普天間基地移設問題で、鳩山由紀夫と民主党はまだ迷走を続けています。
しかし普天間移設に限らず沖縄の基地問題で、一番肝心な事が殆ど報道されていません。 つまりなぜ普天間基地移設先は沖縄県内でなければならないのか : 週刊 ...と言う事です。
つまり普天間基地は、台湾有事にヘリコプターで特殊部隊を速攻で台湾へ送り、台湾を防衛するための基地です。 ヘリコプターそ速度と航続距離から、沖縄本島以上に台湾から遠いところでは役に立たないのです。
上に紹介したサイトは、個人で軍事に詳しい方が説明してくださったものですが、大変明快でわかりやすい話です。
また小沢一郎が言い出した普天間移設の小沢離島案…、つまり下地島移設は、無意味だとの事です。(中国側の予想「普天間基地移設先は沖縄西南部への前進配備となるだろう」)
下地島は台湾に近く台湾防衛には良いのですが、ヘリコプター部隊は自力では対空防衛ができません。 だから嘉手納基地の防衛下に置くしかありません。
また硫黄島への移設も無理であり、そもそも抑止力としての沖縄の米軍基地の重要性も説明してくださいました。
鳩山首相、普天間基地のグアム移設を否定 : 週刊オブイェクト
ついでに言えば米軍は沖縄に2箇所の飛行場が必要なのです。 なぜならもし一箇所が攻撃されたとき、もう一箇所無いと、それで制空権を取られてしまうからです。
軍事基地は、軍事基地だけではなく駅やスーパーマーケットや飲食店でも同じですが、その施設をその場所に作るには、それだけの理由があるのです。 空き地があるとか、地価が安いとかだけの理由で、無人島や山奥にスーパーマーケットを作らないのと同じです。
軍事基地も必要な場所に必要な基地をつくるのです。
ちなみに下地島移設なら国民新党下地幹郎 - Wikipedia議員にとっては美味しい話のようです。
http://bari.iza.ne.jp/blog/entry/1391642/
でも軍事基地は駅や道路ではありませんから、利権のゴリオシで場所を変えるわけにはゆきません。
地図をみれば馬鹿でもわかりますが、沖縄の基地は日本だけでなく、台湾や韓国の防衛にも極めて重要です。
そして沖縄そのものにも死活問題です。
普天間基地移設問題 韓国で懸念広がる 沖縄返還時の憂慮が現実に ...
当然の事ですが、台湾が中国の手に落ちたら、日本が台湾以西から石油等を輸出入するための海上ルート、所謂シーレーンを出口で塞がれることになります。
そしてこのシーレーンの封鎖は韓国にとっても致命的です。
韓国も同じシーレーンを使って対外貿易をしています。 それどころか、韓国は外需依存率は日本などより遥かに高く、しかも食料自給率は低く、石油備蓄設備もなく、その上日本の領海を通らなければ太平洋に出ることもできないのだから念が入っています。
そして沖縄自体が危険になります。
台湾が中国の手に落ちれば、沖縄は直接対中国防衛の最前線になるのです。
「沖縄に基地はいらない」と言っている人達は、沖縄に中国人民解放軍が上陸した時には、どうするつもりでしょうか?
反戦平和団体が助けてくれるのでしょうか?
自衛隊が海を越えて防衛に駆けつける前に、どれだけの沖縄県民が殺されるのでしょうか?
核兵器を大量に持つ国と自衛隊だけで戦えるのでしょうか?
日米安全保障同盟があっても、自国が戦争に巻き込まれたくない、自国の若者を死なせたくないのは、アメリカ人も同じです。 沖縄が攻撃されても、アメリカ人が巻き込まれないなら、アメリカが危険を顧みずに日本を助けてくれる保障などありません。
助けてくれるにしても、日本への派兵を議会で論争しているうちに、中国人民解放軍による那覇大虐殺や、東京大虐殺だっておきるかもしれません。
これはアメリカが特別に冷酷なわけでも、薄情なわけでもありません。 アメリカ人達も日本で反戦平和を喚いている人々と同じ事を考える権利があるだけです。
これは普天間基地移設問題だけではありませんが、基地問題が出てくるたびに、また日本の防衛問題が出てくるたびに常に疑問に感じている事です。
なぜこのような重要な問題で、最も重要な事、つまり「基地がある場所の軍事的意味」を、報道機関はなぜ一般国民に説明してくれないのでしょうか?
基地の軍事的意味など、民間人は無知から知らないけれど、普通の軍人なら誰でもわかる事で、軍事機密でもないのですから。
戦争は恐ろしい事、悲惨な事ですが、現実に向き合わねば、それを防ぐ事はできません。 だから報道機関にはそれをきちんと知らせる義務があるはずです。
それから「もう冷戦が終わったのだから、日米安保など必要ない、戦争など起きない」と言っている人がいますが、これは全くナンセンスです。
冷戦はなるほど共産主義と資本主義の対立でおきました。 しかし戦争は共産主義などこの世にできるずう~~っと前からあったのです。
だから哀しいけれどこれからもあるでしょう。
少なくともベトナムなんか「戦争がなくなるとは」全然思っていません。 今中国の覇権主義と対決して自国を防衛する事に必死です。 資本主義アメリカとも戦いましたが、共産主義国家中国とも熾烈な戦争をしたのですから。