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2022-03-31 12:00

ロシアのウクライナ侵略 核兵器の抑止力

 今回のロシアのウクライナ侵略で非常に明確になったことがあります。
 それは核兵器と言うのは、敵国からの攻撃を防ぐ抑止力として極めて有効だという事です。
 
 この戦争でわかったのは、ロシア軍がこれまで考えられていたより遥かに弱い事です。 この分ならNATO軍がウクライナに加勢すれば、ロシア軍をウクライナから追い出すのは、至って簡単でしょう。
 ロシア本土まで攻め込んでプーチン政権を潰すのだってあっという間かもしれません。
 
 今回のロシア軍によるウクライナ攻撃は、文字通り絵に描いたような侵略戦争です。
 ウクライナの安全はバルト三国やポーランドなど、ウクライナの隣国のNATO加盟国の安全保障に直結します。
 しかもロシア軍は市民の無差別攻撃など非人道的な攻撃をしているのですから、本来であればNATO軍がウクライナ側に立って参戦するべきなのです。

 米軍がウクライナを助けるために参戦し、あっという間にロシア軍をウクライナから追っ払ったら、バイデン大統領の支持率だって一気に上がるでしょう。 中間選挙近いんですよね?
 この戦争でエネルギー価格が爆上げして、ガソリンが値上がりしてアメリカ人が皆ブチ切れています。 それでバイデンもとうとうシェールガス採掘を解禁しました。
 でもアメリカが参戦したら、戦争の早期終結を見越して、エネルギー価格だって一気に下がるので、安心してシェールガス開発も止められて、バイデン支持者の環境団体が喜びます。

 それでもバイデン大統領が「NATOは参戦しない」と言い続けています。 
 バイデンが、NATOが参戦しないと言い続けているのは、ロシアは世界最大の核保有国で、もしもNATOが参戦したら核戦争になる可能性が高いからです。
 こうなるといくら米軍が強くても、どれほど悲惨な事になるかわかりません。

 そしてロシア側はそれを見越して、再々核使用をほのめかす発言を繰り返しています。
 だからNATOはウクライナを助ける為に参戦しないのです。

 湾岸戦争を思い出せば、猶更違いが明確化します。
 サダム・フセインがクェートを侵略すると、アメリカは速攻でイラクを攻撃しました。
 しかしウクライナを侵略し、市民を殺害し続けるロシアは攻撃しません。
 なぜならイラクには核兵器はなかったけれど、ロシアには核兵器があるのです。

 核兵器さへ持っていれば、絶対にロシア本国は攻撃されない。
 それどころかアメリカは対露戦争に参戦さへしない。
 ロシアが追いつめられる心配はない。

 これこそ抑止力!! 
 文字通り絵に描いたような抑止力ではありませんか?

 逆に言えばウクライナは核兵器を放棄したばかりに、こんな攻撃を受けているのです。
 ウクライナは元々ロシアに次ぐ核保有国でした。 しかしソ連から独立したときにそれを放棄しました。
 同様にソ連から独立したカザフスタンとベラルーシも核兵器を放棄しました。 そして核を放棄したこれらの国々は核不拡散条約に加盟しました。
 
 この時、核兵器を放棄したこれらの国々と、アメリカ・ロシア・イギリスがブダペストで話し合いをして、自国の安全を守る為にブダペスト覚書と言う協定を結びました。
 
 ブダペスト覚書の内容は以下の通りです。

① ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナの独立と主権と既存の国境を尊重する[15]。
② ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナに対する脅威や武力行使を控える。
③ ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナに政治的影響を与える目的で、経済的圧力をかけることは控える。
④ 「仮にベラルーシ/カザフスタン/ウクライナが侵略の犠牲者、または核兵器が使用される侵略脅威の対象になってしまう」場合、ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナに支援を差し伸べるため即座に国連安全保障理事会の行動を依頼する。
⑤ ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナに対する核兵器の使用を控える。
これらの誓約事に関して疑義が生じた場合は、互いに協議を行う[11][16]。

 うわ~~!!
 完璧に協定違反です。 ここまで無残な協定違反とはね。
 ④で、ウクライナが核兵器使用の脅威に晒される場合には国連安全保障理事会の行動を依頼する事になっているのですが、国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアが堂々の協定違反では、全く効力がありません。

 勿論、ウクライナが核を放棄したのは、無邪気にブダペスト覚書を信頼しただけではないそうです。 核兵器の維持や管理、また自力での廃棄にも大変な費用と技術が必要で、ウクライナやカザフスタンやベラルーシは、自力では維持も管理もできなかったからだと言います。

 しかしそれでも核兵器を放棄すれば、こんな形で侵略されても、ウクライナを助ける為に参戦してくれる国はないのです。
 これはロシアからみれば大変な抑止力です。

 ロシア軍の弱体化には明確な理由があります。
 ロシアの国防予算は何と3兆円程で、これは日本の6割程です。
 それでもロシアとすれば国民に大変な犠牲を強いて頑張っているのです。 だってロシアのGDPは韓国程度です。 そして国内にはハイテク産業など軍事技術を支える産業はなく、そういう産業を持った同盟国もないのです。
 これじゃ幾ら兵士の給与等の人件費が低くても、世界第二の軍事大国の地位を維持するのは厳しいでしょう。

 これで大量の核兵器を維持管理し、ウクライナ以外でもチョイチョイ、紛争に足を突っ込んでいるのです。
 だから軍事予算をこれ以上増やすのもキツイし、予算だけ増やしても、ハイテク兵器の開発や導入を続けるのだって厳しいです。

 こうなるとロシアは絶対に核兵器を手放さないでしょう。
 だって通常兵器ではもう絶対アメリカに勝てない、それどころか日本にだって勝てないかもしれません。 
 それでもプーチンが安倍総理を小馬鹿にしていられたのは、結局核兵器を持っているからだとしか言えません。

 これを見れば北朝鮮やイランなど、なんとしても核兵器を持ちたいという国は増えるばかりでしょう。

 それにしても今回のロシアのウクライナ侵略は怖いです。
 だって日本を取り巻く独裁国家の独裁者、プーチン、習近平、金正恩の三人の中ではプーチンが一番マトモで人間味がありました。

 プーチンは自分の言葉で自分の自分の意見を述べる男で、あの脱炭素を馬鹿娘グレタを叱ったりなど、民主主義国家の指導者達が偽善に凝り固まった対応しかできないのと比べると、喝采したくなるような意見も再々述べていました。
 だから西側でも結構人気があったし、ワタシもこの男は魅力的な悪党だと思っていました。

 そのプーチンがいきなりトチ狂って、こんな侵略戦争を始めた挙句、核使用をほのめかしているのです。
 これじゃ金正恩や習近平だって何をやらかすかわかりません。

 一方、日本では3月28日、自民国防部会長・宮沢博行衆議院議員が、核シェアリングについてこんな事を言っています。

 宮沢氏は核共有に関し、党内で議論した結果、「核を置いた時点で攻撃対象になることなどを考えると日本に核を持つ実益がない。唯一の核被爆国として核廃絶を主導する責務があるわけで、その理想、夢は絶対に捨ててはいけない」と述べ、党内の議論は終わったとの見方を示した。(自民国防部会長「核共有より拡大抑止に論点を」

核を置いた時点で攻撃対象になることなどを考えると日本に核を持つ実益がない。

 ??
 これ何を根拠に言っているのでしょうか?
 
 ロシアは攻撃されているんですか?
 絵に描いたような侵略戦争を仕掛けても、通常兵力が至ってお粗末だという事がわかっても、核があれば攻撃されないのですよ。

 なるほど理想や夢は美しいです。
 でも理想や夢と言うの物は、実現しないから美しいのです。

 政治家として国民を守る意思があるなら、現実を見てほしいです。

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2022-03-29 10:30

ロシアのウクライナ侵略雑感 情報戦

 ロシア軍が自分達同志の連絡に中国製の民生用の無線機や携帯電話を使い、しかもそれを暗号化もしていないので、情報がダダ洩れになっているという話が出ています。
 
 実はロシア軍はロシア軍内連絡を暗号化して行うシステムを持っていたのですが、ウクライナのインターネットインフラを破壊してしまったので、自分達もインターネットを使えなくなった。 
 それで連絡に無線や携帯電話を使う羽目になったというのです。

 ワタシもこの話は上念司さんはじめ、色々な人が言っているのは聞きました。
 しかしこれもロシア軍の凍傷説と同様、ガセじゃないかと思います。

 ロシア軍が民生用無線を使い、それで情報がダダ洩れしているのは事実でしょう。 だってそれでロシア軍の将官が随分戦死しています。
 しかしロシア軍がウクライナのインターネットインフラを壊したので、ロシア軍が自分達同志の通信手段もなくなったというのは、完全なガセだと思うのです。

 だって交戦国のインターネットなんか使ったら、それこそ情報を盗られてしまいます。 交戦国のインターネットは交戦国側が管理しているのです。 そこに入り込んだら、即その情報を盗られるじゃないですか?
 それにネット環境が整っている場所が戦場になるとは限りません。 無人の砂漠やジャングルで戦争する場合もあるのです。 その時、近所にセルタワーがないから、通信不能と言うシステムでは困るでしょう?
 ロシア軍がいくらマヌケでもこんなシステムは使わないでしょう?

 ワタシはむしろロシア軍は意図的にウクライナのインターネット通信のインフラを破壊したのだと思います。
 なぜならロシア軍が侵攻当初意図していたのは、斬首作戦だったからです。

 つまりロシア軍は侵攻直後にゼレンスキー大統領を暗殺するか拉致するかして、親西欧政権を抹殺し、代わりに親露政権を作る心算だったのです。
 このような作戦を行う場合は、テレビ局や新聞社などマスコミも同時に確保して、親露政権側の情報を一方的に流す事、ウクライナの反露勢力側からの情報を封殺する事が絶対に必要でした。

 これは世界中どの国でも同じですが、一般国民には自分達の国の政府がどうなっているかなど、直接確認する方法はありません。 みんなマスコミを通してしか知る事ができないのです。
 だからある日突然、自分達の選んだ政権が抹殺されても、マスコミがその事情を報道しなければ、一体何でそんなことになったかわかりません。
 何が何だかわからない状態では、傀儡政権に抵抗する事もできません。
 斬首作戦を行った側は、マスコミを自分達の側で確保する事によって、自分達の支配を既成事実化してしまうのです。 

 でもロシア軍はゼレンスキー大統領暗殺に失敗しました。
 それでもロシア軍は大統領府のサーバーは破壊していて、ゼレンスキー大統領が大統領府の公式HPで国民に発信する事はできないようしていました。
 
 ところがゼレンスキー大統領は自分のスマホから自撮り動画をツィッターにアップして、自分も家族も無事である事を伝え、ウクライナ国民に徹底抗戦を呼びかけたのです。

 思うにこれがロシア軍の情報戦の最初で最大の失敗でした。
 ロシア軍の情報戦には、ツィッター始めGAFAによる情報発信と言う事が、殆ど完全に抜けていたのではないかと思うのです。
 
 実際このゼレンスキー大統領のツィッターの自撮り動画は世界中で報道されて、ウクライナの徹底抗戦の意思がウクライナ人のみならず世界中を感動させました。

 ワタシはこれでロシアは慌ててウクライナのインターネットインフラを破壊し始めたのだと思います。 テレビ局や新聞社だけでなく、ネットインフラを破壊しないと、ゼレンスキー政権の情報発信を止められないと気付いたのです。
 それにインターネットインフラを破壊して、インターネットが使えなくなると、ウクライナ国民は海外情報も得られなくなります。
 そうなるとロシアへの経済制裁などウクライナに有利な情報も得られないまま、ロシア軍攻撃にさらされるのですから、非常に不安になるでしょう。

 ところがイーロン・マスク氏がこのロシア軍の情報封殺作戦をサクッと阻止してしまいました。
 地上のインターネットインフラが破壊されたので、彼の会社スペースX社の衛星を使うインターネット通信システムであるスターリンクシステムのサービスを提供しました。

 2月26日にウクライナの副大臣が、ツィッターでイーロン・マスク氏にサービスの提供を要請すると、その10時間半後にイーロン・マスク氏がサービスが利用可能になったことをウクライナ側に返信、その後サービス利用に必要な端末数千個もウクライナに届きました。
 結局ウクライナ副大臣のツィッターでの要請から56時間後には、ウクライナでスターリンクシステムが完全に利用できるようになって、ウクライナのインターネットは通常通り使えるようになったのです。

 こういうのを見ていると気づきませんか?
 今回の戦争では情報戦が完全にツィッター主導になっているのです。 まずウクライナ側がツィッターで重要情報をアップして、それをマスコミが追いかけているのです。

 だってこれ一番早いでしょう?
 テレビや新聞などマスコミを通じて発信していたら、まずは記者会見を行う事を各報道機関に通知して、それで記者会見をしても報道してくれるかどうかは、報道機関次第です。
 その報道機関がロシア側に協力的であれば、報道しない自由を行使されてしまいます。

 でもツィッターで発信なら、記者会見を通知する手間も時間も必要なく、その上報道機関の都合で無視される心配もありません。 
 その為、重要情報は真っ先にツィッターに出てくるので、世界中の報道機関がツィッターを追いかけて、そこから拾ったツィートを報道している状態です。

 しかもツィッターと言うのは公正なプラットフォームではありません。 前回のアメリカ大統領選やその後の対応で思い知らせられましたが、ツィッター社は完全にバイデン支持の会社なのです。  
 前回のアメリカ大統領選ではツィッター社はトランプ支持者のアカウントの停止や削除を散々にやりまくり、それでブチ切れたトランプ支持者達がパーラーに移動すると、今度はアップルなどビッグテックと協力して、最終的にパーラーを潰しました。

 そのツィッター社が今回の情報戦の主戦場になってしまったのですから、ロシア不利に決まっているのです。
 その意味ではこの戦争に関する情報を見ていく上でも、十分に注意しなければなりません。

 それでも「早く簡単に情報を発信できる。」「真っ先に情報が出てくる。」と言うメリットは圧倒的なので、皆ツィッターから出た情報に飛びついてしまうのです。
 そして旧来の情報発信機関であったテレビや新聞がこれを追いかけざるを得ない状況なのです。

 この戦争が始まった直後から「ロシアは情報戦で完全にウクライナに負けている、そもそも勝負になっていない。」と言われていました。
 でも情報戦の主戦場がバイデン支持のツィッター社で、しかもGAFAやビックテックが全てバイデン支持なのだからロシアには全く戦いようもないのです。

 勿論ロシア側だって情報戦は仕掛けているのです。 だからテレビ局は橋下徹などやたらにウクライナに降伏を迫る人間を出演させるし、ワイドショーでもこの種の「識者」ばかり出てくるのです。

 でもニュースの方はどうしても、ツィッター発に傾きます。 
 コイツラ日頃、インターネットにはフェイクニュースが沢山あるから信用してはダメだといっています。 実際このロシアのウクライナ侵略戦争でも、ロシア兵が凍傷になるとか、一杯怪しい話が出ています。
 
 でも結局、現在テレビも新聞も、殆ど裏もとらずにツィッター発の情報をニュースとして報道しているのです。
 だって防空壕の中から国民に呼びかける大統領とか、ロシア兵にひまわりの種を差し出して抗議するおばさんとか、ミサイル攻撃で炎上するロシア揚陸艦とか、ニュース映像として映えるモノがリアルタイムでドンドン出てくるのですから。
 
 そしてこういう映像がニュースに溢れている状態で、橋下徹が「ウクライナ人は降伏しろ!!」なんて言っても、橋下徹が嫌われて維新の会の支持率が下がるだけになっているのです。

 一昔前なら、クリミア侵攻のころなら、ここまでツィッターなどの力はなく、まだテレビや新聞が報道を主導できたかもしれません。
 そういう状況なら、テレビ局や新聞社だけに工作をしていれば情報戦に勝てたのです。

 でもプーチンとその取り巻きは、この状況を認識していなかったのでしょうね。
 自分でツィッターどころかネットも使っていないのでは、そういう世界がある事さへピンとこないのだから仕方ありません。
 プーチンと言う人の脳内では情報戦は、自分自身がKGBの職員だった時代のままなのでしょう。
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2022-03-28 12:55

ロシアのウクライナ侵略雑感 Z対X

 ロシア軍はウクライナで大変苦戦しているようです。
 その苦戦の原因の一つは、ロシア軍の通信システムにあると言われます。
 
 ロシア軍はウクライナに侵入した直後に何も考えずにウクライナのネット通信インフラを破壊してしまったので、ロシア軍もウクライナでネットが使えなくなりました。

 これに対してウクライナの副大臣が2月26日、ツィッターと書簡でイーロン・マスク氏にスターリンクシステムの提供を要請しました。
 するとイーロン・マスク氏は即受諾し、10時間半後にはウクライナでスターリンクシステムのサービスを開始し、10時間後にはサービス利用に必要な端末のウクライナへの配送を開始しました。

 ウクライナでスターリンク衛星通信が提供開始 イーロン・マスクへの要請からわずか10時間半で ニューズウィークジャパン 3月1日

 このニュースは2月26日から世界に配信されていましたが、ワタシはこの種のハイテクには疎い方なので、この重要さがよくわかりませんでした。
 その後拾った情報から考えるとこれは大変な話です。

 まずスターリンクシステムですが、これは低高度の軌道を回る衛星を使ったインターネット配信システムで、低高度の衛星を沢山使う事で、これまで衛星を使ったインターネットに比べると遥かにスムーズにインターネット通信ができます。
 衛星を使うので、戦争や災害で光ファイバーの回線が切れる言う事もありません。

 それで多くの企業がこのシステムを利用したインターネットサービス事業を計画していますが、現在実際にこの事業を行っているのはイーロン・マスク氏のスペースX社一社なのです。

 これを利用するには専用の端末やアプリが必要なようですが、イーロン・マスク氏はウクライナ側の要請から10時間半でこの端末の大量配送を開始し、56時間後にはウクライナ側で利用可能になりました。
 これで現在ウクライナでは必要なインターネット通信は完全に確保されている状態です。

 お陰でウクライナ側ではほぼこれまで通りのインターネットサービスが続いており、国民が自国のみならず世界中から情報を得られる状態です。
 またウクライナでは民間人が民生用のドローンを使って、ロシア軍の情報を集め、それを軍に提供するようなことも行われているのですから、こうした情報の提供にも非常に有効でしょう。

 情報は戦争遂行には極めて重要なのですが、国家間の戦争においてその情報伝達の手段を一企業が簡単にになってしまうというのは、人類史上初めてです。

 因みにイーロン・マスク氏がこれほど迅速にスターリンクシステムを提供できたのは、イーロン・マスク氏の決断力とアメリカ企業ならでは意思決定に早さも大きな理由でしょう。
 しかし技術的も非常に簡単で、しかも経済的にも大した負担でなかったことも大きな理由でしょう。
 
 実はスターリンクシステムは既にヨーロッパ全域でサービスを行っており、ウクライナの隣国ポーランドでも2021年9月からサービスを開始しています。
 衛星を利用したシステムで、既にポーランドで使用中と言う事ですから、衛星のキャパに余裕があるなら、ウクライナでのサービスを開始するかどうかは、問題はウクライナで営業体制を作って利益が出るかどうかと言う事だけです。

 因みにこのスターリンクシステムの利用料は月額99ドル、入会時に495ドルとかで、一般のインターネット利用料に比べるとかなり高めです。
 だから加入するのは企業や公共機関など、コストより安全性を重視する所だけでしょう。

 今回スペースX社がウクライナから料金を徴収しているのかどうかわかりません。
 尤も戦時と言う事で無料提供しても、宣伝効果を考えたら十分元が取れると踏んだのかもしれません。 
 だって戦争が終わるまで数カ月間、無料でサービスを提供すれば、戦後もウクライナの公共機関や企業はずうっとスペースX社のスターリンクシステムを使ってくれます。 ロシアが隣にある限り、ロシア軍から攻撃されない通信手段の確保が絶対に必要だからです。
 これだと日本のインターネットプロバイダーが皆やっている「キャッシュバック」を出したのと同じレベルです。
 それで世界中から大絶賛されるんだから、宣伝効果も抜群です。
 
 なるほどイーロン・マスク氏って迅速にこういう決断をして、行動を移せる人だから一代で大富豪になったのですね。

 しかしこれってホントにすごい話です。
 だって世界第二の軍事大国が、情報通信の破壊作戦を一企業に阻止されたのですから。
 しかもその一企業にとってそれが企業の命運にかかわるとか、存亡をかけているそういうレベルでもないのです。
 
 スペースX社が無償でウクライナにスターリンクサービスを提供したとしても、これってスペースX社からすれば、日清製粉がポーランドに難民支援の為に大量のカップヌードルを提供したのと似たようなレベルでしょう?

 ロシアにもロシアの同盟国にもこんな企業はありません。
 ロシアとその同盟国の政治・経済システムでは、情報通信に限らず世界を変えるような重要な技術を持つ企業は生まれなかったのです。

 自由経済と言うのは色々な弊害もあるのですが、やっぱりすべて国民が自由な経済活動を行う事から、こうした企業が生まれ技術が生まれるのです。
 アメリカと言う国はその自由を最大限重視しているので、自動車産業や鉄鋼産業などが衰退しても、こうした産業が次々と生まれて経済は成長し続けているのです。

 そしてこうした自由な経済活動から生まれて技術は、そのまま軍事技術に転用されます。 それがまた次々と高性能な兵器を産み、強大な軍隊を維持する事になるのです。

 更にアメリカは自由な経済、自由で開かれた国家であることから、同様に自由な経済、自由な開かれた国家と強い同盟関係を持つ事ができます。 
 その為、同盟国からも軍事技術や物資を調達できるのです。

 例えば米軍の戦闘機に使われているカーボンファイバーは、日本企業が作っています。 実は戦闘機にカーボンファイバーを使うというアイディアも日本が生んだのです。
 因みに光ファイバーと光通信も日本初の技術です。
 
 一方、こういう企業を生み出す事のできないロシアは、独自こういう技術を持つ事はできません。 勿論これらの軍事利用もできません。
 そこでロシアはこうした技術をコソコソと盗んで使うのですが、盗みは所詮盗みです。 そして法は勿論条約も全く無視して自国の国益だけを追求する姿勢の為、まともな国とは同盟できません。
 だから今回の経済制裁のようなことが起きると、軍事物資の調達にも苦労する羽目になります。
 
 これにはソ連時代にもずいぶん懲りたはずなのに、ロシアは未だにこれを学んでいないのです。 
 と言うより、自分の権力を維持したければ、自国民に自由な経済、自由な社会を与える事ができないのでしょう。

 それで結局、世界第二位の軍事力を持っているはずが、交戦国の情報通信手段の破壊と言う戦争遂行上非常に重要な作戦を、相手国の友好国の一企業に阻止されて失敗するという無残な結果になりました。

 はスペース社に惨敗したのです。

 こんな状況ではロシアが勝てるはずもないでしょう?

 バイデン大統領はこの戦争を「権威主義との闘い」と言っていますが、正に権威主義体制では、絶対的に自由主義体制には勝てないという事の象徴ではありませんか?



 因みに、戦争ではどんな場合も双方でプロパガンダ合戦になります。
 このプロパガンダでもロシアは完全に劣勢です。
 それはGAFAが全部アメリカ企業で、それが全部ウクライナ側についていて、コイツラはロシア側有利な情報を「偽情報」として、そういう情報を発信する人達のアカウント停止までやっているのです。

 本来こうした企業は中立的な立場をとるべきだとは思うのですが、そもそもアメリカ企業なのだからロシア側から文句が言えた義理でもないのです。

 それに対してロシアがやっているのは、テレビ局に工作して橋下徹などにロシア擁護の発言をさせる事ぐらいです。
 テレビや新聞を抱え込むというのは、冷戦時代からの古典的な情報操作ですが、現在の社会ではあまり効果はありません。

 こういうのを見ていると結局プーチンと言う人は、現在の情報空間を全然理解しておらず、自分がKGBに努めていたころの冷戦時代そのままのやり方で、ウクライナとのプロパガンダ合戦に勝てると思っていたのではないでしょうか?

 こういうのを見ていてもロシアは到底勝てそうにありません。
  1. ウクライナ
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2022-03-26 12:09

キエフより寒い

 3月も終わりになって雪解けも大分進みました。
 この冬は雪が多かったので、雪捨て場になっている公園や空き地、それに歩道の脇にできた雪の土手などは、まだまだ凄い雪です。
 でも3月からの気温が馬鹿に高かったのか、除雪や排雪の行き届いた道路は、早々と雪も氷もなくなりました。
 それでワタシも10日あまり前から自転車を使っています。

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 こんなに早々と自転車を使えた年は初めてです。
 自転車を使うと一気に移動範囲が広がり、先日は琴似まで野菜を買いに行きました。 琴似には安い八百屋さんがあるのです。
 これからはもう琴似でもどこでも好きな所に行けます。
 雪はまだチラチラ降るけれど、氷点下になる事は殆どないので、積雪が戻る事はないでしょう。

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 ところで先日、ロシアのウクライナ侵略の情報を見ていたら「ロシア軍の兵士が凍傷になっている」と言うのがありました。
 これはしかしあまりに違和感がありました。
 だって少し前にウクライナも雪解けが始まり、大地が泥濘化しているという情報があったのです。 雪解けになり大地が泥濘化しているなら、現在の札幌とそう変わらない気温です。
 雪解けが進んだ状態で凍傷はあり得ません。

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 だって凍傷って手足が完全に凍る事で起きます。 でも冷蔵庫を見ればわかりますが、肉は冷蔵室では凍りません。 冷凍室に入れて初めて凍るのです。
 しかし冷凍室の気温が続いているなら雪解けにはなりません。

 これはなんかオカシイ? 
 そう思ってキエフの気温を調べてみました。

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 するとびっくり!! 
 10℃越えの日がずらっと続いています。(キエフの天気
 何と札幌より遥かに暖かいのです。
 因みにハリコフはキエフよりは寒いです。 だってキエフより少し北で少し内陸だもんね。
 でも最低気温が0℃を割る日は殆どなくなっています。 それに札幌より暖かいし。

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 なにこれ??
 一年を通した気候を見ても、北海道より暖かく穏やかな感じです。
 キエフやハリコフでこれだと、黒海沿岸のオデッサやマウリポリなどは、もっと温かくて快適な気候でしょう。 だってこの辺りは元来保養地として知られたところなのです。
 ついでにモスクワの気温も調べましたが、こっちはさすがにまだ随分と寒いです。 最高気温はともかく最低気温はまだ札幌の2月並みです。
 でもモスクワってロシアの中では特に寒い所ではないです。

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 こうなるとロシア兵凍傷説は完全なガセじゃないかと思います。
 ウクライナでもロシア軍の侵略が始まった2月末なら、凍傷になる気温ではあったのですが、でもロシアはウクライナより遥かに寒いのです。
 特にキエフやハリコフの包囲に送られた兵士は極東から動員したと言われます。 極東ってモスクワなどロシア中部より遥かに寒いです。
 こういう地域に駐屯していた部隊なら、日常着でもウクライナで凍傷なんてありえないでしょう? 

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 但し凍傷ではなくとも低体温症ならありえます。
 また寒さでゲンナリしてるというのはわかります。
 これは北海道の人間もそうなのですが、ホントに寒さの厳しい所に住む人間って、寒さを我慢する発想がないのです。
 寒さは暖房で凌ぐべきで、室内では厚着をしようと言う事さへ考えません。
 厳しい寒さが続く土地で、寒さを我慢し続けたら、ストレスがたまるばかりだからでしょうね。
 だから何日も戸外で厚着で寒さに耐えなければならない状況が続くと、ブチ切れるのかも?

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 しかしね・・・・。
 札幌はキエフやハリコフより寒かったなんて・・・・・。
 ウクライナは北海道より暖かかったなんて・・・・・。
 やっぱりイメージだけでものを考えたらダメですね。

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 ともあれ札幌はキエフに大分遅れて雪解けと言うわけです。
 ロシア軍の戦車でなくても雪解けの道は嬉しくないです。
 歩きにくいのは勿論だけれど、雪がグチャグチャに汚れて、景色が汚らしく見えます。
 でも木々の枝先が少し青んできました。
 間もなく一年で一番美しい季節になります。
 だからその前に暫く我慢するしかありません。

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 今日はこれからホーマックに電子レンジを買いに行かなくてはなりません。 
 夕べ、夕食用に冷凍した菜の花のお浸しを解凍しようしたら、プラスチックが焦げるようなイヤな臭いがしました。 それで一旦止めて、もう一度スイッチを入れたら、もうダメでした。
 もう5~6年以上前に買ったのだし、中の塗装も剥げて汚らしくなっていたので、これで捨てる事にします。
 どんなに便利な物でも、新しく買えば済むものって、壊れても懐が少し痛むだけで終わりです。

  1. 札幌の四季
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2022-03-22 21:31

ロシアのウクライナ侵略雑感 「1914年8月」

 ウクライナに侵攻したロシア軍が通信に中国製無線機とスマホを使っていると言うニュースを見ました。
 無線もスマホも暗号化など一切しいないので、ウクライナ側は傍受し放題であるばかりか、無線は世界中のアマチュア無線家が傍受しているというのです。

 お陰でロシア軍の情報はダダ洩れです。
 ウクライナに侵攻したロシア軍では既に将官が5人も戦死しているのですが、これも将官の居場所など重要情報がダダ洩れになっているからだと言われます。

 ホントでしょうか?
 
 しかしこれで思い出したのがソルジェニツィンの「1914年8月」です。
 この小説の中でソルジェニツィンはタンネンベルグの戦いをロシア側から克明に描いています。
 
 ここでロシア軍がロシア軍内の通信に無線を用いた事、しかし暗号化もせずに何でもドンドン無線で報告し合ってしまうという話が出てきます。
 
 それで無線を傍受していたドイツ軍にはロシア軍の情報が大量に集まります。 余りに大量に得られる情報に最初ドイツ軍は戸惑ってしまい、これは何かの「罠」ではないかとさへ思いました。
 しかし傍受した情報の内容を分析した結果、「ロシア軍には大軍を組織的に運用する能力はない」と結論するのです。

 実際、タンネンベルグの戦いはロシア軍は大軍を派遣しながら、ロシア軍内で有効な連携もとれずドイツ軍に翻弄される形で壊滅してしまいました。
 
 ソルジェニツィンはこのようなロシア軍の状況をこの戦い参戦した若く優秀なロシア軍参謀とその従卒の若いロシア軍兵士の眼を通して克明に描いています。
 結局彼等は軍全体の戦況を把握する事もできないまま戦場を彷徨い、撤退していくことになるのです。

 因みに軍隊が無線を使うようになったのは日露戦争のころからでした。 その当時ロシア海軍では無線通信士は軍人ではなく、民間人の身分のまま海軍の艦艇に乗るっていました。
 日本海軍では勿論通信士も軍人でしたから、その当時からロシアは少し遅れていたのでしょう。

 しかし第一世界大戦のころには無線の使用も、また無線の傍受も当然となっていました。 それなのに前線での通信を暗号化もしないのは、ドイツ軍からみたら全く信じられないよう話でした。

 でもまさか今もそのままだなんて・・・・・。
 
 因みにウクライナでの戦いに無線を使う、暗号化しないって、タンネンベルグの戦いより不味いです。
 だってあの時代はまだアマチュア無線なんて趣味はありません。 だから民間人が暇つぶしにロシア軍の通信を傍受するなんてありえなかったのです。

 もっと不味いのはウクライナ軍の兵士は全部ロシア語が分かる事です。
 だから傍受したら誰でもそのままわかっちゃうわけで、翻訳も何もいらないのです。
 これじゃ情報ダダ洩れなんてレベルじゃないです。

 何でウクライナ軍の兵士が皆ロシア語が分かるかと言えば、ソ連時代にロシア語を強制されていた事もありますが、そもそもウクライナ語とロシア語って非常に近い言葉なのです。

 ウクライナ語とロシア語だけでなく、ポーランド語やセルビア語など、スラブ諸国の言葉って非常に似通っているのです。

 ロシアによればロシア建国は988年、キエフ大公国の大公ウラジミール一世が自らビザンチン正教の洗礼を受けて、ビザンチン正教をキエフ大公国の国教にしたことから始まります。
 しかしこの頃、ポーランドやセルビアなど他のスラブ諸国も一斉にビザンチン正教化しました。

 これはビザンチン正教の聖職者だった二人の兄弟キュリロスとメトディオスが熱心に宣教した結果です。 彼等はスラブ人への宣教に当たり、ギリシャ文字を元にスラブ語を記述する為の文字を作り、聖書をスラブ語に翻訳しました。
 この時作られた文字がキリル文字で、ウクライナやロシアやセルビアなど現在も「正教」の国々で使われています。
 一方ポーランドはその後正教を捨ててカソリックに改宗したので、ラテン文字を使うようになりました。
 またこの時の聖書の翻訳に使われたスラブ語は「古代スラブ語」あるいは「教会スラブ語」と言われて、現在もスラブ諸国の教会用語として使われています。

 つまり10世紀末までこれらの国の言葉はほぼ同じだったし、古語は今も同じなのです。 
 10世紀末って日本なら平安時代です。 この頃まで同じ言葉だったのですから、その後時代や地域により変化したと言ってもその差は限られているでしょう。
 だからこそソ連時代にウクライナ語禁止とかでいるんですよね?
 全く違う言葉なら、それを強制するなんて不可能です。

 例えば日韓併合時代に日本が朝鮮人から言葉を奪ったなんて嘘話がありました。 あれが嘘だという事は少し考えたら直ぐわかります。 
 だって日本語と朝鮮語では全然違うのですから、朝鮮人に朝鮮語を禁止して、日本語を強制する為には、朝鮮人全員、高齢者でも知的障碍者でも関係なく朝鮮人全員に日本語を猛勉強してもらう必要があります。
 そんなことできるわけないでしょう?

 でもロシア語とウクライナ語が非常に似通った言葉なら、そんな問題はないでしょう?

 因みに「1914年8月」にはウクライナ地主の一家の日々も描かれています。 その地主一家の娘は実はソルジェニツィンの母親をモデルにしていると言われます。

 ワタシが「1914年8月」を読んだのはソ連崩壊の前後だったと思います。 その時にこの小説を読んでいてウクライナ人とロシア人が違う言語を持つ違う民族だと全く想像できませんでした。
 だからソ連崩壊後ウクライナが独立し、その時にウクライナとロシアは民族が違うという話を聞いた時は非常に驚きました。

 勿論当のソルジェニツィンは大変なショックだったようです。
 彼は熱烈なロシアの愛国者でしたから。

 ともあれ今回の戦争でのロシア軍の為体を見ていると、まんま「1914年8月」から全然変わっていないんじゃないかと思ってしまいます。

 強大なロシア軍は数は多いし、兵器だって随分と立派な物を揃えているのですが、その組織として運用がなってないのです。
 百年前と同じ問題を抱えたままと言うのは、これはもうロシアと言う国の宿痾と言うべきなのでしょうか?

 帝政が倒れ、共産主義が破綻し、今はプーチンの独裁体制ですが、こうやって色々体制が変わりながら、結局こういう問題は全く変わらず引き継がれるとすれば、それがロシアと言う国のアイデンティティなのかとさへ思ってしまいます。

 これじゃ侵略戦争なんかしたって負けるだけです。
 実際歴史を学べばロシア軍の方から遠征して勝った事って殆どないのです。

 プーチンはやらなくてよい戦争をやったお陰でロシア軍の弱さを世界中に晒してしまいました。
 
 プーチンってすごい国家主義者で、ロシアと言う国の偉大さとかに凄く執着しているようなのですが、しかし今のロシアで誇れるのは、実は軍隊ぐらいだったのです。
 それがこんな為体だとわかってしまっては、国家の権威が完全に失墜し、国家そのものの存続だって危うくなります。

 ソルジェニツィンが生きていたら絶対にプーチンを許さないでしょう。

  1. 古本
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2022-03-17 12:50

ロシアのウクライナ侵略雑感 なぜウクライナを支援するべきなのか?

 先日、ウクライナ大統領がアメリカ議会で行ったオンライン演説では、ウクライナ大統領が真珠湾攻撃と911のテロを引き合いに出しました。
 このことでウクライナへの不快感を表す人達が結構いたようです。 ワタシのブログにもそのようなコメントを頂きました。

 しかしワタシとしてはゼレンスキー大統領がアメリカ議会で真珠湾を持ち出すのは特に驚いてもいません。
 ゼレンスキー大統領としてはできる限りアメリカ人の心を揺さぶり、ウクライナへの支援を得たいだけです。 
 今、ウクライナは自国の首都までロシアの攻撃を受けているのですが、アメリカと言う国は歴史的に自国領が直接外国の攻撃を受けたのは、真珠湾と911ぐらいなので、アメリカ人にウクライナの立場を訴えるには、これが一番受けると思っただけです。

 勿論日本人として真珠湾について日本だけを問題にされるの事は納得できません。 しかしそれでゼレンスキーを非難するなら、日米安全保障条約なんか破棄するしかありません。
 だって真珠湾についてどこの国より日本を悪いと信じているのはアメリカです。 アメリカ人の大多数は今も日本が一方的に悪いと信じています。

 そもそも日本が真珠湾攻撃に至る経緯などヨーロッパ人の多くは殆ど関心はないのです。 だって日本が真珠湾攻撃をしたとき、ヨーロッパは既に火の海でした。 特に東欧諸国は日本などとは比べ物にもならない程の惨禍を被りました。
 逆に聞きたいけれど、ゼレンスキーが真珠湾を引き合いに出した事を憤る人達は、ウクライナが第二次大戦で被った惨禍をどの程度知っているのでしょうか?

 でも過去の戦争がどうあれ、現在、日本とアメリカの安全保障上の利害が一致するので、日米同盟は強固な同盟として機能しているのです。

 因みに過去の問題を持ち出せば、ウクライナは日本に支援を要請できる義理はありません。
 だってこの国は北朝鮮にミサイルを売ったり、中国に空母を売ったり、日本の安全を脅かすようなことを再々やってくれました。

 それでも今一ウクライナ非難の声が上がらなかったのは、ソ連から独立して以降、ウクライナと言う国は殆ど破綻国家みたいな趣があって、もう何をやっているんだか?何を言ってもどうしようもない国と言う感覚だったからです。

 破綻ウクライナがこんな事をしたのは、ウクライナがソ連領だった時代に、ソ連が結構ウクライナに軍需工場を建てていてたので、兵器を作る事が出来た事、また金も節操もない国だったこともありますが、しかしロシアの差し金だった可能性あります。

 これはソ連ウォッチャーで超知性派軍オタでもあるkazkさんがコメントで教えてくださった事ですが、ウクライナはロシアと西欧の間にあり、ロシアの安全保障上非常に重要な位置にあるのを良い事に、ロシアと西欧の双方に支援を要請して、都合が悪くなると被害者面と言うまるで韓国みたいなことをやり続けたのだそうです。 
 そしてゼレンスキー大統領の発言を聞いていると随所に「さもありなん」と思える箇所があります。

 そういう経緯を知っていくと、ウクライナへの同情心も吹き飛びます。
 挙句に米議会で真珠湾を引き合いに出したのです。

 ところがコイツは図々しくも日本の国会でも、ロシアのウクライナ侵攻を非難する演説をさせろと言っています。
 
 どの面下げて?
 自国がこれまで日本に何をやったかわかってるのか?

 過去の問題を持ち出すなら、小一時間問い詰めたい気持ちがしないでもありません。

 しかし現実の国益を考えたら、こういう事はどうでもよいです。
 日本はウクライナを支援するべきです。
 国会でのオンライン演説も是非やってほしいです。 
 そしてその時には東京大空襲や広島・長崎への原爆投下を引き合いに出して、ロシア軍の攻撃による民間人の殺害や、ロシア側が核を使ってウクライナとその支援国を脅している事を非難すれば良いのです。

 なぜ日本はウクライナを支援するべきなのか?
 だってプーチンがやっている事は絵にかいたような侵略戦争です。

 そりゃウクライナ側がロシアの神経に障る事を一杯やってきました。 でもいきなり首都攻撃なんかしてよい理由にはなりません。
 
 日本だって韓国には散々神経に障る事をやられた上、竹島を奪われたままです。 だからと言ってそれでソウルと釜山を包囲攻撃してよいわけないでしょう?
 ワタシは在特会の会員で、韓国が嫌いな事にかけては日本人の中でも上位5%には入る自信がありますが、それでもそれで韓国への武力攻撃何て馬鹿な事は想像した事もありません。

 ところがロシアがそれをやってしまったのです。
 しかもロシアが膨大な核兵器を保有してる為、アメリカもNATO諸国も直接武力を使っての支援と言うのが大変厄介な状況です。

 このような侵略戦争を認めたら、今後世界秩序が無茶苦茶になるのは自明ですが、しかしそれを止める為にウクライナ側に立って参戦したら、即核戦争になりかねないので、参戦も難しいのです。

 こういう事態をワクワクしながら見ているのが中国です。
 
 アメリカもNATO諸国もこれを止められないまま、ウクライナがロシアの物になれば、中国は「だったらオレも台湾取ってやる」とことになるでしょう。
 プーチンは北京オリンピックでは中国を訪問して習近平と会談していますが、この時習近平はプーチンの計画を知っていた可能性もあります。

 中国としてはロシアによるウクライナ侵略を、台湾侵略の試金石としたかったのではないでしょうか?

 だからウクライナがロシアに取られたら、次は台湾が中国に取られる事になります。
 ウクライナと台湾はこのような形で繋がっているのです。

 そしてこれは逆に言えば台湾が中国に侵略されたら、ロシアはウクライナに、そしてフィンランドやスェーデンに更にバルト三国やポーランドに手を出して、ヨーロッパはまた大戦争なります。

 だからこそこの数年、アメリカだけでなくイギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパの国々が東シナ海にまで軍艦を派遣して中国の活動を牽制してくれたのです。
 これは日本にとって大変ありがたい事でした。

 だったら今回のウクライナの危機では、日本はウクライナを支援するしかないのです。
 そういう事情を理解しているので、ウクライナも日本の支援をあてにしているのです。

 だからワタシもこのウクライナの要請にはできる限り応えるべきだと思います。
 
 とはいえウクライナが一番頼りにしているのはアメリカでしょう?
 だってそもそもロシアに対抗できる軍事力を持っているのはアメリカしかないし、実際アメリカは軍事支援でも経済制裁でも、完全に世界を主導しているのです。

 一方日本と言えばこうした経済制裁ではアメリカに言われて渋々行い、それでもロシアからの石油輸入はまだやめると言っていません。
 軍事支援については防弾ベストを少し送っただけです。
 
 実はウクライナは日本に対戦車ミサイルの支援を要請していました。 そして日本はパンツァーファウストなどウクライナ今喉から手が出るほど欲しい対戦車兵器を沢山もっているのですが、でも「平和主義」を盾に拒否している状態です。

 こういう状況であれば、ウクライナの大統領が多少日本人の気に障ろうとも、アメリカ人に受ける演説を擦る事を非難する事はできません。

 そしてそれでも日本の国会で演説をしたがるのは、日本がアジア最高の先進国であり、日本の国会で演説する事で、欧米だけでなくアジアもまたウクライナを支援しているのだという事をアピールしたいからでしょう。

 ワタシもそれでよいと思います。
 日本にとっての国益は、ロシアによる侵略戦争が阻止されることです。
 なぜならこれによって中国は台湾への侵略戦争を仕掛けにくくなるからです。 
 日本にとってはこれが最も重要な事ですから。

 それにロシアと言う国は日本にとっても敵国であり、過去はともかく現在ウクライナと言う国は敵の敵です。
 
 だから当面はウクライナを支援していくべきでしょう。

  1. ウクライナ
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2022-03-13 11:33

ロシアのウクライナ侵略雑感 スターリンの亡霊

 ロシアのウクライナ侵略から今日で17日目です。 
 たった17日!!
 しかしなんかもう戦争末期みたいになってきました。

 だってロシアのいう事はコロコロ変わってきました。
 最初はロシア系住民を守る為だったのですが、その後ウクライナ政府はネオナチだからと言い、次にウクライナのNATO加盟を阻止するためと言い、更にウクライナ政府が核兵器を作ろうとしている、更にまた生物化学兵器を作ろうとしている、新型コロナウィルスを作ったのはウクライナと言い出しました。

 たった17日でこんなに変わるって、これじゃもう日替わり定食で、説得力は欠片もありません。
 
 また開戦3日後の2月27日にゲラシモフ参謀総長を解任したというニュースが出たのに続いて、今日(3月13日)はロシアの情報機関であるロシア連邦保安庁(シアのウクライナ侵略から今日で17日目です。 
 たった17日!!
 しかしなんかもう戦争末期みたいになってきました。

 だってロシアのいう事はコロコロ変わってきました。
 最初はロシア系住民を守る為だったのですが、その後ウクライナ政府はネオナチだからと言い、次にウクライナのNATO加盟を阻止するためと言い、更にウクライナ政府が核兵器を作ろうとしている、更にまた生物化学兵器を作ろうとしている、新型コロナウィルスを作ったのはウクライナと言い出しました。

 たった17日でこんなに変わるって、これじゃもう日替わり定食で、説得力は欠片もありません。
 
 また開戦3日後の2月27日にゲラシモフ参謀総長を解任したというニュースが出たのに続いて、今日(3月13日)はロシアの情報機関であるロシア連邦保安庁(FSB)の対外情報部のトップが自宅軟禁になったというニュースが出ました。

 これらのニュースがどこまで正しいのかわかりませんが、しかしこれは要するにこの戦争がプーチン自身の目から見ても思い通りに進んでいないという事の表れでしょう。

 一方経済制裁は強烈に効き始めており、ロシアに進出していた外国企業は次々と撤退し、ルーブルは下がり、ロシアは既に破局的なインフレが始まっています。 

 ユニクロも遂に撤退を決めました。
 しかしこれは柳井氏がこの戦争の問題に気付いたわけでもなければ、他国での評判を気にしたわけでもないでしょう? 

 だってロシアはSWIFTから除外されてしまって、ロシア通貨ルーブルをドルに換える事も、またロシアへの送金やロシアからの送金もできなくなっています。
 
 これじゃユニクロがいくらロシアで商品を売っても、その売り上げを本社に送る事はできなし、またロシアで営業を続ける為に必要な経費を本社から送る事もできません。
 更に違法な形での送金を行うと、制裁破りとしてユニクロと言う会社自体が制裁を受けます。
 だから他の企業はどんどん撤退しているのです。
 ロシアで営業を続けると言ったとき、柳井氏はどうやってロシアでの営業を続ける気だったのでしょうか?

 柳井氏と言う人は所謂ワンマン経営者、国家で言えば独裁者だったわけですが、こういう事情を柳井氏に説明する側近はいなかったのでしょうか?
 なんかプーチンと重なってしまいますね。

 プーチンが長く独裁を続けるうちに、いつの間にかプーチンの周りにはイエスマンしかいなくなって、軍も情報機関もプーチンが喜ぶ報告しかしなくなっていたのでしょう。
 それでプーチンは「ロシア軍がウクライナに侵攻すれば、ゼレンスキーは直ぐに逃亡し、ウクライナ軍は抵抗せず、ウクライナ国民はロシア軍を歓迎する。 欧米諸国はロシアのウクライナ領有を既成事実として認め、制裁らしい制裁はしない。」という夢物語を信じ込んでいたのでしょう。

 しかしそういう夢が破れるとともにプーチンと言う人を操るモノ、プーチンに憑りついたモノの姿が見えてきました。
 それはスターリンの亡霊です。

 ロシアが制裁に対して「ロシアは強大な国であり、制裁を跳ね返す」と言い、更にまた3月11日のベラルーシのルカシェンコ大統領との会談では「ソ連は常に制裁下で生きていたし、発展したし、とんでもない成功も達成した」と言っています。

 プーチンが生まれたのはスターリンの没年です。 だから彼はスターリン時代は知らないでしょう。 ワタシと安倍さんはプーチンより一年後で生まれたので、やっぱりスターリン時代なんて知りません。
 しかし元KGB将校からこういう言葉を聞くと、ゾッとします。
 
 ウクライナ国民はホントに背筋が凍ったでしょう。
 ソ連崩壊後何でウクライナが独立したか?
 
 ウクライナ人とロシア人は同じ民族か違う民族か、ウクライナ語とロシア語が同じ言語か違う言語かと言うのは、非常に微妙な所です。
 歴史的には元々同じキエフ大公国だった地域が、モンゴル軍の攻撃を受けてキエフ大公国が崩壊し、ロシア側はモンゴルの支配を受け、ウクライナ側はポーランドの支配を受けた事から、違いが出てきたのです。
 しかし18世紀にはまたウクライナはロシア領になりました。

 こういう歴史的な事情ですから、ウクライナ人とロシア人の違いってホントに少ないし、ウクライナ語とロシア語の違いだってホントに小さく、関西弁と標準語程度とも言います。
 それどころかコサックとかコサックダンスのように、世界中がロシア文化と思っていた物が実はウクライナの物である例も沢山あるし、またゴーゴリーから昭和の大横綱大鵬関の父親など日本人がロシア人だと思っていた人が、実はウクライナ人と言う例も多数あります。

 実はワタシはロシア文学大好きで、結構ロシア文学を読んでいるけれど、こういう文学の中でウクライナ人への差別などを見た事もありません。 またウクライナ人がロシア人を恨む話も見た事がありません。

 だからワタシは実はウクライナ人とロシア人が同じ民族か違う民族かわかりません。
 
 因みにこういう事情で民族が分裂して別な民族になって行くってヨーロッパ大陸には普通にあります。
 尤も別な民族だったはずが同じ民族として一緒に国を作り、でもやっぱり違うといってまた別れるとか、もうその時の都合で好き放題やっている例も多いですから、この種の民族紛争は「犬も食わない」です。

 しかしそれほど近い関係にありながら、何でソ連崩壊後にウクライナが独立したのか?
 それはソ連のウクライナ支配があまりに過酷だったからでしょう。 
 スターリンが起こした人口飢餓ホロドモール、独ソ戦などあまりと言えば余りに悲惨で、この話は全く関係ない他国民が見ても胸が痛くなります。

 プーチンはウクライナをネオナチと非難しているのですが、このネオナチの元になるウクライナのナチだって実は第二次大戦中、余りと言えば余りに過酷なソ連の支配に抵抗する為、ウクライナの民族主義者達がナチに協力した事から生まれたのです。
 ナチはスラブ殲滅作戦を取っており、ウクライナ人もスラブ人として殲滅される側だったのですが、それでもナチの方がソ連共産党よりマシと思えるレベルだったわけです。

 尤もソ連共産党は別にウクライナ人だけを迫害したわけではありません。 ソ連共産党が大量粛清を行ったのは、ウクライナ人だけではないのです。
 
 バルト三国はソ連に侵略されてから直ぐにそれぞれの国の国民の3~5割が、中央アジアに強制収容所に送られてそこで死亡しました。 そしてそれで人口が激減したバルト三国にはロシア人を送り込みました。 そのロシア人達は今もバルト三国に居住しています。
 
 クリミア半島は実はロシア人の物でもウクライナ人の物でもなく、クリミアタタールと言われるモンゴル系の民族と土地でした。 しかしソ連共産党はこのクリミアタタールも中央アジアの強制収容所に送り、それでクリアタタールの人口も半減しました。
 こうして人口が激減したクリミア半島にもロシア人が大量に送り込まれました。

 ソ連共産党はクリミア半島など戦略的要衝からは、ソ連政府への忠誠を期待できない民族を全部中央アジアの荒蕪地の強制収容所に送り込んでいたのです。
 だからロシア沿海州の朝鮮人やボルガ河畔にいたドイツ人などもやはり、中央アジアに送られて大量に死なせています。
 
 因みにボルガドイツ人と言うのは、17~18世紀からロシアに移住したドイツ人で、完全にロシア化しており、軍人や科学者も多数いました。 それで第一大戦でもロシア人として戦った人達です。

 でも絶対数から言えば、一番多く殺されたのはロシア人でしょう。 だって殺害された割合は低くても母数が一番多いのですから。
 何しろソ連共産党に不都合な人間と言うより、不都合だと推定された人は片っ端から強制収容所に送り込んで死なせたのですから。

 だからソ連軍の佐官の3分の2、尉官の半分、将官の殆ど全部が粛清されています。
 ソ連軍元帥でその有能さから赤いナポレオンと呼ばれたトハチェフスキーも粛清されました。

 こんなに将校を殺しちゃったら軍隊が弱くなるのでは?
 ええ、だからフィンランドにも勝てなかったのです。

 それに科学者などエリートも大量に強制収容所に入れられました。 それでソ連の科学技術は大幅に後退しました。

 それからゾルゲの奥さんも銃殺されています。 
 ゾルゲが日本でスパイ活動をする間、彼の奥さんはモスクワで彼の帰りを待っていました。
 でもゾルゲが逮捕されると、日本政府がゾルゲを処刑する前に、ソ連政府は彼の奥さんを銃殺してしまったのです。

 ゾルゲの奥さんが一体何をしたの?
 何もしてないです。
 モスクワで夫の帰りを待っていただけです。
 でもソ連側がゾルゲが日本に逮捕されたら即、ゾルゲが裏切ると決め込んで奥さんを銃殺してしまったのです。
 
 欠片でも疑いを持てば殺す。
 これがスターリン時代のソ連共産党政権だったのです。

 つまりソ連によるウクライナ人迫害は、ナチスドイツのユダヤ人迫害のように民族的な理由ではないのです。
 ロシア人がウクライナ人を憎んでウクライナ人を大量死させたわけじゃないのです。
 ソ連の共産党政権がその独裁権を確保する為にやったことです。 
 ソ連共産党の支配権の邪魔になると推定された者は、民族も職業も関係なく全部殺したのです。

 そしてこのようにソ連共産党の独裁権を握ったスターリンはすが、スターリン自身はジョージア人なのです。
 だからロシア人だって被害者なのです。

 でもこんな国絶対イヤでしょう?

 こんな歴史がある以上、ソ連邦から逃げ出したいと思う国が出て当然でしょう?
 だからバルト三国もジョージアも独立したし、ウクライナだって独立したんですよ。
 
 でもロシア人とウクライナ人が戦ったわけではないし、ロシア人とウクライナ人が憎み合う理由はないのです。
 だからロシアが民主的で自由な国になれば、お互いに一番の友好国でいる事だって可能でした。
 イギリスとアメリカのように・・・・。
 ドイツとオーストリアのように・・・・・。

 ところが今回の戦争でプーチンに憑りついていたスターリンの亡霊が現れました。
 これにはポーランドやバルト三国は、ホントにビビッているでしょう。
 そしてウクライナ人とロシア人が戦う羽目になったのです。

 ワタシもウクライナ政府には色々問題はあったと思いますよ。 
 そもそも半分破綻国家みたいだったし・・・・。

 でもこうやってプーチンに憑りついたスターリンの亡霊が露になってみると、この戦争はもう何が何でもウクライナに理があるとしか思えません。
 だってこれでプーチンに降伏したら、またホロドモール確定!!でしょう?
 ウクライナ人の戦いは国家の生存権以前に、自分自身の生存権を守る為の戦いになったのです。

 そして最後にもう一つ戦争末期を思わせるニュースがありました。 ロシア軍がベラルーシを攻撃したというのです。
 ロシアはベラルーシの参戦を要請するか、或いは最初から参戦の約束だったのに、ベラルーシが軍隊を出さないので、こういう攻撃をしたのだという事です。

 これはウクライナからの情報なのでどこまで正しいかはわかりません。
 但しベラルーシが未だに参戦していないのは事実です。

 これで思い出すのが日ソ不可侵条約の結末です。  
 スターリンは日本の敗戦が決まった頃に、日ソ不可侵条約を破って日本を攻撃し、北方領土を奪いました。
 ルカシェンコだって同じ事を考えているのでは?

 ルカシェンコはロシアが勝ちそうなら喜んでロシア側について参戦したでしょうが、プーチンとどんな約束があろうとも、プーチンが負けそうなら参戦はしないでしょう。 
 代わりに土壇場でロシアを裏切って、NATOやウクライナ側について参戦も十分あり得ます。

 だってルカシェンコはプーチンと心中する気はないでしょう?
 それにコイツにだったスターリンの亡霊は憑いているだろうから、約束を最後まで守るなんてありえません。

 と、いう事はNATO側がルカシェンコを抱き込んだら、この戦争の終結を早められるのではないかと思います。

  1. ウクライナ
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2022-03-11 20:09

青い空

 昨日はよもちゃんのお葬式をしたペット霊園に行きました。
 ここでお葬式をすると卒塔婆を作って祀ってくれるくれます。 

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 卒塔婆は普通はお墓に立てるのだと思いますが、ここは屋内に卒塔婆の安置所があってそこに祀ってくれるのです。
 卒塔婆はお葬式の後、一週間ぐらいでできるとのことでした。

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 それでワタシは先週の週末に行く心算でした。
 でも先週の週末はすっかり落ち込んで部屋に引籠っていました。

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 よもちゃんが死んだ直後、ワタシは「悲しみ」から身を守ろうと頑張っていました。 そいつは黒い大きな犬のようにワタシを後ろから付け狙い、ワタシが油断すると襲い掛かるのです。

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 それでよもちゃんが死んだ直後の数日は、毎日頑張ってよもちゃんの病中にできなかった用事を次々と片付けていました。
 気を抜いてぼ~~っとしていると、そいつが襲ってきそうだったのです。

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 よもちゃんが病気になってからは、よもちゃんの傍を離れたくなかったので、ワタシは近所のドラッグストアと獣医さんにしか行かなかったのです。
 鼻炎の薬が切れてしまい、咳と淡が酷くなり、耳鼻科へ行かなければならなかったのですが、それもよもちゃんがいる間は我慢していました。
 髪の毛も随分伸びて美容院に行きたかったのですが、それも我慢していました。

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 だから週末ぐらいまでは毎日何かしらする事がありました。
 でも週末になると、遂にそういう用事もすべて終わり、疲れが出てきました。 
 すると遂にそいつに襲われてしまい、二日程全く無気力状態になっていました。
 
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 そうやって無気力状態になっていると、もう二度と元に戻れないような気がしました。
 でも週明けにまた何とか気を取り直す事ができました。
 そして漸くよもちゃんの卒塔婆を見に行くことができるようになったのです。

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 昨日は朝から素晴らしい快晴でした。
 それにすっかり暖かくなっていました。 
 よもちゃんのお葬式をしたペット霊園までは徒歩で30~40分程です。
 ここはワタシが夏に野菜を買いに行く無人販売所の近くで、前に何度も散歩できたことがあります。

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 見晴らしのよい綺麗な神社で、ここにペット霊園ができたときは、「良かった!! もしよもちゃんに万一の事があったら、ここにお願いしよう」と思っていました。
 でもホントにお願いする事になるとは、夢に思いませんでした。
 しかしそれを嘆いても仕方ありません。
 
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 よもちゃんの卒塔婆は綺麗にできていました。 よもちゃんのお葬式をしてからまだ10日あまりしか経っていないのに、よもちゃんの後からお葬式をした犬や猫の卒塔婆がいくつもありました。
 でも昨日はお葬式をしている人は見かけませんでした。
 
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 よもちゃんのお葬式をした日は、吹雪の翌日で札幌中の道が大渋滞で大変だったのですが、何組もの家族がお葬式に来ていました。
 よもちゃんの骨上げを待っていると、火葬炉の前で最後のお別れする人の声が聞こえてきました。
 男の人が「リッキーさようなら!!」と叫んでいました。

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 でも昨日は待合室には全く人影はなく、駐車場にも車はありませんでした。
 そして火葬炉の煙も見えませんでした。
 よもちゃんが火葬炉に入った後、妹と二人で青空に登る煙を見ました。
 よもちゃんの火葬が終わると言われて待合室に戻る前に、別な家族がワタシ達姉妹と同様、火葬炉の煙を眺めていました。

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 でも昨日は全くお葬式はなかったのでしょう。
 青空に登る煙も、またその煙を眺める人もいませんでした。
 だから空は唯々青く明るかったです。

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 霊園を出たのは3時過ぎです。
 でもまた日は高く、明るく温かったです。
 道の雪はドンドン溶けています。
 この調子なら来週には自転車が使えるかもしれません。
 例年になく早い雪解けになりそうです。

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 今年の冬は非常に雪が多くて、札幌中の排雪場が満杯になり、除雪した雪の置き場所がなくなって道路が狭くなって、札幌市内のあちこちで大渋滞が起きていました。
 でも3月になってからの気温は異様に高く、ドンドン雪が溶けているのです。
 実にあっけない冬の終わりです。
 ワタシにとってはとても辛い冬でしたが、それでもその冬も終わるのです。

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 この写真を撮ったのは1月16日です。
 このころは元気一杯だったのです。
 でも今よもちゃんはどこにいるのでしょうか?
 卒塔婆のある霊園なのか?
 それとも遺骨のある我が家の居間なのか?
 それとも青い空の彼方なのでしょうか?

  1. 札幌の四季
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  3. CM(4)

2022-03-08 11:52

ロシアのウクライナ侵略雑感 9条で戦争は防げない






加藤登紀子
@TokikoKato
あらゆる国家間の紛争を武力で解決しない。これを日本の憲法9条で決めています。日本は海岸線にいくつも原発を設置しています。絶対に武力攻撃を受けないための外交が必須です。
https://twitter.com/TokikoKato/status/1500416632115855361

絶対に武力攻撃を受けないための外交が必須です。

 ワタシも「絶対に武力攻撃を受けない外交」は理想の外交だと思います。
 しかし今回のウクライナの例を見てもわかりますが、それは不可能だと思います。

 だって今回のロシアのウクライナ侵攻だって、ウクライナ側は予測していなかったのではないでしょうか?
 ゼレンスキーはロシア軍の侵攻直後に、ウクライナ国民にロシア軍への抵抗の為に国土防衛隊への入隊を呼びかけました。
 しかし本来ならこんな事は半年も前からやっておくべきだったのです。

 それがこんなおっとり刀になったのは、ゼレンスキーもそしてウクライナ軍の首脳も、プーチンがウクライナ全土侵略を狙った侵攻などするとは想像もしていなかったからではありませんか?

 実は前回のエントリーでkazkさんがコメントで指摘してくださったのですが、今回のロシアの攻撃の仕方はホントにオカシイと言うのです。
 
 それでワタシも気づいたのですが、ウクライナって人口4000万、国土はフランスやドイツに匹敵する広さで、本来の意味では弱小国ではないのです。
 また海軍と空軍は貧弱ですが、陸軍兵力ならロシアの半分ぐらいはいます。 そして西欧からの軍事支援も期待できるのです。

 こういう国を攻略するのであれば、ロシア側も国家総動員体制を敷くべきでしょう。 でもロシアにはそんな気配はなく、それどころかロシアはウクライナのハリコフやキエフなどウクライナ主要都市を攻撃する事など、ロシア国民には全く知らせていなかったのです。
 これで本格的な戦争ができるのでしょうか?

 実際、侵攻前のロシア軍の兵力や兵站、国際法上の問題などを考えると、こんな形での侵攻をしてもロシアは得る物より喪う物の方がはるかに多い、だから賢いプーチンは脅しはしてもホントに侵攻するようなことはしないと予想する人が多数でした。
 そして侵攻しても東部2州を得る事で満足するだろうとの予想されていました。

 ところが現在プーチンはウクライナに事実上の無条件降伏を要求して、攻撃を続けています。
 こんな事は誰も予想できなかったのです。

 予想できなかった事をどうやって防いだら良いのでしょうか?

 哀しいけれど人間の知性には限界があり、敵の出方や意図を常に正しく予想できるわけではないのです。
 世界中のどんな国もそういう人間の限界を理解しているから「絶対に武力攻撃を受けないための外交」なんてものは不可能だと理解したうえで、国防を考えているのです。 

 そもそも世界中の国々は普段から武力攻撃を受けない為の必死の外交努力をしているのです。
 特に軍事的に脆弱な弱小国は、常に必死の外交努力をしているし、また外交も非常に上手いのです。

 例えばベトナムなんかホントにすごいです。

 ベトナム戦争中、パリで和平交渉がありましたが、この和平交渉では交渉開始前にテーブルの形をどうするかで延々ともめ続けました。
 何でテーブル形が問題かと言うと、北ベトナム側は北ベトナム政府と解放戦線、南ベトナム政府とアメリカはそれぞれ全く別個の立場だという事で、正方形か円のテーブルを使い、それぞれ代表は別個の着席して交渉をするべきだと言ったのです。 しかしアメリカと南ベトナム政府は、この交渉は北ベトナム政府・解放戦線 対 アメリカ・南ベトナム政府と言う立場で行うべきなので、長方形のテーブルの長辺に北ベトナム政府と解放戦線代表、反対の長辺に南ベトナム政府代表とアメリカ政府代表が、それぞれ座って交渉するべきだと言ったのです。

 ワタシは当時まだ中学生ぐらいだったのですが、こんな事で延々ともめているニュースを見て呆れた事を覚えています。 そして一緒にそのニュースを見ていた父が「コイツラホントに気が長いから、日本人はやってられない。」と言ったのを覚えています。
 父は戦時中、日本兵としてインドシナ半島を転戦しベトナム語もできました。

 しかしこうやって長々と揉めている間に、北ベトナム政府はアメリカの厭戦気分を煽ると共にジワジワと国際世論を味方につけて行きました。

 弱小国であるベトナムはこういう執拗で粘り強く強かな外交を駆使して、軍事力の劣勢を補い、遂にアメリカをベトナムから撤退させて、ベトナムを統一したのです。

 ベトナムが統一されて間もなく、中国がベトナム懲罰戦争を仕掛けたのですが、これをアッサリ撃退しても、ベトナムはそれ以上深追いするようなことはせず、速攻で中国と和平しています。
 この戦争は明らかに中国からの不当な侵略でしたが、しかしそれでもベトナムの国力を考えたら戦争の早期終結を選んだのです。 
 国民も冷静で、完全にこの決定を支持しています。

 そして今は中国の脅威に対応して、アメリカとよりを戻し、対中国包囲網に加わっています。

 しかしそのベトナムも歴史上、何度も武力攻撃を受けているのです。 そして過去にはフランスや中国の支配を受けています。
 逆に言えばベトナムはそういう過酷な経験を積む事で、強かな外交を身に着けて行ったのです。

 それなのに歴史的に二度しか外国の武力攻撃を受けた事のない日本が、ベトナムを凌ぐような外交を身に着ける事ができるのでしょうか?
 加藤氏が本気をそれを可能だと思うなら、加藤氏はベトナム人を芯から馬鹿にしているか、日本人を途方もない選民だと思っているのではないでしょうか?

 ワタシはネトウヨなので日本は優れた国だし、日本人も優れた民族だと思っているけれど、それでも歴史的にロクに外交で苦労した事のない日本と日本人が、厳し歴史の中で生き残った国々を凌ぐような外交ができるとは思っていません。
 
 世界中、どの国も外交だけで武力攻撃を防げるとは思っていません。
 だからどんな弱小国でも、弱小国なりに必死に軍隊を作って外国からの武力攻撃に備えるのはありませんか?
 
 そして世界的には「戦争は血を流す外交。 外交は血を流さない戦争。」と理解されているのです。
 だから世界中の国は外国からの武力攻撃を防ぐために、軍事と外交の両方で努力してきたのです。

 しかし加藤氏のような人々は、こうした世界中の国々の努力を全く理解せず、むしろ馬鹿にしきっているのです。
 
 因みに本当に外交で武力攻撃を防げるなら、武力攻撃をされた国は外交で失敗したという事になります。 
 だったら日本もドイツも第二次大戦について反省する必要は全くありません。 日華事変以降の所謂日中戦争も全く無問題です。
 
 なぜなら加藤氏理論によれば、連合国や中国が外交努力で戦争を防がないからこうした戦争が起きた事になるからです。
 だから悪いのは日本やドイツではなく、連合国であり中国なのです。
 
 これは欧米の植民地支配も同様です。
 阿片戦争はイギリスではなく中国が悪いのです。
 清朝は勝ち目のないのにイギリスと戦争せずに、中国での阿片販売を認めれば良かったのです。 そうすれば戦争になりませんでした。 
 香港も自分から差し出すべきでした。
 実際イギリスの香港統治は、清朝、中国国民党政府よりも百倍マシ、そして現在の中国共産党政権による統治よりも1万倍良かったのです。

 ところがなぜか大変不思議な事に、加藤氏等自称平和主義者は、絶対に武力攻撃を受けない外交が可能という前提で、憲法9条の堅持を叫ぶのですが、なぜかイギリスの帝国主義や第二次大戦の枢軸国は非難するのです。
 そして絶対に武力攻撃を受けない外交が必要と言いながら、それでは具体的にはどうするのかを言いません。

 そもそも加藤氏が歌手としてデビューした頃は、ベトナム戦争の最中でした。 そしてその戦争を背景にアメリカでベトナム反戦運動が起き、それがそのまま日本にも流れ込みました。

 それで日本の芸能人も、アメリカで流行したベトナム反戦歌や、日本で作った反戦歌を売り出しました。 加藤氏もこういう反戦運動に便乗して売り出した歌手でした。

 そしてワタシの記憶では日本で9条教・ひたすら国防を否定する反戦思想が定着したのはこの頃からです。
 なぜならこのころワタシは中学生だったのですが、このころまでは例えば少年漫画誌には日本軍を主役にした戦争漫画が必ず連載されて、「ゼロ戦はやと」などのアニメ化されたりして、戦争をひたすら否定的にみる意見が世論を席捲していたわけではないからです。

 でも考えてみれば、あのベトナム反戦運動はヘンテコリンな物でした。 
 なぜならそもそもベトナム戦争を終わらせるなら、北ベトナムと解放戦線が降伏すれば済む事なのに、自称反戦運動家はひたすらアメリカに撤退を求めるばかりで、北ベトナムや解放戦線の戦いは賞賛し続けたからです。
 
 結果はどうですか?
 そりゃ自称反戦運動家の応援もあってアメリカは撤退したけれど、それで統一ベトナムでベトナム人は幸せになりましたか?
 大量の人々が共産主義の支配を逃れてボートピープルになりました。
 そして最終的には共産主義そのものが崩壊したではありませんか?
 あの時、解放戦線と北ベトナムが降伏していれば、今頃ベトナムはタイやマレーシアを凌ぐインドシナ随一の経済大国になって、ベトナム人は自由で豊かな生活を享楽していたのではありませんか?

 しかしながら加藤氏等、自称反戦論者はその後もアメリカとの戦争が起きるたびに、アメリカは非難するけれど、アメリカを非難するばかりで、アメリカと戦う人達をひたすらたきつけて戦争を煽るのです。

 ところが今回、なぜか方向を変えて、ウクライナ人に降伏しろと言い出しました。
 
 何のことはない。
 コイツラは反戦運動家じゃなくて、反米運動家だったのです。
 しかもホントに戦う気もない反米運動家だったのです。

 まあ良くも悪くもアメリカって資本主義と民主主義そのものの国です。
 資本主義と民主主義は優れた制度だったので、アメリカは世界一豊で強い国になったのです。
 でもいくら成功した制度と言っても、人間の作る制度ですから細かい所を見れば色々問題はあるでしょう。
 
 コイツラはそういう所に文句を言う事が、何か非常に高尚な事と信じているようです。
 でもそれでも資本主義と民主主義の与えてくれると豊かさと自由を捨てる気は全くないのです。

 そういう人たちだからこそ、ウクライナ人の苦境など知ったことかで「絶対に武力攻撃を受けない外交」なんて言ってられるのです。

 因みに「あらゆる国家間の紛争を武力で解決しない。これを日本の憲法9条で決めています。」というのは事実ですが、日本国憲法というのは日本国内でしか効力がないので、中国にもロシアにも北朝鮮にも関係ありません。
 だからこうした国々からの武力攻撃を防ぐ為には何の役にも立ちません。
 東大卒でこれがわからないって困りますね。

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 オマケ

 今日、妹と獣医さんがよもちゃんにくれた花が全部ダメになりました。
 花が少しずつ萎れていくのを見るのは辛いので、これからはコサージュを飾ります。 実は昔母がアートフラワーをやっていたので、母が作ってくれたコサージュが沢山あるのです。
 
 よもちゃんお供えしたハムやベーコンは、丸一日で干からびて元の半分ぐらいになります。
 干からびて縮んだ分はよもちゃんが食べたのだと思う事にしています。

 よもちゃんのトイレやご飯用の小鉢は、まだ処分する事ができません。
 それからアマゾンから届いて封を切っていないキャットフードと、トイレの傍に置いた猫砂もそのままです。

 一昨夜、よもちゃんが居間のベッドにいる夢を見ました。 
 大喜びで抱き上げると、滑らかな毛皮の手触り、温かく柔らかい体、ずっしりとした重みがありありと感じられました。
 
 よもちゃんは病気になってからアッと言う間に痩せて、更に脱水状態になったので、なでると毛皮の下にゴツゴツとした骨が当たるようになりました。 抱き上げると嘘のように軽くて悲しかったです。

 でも夢の中のよもちゃんは病気になる前の丸まると太ってずっしり重く、全身がぽっちゃりと柔らかいよもちゃんでした。

 ワタシはすっかり嬉しくなって、「神様がよもちゃんを返してくれた!!」と思ったのですが、でもなぜか傍に見知らぬ女の子がいて、その子からそれはよもちゃんに似た別の猫だと告げられました。

 それでワタシはその猫を貰おうと思ったのですが、その時胸に強い痛みを感じて目が覚めました。

 花が枯れ、ハムとベーコンが次々と干からびて、時間が過ぎて行きました。
 それで悲しみも大方消えたと思ったのですが、そう簡単にはいかないようです。
 でも頑張ります。
  1. ウクライナ
  2. TB(0)
  3. CM(28)

2022-03-05 11:48

ロシアのウクライナ侵略雑感 平和ボケが戦争を招く

 先日、モンクさんがコメントでこんな動画を紹介してくださいました。 この動画をアップしている方はスペイン在住で、欧州に出回っている情報を中心に紹介してくださっています。 その為、プーチンの欧州でのプロパガンダが実に綺麗にまとまっています。



 で、これを見ているとプーチンは、拡大し自国へ迫るNATOの脅威から、ロシアを守ろとしているのだと言う事になります。
 またアメリカは、特にトランプ大統領はNATOとウクライナを焚きつけて、ロシアを攻撃させようとしている思えてしまいます。

 そしてプーチンはこうした西欧の脅威から、何とかして自国の尊厳を守ろうとしているのだと言うのです。
 
 だから「アメリカの正義を無条件で信じるな!!」「ロシアの生存権を認めよ!!」「ロシア人が曝されている恐怖を理解せよ!!」と言う結論になっています。

 しかしこれホントでしょうか?
 確かに歴史的にはロシアは何度も外国から侵略を受けています。 
 だからロシアとロシア人が国防に関して非常にナーバスなのは事実です。

 でもそれで「今はNATOの拡大に怯える」と言うのは、インチキです。
 だってNATO軍の凋落は無残で、特にNATO軍の中核となるはずのドイツ軍の零落は目も当てられません。



 何しろドイツ陸軍が現在所有する戦車は200両足らずで、しかもその稼働率は韓国軍以下の40%という有様です。
 ドイツと言えば陸軍、ドイツ陸軍と言えば戦車なのに、その戦車がこの有様ですから、海軍や空軍はさらに悲惨です。

 ドイツ軍がこんなザマになったのは、ドイツ統一、東西冷戦終結後、ひたすら軍備を減らして来たからです。
 でもそれもわかります。 
 
 ドイツが近代以降、ヨーロッパ最強の陸軍を擁してきたのは、ドイツと言う国が常に敵国と国境を接してきたので、戦争になれば国境を越えて適地へ攻め込む、ドイツ軍が弱体化すれば敵が国境を越えて攻め込んでくると言う、明確な脅威に晒されてきたからです。

 でも東西冷戦でフランス始め国境の西側の国々は、敵ではなくなり、更に東西冷戦の終結で国境の東側の国々も敵ではなくなりました。
 更にEUの拡大で、国境の東側の国も西側の国も、皆EUと言う拡大国家になり、ドイツはEUの真ん中、敵国の国境は遥か彼方になったのです。

 ドイツは至って現実的な脅威の為に苦労して莫大な防衛費を工面して、徴兵制も敷いて、軍備を整えてきたのですから、その脅威がなくなればアッサリと防衛費を減らすのは当然ではありませんか?

 軍備なんて敵国からの脅威がなければ、ホントに無駄金です。 ましてドイツは日本と違って地震も台風もないのですから、軍隊が災害出動することさへもないのです。
 
 NATO軍の中核であるドイツ軍がこれじゃ他は推して知るべきです。

 勿論、NATOの拡大に応じて加盟国は無暗に増えました。
 しかし冷戦終結後NATOに加盟した旧共産圏の国々は、どれもみんな貧乏国です。 これらの国々は冷戦後の軍拡を続けるロシアが恐ろしくてNATOに加盟したわけですが、でもない袖は振れません。

 だってオレタチ貧乏なんだモン!!
 でもNATOに入ればドイツ軍や米軍が守ってくれるから大丈夫!!

 一方ドイツはドイツで、

 これからはお隣皆と仲良しだもんね。 
 だったらお隣と戦争する心配はないから、防衛予算なんか削って、福祉に回すよ!!
 それにイザとなったら米軍がいるしね。

 こんな感じで結局皆で防衛予算を削り続けたので、NATOは加盟国は凄く増えたのに、全体としての兵力はがっくりと減ったのです。 
 しかも中心になるドイツなど強国の兵力が減ったのです。

 ロシアのウクライナ侵攻直後に、ドイツ首相が防衛予算をGDPの2%まで上げると言い出しました。 
 でも本来NATO加盟国にはGDPの2%を防衛予算に回すと言う義務がありました。
 でも今頃そんなことを言い出すって・・・・。
 
 つまりドイツはこれまでずうっとGDPの2%を軍備に回すと言うNATO加盟国の義務をサボっていたという事でしょう?
 でもこれドイツだけじゃないでしょう?

 これに切れたのがトランプ大統領です。
 トランプ大統領の「アメリカファースト」は、アメリカが世界一になる、アメリカの中華思想なんかではありません。
 アメリカ政府はアメリカ国民の生活を第一に考える政策をするという意味で、アメリカが世界の警察になるとか、アメリカが世界秩序を守る為に、アメリカ国民の生活を犠牲にするようなことをしないという意味です。

 しかしトランプ大統領は現実的な人ですから、アメリカが手を抜けば、独裁者達が暴れ出す事もちゃんと理解していました。
 そこでNATOには「オマイラ、ちゃんとGDPの2%を軍備に回せ!! 米軍ばっかりあてにすんな!!」と言い、またそれでも金のない東欧諸国には様々支援をしたし、更にNATOに加盟していないけれど、一番ロシアの脅威に晒されているウクライナにもジャベリンなどの対ロ防衛に有効な武器を供与していたのです。
 勿論プーチンにもしっかり釘を刺していました。

 だからこのままトランプ大統領がアメリカ大統領として頑張り続けていたら、プーチンだって何もできなかったでしょう。

 しかしトランプ大統領は落選し、代わりに大統領になったのがバイデンです。
 そしてそのバイデンが嵌ったのが脱炭素です。 
 しかもドイツはアメリカ以上に徹底的に脱炭素に嵌っていました。

 二酸化炭素の増加による気候変動については今は議論しません。
 しかし脱炭素はエネルギー安全保障にとっては大変な危機を招きました。

 だってエネルギーの確保は国の存亡に係ります。 それどころか寒冷地だとエネルギー不足やブラックアウトは、そのまま国民の大量死につながります。
 それなのにエネルギーの供給を外国に、しかも民主主義国家ではない国にゆだねるってあまりと言えば余りに危険じゃないですか?
 
 ところがバイデン政権はその脱炭素で、ワザワザ自国内のシェールガス採掘をやめてしまい、エネルギー自給自足のチャンスをドブに捨てました。
 これは尊敬するカカシさんも指摘しておられますが、西側諸国のグリーンエネルギー愚策がプーチンの勢力強化となったのです。
 そしてドイツに至っては、原発も石炭もやめて、エネルギーの供給を大幅にロシアに依存したのです。

 これはホントに驚きます。
 だって日本だって平和ボケの本場だし、天然ガスも沢山買っているけれど、それでもロシアから石油や天然ガスをパイプラインで引くなんて話は全くでません。 
 樺太からパイプラインを引く事は、技術的に十分可能なのに・・・・・。

 ところがドイツはエネルギーを大幅にロシアからのパイプラインに依存して、しかもそれをあてにして原発は廃炉にして、炭鉱も閉山する予定にしたのです。

 軍隊は凋落し、エネルギーは全面依存。
 これではイザとなった時に、ドイツはロシアに逆らえない・・・・・。
 プーチンがそのように確信したのは当然でしょう?

 ドイツの生命線はロシアが抑えたから、オレに逆らえない。
 NATO軍はボロボロ。
 アメリカの大統領は無能の極みで、イザとなっても何もできない。
 だったら今がチャンスだ!!
 これで少し待ってトランプが大統領に返り咲いたりしたら、こんなチャンスは二度とこない。

 プーチン大統領はそう思ったんじゃないですか?

 最初に紹介した動画の中でドイツの海軍中将がプーチンの立場を代弁して「ロシアは古い国だ。 だからロシアの尊厳を守りたいのだ。」という場面があります。
 
 ワタシはウクライナのNATO加盟がロシアの尊厳を損なうという話には全く同意できません。
 しかし「ロシアは古い国だ。」と言うのは、全くその通りだと思います。
 
 現代の先進国は今回のロシアがやったようなあからさまな侵略戦争や領土拡張への野心は全くありません。
 しかし現代の西欧諸国も昔は違いました。
 
 領土拡張は人間の本能であるから、能力があるのなら行うべきだ。
 
 これはマキャベリの君主論の一節ですが、君主論が書かれた時代は勿論、20世紀前半はこれで生きていたのです。

 そしてロシアは今もまだこのマキャベリの言葉がそのまま生きていているのです。 その意味ではロシアは古い国です。
 でもこれはロシアが得に遅れているというわけではありません。 むしろ世界中の大多数の国は「古い国」なのです。

 そういう国が世界中の殆どを占めているのに、勝手に自分達の倫理道徳が世界を席巻しているかのように慢心して、平和ボケしてしまえば、戦争を招くのは当然ではありませんか?

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 オマケ

 上の絵はロシアの国民的画家イリヤ・レーピンの代表作「トルコのスルタンに手紙を書くサポロージャ・コサック」です。
 ロシア政府のレーピンの絵画紹介のサイトでは、以下のような解説がついています。

レーピンが10年以上を費やして描いた「ザポロージェ・コサック」は人生を愛する人間の自由な心が表現されている。レーピン自身、作品の登場人物について「素晴らしい人々!世界でこれほどまで深く自由と平等と団結を感じた人々はいないであろう」と綴っている。

 題材の基になっているのは1675年に実際に起こった出来事。スルタン、メフメト4世がコサックたちに対し、降伏して自分の側につくよう提案したのに対し、コサックたちがそれを拒否する罵りの手紙を書いたのである。「お前はトルコの悪魔だ。呪われた大悪魔の友人だ。ルシファーの書記だ!」と。

 コサックは元来、ウクライナの武装集団です。
 この絵はそのコッサクの中で、ウクライナのサポロージャ地方のコサック達が、トルコのスルタンの降伏勧告を拒絶する手紙を書く場面を描いているのです。

 強大な敵に一歩も引かない不屈の勇気。
 誰からも支配されまいとする自由な心情。
 
 こうしたコサックはその武勇と独特の豊かな文化と相まって、ウクライナがロシアに併合されてからはロシア内外からロシアそのもの、ロシアの誇り、ロシア人の理想の姿と認識されるようになりました。

 だからロシアの国民画家レーピンはこの絵を描いたのです。 

 ところでこのサポロージャ・コサックの故郷にある原発をプーチンが攻撃しました。
 
 これがサポロージャ・コサックの末裔たちにとっても、またロシア人にとってもどれほど深刻な悲劇であるかは、想像を絶します。
  1. ウクライナ
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