仕分けで英語ノート「廃止」、教師から反対殺到
小学校英語の必修化を前に文部科学省が無償配布している補助教材「英語ノート」の予算が、
政府の「事業仕分け」で廃止になり、全国から困惑の声が殺到している。
教科書がない小学校英語では貴重な教材だけに、校長代表らが同省に「継続」を直訴、 350件の廃止反対意見なども寄せられている。
「ノート」は、ほとんどの公立小で英語教育の先行実施が始まった今春、約250万冊を配布した。
多くの教師が英語導入に不安があり、指導法も確立していないため、不安の解消と教える内容の地域格差を小さくする狙いがあった。
要求額は総額8億5000万円だが、事業仕分けでは、「なぜ小学校で英語を教えなければならないのか」と「そもそも論」が仕分け人から噴出。「デジタル化して学校ごとに印刷すればいい」との意見も出て、30分程度で「廃止」とされた。
この結果に、文科省には当日11日から問い合わせが殺到。意見メールや電話350件のうち300件が「廃止反対」だった。「デジタル化でネット配信にすれば多額の著作権料が必要」という指摘もある。
「ノート」の存続を求め文科省に意見書を提出した松川礼子・岐阜県教育長は、「小学校英語は深く議論して決まったこと。なぜ必要性から蒸し返すのか」と憤慨。全国連合小学校長会の向山行雄会長も、「英語を教えたことがない教員にはほとんど必須の教材。特に地方での活用度は高い」と廃止しないよう求める。
こうした意見に、最終判断を行う立場の川端文科相は「今後の予算編成で政治判断したい」と述べている。
◆小学校英語=2011年度から必修となる「外国語活動」の一環で、5、6年生対象。教科扱いではないが、言語や文化の理解を深め、会話力の素地を養う。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091129-00001062-yom-soci
ワタシも個人的には小学校の英語教育は必要ないし、それどころか貴重な授業時間をこんな事で無駄にするべきでは無いと思っています。
しかし少なくとも現場の教師には、そんな事を判断する権限はありません。 国が英語教育をすると決めたら、教師は英語を教えなければなりません。
しかし小学校の教師は英語など出来ません。 教えた経験もありません。
だから教師用にその指導法を教えるマニュアルは絶対必要です。
ところが呆れた事に、仕分け人は「なぜ小学校で英語を教えなければならないのか」などと、教師の判断でも、仕分け人の権限でもどうにもならない事を議論しているのです。
まして「デジタル化して学校ごとに印刷すればいい」に至っては、論外です。
パソコンからダウンロードしても著作権料は掛かります。
学校に違法ダウンロードせよと言うのでしょうか?
また印刷もタダではありません。 プリンターのインクは結構高価なのです。 紙代も掛かります。
パソコンでダウンロードして本より安く付くのは、数ページのものを極小部数印刷場合だけです。
広告チラシや年賀状でも、千を超える数になれば印刷屋に頼むほうが安いのです。
事業仕分けの馬鹿馬鹿しさを象徴するニュースです。
「事業仕分け」は本来事業に対する予算が必要か無駄かを判断する為の物と言う事でした。
しかし必要か無駄かを決める公式の判断基準はないのです。
またこれを行う仕分け人がその事業に関連した知識も経験もありません。
そしてこの仕分け人を誰がどのような基準で選んだかも明らかにされていません。
結果は意味不明の議論になります。
そしてそんな意味不明の議論を続けるのは、悪質なパフォーマンスでしょう。
この悪質なパフォーマンスの陰で、仕分けの対象にならない事業が国の全事業の85%に及ぶ事は、報道されていません。
仕分けの対象になった事業は、結局財務官僚や、民主党議員の利権が期待できない事業だけです。
また日本の将来に重要な科学技術関連の事業や、国防関連の事業も予算を潰されました。
非常に恐ろしい事です。
こんな事が続けば日本は破滅します。
三橋さんのブログから、この問題を紹介させてもらいます。
『行政刷新会議事業仕分け対象事業についてご意見をお寄せください
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm
現在、政府の行政刷新会議は「事業仕分け」を行っており、文部科学省関係の事業についても以下の表のとおり対象となっております。
この事業仕分けを契機として、多くの国民の皆様の声を予算編成に生かしていく観点から、今回行政刷新会議の事業仕分けの対象となった事業について、広く国民の皆様からご意見を募集いたします。予算編成にいたる12月15日までに下記のアドレスまでメールにてお送りください(様式自由、必ず「件名(タイトル)」に事業番号、事業名を記入してください。)。なお、下記区分で宛先が不明な場合は大臣官房会計課(kaizen@mext.go.jp)までご送付願います。 (後略)』
特に注目して欲しいのは、【11月13日】 及び 【11月17日】の科学技術に関する部分です。(教育関連も相当酷いですが、科学分野に比べれば、まだ取り返しはつきます。)
【11月13日】の方では、ご存知「スーパーコンピューター」「バイオ関連」「海洋研究開発」など、将来の日本の競争力を露骨に左右する部分について、ばっさりと予算削減されています。さらに 【11月17日】 の方では、宇宙関連が軒並みやられました。
文部科学省のページをご覧頂くと分かりますが、きちんと「意見提出先」としてご担当の方の氏名が明記されています。これはかなり吃驚しました。
要するに、 わたくしたちと危機感を共有する「中の人たち」が、助けを求められているということなのだと思います。事態はそこまで逼迫しているわけですね。
戦前に世界最高水準だった日本の航空産業は、戦後のGHQ占領下において、わずか八年間、研究開発が止まっただけで、ほぼ壊滅しました。現在に至るも、未だにそのときの遅れを取り戻せていないのは、ご存知の通り。
また、技術開発投資をおろそかにし、自動車ローンの金利で食っていたアメリカのビッグスリーが、最終的にどうなったか。本ブログをお読み頂いている方々には、十分以上にご理解頂いていることでしょう。
ほんの数行でも構いません(と、「中の人」に言われました。)。皆さんの「意見」を、掲載されたご担当者のメールアドレス宛に送って下さい。先述の通り、本ブログへの一日の訪問者は、30,000人を超えます。これだけの人々が動けば、充分に社会を変えられるのです。
何卒、よろしくお願い致します。m(_ _)m