雪囲い板の上のよもちゃんと、花影のチビちゃんの会話は続きます。
「人生は滑稽と悲惨から出来ている」。 同居人が滑稽で、ワタシが悲惨。 滑稽と悲惨って究極の選択かもね? これってどっちがマシなのかしら?
オマイ、そんな深刻な顔すんなよ。 目が据わって怖いぞ。
でも考えざるを得ない課題だわ。
馬鹿!! んな事考えてもしょうがないだろう? だってオマイがいくら考えても、あいつが滑稽を止めると思うか? あいつが滑稽である以上、オマイは必然的に悲惨なんだよ。 だから諦めろよ。
ワタシの猫生だからって、そんなに気楽に諦められて堪るもんですか?
だったらどうするんだよ? オマイ、あいつを見捨てて、家出出来るのか? そんな事したらあいつ首を吊るぞ。 凄い近所迷惑だぞ。 この家で首なんか吊られたら、家主は泣くし、ウチのお姉ちゃん達は気味悪がって、暗くなったらこの家の前歩けなくなるじゃないか?
オマイ、そんな事になったらどうする?
良くもまあ、ジブンの都合だけそんなに言えるわね?
そ、そう言うつもりは無いけどさあ・・・・・。 あいつオマイが暫く帰らないと必死に探すじゃないか? オマイがよほど遠くへ逃げないと、「よもさ~~ん、よもさ~~ん」って涙声が聞こえるぞ。 それでオマイ逃げられるの?
わかったわ。 諦めるわ。 きっと前世からの定めよ。( 輪廻転生) ワタシの猫生は悲惨に決まっていたのね。 生まれた時からそんな気がしていたわ。 幸福なんか他の猫の話よ。
そ、そんなに悲観するなよ。 あのなあ、生きていればまた楽しい事もあるだろう? オマイは雀だって鼠だって捕るの上手いし・・・・。
それにオマイが一生懸命あいつの面倒を見て苦労してる事は、お天道様もみてござる。
前世で悪い事をして、その因果で今苦労しても、まじめにやっていれば、来世でよい事があるだろう?
そうね。 そう思って頑張るしかないのよね。 お盆も近いしね。 あいつの亡くなったご両親だって、草葉の陰からあいつの事を心配しなさってるでしょうね。 でも大丈夫、ワタシが面倒みてやるわ。
花影の会話は、草葉の陰の話で終わりました。