「核が進まないよりいい」 高村外相、北朝鮮交渉で
高村正彦外相は29日のNHK番組で、北朝鮮との拉致、核問題をめぐる外交交渉について「核と拉致がバランスよく進むことがベストだが、両方とも進まないよりも片方が進んだ方がいい」と述べ、非核化が一時先行して進展するのはやむを得ないとの認識を示した。
同時に高村氏は「核交渉が進むことは、拉致解決のインセンティブ(動機づけ)を北朝鮮に与えることだ」とも指摘した。
一方、米国による北朝鮮のテロ支援国家指定解除に関しては「何かとても大きいことのようだが、ほとんどの制裁が既存制度で維持されている。解除したから経済援助とはならない」と強調した。
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062901000410.html
アメリカのテロ支援国家指定解除について、この間からの日本のマスコミの報道には非常に疑問を感じています。
これまでマスコミではテロ支援国家指定が解除されたら、北朝鮮は世界銀行などの融資を受けたり、その他の海外援助も得られて経済を回復できると言ってきました。
だからこの解除が今後北朝鮮制裁を不可能にする、と言う論調でした。
しかし現実にはアメリカは金融制裁を全く解除しておらず、今後も続けます。 だから北朝鮮は国際金融へアクセスできません。
さらにブッシュ大統領は国家緊急事態宣言をしました。(
朝鮮半島に現在存在する兵器利用可能な核物質の拡散の危険性が合衆国の国家安全保障
及び外交政策における異例かつ重大な脅威となることを確認したため、ここにその脅威に
対応するため、国家緊急事態を宣言する。
と言うものです。
これを読む限りアメリカがこのテロ支援国家指定解除で、北朝鮮の核を無い事にしようなんて考えているとは思えません。
また制裁も続ける気です。
この状態で北朝鮮が国際支援を得られるとか言う心配はありません。
この点では高村外務大臣の言う通りです。
だから私は本来マスコミにこの分析をして欲しいのです。 つまりテロ支援国家指定解除で、どの制裁がなくなりどれが残ったか? 制裁のレベルはどう変わったか? しかしマスコミではこれについての具体的な解説はありませんでした。
皆ヒステリックに「アメリカに裏切られた」とか言うだけです。
私は今回のテロ支援国家指定解除で核問題が進んだとは思えませんが、一方制裁も解除されていないのです。
もう一つ核と拉致の関係ですが、一方だけが進む事はないでしょう。
例え北朝鮮が明日拉致被害者を全員返しても、核の問題が片付かないのに、日本が国交正常化するとか、経済援助をするとかができる訳がありません。
ある意味、頑なに被害者を返さない北朝鮮の姿勢は、アメリカにとって大変ありがたいものでしょう。
もしこれで被害者が帰ってしまったら、それこそ山拓のような人間が、日本の安全を放り出して、核を無視して北朝鮮に金をやろうと言い出し、それに世論が同調しかねません。
それにつけても北朝鮮の愚かさは理解できません。 小泉訪朝の時に拉致被害者を全員返していたら、今頃大枚の経済援助を得て、存分に核兵器を作る事ができました。 そして日米同盟はパ~になったでしょう。
だから私は拉致被害者と家族会が日本を救ってくださったと思っています。