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2008-01-29 20:50

最後の授業

 「最後の授業」と言う小説を読んだ事ありますか? 私は小学校の時に教科書に出ていました。 一時は80%を越える教科書に出ていた教師人気小説です。 物語は以下の通りです。

 普仏戦争でフランスが敗戦。 フランス領だったアルザスとロレーヌは、ドイツ領になる。 そしてアルザス、ロレーヌの学校では、フランス語の授業が禁止され、ドイツ語が強制される。
 この最後の授業で、アルメ先生は言葉の大切さとフランス語の美しさを語り、主人公のフランツ少年は、言葉を失う悲しみに呆然とする。

           

 ところで「最後の授業 アルフォンス・ドーデー」でググると、こんなのが出て来ました。 在日韓国人の方のブログですね。

http://syoujiten.exblog.jp/tags/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%BC/

>『最後の授業』は、フランス語圏のアルザス地方でのことドイツ領になり最後のフランス語での授業を取り上げたお話で、韓国の人はドーデーに民族的にも共感をすることがあるのだろうかと思いました。


 だそうです。 こんなコメントを書いた方もいらっしゃるんですね。


 
>Commented by ひつじ at 2005-10-09 01:55 x

いささん、はじめまして。ひつじと申します。
今年の春から韓国語の勉強を始め、色々なブログを渡り歩いていささんのブログに到達しました。いささんのコメントは、着眼点も新鮮で内容も豊かなので、いつも楽しく拝見しています♪

『最後の授業』、私が小学生の時の国語の教科書に載っていたお話で、
とても印象に残っています。
特に衝撃的だったのは、先生の言葉でした。
「日本は、韓国に対して同じことをしたことがあるんだよ。してはいけないことだってわかるよね?」
とても信じられませんでした。自分の国が外国に対して、そんなことをしていたとは・・・子供ながらにショックでした。
私も韓国人が『最後の授業』を読むときは、どのような気持ちだろうか?
と考えていたので、いささんに共感し、投稿させていただきました。


 実は私も小学校の時に先生が、このひつじさんの先生と全く同じ事を言ったのです。 でもね、これ嘘だったんです。

       


嘘1*アルザスはフランス語圏ではなく、ドイツ語圏。

嘘2*ドイツがアルザス占領後も、4%ほどいるフランス系住民に、ドイツ語を強制したり、フランス語を禁止したりした事実はない。

嘘3*日本が朝鮮で朝鮮語を禁止した事実は無い。 日本語を強制した事実も無い。


 この「最後の授業」はアルフォンス・ドーデーが普仏戦争の敗北で、すっかりフランス国粋主義にハマり、現実のアルザスには関係なく書いたもので、アルザスの少年がフランス語を学べなくなった事を嘆くなんて、完全フィクションなんです。

 勿論昭和30年代の小学校の先生が、アルザスの言語状況なんか知る訳もないから、まんまとドーデーの筆力に嵌められたのは仕方のない事かも知れません。
 しかしフランス文学者、言語学者などアルザスの言語状況を知っていた人は日本にも大勢いました。 それなのになぜこんな嘘の卸元みたな話をそのまま教科書に使い続けたんでしょう?


 調べてみると面白いです。 実はこの話が最初に教科書に載ったのは、戦前なのです。 戦前日本語が台湾や朝鮮でも日本語が公用語だった時に、公用語としての日本語を、朝鮮@人や台湾人に広めるにあたって意義のある物語とされたのです。 日本語を学ぶ事で「他民族であっても、日本人である」と言う事を教えたかった訳です。

 だからドイツ民族の少年フランツ君
が、フランス人のアルメ先生からフランス語の大切さを教えられる訳です。 日本と朝鮮で置き換えると、

 1945年8月15日、ソウルの小学生金君は伊藤先生から「今日で日本語の授業は最後だ」と言われて、言葉を失う悲しみを知る。

 と言うところでしょうか?

 だからこの小説は完全に言語帝国主義の小説なんですね。 その為、戦後しばらく教科書から姿を消します。 そしてもう一度教科書に戻ってきた時、今度はアルザスの言語状況への無知から、完全に意味が逆転して先にあげたブログ主や、ひつじさんのような面妖な解釈が主流になるんですね。

 

 日本では日本語で全ての学問、芸術を学べます。 日本には日本語以外の大きな言語グループもいません。 そしてそれを余りに当然と思いこんでるために、国家と民族或いは言語の関係を余り深く考える必要がありませんでした。
 でもこうしてみると日本式の常識で世界を考えると、いかに出鱈目な理解をしてしまうか良くわかりますね。

 さてこのブログ主さんもアルザスの言語状況をご存知なかったようです。 それでオセッカイ私はわざわざコメントで、説明して差し上げました。
 すると「フランス語圏のアルザス地方でのこと」と言ういままで書いていなかった文を加えられました。 でもフランツ君
なんですけどね。
 その後何度か私のオセッカイは続きましたが、その都度削除なさいます。
 「アルザスの言語や小説成立のいきさつを知りませんでした、訂正します。」で済む話だと思うんですがね。
 このブログは「最後の授業 アルフォンス・ドーデー」でググると、2番目、ウィキの次ぎに出ます。 そしてその後に続いて出るサイトも、ほとんどがアルザスの言語状況について説明しているサイトです。
 だから早く訂正なさったほうがいいと思うんですがね。 でもまあ韓国人の皆様の民族性が良く解る体験でした。

  

   だめだこりゃあ~~♪♪

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コメント

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同級生よもぎねこさん、

>戦前日本語がhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E5%258F%25B0%25E6%25B9%25BE/" class="keyword">台湾や朝鮮でも日本語が公用語だった時に、公用語としての日本語を、朝鮮@人やhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E5%258F%25B0%25E6%25B9%25BE/" class="keyword">台湾人に広めるにあたって意義のある物語とされたのです。 日本語を学ぶ事で「他民族であっても、日本人である」と言う事を教えたかった訳です。

このご指摘にはググッ、と来てしまいました。

あったく、アルザスの言語状況もしらずに誤った引用をする、そのなんとかブログとは比較にならない、姐さんの知的レベルの高さを感じます。

ヒョーショージョー、あんたはエライ!(小松政夫)
  1. 2008-01-29 23:23
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  3. 丸山光三 #79D/WHSg
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to マルコおいちゃん様
 この話はほとんど、「アルザス」「最後の授業」などでググって出てきたサイトに出ていた事が元ネタです。 だから褒めていただくと「お恥ずかしい」としか言えません。

 アルザスがフランス語圏でないのは、昔読んだ本で知りました。 以来この小説の事はずっと気になっていました。 それで以前マルコ先生がブログで、アルザスの事が話題にされた時にも、余計な事を書かせていただきました。
 でも戦前に「最後の授業」が教科書に載っていた話は、ググって始めて知りました。
 この話には私も凄く驚きました。
  1. 2008-01-30 08:18
  2. URL
  3. よもぎねこ #79D/WHSg
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No title

こんばんは~
この話、私の使っていた教科書には載っていませんでした。

で・・・例のブログ主覗いてきました。まあ典型的な在日の詭弁?なのでしょうか???削除するなんてね・・・

40数年前に朝鮮語の辞書が無かったというのも参考書が無かったというのも嘘です。
戦後、1920年に朝鮮総督府の出した「朝鮮語辞典」に続いて初めて日本で朝鮮語の辞書と参考書を作ったのは幼なじみのKさんの父親でよく知っている人だからです。その当時、画期的な本として新聞でも取り上げられていたし、それを知らないで朝鮮語をやっていた・・・と言うのはあり得ません。あちこちに嘘が書いてあるのでやっぱり日本人とは思えません。
  1. 2008-01-30 21:04
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  3. damedakorea #79D/WHSg
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to damedakoreaさん
>40数年前に朝鮮語の辞書が無かったというのも参考書が無かったというのも嘘です。

 あれあれ、それも嘘ですか。 そうですよね朝鮮史の研究や朝鮮美術の研究は、全部日本が戦前始めたんですものね。 当然、朝鮮語の研究だってしてますよね。

 この「最後の授業」の話でも、ブログ主がアルザスの言語状況を知らなかったというのは、しかたがなかったと思います。 でも間違いを何度指摘しても、コメントを削除して代わりに嘘を書きこむなんてね。
 でもこのブログは「最後の授業」はメインテーマでもないし、この話が書かれたのも古いから、日本人的には謝罪、訂正しても何の問題もないと思うのです。 それでもなお小さな嘘に、際限もなく執着するんですね。
 この辺りは日本人には、理解できない感覚ですね。 こうやって朝鮮@人は信用を無くしていったんですね。 本当に面白い体験でした。
  1. 2008-01-31 09:03
  2. URL
  3. よもぎねこ #79D/WHSg
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No title

おはようございます。
「謝ったら負け」って、「国家」間では「常識」なんじゃないんでしょうか?

そのあたり、日本人は「甘い」と思います。

「形だけでも謝っておけば何とかなる」日本の社会とは随分違うんですよね。

ただ、それが「個人」にまで蔓延している「腐れ似非儒教国」ともなると・・・。

なんとも厄介な「隣人」です(^^;
  1. 2008-02-02 07:18
  2. URL
  3. kuronekosann #79D/WHSg
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連投失礼。

このにゃんこさん達は、よもぎねこさんが撮影されたんですか?

実にツボに嵌った表情ですね(^^)
  1. 2008-02-02 07:22
  2. URL
  3. kuronekosann #79D/WHSg
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to kuronekosannさん
>「謝ったら負け」って、「国家」間では「常識」なんじゃないんでしょうか?

 その通りだと思います。 日本で国際化を叫んでいる人達は、極めて反国際的な人達で、日本式の行動で世界を動かせる信じています。
 
 一方在日http://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E9%259F%2593%25E5%259B%25BD/" class="keyword">韓国人は日本に数世代暮して、なお日本の社会常識を学ぶ意思も、能力もないようです。

 それから、ここの猫画像は、ネットの猫画像サイトから拾いました。 私にはこんな写真は到底撮れません。
  1. 2008-02-02 07:52
  2. URL
  3. よもぎねこ #79D/WHSg
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No title

 私も小学校で最後の授業を習いましたが、担任がノンポリのせいか余計なことは習いませんでした。
 後年、http://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2583%2589%25E3%2582%25A4%25E3%2583%2584/" class="keyword">ドイツとフランスの石炭・鉄鋼問題などを調べていくとアルザス・ロレーヌってドーデが言ってるより複雑な事情があるんじゃないか?と考えました。
 普仏戦争の前はナポレオン、後は第一次、二次の世界大戦。ヨーロッパの地図は流動的なんですよね。
  1. 2008-03-17 21:36
  2. URL
  3. ご隠居 #79D/WHSg
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No title

to ご隠居さん
 ヨーロッパの国境や民族問題は日本人には、にわかに理解できない程複雑ですね。
 逆に言うとhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2583%25A8%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25AD%25E3%2583%2583%25E3%2583%2591/" class="keyword">ヨーロッパ史を学ぶと国家とか国際法とかの意味が凄く解るんです。
 つまり国家というのは人工的に国境や国籍を定義しなければ存在できないのですから。 
 アルザス・ロレーヌの帰属問題とその民族問題なんかはその典型です。

 でもこの在日http://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E9%259F%2593%25E5%259B%25BD/" class="keyword">韓国人の反応はホントに面白かったです。 これがhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E9%259F%2593%25E5%259B%25BD/" class="keyword">韓国式逆切れなんですね。
  1. 2008-03-17 21:57
  2. URL
  3. よもぎねこ #79D/WHSg
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No title

こんにちは.アルザス・ロレーヌ地方がドイツ語圏なのは,小塩節教授の本だかで知っていました.ロレーヌって,ハプスブルグ・ロートリンhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2582%25B2%25E3%2583%25B3/" class="keyword">ゲン家のロートリンゲンの事でもあるんですよねえ.
そういえば,http://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2583%2595%25E3%2583%25A9%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25B9/" class="keyword">フランスが近代国民国家になった事自体が実はつい最近だったというコラムもありました.
http://blog.ohtan.net/archives/51163188.html
http://blog.ohtan.net/archives/51166034.html
  1. 2008-03-18 16:04
  2. URL
  3. Emmanuel Chanel #79D/WHSg
  4. 編集

No title

toEmmanuel Chanel さん
 興味部会サイト教えて下さってありがとう御座います。

http://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2583%25A8%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25AD%25E3%2583%2583%25E3%2583%2591/" class="keyword">ヨーロッパは近代以前は領土は封建君主の私有財産でした。 ロレーヌがhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2583%2595%25E3%2583%25A9%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25B9/" class="keyword">フランス領になったのは、ロレーヌ公爵の後取りフランツ・シュテファン・フォン・ロートリンhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2582%25B2%25E3%2583%25B3/" class="keyword">ゲンがハプスブルグ家の後継者マリア・テレジアと結婚するのに、http://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2583%2595%25E3%2583%25A9%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25B9/" class="keyword">フランス国王が異議をとなえたため、フランツはロートリンhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2582%25B2%25E3%2583%25B3/" class="keyword">ゲンをhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2583%2595%25E3%2583%25A9%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25B9/" class="keyword">フランス国王に譲り、代わりにトスカーナのフランス国王の領地を貰いました。
 でもその当時は君主や所属国家が変っても、領民にすれば有能な君主でありさえすれば良かったのです。

 君主同士はhttp://www.iza.ne.jp/izaword/word/%25E3%2583%2595%25E3%2583%25A9%25E3%2583%25B3%25E3%2582%25B9/" class="keyword">フランス国王も神聖ローマ帝国皇帝もみんな親戚ですから、国籍なんかたいして意味が無いのです。
 それが深刻な問題になったのは近代以降、国民国家になってからです。 言語や民族問題もそれから深刻化するのです。
  1. 2008-03-18 17:17
  2. URL
  3. よもぎねこ #79D/WHSg
  4. 編集

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