最近、連日アベノミックスは失敗したと言う報道が出ています。
ところでアベノミックスでなんだったんでしょうか?
ワタシは三流大学化学専攻ですから、経済学は全く学んだ事はありませんでした。 アタマの悪さにも自信があるのですが、しかし2012年の安倍政権誕生までに、何度かyou tubeの動画や三橋貴明氏のブログ等で説明を見れば、大体納得しました。
それでそれをおさらいします。

アベノミックス三本の矢
① 金融緩和によりインフレに導く、それにより失業率を下げる。
フィリップス曲線と言うのがあって、インフレ率が高くなると、失業率が下がる事は経済学で証明されている。② 財政出動により、経済を成長軌道に導く。
③ 規制緩和を行い、ビジネスチャンスを作に経済成長を促す。
但しこれは実は効果が出るのは非常に遅いです。 だって誰が考えてもわかりますが、規制は別に理由なくできたわけではありません。 相応の理由があってできた物です。
それを緩和するですから、緩和するにあたっては色々な問題もあり、時間がかかるのです。
また緩和をしてビジネスチャンスが生まれても、新しく生まれたビジネスが雇用やGDPなどの統計に影響するほどに育つには、数年かかります。
だからこれは2年や3年で成果を評価するのは不可能で、5年、10年のスケールで考えるべきモノなのです。
これを前提にアベノミックスに対する評価に対する議論を聞くと、どうも違和感があるのです。
【高橋洋一 VS 金子勝】アベノミクスは失敗?成功?どうしてもアベノミクスを批判したい「金子勝」氏!
まず①の金融緩和ですが、これによって物価を上げると言う目標は成功していません。 日銀は既に市場に出ている国債を全部買い取り、その上マイナス金利までやったので、できる限り事は全部やったのですが。
なぜなら原油安なんぞ言う想定外の話が出てきてしまったからです。
これは実は日銀が悪いのです。 こういう場合の物価目標は普通、エネルギーや生鮮食料品など経済政策でコントロール不能なモノを排除したコアコアCPIと言う指標を使うべきなのです。
ところが日銀はこれを使わず物価目標を、生鮮食料品やエネルギー価格を含んだコアCPIと言う指標にすると決めていたのです。 最初のこれを決めた頃は原油安なんて考えてなかったので、この方がインフレ目標を達成しやすいって考えたのでしょうね。
ところがこんな余計なズルをした報いです。 原油価格が爆下げしたので、コアコアCPIはちゃんと上がったのに、コアCPIは下がってしまったのです。
でもコアコアCPIがあがったので、経済学の予想道理、失業率は下がりました。

因みに「増えたのは非正規ばかり」と言う非難は当たりません。
赤旗は「
アベノミックス3年で正社員が23万人減、非正規が172万人増」などと言ってます。
しかし日本の生産年齢人口は実は昨年だけでも116万人減っています。 正社員って殆ど労働年齢人口ですから、企業が正社員を減らす方針を取り続けているなら、この3年100万人以上正社員が減っていても当然なのです。
でも減ったのは23万人だけでした。
一方勤労者数は差し引きで149万人も増えたのです。
これはつまりこれまで働いていなかった人達も職を得て働きだした・・・・つまり雇用が大幅に増えたと言う事です。
この人達の多くは主婦や定年退職者ですから、必ずしもフルタイムの雇用は望みません。 だからこうした人達の雇用が増えれば、非正規雇用の割合は増えるのです。

そして昨年だけなら、
正規雇用が26万人増加しました。 生産年齢人口が116万人も減ったのに正規雇用が増えたと言うのは、つまりこれまで非正規雇用だった人が正規雇用に変わったと言う事です。
因みに新卒者の就職内定率は高卒・大卒共にバブル期並みです。
また失業者が減り、失業保険金の給付が減ったので、失業保険の支払い額を引き下げました。
つまり金融緩和の目的である雇用については、アベノミックスは大成功したのです。

問題は②の財政出動です。
実はアベノミックスはこれ殆どマトモにやっていません。 それどころが消費税増税をして、国民の消費を減らしてしまいました。
やっていないのだからこれによる結果が出るわけはないのです。
ところが大変不思議なことですが、反アベノミックス派は一切これを非難しないのです。
代わりにこの動画にあるように、なぜか効果の遅い(あるいは意味のない)③の規制緩和にだけやたらに執着するのです。
規制緩和をしても速攻での効果がない事ぐらい、中学生でもわかるのになぜでしょうか?

一方、慶応大学教授金子勝氏は、「市場任せでやってスーパーコンピューター、液晶、半導体など日本の産業競争力が失われた」と言います。
でもそれってアベノミックスのせいですか?
スーパーコンピューターなどどこも国家が支援しています。 それを「二番じゃダメなんですか?」と言って支援を止めたのはどの政党でしたっけ?
エルピーダが倒産し、シャープが身売りに追い込まれたのは、民主党時代の円高放置が原因でしょう?
1ドル120前後だったのが、半年足らずで80円になってそのままでは、どうしようもないでしょう?
あのまま民主党政権が続き、それで円高が続けば他の輸出産業だって次々と、シャープやエルピーダの後を追っていたでしょう。
こういうの見ていると、反アベノミックス派って結局、イチャモンの為のイチャモンを付けているだけではありませんか?
しかしこんな人間が慶応大学の経済学部教授なのです。

結局アベノミックスの問題は、②の財政出動の不足に尽きるのです。
今までは金融緩和だけで結構成功してきたので、それでも良かったでしょう。
でも今は中国もEUも新興国も全部深刻な不景気に突っ込む事が明白なのです。 そうなれば日本だってその影響を受けないで済むわけはありません。
だからちゃんと財政出動をしてほしいです。
金融緩和は限界までやっています。 だから後は財政出動しかないのです。
勿論増税なんてトンデモありません。

こういう状況ですから、
一般国民はまだアベノミックスの成果は実感していません。 だって失業者は減り、就業者は増えても、賃金は殆ど上がっていません。 しかも消費税が上がってその賃金を削るのです。
だからそれまで失業中だった人以外は、恩恵を受けたと言う実感はあるはずもないのです。
でもワタシは完全とは言えないせよアベノミックスは成功したと思っています。
だって安倍総理が就任してから「閉塞感」と「マクドナルド難民」と言う言葉がマスコミから消えました。
この10年余り延々と続いた「閉塞感」って結局、日銀の緊縮政策だったのです。 お金は経済をまわす血液です。 それなのにそのお金を日銀が刷り惜しむから、日本全体が悪性貧血に罹ったように苦しみ続けたのです。
それを金融緩和政策に変えて、ちゃんとお金を刷ったら、たちまち治癒したのです。
そしてマクドナルド難民だった人達は、今は皆職を得てちゃんとアパートでも借りて暮らしているのでしょう。

この人達が二度とまたマクドナルド難民なんかにならないためにも、安倍総理は早く財政出動してくださいね。
勿論増税は無期限延期です。