊も輸送は全部飛行機に頼っている状況です。
と、言う事は万一空港が封鎖などと言う事態になれば、撤退も不能になるのです。
そして通常の物資輸送も綱渡りです。
だから今回も韓国軍が弾切れと言う事態に陥ったのです。
よくもまあ、こんな危険な所に自衛隊を・・・・・と思うけれど、民主党政権が派遣を決めたのです。
南スーダンの独立を決めたのは国連です。 その時の事務総長がかの有名な世界大統領です。
だから韓国軍がPKOに出ているわけです。 そして民主党もそれにつきあうよう事にしたのです。
でその民主党の北澤がこんな事を言っています。
野党、銃弾提供で政府の責任追及 首相「積極的な平和主義」(12/24 14:18)
野党は24日、安倍政権が南スーダンに国連平和維持活動(PKO)で展開する韓国軍に銃弾1万発を提供したことに関し、政府の責任を追及する姿勢を強めた。一方、安倍晋三首相は自民党役員会で「積極的平和主義にのっとって行った。万が一断ったら国際社会から批判される」と正当性を主張した。岸田文雄外相は記者会見で武器輸出三原則の今後の在り方について「引き続き議論していかなければならない」と述べた。
菅義偉官房長官は24日の会見で銃弾提供に関し「人道性が極めて高く緊急事態であることから判断した」と強調した。
http://www.nagasaki-np.co.jp/f24/CO20131224/po2013122401001668.shtml
ホントに最低です。
「慎重に」とか「議論しろ」とか、25日に着く銃弾が待てなくて、貸してほしいと言われてたのに、正月明けまで議論する気でしょうか?
こんなんだもの、防衛大臣として二回も原子力災害総合防災訓練を受けながら、福島第一原発事故では訓練でやった事を何一つできなかったわけです。

オマケ
「韓国から要請あった」と菅氏 報道官発言に反論
2013年12月24日 14時45分
菅義偉官房長官は24日の記者会見で、南スーダンに国連平和維持活動(PKO)で展開する韓国軍への銃弾提供をめぐり韓国国防省報道官が「(銃弾は)不足していない」との認識を示したことに反論した。「日本政府には国連、韓国から要請があった。それが全ての事実だ」と述べた。
銃弾提供後、国連から日本政府に謝意が示され、現地の韓国軍からも自衛隊に謝意の表明があったことも明らかにした。
南スーダン情勢については「予断を許さない状況だ。十分に自衛隊員の安全を確保しながら活動していく」と強調した。
(共同)http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013122401001973.html

日本へ謝意表明なし=自衛隊の弾薬支援―韓国
時事通信 12月24日(火)16時16分配信
【ソウル時事】韓国外務省報道官は24日の定例記者会見で、国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加している韓国軍への自衛隊の弾薬支援について「追加の防護力を確保する意味で、UNMISSに支援を要請し、UNMISSを通じて支援を受けた。それ以上でも以下でもない」と述べ、謝意表明を含め、日本の支援への評価に言及しなかった。
弾薬支援が日韓関係の改善にプラスに働くとの見方がある一方で、韓国では集団的自衛権行使を含む日本の「積極的平和主義」を正当化する口実を与えたとの批判もあることを考慮したとみられる。
日韓関係に及ぼす影響については「歴史問題については原則に立脚し、断固として対応する。必要な分野の協力は続けていく」との基本的立場を繰り返した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131224-00000090-jij-kr