夜のお散歩に出て、またまた木に登ってしまったよもちゃん。 それでも何とか自力で降りる事が出来ました。
よもさん、大丈夫?
あら、平気よ。 見事な着地だったでしょう?
全然見事じゃなわよ!! 降りたんじゃなくて、落ちたんでしょう!!
そうだ!! 降りたんじゃなくて、落ちたんだろう!!
あら、チビちゃん、こんばんは。
雪捨て公園の隣の空家の屋根にチビちゃんがいました。
チ、チビちゃん、何言ってるのよ?! ちゃんと降りたじゃない。 チビちゃん、暗くて良く見えなかったんじゃない?
いいや、落ちたぞ。 大体猫に向かって「暗くて見えなかった」なんて言い訳が通用するって思ってるのか? オマイだって「暗くてよく見えない」なんて事は、生れてこの方一度でもあったのか?
な、ないけどさ。 だってちゃんと降りたのよ。 怪我だってしてないわ。 それより、何でそんな所に居るのよ? そうやって夜遅くに、他所の家の屋根からワタシのする事見てるなんて・・・・・。
五月蝿い!! ジブンは寝る前に少しお散歩しようと思っただけだ。 そんでこの屋根の上に来たら、またオマイが木に登って降りられなくなってたんじゃないか。 オマイ少しは「懲りる」って事知らないのか?
3回木に登って、3回とも着地を成功させたのよ。 何で懲りなきゃならないの? それよりそうやって夜遅くまで一人で出歩いて、おウチの方が心配してるわよ。
ウチの家族はオマイの同居人みたいに、馬鹿な心配しないよ。 それに今さっき出てきたばかりだ。
でも早く帰ったほうが良いわよ。 もし心配してお姉ちゃん達が探しに出たらどうするの? 若い綺麗な女の人が夜に外へ出たら大変でしょう?
確かにそりゃまずいなあ。 お姉ちゃん達に何かあったら、こっちが心配で死んじゃうよ。
そうよ。 だから早く帰りなさい。 ワタシも直ぐ帰るから。
んじゃ帰るよ。 また明日な。
さようなら。 明日は、ワタシがチビちゃんに木登りを教えてあげるわ。
いらねえよ!!!
さようなら。 お休みなさい。
チビちゃんはまたいつものように屋根の上の氷穴に消えて行きました。
よもさん、もう帰りましょう。
ウン、それにしてもこんな夜遅くチビちゃんに会うなんてね。 でも良いわ。 明日はまた見事に着地を決めよう。
よもさん!! あんなに怖い思いをして、なんで懲りないの?
恐怖や困難は克服する為にあるのよ。 困難や恐怖から逃げていたら猫は進歩しないわ。 ワタシは常に困難に挑戦するのよ。
よもちゃんの辞書に「懲りる」と言う文字はホントに無いようです。