「最後の授業」と言う小説を読んだ事ありますか? 私は小学校の時に教科書に出ていました。 一時は80%を越える教科書に出ていた教師人気小説です。 物語は以下の通りです。
普仏戦争でフランスが敗戦。 フランス領だったアルザスとロレーヌは、ドイツ領になる。 そしてアルザス、ロレーヌの学校では、フランス語の授業が禁止され、ドイツ語が強制される。
この最後の授業で、アルメ先生は言葉の大切さとフランス語の美しさを語り、主人公のフランツ少年は、言葉を失う悲しみに呆然とする。
ところで「最後の授業 アルフォンス・ドーデー」でググると、こんなのが出て来ました。 在日韓国人の方のブログですね。
http://syoujiten.exblog.jp/tags/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%BC/
>『最後の授業』は、フランス語圏のアルザス地方でのこと、ドイツ領になり最後のフランス語での授業を取り上げたお話で、韓国の人はドーデーに民族的にも共感をすることがあるのだろうかと思いました。
だそうです。 こんなコメントを書いた方もいらっしゃるんですね。
>Commented by ひつじ at 2005-10-09 01:55 x
今年の春から韓国語の勉強を始め、色々なブログを渡り歩いていささんのブログに到達しました。いささんのコメントは、着眼点も新鮮で内容も豊かなので、いつも楽しく拝見しています♪
『最後の授業』、私が小学生の時の国語の教科書に載っていたお話で、
とても印象に残っています。
特に衝撃的だったのは、先生の言葉でした。
「日本は、韓国に対して同じことをしたことがあるんだよ。してはいけないことだってわかるよね?」
とても信じられませんでした。自分の国が外国に対して、そんなことをしていたとは・・・子供ながらにショックでした。
私も韓国人が『最後の授業』を読むときは、どのような気持ちだろうか?
と考えていたので、いささんに共感し、投稿させていただきました。
実は私も小学校の時に先生が、このひつじさんの先生と全く同じ事を言ったのです。 でもね、これ嘘だったんです。

嘘1*アルザスはフランス語圏ではなく、ドイツ語圏。
嘘2*ドイツがアルザス占領後も、4%ほどいるフランス系住民に、ドイツ語を強制したり、フランス語を禁止したりした事実はない。
嘘3*日本が朝鮮で朝鮮語を禁止した事実は無い。 日本語を強制した事実も無い。
この「最後の授業」はアルフォンス・ドーデーが普仏戦争の敗北で、すっかりフランス国粋主義にハマり、現実のアルザスには関係なく書いたもので、アルザスの少年がフランス語を学べなくなった事を嘆くなんて、完全フィクションなんです。
勿論昭和30年代の小学校の先生が、アルザスの言語状況なんか知る訳もないから、まんまとドーデーの筆力に嵌められたのは仕方のない事かも知れません。
しかしフランス文学者、言語学者などアルザスの言語状況を知っていた人は日本にも大勢いました。 それなのになぜこんな嘘の卸元みたな話をそのまま教科書に使い続けたんでしょう?
調べてみると面白いです。 実はこの話が最初に教科書に載ったのは、戦前なのです。 戦前日本語が台湾や朝鮮でも日本語が公用語だった時に、公用語としての日本語を、朝鮮@人や台湾人に広めるにあたって意義のある物語とされたのです。 日本語を学ぶ事で「他民族であっても、日本人である」と言う事を教えたかった訳です。
だからドイツ民族の少年フランツ君が、フランス人のアルメ先生からフランス語の大切さを教えられる訳です。 日本と朝鮮で置き換えると、
1945年8月15日、ソウルの小学生金君は伊藤先生から「今日で日本語の授業は最後だ」と言われて、言葉を失う悲しみを知る。
と言うところでしょうか?
だからこの小説は完全に言語帝国主義の小説なんですね。 その為、戦後しばらく教科書から姿を消します。 そしてもう一度教科書に戻ってきた時、今度はアルザスの言語状況への無知から、完全に意味が逆転して先にあげたブログ主や、ひつじさんのような面妖な解釈が主流になるんですね。
日本では日本語で全ての学問、芸術を学べます。 日本には日本語以外の大きな言語グループもいません。 そしてそれを余りに当然と思いこんでるために、国家と民族或いは言語の関係を余り深く考える必要がありませんでした。
でもこうしてみると日本式の常識で世界を考えると、いかに出鱈目な理解をしてしまうか良くわかりますね。
さてこのブログ主さんもアルザスの言語状況をご存知なかったようです。 それでオセッカイ私はわざわざコメントで、説明して差し上げました。
すると「フランス語圏のアルザス地方でのこと」と言ういままで書いていなかった文を加えられました。 でもフランツ君なんですけどね。
その後何度か私のオセッカイは続きましたが、その都度削除なさいます。
「アルザスの言語や小説成立のいきさつを知りませんでした、訂正します。」で済む話だと思うんですがね。
このブログは「最後の授業 アルフォンス・ドーデー」でググると、2番目、ウィキの次ぎに出ます。 そしてその後に続いて出るサイトも、ほとんどがアルザスの言語状況について説明しているサイトです。
だから早く訂正なさったほうがいいと思うんですがね。 でもまあ韓国人の皆様の民族性が良く解る体験でした。

だめだこりゃあ~~♪♪