麻生内閣が半年…民主の敵失でひと息、支持率急降下のまま
麻生内閣は24日、発足から半年を迎える。
麻生首相の失言などで急降下した内閣支持率回復の兆しは見えないが、小沢民主党代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件という敵失に助けられ、政権には奇妙な“安定感”すら漂う。
首相への逆風が小休止している間に、内閣改造など反転攻勢に向けた戦略を模索する動きも出始めた。
「5、6月の企業の決算期も経済情勢に対応していかなければならない」
首相は23日の自民党役員会で、「一歩先」を見据えた経済対策に意欲を示した。2008年度第1次補正予算、同2次補正予算、09年度予算案の成立に続き、27日には09年度補正予算の編成を与謝野財務・金融・経済財政相に指示する方針だ。
この半年間、首相は相次ぐ失言や漢字の誤読など「身から出た錆」で支持率を急落させた。「激やせ」説までささやかれた。だが、小沢氏をめぐる問題で民主党への風当たりが強まったおかげで一息つき、強気を取り戻しつつあるようだ。
「衆院選で勝てば、自民党総裁選なんてあるか? できないだろ」
首相は最近、「自ら衆院を解散して勝利―党総裁選で無投票再選―長期政権」という構想を、周辺に披露してみせた。
余裕が慢心につながったのか、首相は21日の「経済危機克服のための有識者会合」で「株屋っていうのは信用されていない」と放言。「油断すると口が滑る」(自民党麻生派中堅)と周囲を嘆かせた。それでも、与党内では「当面は小沢氏の事件の行方を見守りたい」との空気が支配的で、反麻生勢力も様子見状態だ。
首相に近い議員からは内閣改造を求める声も出始めている。森元首相は20日、訪問先のトルコ・イスタンブールで「(内閣改造して)総合力を駆使して難敵と戦わなければいけない」と強調。島村宜伸・党総裁特別補佐も19日、衛星放送「BS11」の番組で「豪華な布陣を組み、選挙に臨む(べきだ)」と語った。
ただ、支持率1割台の首相が、「敵と味方を作ることになる」(参院自民党幹部)内閣改造を断行するのは困難との指摘もある。政権の“安定感”といっても、首相への評価を反映したものではないだけに「麻生首相では選挙は戦えない」との声はなお根強い。
首相と距離を置く閣僚経験者は「衆院選まで残り期間が短くなる中、支持率が回復しなければ、麻生降ろしは今まで以上に吹き荒れる」と指摘する。首相の前途にはなお“いばらの道”が続きそうだ。


