前々から予想された事ではありますが、韓国での徴用工訴訟で、新日鉄住金に賠償命令が出ました。
これは請求権の放棄を定めた日韓条約違反です。
しかしこの問題はそれだけではありません。
そもそも徴用工と言われる人達は、賠償の対象となるような目に遭ったか?
そしてさらに言うとそもそも原告達はホントに徴用工だったか?
と言う問題があります。
またこれは民事賠償請求ですから、時効の問題があります。
まず徴用工の待遇ですが、所謂強制労働のイメージとは全く異なります。
徴用工は国民徴用令で、徴用令により動員された人ですから、その意味では確かに強制性はありました。
しかし強制労働であるからこそ、法令によって厳重に保護されていました。
軍需企業などで労働者が必要になり、しかし一般の募集では必要な人員が集められないような場合に、国に申請をしてその申請が通ると、国が徴用令を出して、それにより強制的に対象者を就業させることができました。
但しこの場合、企業側は同じ仕事をする日本人正社員と同一賃金と、同一の福利厚生を保障する義務がありました。 また朝鮮など遠方から徴用者を呼び寄せる場合は、交通費や宿舎も用意する義務がありました。
強制労働であるからこそ、労働者の権利は国家が最大限擁護したのです。
間違っても雇用者側が、徴用者を低賃金でこき使うなどと言う事はさせないようにしていたのです。
因みに徴用者には厚生年金の加入が義務付けられています。
実は厚生年金の歴史は1940年の船員保険成立に始まります。 そして1944年に現在と同様の厚生年金制度が確立します。
そ、そんな戦争の最中に年金制度なんて・・・・。
と、思うけれど、実は戦争の最中だからこの制度を作ったのです。 つまり徴用された人達が、戦闘に巻き込まれて死傷した場合に、本人や遺族が生活に困らないようにこの制度を作ったのです。
だから徴用者は当然全員強制加入なのです。 そして年金の半分は雇用者側が負担したのです。
と言うわけで、徴用者は完全な正社員待遇です。
現在、新日鉄住金がこの待遇で労働者を雇用しても、全く問題のない待遇です。
しかし現在と違う点があります。
それは給与です。
この徴用工達の給与明細票が、釜山の日帝強制動員歴史館に保存されています。
右端の茂山東烈さんの場合、支給額は131円79銭です。 同時期の陸軍大尉の給与が79円83銭です。
因みに現在の自衛隊で大尉に当たる一尉の月給は23~44万です。 同じ階級で差が大きいのは、自衛隊の場合、給与に占める諸手当が大きいからです。
しかしこの一尉を基準に、現在の賃金に換算すると、茂山さんの月給は38~72万円ほどだったことになります。
また当時の巡査の初任給は50円ですから、これを現在の巡査の21万円から、現在の賃金に換算すると55万円になります。
ブルーカラーで、この給与で完全な正社員待遇。
これは随分と良い労働条件ではありませんか?
しかも当時の朝鮮の賃金は、日本の半分程度でした。 そこで日本での就労を期待する朝鮮人は多かったのですが、しかし大量の朝鮮人が押し寄せたら日本の労働市場が壊れてしましす。 だから平時は日本側が色々条件を設けて、朝鮮人労働者の流入を制限していました。
しかし戦争になって日本の労働力が足りなくなると、朝鮮人の日本での就労を大幅に認め、さらに1944年9月からは、国民徴用令を朝鮮人にも適用したのです。
この好待遇での就労ですから、当然朝鮮人には大歓迎されました。
だから1000名の募集に7000名が殺到したという話まであります。
今韓国は若年失業率が極めて高く、韓国の若者が日本での就労を希望しています。
それでは新日鉄住金など名門企業が、この条件で韓国で求人したら、どうでしょうか?
今でも大量の韓国人青年が殺到するのではありませんか?
因みに日本人には1939年から国民徴用令が適用されていました。 それで大学生、旧制中学や女学校の生徒は、朝鮮人より遥かに前から徴用の対象として動員されています。
だから戦時中に学生時代を過ごした人達の自伝やエッセイには、このころの話が必ずと言っていいほど書かれてます。
例えば聖心女学院の生徒だった須賀敦子や、松陰女学園の生徒だった田辺聖子などが、作品の中にこのころの思い出を綴っています。
聖心女学院は皇后陛下の母校で首都の、松陰女学園は関西きっての名門女学校ですが、いずれの学校でも生徒が女子挺身隊として勤労動員されていたのです。
但しこれらの学生の場合は無給でした。
しかしこうした勤労動員は、イギリスなどでも行われていました。 だから当時王位継承順位第一位だったエリザベス王女さへ、軍用トラックのドライバーをしています。
つまりこうした勤労動員はそれ自体、非人道的だとかそういう話ではないのです。
だから1965年の日韓条約締結時の交渉でも、韓国側はこの徴用工(慰安婦も)の話は一切出していません。 日本での軍需工場は好待遇で、朝鮮人垂涎の職場であった事は、この当時の現役世代の人達は、誰でも知っていたのです。
ところが1990年代ぐらいから日本のマスコミで「朝鮮人労務者の強制連行」と話しが湧いてきました。
そしてそのころから韓国のマスコミが一斉に、朝鮮人労務者が奴隷狩りのように強制連行されて、強制労働をさせられたという話を報道し始めたようです。
ワタシはこれには非常に驚きました。 こんな嘘出鱈目を真顔で大手紙やNHKが報道する事が信じられませんでした。
しかしこれがこの賠償請求を産む原因になったのです。
それにしてもこの話はホントにオカシイのです。
① 条約違反。
② 徴用は非人道行為ではない。
③ 徴用工の労働条件は現在の基準から見ても、十二分な好待遇であった。
⑤ そもそも徴用工でない原告がいる。
西岡力先生によると、今回告の中には1944年以前、つまり朝鮮人に徴用令が適用される以前から新日鉄住金(当時は八幡製鉄)に勤務していた人がいるというのです。
こうなるともう徴用されたのではなく、只の正社員として働いていただけで賠償を請求している事になります。
⑥ 民事賠償の時効を過ぎている。
民事賠償の形をとっているのですが、しかし本来の民事請求の時効を完全に超えているのです。
こうなるともう全ての面で、賠償請求をする正当性がありません。
こんなもので賠償が必要なら、今現在日本で働いている韓国人全員に、遠からず賠償しなければならなくなるでしょう?
しかし韓国人の倫理観は日本とは違います。
これについて鈴置高史氏は言います。
韓国では「約束を破ってこそ強者」との意識が根強い。(新日鉄住金が敗訴 韓国の戦時中の徴用工裁判 日韓関係は無法状態に)
「約束を破ってこそ強者」と言う倫理観念を持つ国に、誠意や善意が通用するわけもないし、約束を守る事を期待するのも間違いなのです。
しかしこれは韓国だけでなく中国も北朝鮮も同様です。
だからワタシ達は今後、こうした国々とは善意や誠意は通用しない物と考えて対応していくしかないのです。
ともかくこれで日韓関係は完全に破綻しました。
そもそも日韓条約は大韓民国建国以降、日本と韓国が正常な国交を可能にするための基本条件でした。 しかしその日韓条約を韓国が破ったのですから、今後正常な日韓関係などあり得ないのです。
だから韓国は自分で日韓断交を選んだのです。
これはもう韓国が自分で選んだ運命ですから、その運命を甘受してもらうしかないでしょう。
