夕べ「激論クロスファイア」の反消費税増税派・高橋洋一と増税派・原真人の議論を見ました。
番組は5月26日に放映された物ですが、ギャオで6月2日まで見る事ができます。
ワタシは現在増税反対派です。
その論拠の殆どは高橋洋一の受け売りです。
しかし高橋洋一が絶対正しいとも限らないので、反論はできるだけ聞く事にしています。
だから夕べもこの議論をたわけです。
で、議論を見た結論ですが「やはり増税派には合理的根拠がない」です。
そもそも増税派・原真人の言っている事が、支離滅裂なのです。
彼は日本の国債残高が1000兆円を超えて、GDPの二倍、だからハイパーインフレになる!!!と言います。
一方で「アベノミックスにより、日銀が大量に国債を買い続けているにも関わらず、インフレターゲットが達成できない、だから日銀の金融緩和政策は無駄であり、止めるべき」ともいうのです。
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日銀が国債を買うという事は、国債をお金に換えるという事です。
だから日銀による国債の大量買入れが続けば、市中に出回るお金が増えて、インフレになります。
そしてその国債買い入れが破滅的な量になれば、インフレも破滅的になるというのは、低学歴のワタシにだってわかります。
だから2012年にアベノミックスが始まって以降、日銀はインフレターゲットつまり年率2%のインフレを実現するために、国債を大量に買い入れて市中に出回るお金を増やそうとしてきたのです。
ところが現在まで年率2%のインフレにはなっていません。
この状況について、原真人は「だから日銀の国債買い入れは無駄。」と言いながら、しかしこれを続けると「ハイパーインフレになる。」と言うのです。
これオカシイでしょう?
ハイパーインフレになるのが心配だから日銀の国債買い入れを止めろ、言うのであればインフレが起きていない段階で国債買い入れを止める必要はないでしょう?
これまで日銀が国債を買い入れてもインフレにならなかったのは、つまりはそれでもまだ市中に出回るお金が足りなかったからではありませんか?
そもそも買い入れた国債と引き換えに、渡された代金が貯金になってしまい、市中に出なかったのではないでしょうか?
いずれにせよ現在のところ国債を日銀が国債を買い入れてもインフレターゲットを達成できていないのですから、とりあえずターゲット達成まで買入れを続けるべきでしょう?
国債買い入れを続けたからと言って、直ぐにハイパーインフレになるわけではありません。 インフレ率が2%になるまで続けて、2%になったところで止めれよいのです。
最初からそういう予定だったでしょう?
高橋洋一も番組内で「インフレターゲットに達成するまで、国債の買い入れを続ければ良い。」と言っていました。
それをインフレターゲット達成前に止めなければならない理由が、全然わかりません。
これについて彼は国債残高について、明治初年から始まる長期のグラフを出して、現在の国債発行残高とそれに至る経過が、第二次大戦直前から貯金封鎖等が行われた戦後のインフレ期までの経過と酷似している事を示して、現在の日本の財政状況がいかに危機的であり、このままいけば戦後のインフレのような状況になる言うのです。
確かに国債発行残高のグラフは戦前から戦後までと、バブル以降から現代までと大変良く似ています。
しかしこれも高橋洋一が番組内で反論した通り、戦争で生産力の殆どを破壊されて、国家の資産も灰塵に帰した時代と現在では状況があまりに違います。
現在の日本は国内の生産力があり余り、世界一の債権国でありその債権から得られる金利輸入で、常に経常収支が黒字になってるのです。
明治から敗戦までの日本とは全然状況が違うのです。
原真人によらず「財政赤字でハイパーインフレが~~!!!」と言う人達が持ち出すハイパーインフレや国債暴落の例って皆この手なんですよね。
つまり敗戦直後の日本とか、第一次大戦後のドイツとか、南北戦争敗戦後の南部同盟とかです。
こんな敗戦で国土が荒廃し、国家主権をその物を喪ったような非常時の経済の話が、現在の日本と比較になるんでしょうか?
財政金融政策の失敗だけで、ハイパーインフレが起きるというなら、戦争をしたわけでもなく、国家主権も国内の生産力も資産も喪われてない状態で、国債が暴落し、ハイパーインフレになった国の例を挙げて貰わないと困ります。
そしてアベノミックスへの評価ですが、高橋洋一はインフレターゲットは達成できなかったけど、失業率が減り雇用が改善した時点で、成功だと評価しています。
因みにインフレターゲットが達成できないのは、前回の消費税増税の為だと言います。
ワタシも消費税増税とそして本来アベノミックスでやると言っていたはずの財政出動を殆どやらなかったからだと思っています。
しかし原真人は、失業率が減ったのは、日本の人口減少と高齢化の進行で、労働力不足になってきたからであり、アベノミックスは失敗だったと言います。
これについて高橋洋一は、労働力の減少は民主党政権時代以前から始まっていたけれど、しかしアベノミックス開始以前には雇用は改善していない事をグラフで示しました。
これを見ると人口減少は民主党政権時代以前から始まっていたけれど、雇用の増加はアベノミックス開始以降、そしてその増加量は人口減少をはるかに上回っているのです。
これでは人口減少だけで、雇用の改善を説明するのは不可能です。
これに対して原真人は、「増えたのは非正規ばかり」と言います。
ええ、非正規労働者が増えたのは確かです。
しかし正規雇用も確実に増えています。
原真人は「正規雇用が減って、その仕事を非正規が数人で行うようになったので、雇用者数が増えた」と言っていました。
しかし正規雇用者が減ったという事実はないのです。
むしろ人口が減少する中、フルタイムの正規雇用で働ける人の人数が限られている為、高齢者や主婦と言った人達が非正規雇用者として働くようになったというべきでしょう?
実はこの図の元の図録(非正規雇用者と正規雇用者の推移)に非正規雇用者の内訳や、非正規雇用を選んだ理由のグラフも示されていますが、実は非正規雇用者の圧倒的多数は主婦のパートです。
そしてその次が高齢者です。
だから非正規雇用者の中で正規雇用を望んでいる人は、男性で2割、女性では1割弱なのです。
こういう状況を無視して「非正規が~!!」と言われてもね・・・・。
それにしても原真人お粗末です。
番組で高橋洋一が示した雇用者数の推移のグラフは、彼が他の論文でも何度も使っています。
ネットにも一杯出ています。
原真人は番組に出演する前に、高橋洋一の論文をチェックしてなかったのでしょうか?
雇用について言及したらこのグラフが出る事は自明なのだから、反論の為の資料を自分でも用意しておくべきだと思うんですけどね。
それでも原真人はアベノミックスは失敗、日銀の金融緩和は止め、消費税を増税するべきと言うのです。
「増税しないと日本経済が破綻する」と言うのです。
それじゃ破綻の確率は?
それはわからない・・・・・。
確率として考えていない。
と言うのが原真人の答えです。
一方、高橋洋一は5年以内の破綻の確率を計算して5年以内では1%未満と言います。
これには国債暴落の保険料の算定にもかかわるので、全世界の国債暴落のリスクを算定する方法が確立しているのです。
国債を持っている人は、国債が暴落すると大損害を被りますから、その損害に対応する保険があります。 その保険料は国債が暴落する確率で決まるのです。
それでその暴落が起きる確率を計算する方法があるのです。
この方法で計算して日本の国債が暴落する確率は、5年以内に1%未満と言うのです。
これは世界中の他の国の国債の暴落確率と比べても最低レベルなのです。
だから日本国債の暴落保険の保険料は最低レベルなのです。
それでは原真人の言う財政破綻とは?
また財政破綻する、国債が暴落するという話は、一体いつ起きるどのような事を想定しているのでしょうか?
しかし彼は暴落が起きるとは言うのですが、その確率もまた暴落が起きる時期も全く示しません。
そもそもそういう数理的を全く考えていないのでしょう。
だから期間も区切らず、確率も言わないで「いずれ破綻する。 だから増税しろ」と言うのです。
しかしこれは、降水確率10%未満の快晴の日に、「豪雨になるかもしれにから外出を控えろ」と言うのと同じです。
そりゃ豪雨だっていつかは降るでしょう。
でも降るかわからない豪雨に備えて外出を控え続けるのですか?
因みに3年以内に東南海地震が起きる確率は、10%です。
そして日本国債が暴落確率は5年以内に1%未満です。
だったら今やるべきことは、増税なんかでは耐震化工事などの防災対策であり、その為には国債を発行して国家予算を出すべきでしょう?
地震が起きれば国家の生産力は減少し、税収も減り、財政は確実に悪化します。
だったら財政をよくするためにもまず必要なのは、地震被害を軽減するための政策なのです。
前記のようにワタシは増税派の意見を知りたくてこの番組を見たのですが、最後まで見ても出てきたのは、今まで散々論破されてきた話だけでした。
増税派は国債残高だけを見て、とにかく増税しなければ破綻するというだけで、その国債残高と
国家資産のバランスも理解できていません。
しかも現実の世界では日本国債の信用度は非常に高い=日本国債が暴落すると考える人は皆無であるため、超低金利なのです。
それでも何でも増税しなければ国家破綻するというのは、もう唯の欲張り婆さんの金銭感覚でしょう?
でも財務省の官僚だって同レベルだから、ひたすら増税を推進しているのです。
だって連中も唯の法学士で、財政や金融の専門家ではありません。
商業簿記3級も持ってないので、帳簿の見方もわかりません。
そういう連中だから債務と資産のバランスも理解できずに「国の借金が~~!!」と喚き続けているのです。
こんな連中の話に乗って増税を推進するのがナンセンスなのは自明ですが、しかしそれだけでなくこんな連中に財政を任せるのもいい加減にやめるべきでしょう?
オマケ
非正規雇用者の増加と、時給に関する分析が面白いです。