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2023-05-29 14:47

ジャニー喜多川氏と仁和寺の高僧と織田信長と弥次郎兵衛の性加害について

 ジャニー喜多川氏の性加害が問題になっています。 この人は2019年に死んでおり、しかもその数年前から体調を崩して公式の会見等でも車椅子を使用していたようですから、彼の性加害って一体どのぐらい前の話でしょうか?

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 尤もジャニー喜多川氏が所属タレントの少年達と性的な関係を持っていたという噂は、ワタシも聞いた事があります。 実はワタシは完全芸能音痴なので、芸能ニュースの類は全く見ないのですが、それでもジャニーズ全盛時代からその手の話が、芸能関係以外の媒体でも報道されていました。
 しかしそれをテレビや新聞など大手メディアが取り上げた事もないし、それ以前に「被害者」が彼を告訴するなどと言う事もありませんでした。

 だからジャニー喜多川氏の死後4年も経ってから騒ぎだすと言うのは何とも奇妙です。
 これは一つにはジャニー氏の芸能界での力が絶大で、テレビ界は勿論、その関連会社である新聞社が沈黙したと言うのが原因の一つでしょう。
 しかしもう一つの原因は、そもそも日本の成文化では古代から少年との性関係は特に罪悪でも、何でもなかったからではないでしょうか?
 ところがBBCが騒ぎだしたので、便乗して騒ぐ連中が出てきたのでしょう。

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 そういえば日本では歴史的に同性愛もトランスジェンダーも無問題でした。 でも明治になって欧米では同性愛は絶対悪と知って、とりあえず鶏姦罪などと言う物を作って、同性愛は違法にしました。 尤も違法と言っても罰則はなく、その後間もなく法律その物を廃止しました。
 ジャニーズ騒動も全くこれと同じパターンじゃないですか?

 元来、日本では権力者が身近に使う少年に性的なサービスを強いる事は、古代から普通に行われていました。 
 特に仏教では、僧侶の女色は厳禁でしたが、その代わり男色は無問題とされていました。 それで僧侶は稚児と言わる少年を身近に使い雑用をさせるとともに、性的なサービスのさせていました。

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 この稚児を描いた「稚児草子」と言うのがあります。
 成立は鎌倉時代末期、御伽草子などが各地で描かれた時代ですが、絵と文章で稚児と僧侶、寺で働く下男などのやり取りが描かれています。
 ネット検索すると第一段からこんな絵入りの現代語訳が出てきますが、何と言った物やら・・・・。
 仁和寺の高僧に仕える稚児が、敬愛する高僧を満足させるために頑張る話です。
 これぞアダルト漫画文化の元祖とでもいうべきでしょうか?
 
 稚児が僧侶に性的なサービスを強いられる事は、当時の人々は皆周知の事実でした。 そしてそれを罪悪とか加害とかは一切考えていなかったようです。

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 そういえば平家物語では俊寛僧都の稚児だった有王が、彼を追って鬼海が島まで会いに行く逸話が描かれていますが、何とも切ない話です。
 実は今昔物語でも稚児と僧侶の話は色々出ているのですが、大体この手の純愛物語か、ユーモラスな話ばかりです。
 
 高僧がやってよい事だから、誰も悪いと思うはずもないのです。 当然、僧侶以外の人達も同じ事をしたのです。
 特に武士の間では「衆道は武士の嗜み」と言われたぐらいで、男色は当然の習慣でした。

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 有名なのは織田信長と森蘭丸ですね。
 大名に仕える小姓も性的なサービスをしていました。 
 前田利家も少年時代は信長に小姓として仕えていました。
 それで宴会の最中に信長が利家の髭を引っ張り「この男の髭のおかしさよ。 この男はかつてはなかなかの童で、自分は彼をいつも傍らに寝かせた。」と言ったという逸話があります。
 前田利家も少年時代に信長の性加害を受けた被害者だったのですが、しかしそれは彼の人格形成にはあまりマイナスにならなかったようですね。
 
 こうして小姓が殿様に性的なサービスをすると言うのは、江戸時代になってからも続きました。
 中にはそれで大出世する者も出てきまいた。 しかし性愛が人事に関係すると言う点では、女色より厄介でした。

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 しかし高僧も殿様も少年を寵愛するなら、庶民だって習います。
 そこで江戸時代には陰間と言われる少年男娼が盛んになります。

 で、更に有名なのが弥次郎兵衛と喜多八です。
 「東海道中膝栗毛」の主人公の二人の関係は、陰間だった喜多八を客の弥次郎兵衛が買った事から始まったのです。
 弥次郎兵衛は元々清水の大店な跡取りだったのですが、放蕩を尽くした挙句に陰間買いまでやって身代を潰し、喜多八一人を連れて江戸に出たのです。

 しかしこんな形で江戸に出たのですから、弥次郎兵衛も喜多八を囲い続けるどころではなく、喜多八は元服させて知人のつてで商店の丁稚奉公をさせて、自分は昔趣味で絵をかいていた事から、絵描きのバイトをして何とか日銭を稼いで暮らす事になりました。
 そういう暮らしを続けて10年余の後ですが、二人は伊勢参りの旅にでるのです。

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 しかし驚きますよね。
 東海道中膝栗毛はユーモア小説として、子供達にも広く読まれています。
 その主人公二人が実は性加害者と被害者の関係だったなんて・・・・・・
 ワタシもこれはジャックさんの所で初めて知ったのですが、さすがに驚きました。 しかしこれで中年の色黒の醜男の弥次郎兵衛と、若く色白で優男の喜多八がなあんなに親しい関係なのか腑に落ちました。

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 いずれにせよこうしてみていくと、日本では歴史的にこの種の少年との関係を性加害とか被害とかと認識する歴史はないのです。
 少女に力づく権力づくで関係を強要するのは、日本でも悪とされました。 少女の場合は体力的に抵抗不能だし、また妊娠出産と言う問題もあります。
 それ以上に少女の場合は、一旦男性と関係を持つ事で「傷物になる」と言う問題もあって、その後の結婚等に差し支えます。
 だから少女に性的関係を強要する事は罪悪視されたのでしょう。

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 でも少年の場合はホントにイヤなら力づくでの抵抗も不可能ではないし、また少年時代に誰かと性的関係を持った事が、その後のキャリアーには一切問題にならないと言う事もあります。

 だから同性愛その物が禁忌でない場合、こうした少年との関係も全く問題にされない事になるのでしょう。
 ワタシは男性ではないので、こうした関係が少年にどういう傷を残すかはわかりません。
 
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 これは逆に考えると、少年への性加害が欧米で非常に問題にされるのは、そもそも欧米文化では同性愛その物が絶対悪だったと言う事と無関係ではないでしょう。
 絶対悪である同性愛を少年が強要されたのですから、これはもう大変な被害だとするしかないのです。
 それでその加害により少年が受けた「傷」を大問題にするのです。

 しかし少なくとも近代までの日本人は「傷」とさえ思っていなかったのでしょう。
 その歴史があるからジャニー喜多川氏の性加害も問題にされてこなかったのだと思います。
 それが良い事なのか、それとも許すべからざる事なのかは、ワタシにはわかりませんが。

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2023-05-28 12:02

外国人の国保食いつぶしについて

 外国人の国保ほ不正使用や国保料未払いが問題になっています。

 性善説に基づく出産一時金42万円等 健康保険を外国人が乱用

 日本人としては大変腹立たしい事ですが、しかしこれは起きて当然と思います。 実は福祉国家に外国人が押し寄せて、医療費を食いつぶすと言う事態は、世界中で起きていました。

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 ワタシの記憶では一番最初にこれが起きたのは、1960年代のクェートです。 
 この国は「石油に浮かぶ国」と言われた金満国家です。 それで医療費は完全に無料だったのですが、まだアラブ諸国の間で国境意識が曖昧だったので、クェートの国境管理も甘かったのでしょうか?
 大量の病人がクェートに押し寄せて大変な事になりました。 
 さすがのクェート政府も溜まり兼ねて、今は外国人に無限に医療を施すのはやめたようです。

 しかしイギリスなどヨーロッパの福祉国家も同様でした。
 イギリスは1950年代には労働党政権時に「ゆりかごから墓場まで」の高福祉政策を取っていたのですが、その過程で医療費は外国人まで完全無料に定めていました。
 それでも当時は航空運賃が高く、近隣のヨーロッパ諸国も総じて医療福祉水準が高い為、他国からイギリスの医療にタカリに来る外国人もいなかったのです。
 それでイギリス人は外国人にも自国民と同様に医療を無料にすると言う制度を誇りました。

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 しかしその後、イギリス経済の悪化でこの高福祉政策はドンドン後退し、今に至っています。
 それでも今もが医療費無料の制度は守られており、外国人であってもイギリスに居住すれば無料で医療が受けられます。

 けれども70年代以降イギリス経済の悪化と共に、この無料の医療の水準が下がり、また無料で受ける為には予約等、様々の面倒があり、日本人の感覚ではできたらイギリスでは医療は受けたくない水準になっているようです。
 因みに我が尊敬するベヒモスさんはロンドン在住当時、腫瘍の手術の為に日本に帰国されました。 そして郷里の札幌近郊の病院で手術を受けられました。 ベヒモスさんはこういう事もあろうかと、イギリス在住中も国保料を支払い続ていらしたのです。

 退院後の感想など読んでいると、日本の故郷の過疎化と日本の医療の問題も深刻なのですが、しかしロンドンの病院ではなく、北海道の病院に入院して手術を受ける事を選んだのだから、イギリスの現在の医療水準が思いやられます。

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 しかしそれも当然でしょう。
 イギリスは70年代以降、経済を立て直したたのですが、しかし一方で大量の移民・難民を受け入れれました。
 こうした人々の医療費も全部無料で、イギリス政府が負担しています。
 尤もこの移民の中には医師や看護師も多く、旧植民地・英国連邦から医師や看護師ゴッソリと引き抜いているのです。
 これはイギリス人の医師や看護師の給与水準を下げているだけでなく、医師や看護師を持っていかれた国々の医療水準も下げているのです。

 それでもなかなか大変で、診察を受けるには予約がいるのですが、しかしその予約がなかなか取れず、子供が痛みで泣き叫んでいても、予約の日まで待たされると言う事が普通にあるようです。
 そういう中でも外国人の医療も無料で続けているのですから、釈然としない英国人も多いでしょう。

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 こういう事例が随分と昔からあるのですから、外国人に国保を適用する場合は十分考えるべきだったのに、日本政府は何でこんな馬鹿な事をしたのでしょうか?
 国保適用の理由は半分はわかります。
 完全に保険に未加入で資産もない外国人が、日本で病気や病気をして病院に担ぎ込まれた場合、その治療費は完全に病院の負担になってしまうからです。
 だからこういう事例が増えてくれば、この対応策として、保険加入を義務付けるしかないのです。

 しかしこれで外国人に国保加入を認めても、不正使用や国保料の未払いが起きるのは当然だと思います。
 そもそも日本の健康保険制度について、外国人がどの程度理解しているのでしょうか?
 類似の制度がある国は、韓国と台湾ぐらいです。
 他は国家による保険制度など全くなく、完全に自費か或いはイギリスのように完全に無料だったりするのです。

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 理解できない制度について「料金を払え」と言われれも払う気にはならないでしょう。
 そして若く健康であれば、病気や怪我の心配などしません。
 日本人でも若く健康な人で、高額医療費の払い戻し制度など、知らない人は沢山いるのです。

 そして日本に来る外国人の多くは若く健康な人なのです。 若く健康だから、渡航の為の膨大な費用の元を取るだけ稼ぐ自信があるのです。
 こうした人達にすれば、病気や怪我に備えて保険に入れと言われても、そんな金は出したくないでしょう?
 そもそも「保険って何?」と言う国から渡航者だって多いのですから。

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 そしてこの記事にあるように、日本の国保制度自体が完全に性善説と言うか、日本国内での適用しか想定していないのです。
 だから家族を置いて出稼ぎに来た外国人が入国して国保に加入すれば、本国にいる家族の分まで国保対応になると言う馬鹿げた事になるのです。
 外国の病院での医療など、日本側には全く審査する事は不能なので、幾らでも不正ができます。

 また長期滞在ビザさえ取れたら、国保に加入できるので、高額治療が必要な老人が留学ビザなどを取って国保に加入する事も可能です。
 これでは外国人に好き放題食いつぶされて当然でしょう?

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 ワタシは何でこんな馬鹿げた事を続けるのか理解不能です。
 勿論、保険に入っていない外国人が日本で病気や怪我をしたら困ります。 本人も医療機関も困ります。
 でも別に国保に加入させる必要はないのです。
 この世には民間の保険会社が沢山あります。

 だから日本で長期滞在ビザを取る場合、そういう保険会社の保険への加入を義務付けたら良いではありませんか?
 長期ではなく観光でも保険加入か、短期滞在旅行保険の保険料に相当する入国料を払わせるべきです。
 ビザを取る条件として、保険加入させて、保険料を支払わせておけば、国保料の未払いとかそういう問題は一切起きないし、医療費未払いも起きません。
 病人が医療目的で国保加入するなどの、不正使用は保険加入時に、保険会社が健康診断をすることで防げます。

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 そしてきちんと不正使用をふせいでいれば、そんなに高額にはなりません。
 保険料と言うのは、保険加入者の中で保険金の支払いのリスクと保険料の支払い総額を統計的に計算し、そこに保険会社の事務手数料を加えて決まります。
 日本で国保に入る人達の大多数は、「留学」等名目で来日するのですから、大多数は若く健康な人達です。 真面目に国保料を払って、不法滞在などせずに帰国するなら、むしろ国保料を支払うばかりと言う事になります。
 だからむしろ国保料より安くなるかもしれません。

 外国人のビザ取得に、保険加入が義務付けられたら、保険会社も利益になります。
 だから官僚が天下っても良いから、外国人には外国人の為の来日医療保険の加入を義務付けて、ちゃんと利益を出せばよいのです。
 外国人を受け入れる為に、日本の国保や医療機関が負担を強いられる方がオカシイのです。

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 ついでいうけど、日本にいる外国人の子供に出産祝い金を出すのは、どう考えてもオカシイです。
 まして日本国内ではなく、本国で生まれた子供など、ホントに生まれたかどうも確認できないのですから。
 この制度も一刻も早く改善するべきです。

 前述のクェートやイギリスだけでなく、外国人の大量受け入れをやったヨーロッパの高福祉国家は皆、福祉水準、医療水準の低下が止まらなくなっています。
 幾ら豊な国でもフリーライダーばかり増えたら、いつまでも豊かではいられません。
 今後日本の医療水準と国保制度を守る為にも、安易な外国人受け入れやその為の福祉制度の外国人へのバラマキは絶対にやめるべきです。
 

 
 
 
  1. 差別ニダ!!
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2023-05-26 13:25

ツィッターと実盛

 この3日ほど素晴らしい快晴が続き、ワタシは毎日午後から近所を自転車で駆け回っていました。
 しかし八重桜は散り、林檎の花も散って緑が深くなるばかりです。
 気温も漸く20℃を超えて、初夏らしくなり昨日は半袖シャツだけで平気でした。

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 数日前から、ネットで平家物語の朗読を聞き始めました。 一段毎に前後に内容について簡単な解説があり、原文のリズムを生かした力強い声で、とても快いです。
 こういう朗読を気楽に無料で楽しめるのは、本当にネットの恩恵です。
 
 ワタシは中学生時代に平家物語に嵌ったのですが、その頃は原文を全編掲載している本さへ見つけるのは難しく、高校の古典の参考書ぐらいしかありませんでした。
 その数十年後に、漸く全編掲載した文庫本を買ったのですが、今度はワタシの目がダメになって、買ってはみた物の読めませんでした。

 で、平家物語とはずうっと疎遠になっていたのですが、少し前に偶々斎藤別当実盛の事を調べていて朗読を聞いたら凄く感動しました。
 それでまた平家物語の朗読を祇園精舎から通して聴く事にしたのです。

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 実はそれまでワタシはツィッターで時間を潰していたのですが、ところが数日前にアカウント停止を食らいました。
 ワタシのツィートは左翼の気に入らないらしく、前にも何度かアカウント停止を食らっています。
 それでツィッターはずうっとやめていたのですが、イーロン・マスク氏の買収で少し状況が変わったようなので、また再開したのです。
 しかしまたアカウント停止です。

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 それにしても左翼の連中って「通報」とか「告訴する」とか大好きですね。
 自分で反論するとか、話し合うとかいう事は一切せずに「通報しました」「告訴する」です。
 こういうの見るとわかりますが、彼等は全く反権力ではありません。
 権力大好きなのです。
 権力をバックに自分達の気入らない意見を封殺するのが大好きなのです。 
 彼等は権力を我が物にして自分が世界を支配したいのです。
 彼等が反権力・反体制を叫ぶのは、現在の民主主義体制では主権者である国民が彼等に与えてくれないからです。

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 ワタシは社交的な人間ではない上、病身で無職ですから、交友関係は至って狭いです。
 だから左翼など自分とは全く違う価値観の人間と親しく話して人となりを知る機会は殆どありません。
 尤も社交的で友人知人の多い人でも、政治的な話をする機会は少ないだろうし、そういう話の中で率直な意見を聞く機会はもっと少ないでしょう。
 だからツィッターのようなツールは貴重でしょう。

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 しかしこれで無限に時間を使うのもね・・・・・・。
 と言うわけで暫くツィッターは止める事にしました。
 そしてそれでツィッターで潰していた時間を平家物語に充てる事にしました。
 それにしても斎藤別当実盛に感動するなんて・・・・・。
 斎藤別当実盛の最後は平家物語でも有名な段で、中学の時に読んで覚えているけれど、あの頃は普通に読み飛ばしました。

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 だから少し前に斎藤別当実盛の件を調べた時だって、特に実盛の人となりを思っての事ではありません。 でも実盛を検索して平家物語の原文にあたり、朗読を聞いてみると凄く感動しました。
 実盛は最後の戦に出た時、髭と髪を墨で黒く染めていていた事で有名なのですが、しかしその心意気は以下のようなモノでした。

 六十に余っていくさの陣へむかはん時は、びんぴげを黒う染めて、わかやがうど思ふなり。其故(そのゆゑ)は、若殿原(わかとのばら)にあらそひてさきをかけんもおとなげなし、又老武者(おいむしや)とて人のあなどらんも口惜(くちを)しかるべし。

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 当時の平均寿命を考えると60過ぎは完全な老人です。
 当時の大鎧は総重量が30キロ前後もあり、現代人も60過ぎの人がこんなものを着て行動をするのは厳しいでしょう。
 しかし実盛は出陣し、そして若い敵に討ち取られました。
 その首が木曽義仲の前に差し出されたとき、実盛と知り合いだった義仲の側近が、この実盛の髪や髭が黒い理由を話すのです。

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 この段では実盛が実は義仲の幼少期に、義仲の命を助けた恩人である事など、その他実盛の人となりを示す逸話が色々と出てきます。
 実盛は当時として中級武士でした。 こういう立場の武士は、特定の君主に使えていたわけではありません。 
 実盛最後の戦では、平家方についていました。
 そして篤実な人柄とベテランである事から、平維盛の信頼を得ていました。

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 実盛がこの戦に出陣の為に錦の直垂を着たいと言うと、平維盛は彼に錦の直垂を与えています。 つまり実盛は自前では錦の直垂を買う事の出来ない身分だったのです。 
 平維盛は富士川合戦の時の総大将でした。 そして当然、実盛も同行したのです。
 しかし平家の軍勢は水取りの羽音に驚て逃亡してしまいました。
 ベテラン実盛もこの時はどうしようもなく、戦わず逃亡するしかなかったのでしょう。
 実盛はこの恥辱を晴らす為に、この次の出陣で討ち死にする覚悟をしていたのです。
 それにしても実盛に錦の直垂を与えた事は、維盛の人柄を表しています。

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 平家物語の魅力はこうして平家方も源氏方も、またそれ以外の登場人物を実に多面的に描いていくことです。
 そして戦いの中で武士達がみせる人となりのゆかしさには本当に感動します。
 しかし斎藤別当実盛に大感激するようになったのは、要するにワタシが実盛と同年配になったからでしょうね。
 中学生では実盛の心意気を理解できなかったのです。

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 それにしても優雅な戦争なのです。 平家物語もそれに先立つ保元物語や平治物語でも、非戦闘員が戦争に巻き込まれると言う話は、一切ありません。 あくまで武士だけが名乗りを上げて戦うのです。
 平治の乱で源義朝が敗北して敗走するとき、義朝方の武将が戦見物をしている街人達に駄賃を渡して、自分が取った首の番をするように頼んだりしています。
 市街戦の最中に街の住民達が、街に残って戦争見物をしていたのです。

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 近代以前でも、ヨーロッパなど大陸では、戦争となると街の住民全てが城壁の中に立て籠り、負けたら全住民が虐殺されたり奴隷にされたりでした。
 だから日本人は古代から戦争に対する感覚が完全に世界とはずれているのかもしれません。
 そういう事を色々思い合わせても、平家物語はオモシロイです。

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 朗読の方は昨日で漸くまた実盛の最後を聞いたところです。 だから壇ノ浦まではまだしばらく楽しめます。
 ツィッターのアカウントはどうなるかわかりません。 しかし聴きたい古典朗読は他にも色々あるし、それに明日の午後には新しい眼鏡もできるので、当面ツィッターが無くても困りません。

 平家物語 第七巻 百二


 

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2023-05-25 13:29

神はアッラーしかいない 多様性って何?

 先日、神戸でガンビア国籍の無職男性が神社の賽銭箱や手水舎を壊して逮捕されました。

 【独自】賽銭箱を蹴り破壊する外国籍の男『神様はアッラーしかいない』と参拝者に発言

 この男は「神はアッラーしかいない。 ここには神はいないから、ここで祈るな。」と言ったそうです。
 また警察に対して「不当逮捕だ。」と言っていました。

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 彼が神社で賽銭箱や手水舎を壊す所は、防犯カメラにはっきりと写っています。 だから彼は犯行を否定する事はできません。
 それで彼が自分の逮捕を「不当逮捕」と言ったのは、日本の法律ではなく、イスラム教の教理やイスラム教から見れば「不当逮捕だ」と言う事でしょう。

 イスラム教の教理やイスラム法によれば、神はアッラーしかなく、神のいない神社で祈る事は許されないのです。 だからそういう邪教の神殿は破壊するべきなのです。
 今回は小さな神社の賽銭箱や手水舎だけなので、被害は小さいのですが、しかしイスラム教の教理からすれば、湊川神社や伊勢神宮を全壊させても、それは罪ではなく非常に称賛するべき行為です。

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 また世界各地で起きているイスラム原理主義者のテロも、イスラム教の教理からすれば罪ではなく、やはり非常に称賛するべき行為です。
 例えばフランスで高校の教師サミュエル・パティさんが、殺害されて斬首されました。
 パティさんは授業で表現の自由を教える時に、フランスの風刺誌シャルル・エブド襲撃事件件を取り合あげた事で「神を冒涜したとした」としてイスラム原理主義者に殺害されたのです。

 シャルル・エブドは日ごろ悪趣味な風刺画を掲載する雑誌で、福島第一原発事故についても見るに堪えない悪趣味な風刺画を掲載していました。
 イスラム教も同様に風刺したのですが、しかしそれでイスラム原理主義のテロリストに襲われてこの雑誌社の社員や警官など12人が殺害されました。 
 サミュエル・パティさんはこの事件を授業で取り上げた事で、シャルル・エブドの社員達と同様に殺されたのです。

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 日本人の感覚からすれば滅茶苦茶です。
 勿論フランス人の感覚からも絶対許せない話ですから、フランス政府はパティさんを国葬にしました
 イスラム原理主義テロの犠牲者を国葬にすることで、フランス政府はこのような犯罪は絶対に許さないと言う姿勢を鮮明にしたのです。

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 でもこのような殺人も、神社破壊もイスラム教の教理からすれば、これら犯罪者達は神から与えられた義務を果たしただけなのです。
 アッラーが唯一絶対の神であり、イスラム教の教理がその神の真理なのだから、イスラム教徒にはその真理に逆らう者達を糺し、神の真理に従わせる義務があるのです。


 神社の賽銭箱を壊したのは、神から与えられた義務を果たす行為なので、それを行った人を逮捕するのは不当逮捕なのです。

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 だ、だって神戸の神社もフランスの高校の先生も、あの悪趣味な雑誌社も、全然イスラム教には関係ないでしょう?
 それなのに何でイスラム教徒が、怒るの?
 「触らぬ神は祟りなし」じゃないの?

 でもイスラム教の教理では「触らぬ神は祟りなし」なんて発想自体が、神を冒涜しているのです。
 イスラム教ではこの賽銭箱を壊した犯人の言う通り「神はアッラーしかいない。」のです。 だからアッラー以外の「モノ」を神として祀っていはイケナイのです。
 そういう宗教は邪教なので破壊しなければならないのです。

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 またアッラーが唯一絶対の神なので、アッラーの教えだけが真実です。
 だからアッラーの教えには全ての人類が従わなくてはならないのです。
 つまりイスラム教徒でなくてもイスラム教の戒律は守らなければならないのです。
 そしてイスラム教徒には異教徒にそれを守らせる義務があるのです。


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 更にイスラム教にはイスラム法と言うのがあります。 イスラム教はムハンマド自身が国家を作ってイスラム教による統治をし、さらにそれがその後継者として拡大しサラセン帝国として中東からスペインまで支配した歴史があります。
 その為、その時代にこの統治の為の法が作られました。
 国家を法で統治するのは、現代の民主主義国家と同じですが、しかしイスラム法は預言者ムハンマドが作った法なので、人間が変える事はできません。

 その為奴隷制度など、サラセン帝国時代の制度がそのまま法的に肯定されています。
 ユダヤ教徒やキリスト教徒など非イスラム教徒にだけ課税する人頭税や、その他の宗教差別規定もそのままです。
 それでもユダヤ教徒とキリスト教徒は「聖典の民」として、一定の人格権を認められていますが、多神教徒は完全な邪教とされており、人格権を一切認められていません。

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 しかしイスラム教ではこのイスラム法こそがイスラム教徒が守るべき法であり、それ以外の法など法として認めてもいません。
 これだともう多様性どころじゃないです。

 だからイスラム教徒の移民を多数抱え込んだ、欧米ではテロが頻発しているし、文化摩擦も凄く起きています。
 そもそも法さへ守る意思がないのです。 
 「多様性が~~!!」と言っている人達は、こういう人達の存在をどう考えているのでしょうか?

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 数学的に言えば、多様性を認めない集合も、多様性と言う集合の中の一部です。 しかし他の集合に属する人達の価値観を一切認めない、自分の価値観に合わない人達は暴力を使って攻撃する。しかもそれが彼等の中では神から与えられた義務の履行である。
 現実の社会でこういう集団を取り込んで、彼等の言うところの「多様性を認める社会」「寛容な社会」を作れるのでしょうか?

 実際、イスラム移民を大量に受け入れた欧米では、イスラム原理主義者によるテロが頻発しているし、文化摩擦や犯罪が問題になっています。
 イスラム移民側には移民先の価値観や法を守る意思が一切ない、それどころか彼等の価値観ではそんなモノを尊重してはイケナイのだから、揉めて当然なのです。

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 「多様性が~~!!」と喚いているのは、こういう連中を受け入れてしまった欧米諸国の側で、受け入れてしまった以上「寛容」とか「多様性」とかを持ち出して、必死に融和を図るしかないのです。
 しかし融和って相手に融和する意思があって初めてできるモノです。
 相手には融和する意思が一切なく、こちらが敗北して、相手に服従するまで満足しない場合に融和などできるのでしょうか?
 

  1. シャベツニダ!!
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2023-05-24 12:42

大国の外交 カエサルとクレオパトラ

 昨日、ネットフェリックスのポリコレ暴走、黒人クレオパトラについて書いたので、そのついでにユリウス・カエサルとクレオパトラのロマンスについて少し書いてみます。
 ネタは塩野七生さんの「ローマ人の物語」です。

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 昨日も書いた通り、塩野さんはクレオパトラを糞みそに描いています。
 元々、西洋ではクレオパトラは絶世の美女で、カエサルは彼女の色香に迷い、歴史が変わったとさえ言われています。
 そしてクレオパトラがカエサルを誘惑する為に用いた手管が、尤もらしく語られてきました。
 クレオパトラのカエサル誘惑の手管がどこまで本当だったかはわかりません。

 しかし塩野さんは「ローマ人の物語」で、そういう事に殆ど筆を割いていません。
 そもそもカエサルは据え膳があれば、とりあえず食う男だったので、そんなに必死で誘惑する必要もなかったのです。
 でも据え膳を食ったからって、それで自分の政治的判断を変えるような男ではなかったのです。
 だからクレオパトラの据え膳は、カエサルの対エジプト政策には何の影響もなかったのです。

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 そしてカエサルの対エジプト政策の基本は、親ローマ安定政権を支援すると言う物です。
 当時、プトレマイオス朝はクレオパトラと彼女の弟と妹が、帝位の相続争いをして不安定な状況でした。 カエサルとすればこの三人が骨肉の争いの中で、誰が一番有能でエジプトを安定的に統治できるか?そしてその統治者はローマとの友好関係をきちんと維持するか?を見極めて、その条件に合う人間を支援して、プトレマイオス朝の混乱を早期に収拾したいのです。

 で、この三人の中ではクレオパトラが一番優秀で、クレオパトラ自身がローマの支援で帝位を安定させたいと思っているのだから、間違いなく親ローマです。 だから暮れクレオパトラを支援したのです。
 でもこれならクレオパトラが有能であり親ローマである事を示すだけで十分で、美女でなくても、カエサルを誘惑しなくても全然構わないないでしょう?
 なんならクレオパトラが男でも良い構わないのです。 因みにカエサルはゲイではありません。

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 エジプトに限らず、そしてカエサルに限らず、親ローマ安定政権を支持し支援すると言うのは、ローマの外交政策の基本です。
 一旦ローマと戦って敗北した地域でも、属州となった国でも、必ずしもその地域の元の支配者を排除していません。 その支配者が親ローマで地域を安定的に統治する能力があれば、そのまま温存して統治を任せました。
 だからローマ帝国内には多数の王国もあったし、ギリシャのように民主制を維持したい地域では古典的な民主制を維持させていました。

 でもこの感覚は現代のアメリカや日本も同じですよね?
 地政学的に重要な国が不安定だと、そこから戦争が起きて周辺国を巻き込んで行きます。
 経済的に重要な国が不安定だと、世界経済に悪影響が出ます。
 だから重要な国には、安定政権ができて、そしてその政権が自国と友好的であるのが理想なのです。
 でもそれ以上は望みません。

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 そりゃ友好関係を絶対的なモノにするには、現地の政権を潰して直接支配すればよいのですが、これはこれで大変なコストがかかります。
 これは例えば日韓併合や台湾統治を思い出せば明らかです。
 朝鮮半島は日本の安全保障に死活的に重要なのに、李王朝はロシア、中国、日本の間で漁夫の利を漁るようなことを続けて全然信用できない。 そこで日韓併合で日本が直接統治したのですが、そうなると日本基準でインフラ整備など始める事になるので、途方もなく金がかかってしいました。
 
 因みに日本の朝鮮統治や台湾統治って、実はローマ帝国の皇帝属州の統治と全く同じです。
 これを思うとローマ帝国としては、属州と雖もできる限り、直接統治は避けたかったでしょう。
 まして現代では直接統治など絶対不可能なのですから、重要国には安定的で友好的な政権が存続する事を望むしかないのです。 
 だから友好的で有能そうな政権なら支持や支援をするのです。
 英雄ユリウス・カエサルも外交の基本はこの路線を守り続けました。

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 ところがクレオパトラはどうも勘違いしたようで、カエサルの個人的な愛情で自分の帝位が安定する、更にはローマをも支配できると思っていた節があります。
 だから塩野さんに酷評されるんですよね。
 だってこれはクレオパトラがカエサルのローマでの立場を全然理解してないと言う事ですから。

 ユリウス・カエサルはこの時期まだローマの支配者ではありません。
 そしてローマはまだ帝国ではなく共和制です。
 この時期、これまでの共和制の政体でローマを統治する事は非常に難しくなり、カエサルとしては自分の独裁で統治すると言う政体への変更を考えていました。
 しかしこれにはローマ国内では猛烈な反発がありました。

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 これはカエサル個人の問題ではありません。 
 カエサル時代までのローマ史でも、古代ギリシャでも独裁者は絶対悪とされて、共和制を守る事を国家目的と考えている人が多数いたのです。
 そしてこの時期のローマでカエサルの独裁化に最も反発していたのは、元老院の議員達でした。
 
 このような立場のカエサルに、外国の女王が愛人になり「自分と結婚してエジプトとローマを支配しよう」なんて事を公言し続けたらどうなるか?
 カエサルからしたらホントに困った女だし、クレオパトラ自身にとっても大変危険な状況なのですが、しかし彼女は全然それを理解していなかった節があります。

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 クレオパトラと言う人はネットフェリックス捏造のアフリカ系黒人ではなくギリシャ系なので、プラトンやアリストテレスなどギリシャ哲学に深い教養があったと言われます。
 だったら共和制国家における独裁者の立場については、知っていたはずでしょう? 
 でもクレオパトラの言動を見る限り、こうした知識や教養は全く生かされておらず、ローマの権力者の置かれた立場は最後まで理解できなかったようです。 
 だからローマの権力者をハニトラで取り込めば、そのままその国が自分の思い通りになると信じ切って行動し続けたのです。

 仕方ないですね。
 学問や知識を学んでも、結局それがアタマの中にため込まれるだけで、現実の理解に役立てる事の出来ない人って、多いですから。
 クレオパトラもその一人だったわけです。

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 そしてこれは現実の危機を招きました。
 ユリウス・カエサルは元老院の議場で、元老院議員達の手によって暗殺されたのです。
 
 ユリウス・カエサルは共和制を廃して独裁者になろうとしている。

 これが暗殺者達の言う暗殺理由です。
 実際その後のローマ史を見れば、これは全くその通りです。
 だってカエサルを暗殺しても、結局カエサルの養子オクタビアヌスがローマ皇帝になり、その後ローマ帝国は崩壊まで帝政のままでしたから。

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 一方エジプトは滅亡しました。
 カエサルの死後、カエサルの側近アントニウスとカエサルの養子オクタビアヌスによる後継者争いになりました。
 するとクレオパトラは今度はアントニウスを誘惑して、アントニウスと組むのですが、しかしこれでアントニウスはローマの信認を喪います。 一方、オクタビアヌスはこれでアッサリとローマのインペラトールつまり後に皇帝と訳される地位につき、ローマの元首としてアントニウスと戦い勝利するのです。

 これでオクタビアヌス以降、ローマの帝政が確立します。
 一方、アントニウスと共にローマと戦ったエジプトは、敗戦により国家主権を喪い、以降ローマ皇帝の直轄領になります。 
 エジプトは豊かな穀倉地帯で、ローマへの小麦の供給地だったので、ローマにすれば直轄領として維持する価値はあったのです。

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 このユリウス・カエサル暗殺の顛末と、その前後を考えると、ローマの皇帝と言う者の立場と言うか、何とも複雑な立ち位置がわかります。
 そして民主主義国家を運営する事の難しさも痛感します。
 しかしこのローマ帝国の存在は後の西欧世界に大きな影響を与えてました。

 だから暇な方はこっちも見てください。

 エンペラとカイザーと皇帝

  1. 古本
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2023-05-23 13:25

黒人クレオパトラとオマー・シャリフ ポリコレへの違和感

 尊敬するカカシさんによるとネットフリックスのドキュメンタリー「クレオパトラ」が悪評芬々だそうです。
 特にエジプト人が猛烈反発をしています。

 悪評の理由は簡単です。
 このドラマはクレオパトラもまた他のエジプト人も皆黒人が演じているのです。
 しかもそれを端なる「ドラマ」としてではなく、「ドキュメンタリー」として放映したのです。
 
 これではエジプト人が怒り心頭なのも当然でしょう?
 だって自分達の歴史を歪曲・捏造されたのですから。

 古代エジプトについて絵画や彫刻、そしてミイラなどの人種を知る資料は多数残されているのですが、しかしそれらを見る限り、古代エジプト人が黒人だったという証拠は一切ありません。 
 古代エジプト人は現在エジプト人と同様、中東諸国と同じアラブ系です。

 クレオパトラの時代、同時代のギリシャ人やローマ人が、黒人の国と認識していたのは、エチオピア、スーダン、ヌビアなどです。 これらの国々を黒人の国と記述した資料は多数残っています。
 しかしエジプトを黒人の国とした史書はないようです。

 そしてクレオパトラはギリシャ系の白人です。
 アレキサンドロス大王の制服戦争により成立した大帝国は、王の死後分裂し、それぞれ王の家臣達が支配する王国になりました。
 エジプトはその家臣の一人プトレマイオスによって支配されるようになったのです。
 クレオパトラはこの王朝の女王なので、血統から言えばギリシャ系の白人なのです。 今ベルリンに残っている彼女に石像を見ても、完全にギリシャ人です。

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 歴史的美女と言う事で、これまでも多数の研究がされてきたのですが、しかし彼女が黒人だったという記述はありません。 
 クレオパトラ個人について残されている資料を見る限り、彼女はいかにもギリシャ系らしく、プラトンやアリストテレスなどのギリシャ哲学の教養が深く、語学に長けていて、当時彼女の周りで使われていた言語を全て流暢に話したという事ぐらいです。

 彼女がホントに絶世の美女だったかどうかは微妙です。
 そもそもユリウス・カエサルって大の女好きで、膳を据えられたら、必ず食うタイプだからです。
 塩野七生の「ローマ人の物語」でも、クレオパトラとカエサルのロマンスは描かれているのですが、塩野さんは彼女の事は殆ど糞みそに描いています。 
 塩野さんによればカエサルの対エジプト政策は、クレオパトラの色香に迷ってなどと言う事は全くなくて、クレオパトラの据え膳効果など全くなかったのです。 しかしクレオパトラの方は、全くにカエサルの真意を理解できず、勝手に自分が愛されていると誤解して暴走して自滅したと言うのです。

 塩野さんは毎度毎度、美男には甘いのですが、しかし美女となるといつも身も蓋もない塩対応です。 これは塩野さんが女性だからでしょう。
 それにユリウス・カエサルは塩野さんの歴史上の恋人なので、クレオパトラ如きに誘惑されるのは許せないのでしょうね。

 塩野さんの女の嫉妬は別にしても、プトレマイオス朝のエジプトはクレオパトラの迷走によって滅亡するのですから、国家の指導者としてはぼろ糞に描かれても仕方ないです。
 クレオパトラはローマと言う国家の政体を理解できなかったのです。 だから当時のユリウス・カエサルが置かれた立場も理解できなかったのでしょう。
 プラトンやアリストテレスなどギリシャ哲学を学んでいたなら、民主制と民主制における政治家の立場もわかりそうなのものなのに。

 クレオパトラの事を書いていたら、そのままドンドンユリウス・カエサルと古代ローマの事を書きそうになるのでここでやめます。
 とにかくクレオパトラが黒人と言う話はどこにないのです。
 
 しかし黒人でクレオパトラで思い出したのがオマー・シャリフです。 
 この人はエジプト人なのですが、1962年に「アラビアのロレンス」でベトウィンの族長役をしたのを皮切りに、ヨーロッパやアメリカの映画で活躍するようになりました。
 
 一番の当たり役は1965年の「ドクトル・ジバゴ」のジバゴ役ですが、これはロシア革命を舞台にした映画でドクトル・ジバゴはロシア人です。



 そしてその後、欧米の映画では全て普通に白人の役を演じています。
 「うたかたの恋」ではオーストリア皇太子ルドルフ役、「アナスタシア」ではロシア皇帝ニコライ二世役を演じています。
 オーストリア皇太子ルドルフもロシア皇帝ニコライ二世も、数百年血統を確認できるわけで、普通の白人と言うより血統書付き純血白人と言うべき役どころです。

 彼は2015年に83歳で死去したのですが、しかし彼のデビュー当時はまだ公民権運動も始まっていないし、その後彼が現役で活躍した時代には、露骨な人種差別がある時代でした。
 そして元々、当時独立間もないエジプトもエジプト人も欧米諸国からは一段下に見られていました。
 そういう時代にエジプト人がヨーロッパの大国の皇太子や皇帝役を普通にできたのです。

 

 「うたかたの恋」はワタシも見ました。
 皇太子役のオマー・シャリフの美男ぶりには惚れ惚れとするのですが、相手役のカトリーヌ・ドヌーブの美貌も素晴らしいです。
 美男・美女、美しい衣装、美しい背景、ロマンチックなストーリーと、恋愛映画の王道を極める映画でした。
 
 因みに「うたかたの恋」は現実にあった事件を映画化した物で、皇太子ルドルフは男爵令嬢と身分違いの恋をして、最後は二人で心中するのです。 
 そしてこの事件はオーストリア・ハンガリー帝国に大きな打撃となり、その滅亡を早めたと言われます。

 しかし役柄に合って美男で、演技が上手ければ、出身国なんか無問題。
 この映画で観客はオマー・シャリフに心を奪われたので、彼はその後も欧米の映画界で活躍し続けるのです。

 こういうの思い出すと、なんか昔の方がよほどマトモだったような気がしてきました。
 と言うか今のポリコレがどこまで異常かを思い知らされた気がします。

 それにしてもネットフェリックスは何でこんな変事をするのでしょうか?
 黒人クレオパトラのプロデューサーは「黒人の女王を描きたかった。」と言っています。
 だったら本物の黒人王国を描いたドラマやドキュメンタリーを作れば良いではありませんか?
 
 黒人王国は歴史上多数存在しました。
 前述の古代エチオピアや古代スーダン、ヌビアなどの古代から、近世のマリ王国やガーナ王国、そして現在もなをレソト王国やエスワティニ王国が残っています。
 これらの王国は皆それぞれ独自の文化を持っていたのです。 
 そして歴史に残る、女王や王女も存在したのです。

 しかしそれを完全に無視して、エジプト文明が黒人の物であったように捏造するって、エジプト人もそして黒人も否定する事です。
 結局、黒人には黒人の文化あったとか、黒人には黒人の文明があったとか言う事を認めていないからこんなことをするのです。
 黒人の文化や文明を認めないから、有名な文明を横取りして誤魔化そうとするのでしょう?
 
 これって正に悪質な歴史修正主義であり、そして黒人の自己否定ではありませんか?

  1. 差別ニダ!!
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2023-05-22 11:51

戦争が終わっても平和とは限らない ロシアの20世紀

 広島のG7にはゼレンスキー大統領が出席し、G7諸国が団結してウクライナを支援していくことが決まりました。
 今またG7首脳がこういう事を明言するのは、まだまだこの戦争が続くと言う事です。

 今回のG7でF16のウクライナへの供与が決まったのですが、ウクライナのパイロットがF16に乗れるようになるには、最低4カ月はかかると言われいます。 
 と言う事は、今からウクライナのパイロットをF16操縦訓練に協力してくれる国々に送り、そのパイロットが操縦するF16が操縦するF16が、戦場に現れるのは、最短でも4カ月後です。
 戦争はそれまでは続くし、その後も続くと言う見通しだから、こういう事が決まったのです。

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 一体何でこんなに長引くのか・・・・。
 ロシアはなぜ撤退しないのか・・・・・。
 ロシア国民はこの戦争の行く末をどう考えているのでしょうか?
 今回のG7で団結して、ウクライナ支援を掲げた国々は、しかし一方でウクライナに長距離兵器を与える事は渋り続け来ました。
 だからF16の供与だって遅れたのです。 ウクライナは開戦当初から、F16の供与を要求していたのに・・・・。

 ウクライナが一国でロシアと戦うのは不可能。 アメリカ始めNATO諸国の支援があって初めて戦い続ける事ができるのです。 しかしNATO諸国はどこもウクライナがロシア本土を攻撃する事は、阻止してきました。
 だからロシア本土で怪しい爆発が幾ら起きても、ウクライナ当局はウクライナの関与だけは否定し続けています。

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 つまりG7諸国もNATOもロシアがウクライナ領から撤退すれば、そこで停戦する事を望んでいるわけで、ロシア領が戦場になる事など絶対に阻止したいのです。
 そしてウクライナ軍がロシアに侵攻できないとなると、ロシアが現在のロシア領を喪うとか、その後ウクライナやNATOの支配を受けると言う事もあり得ません。

 ウクライナ国民の復讐心はわかるけれど、NATO諸国はロシア軍が撤退して、この戦争が終わってくれたらそれでいいのです。 
 そうすれば経済制裁を解いて、ロシアの安い石油や天然ガスを買えるので、大助かりなのです。

 だったらロシアが撤退すればよいではありませんか?
 撤退したら、家族が戦場へ送られる事はないし、経済制裁も解けて元通りの生活ができるではありませんか?
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 しかしロシア人は停戦や終戦をそれほど期待しているわけではないかもしれません。
 我々日本人が考える戦争は第二次世界大戦で、日本はこの戦争に敗戦しましたが、しかし敗戦後平和と繁栄が訪れました。
 日本政府が敗戦する前に、太平洋全域から北方領土や満州まで広がった広大な戦域で、敗戦が続き、それがジワジワと本土に迫っている状況でした。
 
 その戦場では日本人は降伏後を恐れて、降伏するより死を選び、兵士は玉砕し、非戦闘員は集団自決するなど、悲惨な状況になりました。
 しかしそれでも生き残った人々が非人道的に扱われる事はなく、むしろ非常に人道的に扱われる場合も多かったのです。
 そして最後の日本が無条件降伏した後の、扱いも同様でした。
 その後日本は完全な平和を享楽し、それが経済発展につながりました。
 だから日本人にとって、戦争の反対は平和、戦争を止めたら平和なのです。

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 でも考えてみると、これって全ての国に当てはまるわけじゃないです。
 だって高校世界史レベルでロシアの20世紀を考えてみればわかります。
 第一次大戦が思いのほか長引いて、ロシア国民の生活は疲弊しました。 戦死者の増加に人々は憤りました。
 それでロシアでは民衆の不満が爆発し、ロシア革命が起こり、この革命政府がイギリスやフランスなど同盟国の意思を無視して、敵国ドイツといち早く停戦しました。

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 これでロシアは平和になりまいたか?
 違います。
 ロシアは以降、共産主義者の赤軍と共産主義国家の成立を阻止したい白軍に分かれて、激しい内戦状態になり、その内戦はヨーロッパ戦線でも講和が成立し、第一次大戦が完全に終結した後も続いたのです。
 
 この内戦がおさまったら、ロシアは平和になりましたか?
 違います。
 内戦の渦中から共産主義者の独裁政権は、恐ろしい粛清を始めていました。
 共産主義政権は労働者・農民の為の政権のはずでしたが、しかし現実には労働者も農民も共産主義者の考える理想国家建設のパーツでした。

 特に農民は共産主義建設に必要な資金を生み出す事だけを要求されました。
 その為、共産主義政権は農民を徹底的に搾取し、ウクライナやカザフスタンを中心に大飢餓が起きました。
 その数は600万人ともいわれます。  
 農民以外にも多数人々が強制収容所に収容されて、奴隷労働を課されました。
 こうした粛清と飢餓で死んだ人の数は今も正確にわかりませんが、2000万人とも4000万人ともいわれます。

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 マジにこれだったら第一次世界大戦を最後まで戦った方が、マシだったんじゃないですか?
 だってロシアが勝手にドイツと講和した時には、ドイツだって結構ヘタレていたのです。 それにロシアが講和した後、1年半ほどで第一次世界大戦は終結しました。 

 そもそも交戦中だって、ドイツ軍は西部戦線を維持するのが手一杯で、ロシア領奥深く攻め込むような戦力はありませんでした。
 しかしロシアの内戦はロシア全土が戦場になり、ロシア人同士で殺しあう嵌めになったのです。
 同じ戦争ならドイツ人と殺し合う方がロシア人同士で殺し合うよりマシじゃないですか?
 
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 しかし共産主義政権の粛清は続きます。
 その独裁と粛清が続くうちに、今度は第二次世界大戦がはじまり、ロシアはまた戦場になるのです。 
 で、この悲惨な戦争が終わっても粛清は続きました。
 
 それでもソ連領の領土は増えたし、さらに第二次世界大戦の前にはなかった「共産圏」と言う物ができて、つまりここが事実上ソ連の支配地になったのですが、しかしそれは結局粛清と独裁に輸出でした。

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 そしてここでは戦争が終わっても平和にはならない、戦争をしなくても平和にはならないのです。
 バルト三国は三国あわせても人口は700万人弱です。 だからソ連には軍事的抵抗は不可能なので、アッサリ占領され、その後併合されたのですが、その過程でそれぞれの国の総人口の3~4割が強制収容所に送られて殺されました。
 そしてソ連はその穴埋めのために、ロシア人を送り込みました。 そのロシア人の大多数は今もバルト三国で暮らしているのです。

 ポーランドはこの戦争で総人口の2割を喪いました。 勿論ドイツ軍の虐殺もありますが、しかしカチンの森の虐殺のようにソ連による虐殺も無残でした。 
 ソ連はポーランドの反抗を永遠に封殺する為に、ポーランド軍の将校全員を殺害して、カチンの森に埋めたのです。
 考えてみれば戦争状態では、将校全員が殺害される事などありえません。

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 戦争は悲惨だけれど、お互いが軍隊を持ち、武器をもって戦うのが戦争なのです。
 だから戦争をやっている間は、幾ら弱い敵でも敵は敵として武器をもって抵抗するので、階級や思想を選んで、皆殺しなんてできないのです。
 でも相手が降伏して、武器を捨てたら、やりたい放題できます。
 そして実際ソ連はやりたい放題しました。

 因みに将校と言うのはロシア・東欧では知識階級を兼ねています。 徴兵でも高等教育を受けている人達は、最初から将校として勤務すると言う国が少なくなりませんでした。
 つまり将校を全部殺害すると言う事は、高等教育を受けた男性を全部殺害すると言う事なのです。

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 前述のバルト三国でもそうですが、政治家は勿論、知識階級など国の頭脳だった人々を選んで大量に殺害したのです。
 こんなことをされたら、国の歴史や伝統を知る人もいなくなってしまいます。
 でもソ連の狙いはそれです。
 国民全員を皆殺しにしなくても、歴史や伝統に詳しい知識階級を中心に皆殺しにすれば、残った国民はもう自国の歴史や伝統を知るすべもなくなり、民族も国家も消滅するでしょう?
 ソ連とすれば、軍事的に重要な地域に居住する多民族は、こういう形で抹消したかったのです。

 こうした歴史を見る限り、戦争が終われば平和なんて、実は稀有なる例外だったのではないでしょうか?
 実際日本の場合だってそうでしょう?

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 前記のように日本では沖縄戦やサイパンなどで、米軍を恐れた非戦闘員が降伏を拒否して自決しました。 しかし生き残った人々に対する米軍の扱いは、至って人道的なモノでした。
 ではソ連軍の占領地は違うでしょう?

 北方領土でも満州でも朝鮮北部でも、ソ連軍の占領地では男性はシベリアに送られて奴隷労働を課せられました。 そして日本に帰国できるようになるまでの間に総数の1~2割が飢餓と疲労と寒さで死にました。
 女性は徹底的に強姦されました。

 実は敗戦間近に日本国内では「もし戦争に負けたら、男性は去勢されて奴隷にされる。 女性はみんな強姦される。」と言ううわさが流れていたそうです。 沖縄やサイパンで自決した人々はこの噂を信じて自決したのでしょう。
 しかしソ連に占領された地域では、ほぼこの通りになっています。

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 それでも日本人が敗戦=平和、戦争が終われば平和になると考えるのは、ソ連軍の攻撃を受けて占領された地域にいて、ソ連の占領による悲惨な体験をした人は、全体からすれば少数派だったからでしょう。

 でもヨーロッパ諸国ではむしろこちらが圧倒的多数派です。
 特にウクライナの周辺諸国は、皆ソ連軍の占領とその後の共産主義政権による圧政を経験しています。
 だから戦争さへ終われば、平和になって安心して暮らせるなんて考えた事もないでしょう。

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 戦争は勿論恐ろしいのです。 
 これらの国々は国の全土を戦場にして戦った経験があるのですが、戦争の恐ろしさは日本人以上に身に染みているのです。 
 でもその恐ろしい戦争に負けた時、敵に占領された時に恐ろしさも、身に染みているのです。
 だから皆必死になってウクライナを支援しています。

 今やポーランドがドイツを超える軍事大国を目指しています。
 ポーランドはソ連崩壊後、自由化して結構経済発展をしきましたが、それでも国民所得もGDPもドイツやフランスには、及びもつきません。
 だからこんな軍事予算の捻出は国民生活を圧迫するばかりですが、しかしそれでも第二次世界大戦と、その後のソ連支配の恐怖を思えば、そんなことは言っていられません。

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 そして当のロシアにしても同じでしょう。
 だって人間、自分達がやってきた事は他人も自分達にやると思うのです。
 自分達が無帝国な小国を占領して国民の3割とかを粛正したのだから、当然自分達が占領された場合は、最低でも1割ぐらいはやられるって思うのでは?
 
 そもそも過去の歴史で自分達自身が、外国との戦争が終わっても、それより厄介な遺産が始まる、さらには戦時以上に恐ろしい粛清や飢餓を体験していれば、現在の戦争が多少苦しくても我慢した方がマシと思ってしまうのかもしれません。

 それにロシアは食料とエネルギーを完全に自給できる国なので、この程度の戦争では、豊かな生活や便利な生活はできなくても、飢餓や寒さに苦しむ事はないのです。
 だったら政権転覆などによる混乱より、このままこの体制が続いたほうがマシって思っても不思議はありません。
 こうなるともうこの戦争の先はホントに見えません。

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 と、言ってウクライナ側が譲歩して停戦に持ち込んでも、この停戦はいつまでもつのでしょうか?
 多少領土を喪っても、朝鮮戦争の停戦のように70年も維持できるのなら、ワタシも停戦するべきだと思います。
 でもそれはウクライナに大規模米軍基地を作り、ウクライナがNATO加盟でもしなければ無理です。

 しかしそんな条件ならロシアは呑まないでしょう。
 だから結局、一旦停戦してもそれは唯の「水入り」で、ロシアはそれで一息ついてまた侵略を再開するでしょう。
 こうしてみるとホントに先が見えません。
 それでもとにかく、この戦争をこれ以上拡大しないためには、ウクライナに頑張ってもらうしかないのです。

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 ホントに厳しいです。
 
 正直に言うとワタシも軍靴の足音が聞こえています。
 しかしその軍靴を踏み鳴らしているのは、日本ではないのです。
 日本とは全く違う歴史、違う価値観を持つ国々が軍靴を踏み鳴らしているのです。

 哀しいけれどワタシ達は遂にそういう時代にめぐり合わせてしまいました。
 しかしそれはワタシ達にはどうにもなりません。
 だから彼等の歴史、彼等の価値観を考えた上で、彼等が何とかこれ以上軍靴を踏み鳴らす事を止めさせるようにするしかないのです。

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 で、ワタシは今の所、日本人のかなりの人が、何とかアタマを切り替えて、現実に向かおうとしていると思っています。

  1. 戦後民主主義
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2023-05-20 12:50

老眼鏡を作る

 昨日は眼鏡を作りに行きました。
 老眼が進んで今使っている老眼鏡では、ダメになったのです。

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 去年の秋、洋裁に嵌ってシャツを5着も縫い上げた頃は、目玉の調子が凄く良くて、針に糸を通すのも簡単でした。
 しかしそうやって二カ月弱、喜んでいたらさすがに少し、疲れてきました。
 それでも暫く休めば、元気になると思っていました。

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 雪が溶けて自転車を乗り回す事ができるようになってから、久しぶりに琴似まで行って、本を一冊買いました。
 塩野七生の「誰が国家を殺すのか」です。
 これは塩野七生がこれまで雑誌類に投稿していた短いエッセイをまとめた物で、字も結構大きく読みやすそうでした。

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 それで読み始めたのですが、どうも読みづらいのです。
 エッセイを一つか二つ読むと、辛くなってギブアップします。
 内容は興味深いのですが、しかし集中力が続きません。 
 それでも毎日エッセイを一つ、二つと読み続けたのですが、しかし半分程読んだ所で放り出してしまいました。

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 でもパソコンやiPadは普通に使えたので、読書は諦めて、そちらを楽しんでいました。
 しかし2~3日前に久しぶりにまた「誰が国家を殺すのか」と続きを読もうとしたら、まるでページに霧がかかったようで、全く読めません。
 スーパーマリオ事、マリオ・ドラギがイタリア首相になってから顛末についても、タイトルから数行読んでギブアップです。
 結局、あれから目は良くなるどころかドンドン悪くなって、ホントに本が読めなくなっていたのです。

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 目が悪くなる時ってそうです。
 これまで楽しんでできた事が、段々楽しめなくなる、辛くなる、目を使った後、アタマがクラクラして辛くなる。
 こんなことが続いて、漸く何かのきっかけで目が悪くなったことを自覚するのです。

 ともあれ老眼鏡を作ればまた読書や洋裁ができるなら、安い物です。
 と言う訳で昨日は近所の眼鏡屋に行きました。

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 この眼鏡屋は結構高いのです。
 でもワタシは一種この眼鏡屋に恩義があります。
 実はワタシの目は生まれつき悪かったのです。 元々両眼共に視力は1.0ぐらいあたので、学校の眼科検診で問題になった事もないし、眼鏡も必要ありませんでした。

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 けれどもワタシの左目は外斜視と乱視があって、右目と焦点を合わせて物を見るのにいつも凄く無理をしているようでした。
 それで非常に疲れたり、アタマがクラクラしたりする事がありました。
 ワタシはでもそれを自分に「やる気がないから」と思っていたし、周りからもそう思われていました。

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 左目がオカシイので、高校を卒業するころから、ワタシは読書をするときに、左目を左手で覆うと言う癖がつきました。 手で覆えない時は左目を瞑るのです。
 しかしワタシはこんな癖がついた事には、全然気づいていませんでした。
 全く無意識のうちにやっていたのです。

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 気づいたのは母でした。 大学の休みで帰省して家の居間で本を読んでいた時、母が「アンタいつも本を読むとき、左目を塞いでいる。」と言ったのです。
 ワタシはそれで初めてこんな癖がついていた事に気づきました。
 それでもその頃は読書大好きで、毎日必ず数時間は読書をしていました。

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 こんな変な癖がついたからには、ヤッパリ目に何か問題があるのだと思い眼科に行きました。
 それで左目の乱視はわかったのですが、それで眼鏡等は処方して貰えず、結局何もできませんでした。 

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 しかし30歳になる頃から今度が左目に激痛が出るようになりました。
 文字通り七転八倒するほどの痛みです。
 それでも頑張って働いていると疲労困憊してしまいます。
 痛みを感じないのは寝ている間だけです。
 それでも寝ていれば痛まないのは救いでした。

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 その後、難病が見つかった事もあてって結局仕事も止めました。
 毎日家でゴロゴロするようになってから、難病の方は寛解状態になりました。 目玉の方はそのままです。
 痛みは収まったりにぶり返したりしました。
 それでも読書とか編み物をしていました。

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 老眼鏡を作ったのは、10年余り前です。
 パソコン画面が見づらくなったので、近所の眼鏡屋で老眼鏡を作りました。 作る前に一応札幌医大に行って、視力検査等を受けて処方箋を貰っていました。
 眼鏡屋でその処方箋を見せると、店の人が「これじゃ大変だったでしょう?」と言ってくれました。
 
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 ワタシはその一言に凄く救われた気がしました。
 ワタシは目玉の痛みで、集中力の低下で、読書や勉強ができなくなって色々な事を諦めました。 でもそれをずうっと自分の努力不足、意思の弱さとして自分を責めてきました。
 でもホントに大変だったのです。

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 そしてこの時作った眼鏡で、実際に随分と楽になりました。 
 この時作った眼鏡は老眼鏡だったのに、眼鏡をしている方が楽なので、一日中つけていました。 
 暫くして自分でもそれに気づいて、老眼鏡だけでなく普段つける眼鏡も作る事にしました。

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 それでまたその眼鏡屋に行って、近眼用の眼鏡も作ってもらいました。
 それでまた一段と楽になり、眼痛も大分減りました。
 そんなわけでワタシはこの眼鏡屋にはなんか凄い恩義を感じているのです。
 新しい眼鏡は来週の土用にできるようです。

 
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2023-05-19 13:14

多言語教育の失敗例 えり・アリフィヤ議員

 前回の補選で当選したえり・アリフィヤ議員が国会で初めての質問をしました。 
 しかしそれが何とも不可解な内容でした。
 国会中継からの動画がツィッターに上がっています。
 えり・アリフィヤ氏の話は、以下の通りです。
 
 1:私は日本で就職したが、就職した後も日本でも
 2-1:行きたくない飲み会に誘われ
 2-2:不同意の接触があり
 2-3:同僚が酔わされホテルに連れ込まれる状況を阻止するため朝まで同行
 3:という記憶が私にはあります

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 えり・アリフィヤ氏の公式HPから経歴を見ると、えり・アリフィヤ氏の日本での就職と言うのは日銀以外にありません。
 えり・アリフィヤ氏はジョージ・タウン大学卒業後、日銀に就職し、その後外務省から国連本部で勤務しています。 
 だからえりアリフィヤ氏の言うセクハラ事件は、えり・アリフィヤ氏が日銀勤務時代の事としか言えません。

 えり・アリフィヤ氏の国会での話が本当なら、大問題です。
 この手のセクハラ事件はどこにでもあるでしょうが、しかし日銀は単なる民間企業とは違うのです。
 そしてえり・アリフィヤ氏が日銀に勤務していたのは平成24年7月から平成28年8月までの4年一か月です。 今から10年足らず前の話です。
 つまりこのセクハラ上司はまだ日銀で勤務中で、まだセクハラを続けている可能性があります。

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 当然、これが問題になったのですが、ところがえり・アリフィヤ氏はこれに対して、以下のようにリツィートしています。

日銀特定のお話しではないこと、私個人特定のお話しではないこと、強調させていただきます。

 しかしこれでは話の辻褄が合いません。
 えり・アリフィヤ氏はこのセクハラ事件について、国会で「自分が日本で就職した時も」「同僚が酔わされて」「記憶にあります」などと述べているのです。
 動画を見る限り、えり・アリフィヤ氏は被害女性を上司から守る為に、他の同僚女性と共に朝の4時まで一緒に過ごして、6時には出勤したと言っています。 

 話の内容には細々した部分で奇妙な所もあるのですが、しかし何度見返してもえり・アリフィヤ氏自身の体験だとしか思えません。

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 ところがえり・アリフィヤ氏はこの話は日銀特定、自分特定のでもないと言うのです。
 そもそも特定のセクハラ事件を話ながら特定の職場でも特定の人物でもないってどういう事でしょうか?
 
 ① えり・アリフィヤ氏の虚言。
 ② えり・アリフィヤ氏が日銀を追求される事など考えず話てしまった。

 ワタシは②ではないかと思います。
 セクハラは加害者・被害者共の名誉にかかわる問題だし、また職場にとっても重大な問題です。 しかもその職場たるや日銀しかありえないのです。
 そういう問題について、国会議員が国会で発言した以上、唯の噂話のレベルでは済まないのです。

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 本来であればこういう発言をする以上は、最低でも被害者女性、更に当時えり・アリフィヤ氏と同行した同僚女性にも了解を取ったうえで、日銀を追求する覚悟が必要でしょう。
 そして普通に思慮のある人なら、その覚悟がない以上は、公の席では絶対にこんな話はしないのです。
 ところがえり・アリフィヤ氏は、唯「セクハラ許せない!!」だけで、後先考えずに国会でこんな発言をしてしまったのです。

 マジに無思慮と言うか、浅薄と言うか・・・・・。
 多言語教育をすると思考が浅薄化すると言う説があるのでが、なるほどこういう事だったのだとわかりました。

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 えり・アリフィヤ議員は父がウィグル人、母がウズベク人、日本で生まれ中国でアメリカンスクールに通い、アメリカの大学を卒業したと言う多言語育ちです。
 だから7か国語を話せるのだそうです。

 英語一つ満足に覚えられないワタシのような人間からすると、羨ましい話です。
 しかしえりアリフィヤ氏をみているとやっぱり、ホントに多言語教育、多言語環境って問題だと実感しました。

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 なぜなら人間の脳もパソコンと同じで、キャパシティーは決まっているのです。 容量の限られたパソコンにウィンドウズやマックなど幾つもの言語を入れたらどうなりますか?
 どれでも使えて便利と言えば便利なのですが、しかしインストールした言語の分だけキャパシティーが食われて、演算速度は遅くなり、記憶容量は減るのです。

 更に人間の場合、パソコンと違って別な言語を使えるようになるまで、膨大な時間と労力がかかります。 その間、その時間に学べたはずの事が学べなくなると言う問題も起きます。
 その為結局、それぞれの言語で使える語彙も減ってしまうのです。
 
 だから思考が浅薄化して、重要な問題も極めて短絡的な善悪でしか理解できなくなるのでしょう。

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 今回の国会での発言も「セクハラ許せない!! 日本のセクハラ止めさせる!!」とそれだけしかアタマになかったのでしょう。
 そもそもこの人の場合、「それを国会で話したらどうなるか?」と言う事を考慮すると言う発想がなかったのでしょう。 
 
 ワタシはこの人は、選挙期間中からどうしても信用できませんでした。
 言う事が全て超浅薄なポリコレ発言でばかりでした。
 そしてそれに突っ込まれると、今度は逆切れして「差別だ!!」「多様性がない!!」「人権が~~!!」と喚くだけでした。
 
 そして今度は国会で同じ事をやってしまったわけです。
 当然ですがこの発言には、このセクハラ事件の加害者は勿論、日銀は被害者も大迷惑しているでしょう。 

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 この人の売りはウィグル人である事と、多言語多文化エリートだと言う事でした。 そして若い女性であった事も売りでしょう。
 しかし結局、多言語教育とか多文化教育って、場合によってはホントに浅薄でどうしようもない人間を産んでしまうと言う見本になりました。
 また民族や性別などの属性で選んではイケナイと言う見本にもなってしまいました。

 勿論、多言語・多文化で育った事についてはえり・アリフィヤ氏の責任はありません。 
 しかしだからと言ってこんな人格に育ってしまった人を国会議員の候補に選ぶってどうなんでしょう?
 自民党は大丈夫でしょうか?

  1. 何これ?
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2023-05-18 12:05

初夏になる

 エントリーが前後しますが、一昨日から初夏になりました。

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 気温が20℃を超えて、夜になっても寒くなくなってきたのです。

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 西野緑道の八重桜は散り始め、桜の並木道は桜色に染まりました。

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 そしてウワミゾサクラが咲きました。

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 フワフワした雲のような、白い細長い綿あめのような花が、木を覆っています。
 これは何とも幻想的なのですが、しかしこの花は桜よりはるかに短く、こまめに木の所に通わないと、花を見逃してしまいます。

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 しかし西野緑道を登っていくと、まだ八重桜は満開でした。

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 電動自転車でガンガン登っているわけだから、標高は大分上がっているのでしょう。

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 でも人間の感覚では全くわかりません。
 けれど植物はこのわずかの標高差を敏感に感じているのです。

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 西野緑道を上り詰めた所の八重桜は、まだ滴るばかりの濃い紅色で、咲いたばかりです。
 
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 そしてまた元の道を下ると、八重桜が咲いていきます。

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 西野神社近くの公園までくるとも八重桜は、散り始めています。

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 花は開ききり、葉が伸びています。

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 もう暫くしたら、八重桜も緑に変わり、西野緑道は文字通り緑の道に変わります。

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 ナナカマドの花も咲いていました。
 ナナカマドの花は小さくて地味なのですが、実は非常に良い香りがします。

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 ニワトコの花も咲き始めました。
 これも地味な花ですが、しかしなかなか風情があります。

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 八重桜が咲くまでは専ら桜だけだった花の世界も、ドンドン役者が増えていきます。

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 6時近くなってもまだ明るく、寒くもなりません。
 尤も半袖シャツ一枚では少し肌寒いので、軽い上着を羽織りました。
 それからもう手袋はいりません。

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 3日程前はムートンの手袋をはめて、ウィンドブレーカーの下に着込んでいたのに、突然完全な半袖シャツです。

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 でもこれでとうとう初夏になったのです。
 
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